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NO・2506『深刻度を増すエジプトの経済状況』 [2013年03月31日(Sun)]

 インターナショナ・ルヘラルド・トリビューン紙のサイトが、エジプトの経済状況が危機的状況に、入ってきていることを伝えた。
 その報道によれば、オイルが最大の問題のようだ。農業には散水するための、ポンプを動かすディーゼル・オイルが必要であり、農業機械を動かすオイルも必要になる。しかし、いまエジプトではオイルが不足しており、作物の植え付けが始まる中で、農民は手の打ちようが無い状況に、追い込まれている。
 農業部門でディーゼル・オイル不足が深刻になっているということは、麦の栽培に直接的な影響を及ぼすことになる。エジプトは9千万人に近い人口を抱えた大国であり、その小麦の消費量は莫大だ。その小麦の75パーセントが、輸入に頼っているのだ。それはエジプトの質の悪い小麦に混ぜて、国民の供給するパンの質を上げているためだ。
 エジプトが抱える問題は、この国のほとんどの国民が貧しいために、多くの物資に対して、政府が補助金をつけていることにある。その補助金無しには、生活が出来なくなる人たちが、ほとんどだからだ。
 この補助金が、なんとエジプト国家予算全体の、30パーセントに達しているというのだから、いかにその額が大きいか想像がつこう。この補助金は現在、エジプト政府が追い込まれている資金不足問題の解決に、直結しているのだ。
 IMFが48億ドルの借款を供与する方向にあるが、その条件は補助金の削減にある。しかし、それを受け入れれば、ムスリム同胞団政府は崩壊することになろう。このIMFとの交渉については、10月に予定されている国会議員選挙後に、ということになっているが、それは裁判所が法律的に選挙の実施に、待ったをかけているからだ。
 ディーゼル・オイルの不足が原因で、既に停電が起こっているが、これから暑い夏に向かい、停電が頻発したり、一定時間が停電になるようなことになれば、観光業は大ダメージを受けることになろう。公官庁の仕事も極めて非効率になろう。述べるまでも無く、外国からの企業誘致も、資金導入もこれではうまくいくまい。
 現実に、現段階でエジプトの外貨は、不足の一途にあり、ムバーラク政権の最後にあった、360億ドルの外貨は、現在では130億ドルにまで減少している。
 それは、エジプトが観光業に大きくい依存していることが、一つの原因であろうが、もう一つの原因は国家の補助金の問題であろう。一時期は酪農家が家畜にパンが安すぎるので、餌としてパンを与えていたということがあり、社会問題化したことがある。
 ディーゼル・オイルについても、未だに1ガロンガ2ドルと、アメリカの価格の半分以下だということだ。かつてエジプトはナセルの時代、アラブ社会主義国家であったが、その弊害が亡霊のようにいま、蘇ってきているのかもしれない。
Posted by 佐々木 良昭 at 12:11 | この記事のURL
NO・2505 『シャリーアが優先か・政治が優先か』 [2013年03月30日(Sat)]

 エジプトでは他のアラブ・イスラム諸国と同じ様に、イスラム・ファイナンスの分野で、動き出す気配が出てきた。イスラム・ファイナンスとは、イスラム法(シャリーア)に沿った資金の運用を図る、ファイナンス・ビジネスだ。
 このイスラム・ファイナンスは、マレーシアが最も活発であり、トルコや湾岸諸国も実施している。イスラム法に則り、この場合は金利という考えではなく、投資した金がうまく運用されて、その利益の分け前を受けるというものだ。
 しかし、スクークなど幾種類もあるイスラム・ファイナンスには、イスラム法に抵触しそうなものも少なくない。そのため、イスラム各国は独自の、イスラム・ファイナンスを進めている。このイスラム・ファイナンスには、まだイスラム諸国間の統一した見解は、出来ていない。
 しかし、お互いに生来のイスラム国家であるという立場から、他のイスラム国のイスラム・ファイナンスの運用について、文句をつけることは無いようだ。しかし、一国がイスラム・ファイナンスを始めるには、国内的コンセンサスを生み出す必要がある、ということになる。そうでなければ、イスラム・ファイナンスを始めた後で、トラブルになるからだ。
 さて資金難に苦しんでいる、エジプトのムスリム同胞団政権も、遂にこのイスラム・ファイナンスに、手を出そうと考え始めた。このことは大分前から、検討されていたのであろうが、現段階で提案されるのは、タイミングが悪いように思えるのだが。
 それは、ムスリム同胞団政権には、世俗派という反対派がおり、ムスリム同胞団よりも原理主義的な思想を持つ、サラフィ組織も存在するからだ。彼らはムスリム同胞団が資金繰りに苦しんでいることを、良くわかっているわけであり、ムスリム同胞団がその苦境から、イスラム・ファイナンスで切り抜けることを、阻止しようと考えている。
 しかし、そのために世俗派が、イスラムの権威を振りかざせるわけではないので、俄然、世界最古のイスラム大学である、アズハル大学に判断を任せることとなる。ムスリム同胞団の多くの幹部も、かつてはアズハル大学で、イスラム学を学んでいたのだ。
 さて、アズハル大学はどのような判断を、出すのであろうか。この場合は、政治的な思惑を、入れるわけには行くまい。ムスリム同胞団の中にも、相当のイスラム学者がいるからだ。そうなると、アズハル大学はコーランやハデース(預言者ムハンマドの言行録)から根拠を引き出して、結論を出さないわけには行くまい。
 ムスリム同胞団の学者が上か、アズハル大学の学者が上か、過去何十年、あるいは何百年と見られなかった、本格的なイスラム法学者間の論争が、今始まろうとしているのだ。私にはイスラム・ファイナンスは所詮金儲けのための、屁理屈でしかないと思えるのだが。
Posted by 佐々木 良昭 at 15:11 | この記事のURL
NO・2504やはり表立ってきたムスリム同胞団政権と法務j情報機関の対立』 [2013年03月29日(Fri)]
『 大分前に、エジプト革命後にはムスリム同胞団政権と、官僚機構が対立するだろうと書いた。最近になってその傾向が。表面化してきているようだ。
 内務大臣がムスリム同胞団政府の命令する、警察に厳重な取り締まりをさせよ、と命令したことに反発し、モルシー大統領命令を拒否した。警察は警察でサボタージュを決め込んでいる。
 結果的に、エジプト国内では種々の犯罪が、激増しているようだ。痴漢、強姦、路上強盗、空き巣などと言った犯罪が増えているし、暴力事件も増えている。警察が取り締まらないのだから、エジプト国民は犯罪の被害を受けやすい、環境の中にいるということだ。
 警察官に言わせれば、特別な手当が支給されるわけではないのに、投石やモロトフと呼ばれる火炎瓶攻撃を受けるわけであり、たまったものではないだろう。しかも、国民からは警察が大衆を弾圧している、と受け止められるのだから、たまらないだろう。
 軍は軍でモルシー大統領から、厳しい対応を迫られたが『我々の役割は国を守ることであって、街頭に出て国民を殺すことではない。』と大統領命令を跳ね付けている。
 最近になって、官僚機構のモルシー大統領に対する反発や、不服従が目立ってきている。軍隊、内務省、警察、情報省といったものがその主なところであろう。加えてマスコミも、モルシー大統領に反発し始めている。
 それ以外には、ムスリム同胞団が非合法の時代に牛耳っていた、職能組合で幹部選挙をするたびに、ムスリム同胞団メンバーが破れ、世俗派が就任するようになってきている。
 最近、カイロ大学で行われた学生組織の選挙でも、ほとんど世俗派が勝利し、ムスリム同胞団メンバーは退いている。
 文化人、ジャーナリストのムスリム同胞団政府に対する批判も、次第に強まってきているが、そのことはムスリム同胞団にとって、不安の種となりつつあるのではないか。もちろん、ムスリム同胞団は最後には、権力を握っているという強みに訴えられる、とは思っていようが。
 そのムスリム同胞団に、将来にとって不安の種は、数カ月先に見えている資金不足と、パンの供給の問題であろう。これさえ何とかクリアできれば、ムスリム同胞団の長期政権もありうるのだ。そのムスリム同胞団を日本政府は、どの程度知っているのだろうか。
Posted by 佐々木 良昭 at 16:13 | この記事のURL
NO・2503『エジプト官僚とムスリム同胞団政府とのの闘いは継続』 [2013年03月28日(Thu)]
 昨年の12月に話になるが、エジプトの検察長官がムスリム同胞団政府によって、首にされるという決定がなされた。しかし、それは法律に沿ったものではなく、あくまでもモルシー大統領の独断によるものだとして、首になったアブドルマギード・マハムード検察長官は、辞任を拒んできていた。
 述べるまでもなく、アブドルマギード・マハムード長官の首は、ムスリム同胞団側から見て不適切な人物であった、ということによろう。つまり、彼は旧体制派ムバーラク体制支持派の人物だ、ということであろう。
 その後、彼の後任としてタラアト・アブドッラー氏が、検察長官のポストに就任した。彼にとっては極めて名誉なポストであったろうが、その反対側には、前の検察長官であるアブドルマギード・マハムード氏の、不満やるかたない顔が浮かぶ。
 この問題に進展が見られたのは、裁判所の決定によってだった。エジプトの裁判所は、アブドルマギード・マハムード氏を首にすることは、不法であるとして、モルシー大統領の決定を退けたのだ。この決定が出されたのは3月27日だが、今後エジプト社会のなかで、大きな問題になって行くのではないか。
 それは裁判所の決定は、法に基づいたものであるが、他方、モルシー大統領の決定も、法に基づいたものであるからだ。モルシー大統領が出した特別権限法によれば検察長官を首にすることも、新長官を任命することもできるのだが、他の法に照らし合わせると、それは違法ということになるのだ。
 そこで、どちらの法的正当性を選択するか、ということになり、最終的にはエジプト国民がどちらを支持するか、ということになって行こう。既にエジプト社会内部では、、ジャーナリストや学者、政治家らが持論を展開し始めている。
 これらの意見のうちの大半は、アブドルマギード・マハムード氏の留任を、支持するもののようだ。そうなると、この問題をめぐってマスコミが、このテーマを大きく取り上げることになろうが、そのマスコミを誰が牛耳るか、という新たな問題が起こってこよう。
 この問題をめぐっては、本来は法律の解釈問題なのだが、政治問題にすり替えられていくものと思われる。大統領権限法の決定にあたっては、大衆の側から大きな反発があったにもかかわらず、決定されている。そうなると、大衆側は国民の多数派が認めない、という切り口で出てこよう。
 そもそも、こうした問題が出てきて、大問題になるということは、ムスリム同胞団が経験不足であり、能力において欠けている部分が、あるからではないのか。それを力で補おうとすれば、当然反発も大きくなるということだ。エジプトが安定するまでには、まだ時間がかかりそうだ。
Posted by 佐々木 良昭 at 14:16 | この記事のURL
NO・2502『バハレーンはヘズブラをテロ組織と断定したが』 [2013年03月27日(Wed)]
  バハレーン政府はレバノンのヘズブラ組織を、テロ組織と断定した。ヘズブラがイランと同じシーア派であり、イランがバハレーンと敵対していることから、出て来た結論であろう。それは、バハレーンとしてはやむを得ない、判断なのかもしれない。
 しかし、ヘズブラはアルカーイダやムスリム同胞団などのような、国際的な組織ではない。イスラエルからの攻撃に自国を守ろうとする、弱小集団であり、イランやシリアの援助なしには、成り立たない組織だ。
 そうは言っても、イスラエルとの戦争では、心理的に勝利したではないか、と反論する人もいるだろう。それは確かにそうだ。ヘズブラがイランからシリア経由で、供与されたミサイルを使い、イスラエル領土内を攻撃したことで、イスラエル側には相当のショックを与えたことは事実だ。
 しかし、その戦争でレバノン側が受けた被害は、イスラエルが受けた被害の、何十倍何百倍にも、相当するものであったことも事実だ。
 従って、ヘズブラは自分たちの実力をよく知っており、必要のない暴挙には出ない。いわば賢い強硬派とでも、言った方がいい組織だ。
 バハレーンが今回、ヘズブラをテロ組織と断定したことは、バハレーンにとって有利に働くのだろうか。あるいはその逆で、イランをいらだたせ、ヘズブラはバハレーンが主張しているように、バハレーンのシーア派メンバーを軍事訓練する方向に、追いやるのだろうか。
 イスラム世界には、多くのテロ組織と呼ばれる組織が存在するが、それらのほとんどは、実は自警の意味で立ち上がったものではないのか。そもそも、バハレーンで始まった抗議行動も、現在のような強硬なものでは、なかったはずだ。同国の多数派を占めるシーア派国民が、スンニー派と対等の権利を要求した、条件闘争に過ぎなかったのではなかったのか。
 人間は誰しも自分の安全や立場を擁護するために、時として過激な反応を、示すようだ。そして、その思いが行動に変わった時、往々にして取り返しのつかない結果を、呼びこんでしまうのではないか。
 世界のあらゆるところで、そうした現象が起こっている。時代は激変の時と言われている今だからこそ、席について語り合おう、と呼びかける国が存在することが、重要なのではないか。
 日本の21世紀における役割は、それなのかもしれない。もし、日本をリードする人たちがそれを間違えた場合、日本と世界をとんでもない方向に、導いていってしまう気がする。いまは冷静さと人に対する温かさが、求められる時代なのであろう。
Posted by 佐々木 良昭 at 13:52 | この記事のURL
NO・2501『フラストレーションが蔓延するアラブ世界ホ不安定』 [2013年03月26日(Tue)]
 アラブ各国の首脳には、大分フラストレーションが溜まっているようだ。それはますます社会を、不安定化させる危険な状況であろう。なぜならば、フラストレーションを溜め込んだ首脳たちは、国民を弾圧することによって、そのフラストレーションから、解放されようとするからだ。
 例えば、サウジアラビア政府はインターネットに対する、規制を強化させた。結果は、国民の間に不満を募らせ、反政府の動きを活発化させるのではないか。その後に来るのは、サウジアラビア政府が期待していることとは、全く逆になってしまうのだ。
 ヨルダンでは国王が周辺諸国の首脳について、厳しい意見を述べたが、それは何の解決にもなるまい。ヨルダンではムスリム同胞団の動きが、体制側にとって危険であることから、大本のエジプトのムスリム同胞団から選出された、モルシー大統領を批判している。
 エジプトではモルシー大統領が、活動家を逮捕するよう命令を出したが、そのことによって、エジプト社会はますます反政府の活動を、活発化させよう。若者たちは逮捕投獄されることを、恐れていないからだ。その結果は警察や軍が、ますますモルシー政府との距離を空けていく、ということになるのではないか。
 チュニジアでも、国民に対する締め付けが強化され、権力側の弾圧で死傷者が出るごとに、反政府の機運は高まって行く。このままの状態をこれらの国々が継続すれば、やがては体制が大きく揺らぐことになろう。
 他方、オマーン政府は活動家を釈放し、和解路線を取り始めたようだ。クウエイトでもビドーン(無国籍クウエイト居住者で、彼らは何代もクウエイトに居住しているにもかかわらず、国籍が与えられていない)に対する、国籍の付与を行っている。
 国民に対する強硬路線を、選択している国の首脳たちは、国内の不安定な状況に怒り、全く逆の決定を下しているのではないだろうか。サウジアラビアでは、インターネットの問題だけではなく、斬首刑や銃殺刑も激増している、ということのようだ。
 世の中はブーメラン現象が起こる。いま厳しい国民への対応をしている国は、やがて体制が不安定になるのではないか。こういう緊張した時期にこそ、一度深呼吸をして、冷静に考えてみた方がよさそうだ。誰かアラブの首脳たちに、日本式の深呼吸を、教えてはいかがか。
Posted by 佐々木 良昭 at 13:20 | この記事のURL
NO・2500『ガッサーン・ヒット氏の反シリア首相就任に反発』 [2013年03月25日(Mon)]
 アメリカでビジネスをして成功し、巨万の富を得たシリア人が、イスタンブールで開催されたシリアの反政府会議に出席した。彼の目的はこの会議で反政府側の首相に就任することだったのだが、どうも彼のこの計画は反対があり、うまくいかないのではないかという懸念が、湧いてきている。
 彼の名はガッサーン・ヒット氏で、アメリカ国籍を有している。エレクトロニクス関係で成功した人物のようだが、彼の反政府側首相就任は、今年の3月18日にトルコのイスタンブールで開催された、シリア国民連帯会議で決められた。
 49人の中央執行委員のうちの、35人が彼に投票したのだから、問題はなさそうなのだが、反政府側の国民連帯会議の公式スポークスマンである、ワリード・アルブンニー氏が反対し会議場から出ている。
 彼以外にも、幹部12人もガッサーン・ヒット氏が首相に選出されると、反対して会員資格を停止している。どうやらこうした幹部の反発を受け、ガッサーン・ヒット氏の首相就任は、スムーズにいかないようだ。
 何が彼の首相就任の邪魔になっているのだろうか。一説には、ガッサーン・ヒット氏がムスリム同胞団によって、支持されている人物だ、という情報も流れている。そうなると、たとえシリアの革命が成功したとしても、その後のシリアの政治は、ムスリム同胞団によって牛耳られることになり、エジプトの二の舞になる可能性があろう。
 シリアではムスリム同胞団の勢力は、決して小さくないのだ。アサド父子二代に渡り、弾圧を受け続けてきてはいるが、盤石な組織が維持されているのだ。彼らが革命の成功により、表面に姿を現した時、シリアはムスリム同胞団が主導する国家に、なる可能性は高い。
 ムスリム同胞団以外には、これと言った主要な政党や、国民組織が存在しないからだ。エジプトの場合もムスリム同胞団の議員選挙と、大統領選挙における勝利は、ムスリム同胞団の組織力の勝利だった。しかも、ムスリム同胞団には資金があるのだ。
 今回、ガッサーン・ヒット氏が首相に就任できないとすれば、それはシリアにとって好都合なことかもしれない。少なくとも、当分の間シリア国民は、世俗的自由な雰囲気の中に、いられるアkらだ。
Posted by 佐々木 良昭 at 12:05 | この記事のURL
NO・2499 『パレスチナ自治政府の内紛結局は金が原因』 [2013年03月24日(Sun)]

 アメリカのオバマ大統領が、ヨルダン川西岸地区のラマッラ市を訪問したのは、つい数日前のことだが、間も無くパレスチナ自治政府内部では、金と権力をめぐる抗争、が起こっている。
 マハムード・アッバース議長とファッヤード首相との間に、権力闘争が起きているのだ。一説によれば、マハムード・アッバース議長はファッヤード首相を首にし、ムハンマド・ムスタファ氏を後任に、充てたいということだ。
 ムハンマド・ムスタファ氏はパレスチナ開発基金の総裁であり、マハムード・アッバース議長に近い人物だが、パレスチナ開発基金とは2003年に設立された,一企業という形ではあるが、パレスチナ自治政府直轄の組織だ。
 問題の核心は、ガザのパレスチナ自治政府職員に対する、給与支払いをめぐるもののようだ。ファッヤード首相はガザがハマースにコントロールされており、実質的に職員は何もしていないことから、給与の支払いを止めよう、と考えた。
 しかし、それはマハムード・アッバース議長の立場を、弱くしかねないのだ。そのことに加え、ファッヤード首相がオバマ大統領と、個別に会ったことも問題となっているようだ。
 パレスチナ自治政府内部ではファッヤード首相が、マハムード。アッバースを追放し、パレスチナ自治政府の議長に就任することを望んでいる、とも言われている。彼が欧米の信頼を得ていることも、その理由であろう。
こうしたことから、パレスチナ中央執行委員会メンバーのテラーウイ氏が、ファッヤード首相は辞任すべきだ、とコメントした。ファッヤード首相の予算決定が誰にも相談されずに決まったことも、問題だとされている。パレスチナ自治政府の年間予算は、36億ドルと小さな額ではない。
こうしてニュースを読んでいると、いかにパレスチナ自治政府が、いい加減なものであるかが分かろう。首相が一人で国家予算を決められるということは、他の国ではありえないことであろう。
Posted by 佐々木 良昭 at 12:38 | この記事のURL
NO・2498『遂にイスラエルはトルコに詫びた』 [2013年03月23日(Sat)]
 既に3年の時が過ぎていた。パレスチナのガザ地区に居住する、住民に対する援助物資を届けようという、トルコの一団がガザに近い公海上で、イスラエルの特殊部隊の急襲を受け、9人が死亡するという事件が起こった。
 この事件は公海上で起こったこともあり、イスラエルに対する非難が、世界的に広がった。しかし、イスラエルはトルコ側の謝罪要求に対し、沈黙を続けてきた。その理由は強硬派の、リーベルマン外相の存在によろう。
 今回、イスラエルのネタニヤフ首相が、トルコのエルドアン首相に電話をし、謝罪したことは両国関係改善の上で、極めて大きな意味があるものだと思われる。何故ならば、トルコはこの事件以来(フロテッラ号襲撃事件)NATOの合同軍事訓練に、イスラエルが参加することを、拒否してきていたからだ。
 トルコとイスラエルとの関係は、このフロテッラ号襲撃事件以前にも悪化していた。それは、ダボス会議でのエルドアン首相の、ペレス大統領非難だった。彼はガザ攻撃の全てを知っていたにもかかわらず、ペレス大統領はそれを放置したと非難したのだ。
 表面的にはトルコとイスラエルとの関係は『ダボス会議』、『フロテッラ号事件』と、極めて厳しいものになっていたが、双方は共に相手を必要としていることを、十分理解していたようだ。
 イスラエルにとっては、トルコが唯一の友好的な近隣国家であり、トルコ側にすれば、イスラエルが兵器改良の協力者であると同時に、アメリカとの援助問題の、仲介者になっていたからだ。
 今回イスラエルのネタニヤフ首相が、トルコのエルドアン首相に謝罪の電話をかけたことは、エルドアン首相によって、正式に受け入れられた模様だ。それは、これまでエルドアン首相が和解の条件としていた『謝罪』と『犠牲者遺族に対する補償』が約束されたからだ。
 ネタニヤフ首相がエルドアン首相に、謝罪の電話をする気になったのは、アメリカのオバマ大統領の強い希望だったからだ、と伝えられている。アメリカにとってトルコとイスラエルは、最も信頼できるパートナーであり、両国関係が良好になることは、アメリカにとってプラスに働くからだ。
 また、ある説によると、オバマ大統領はトルコとイスラエルの和解を、イスラエル訪問の成果にしたかったからだ、とも言われている。いずれにしろ、これでトルコとイスラエルとの関係は、前進することは確実であろう。
Posted by 佐々木 良昭 at 11:15 | この記事のURL
NO・2497『ついに決着を見るかトルコのPKK問題』 [2013年03月22日(Fri)]
 トルコのクルド人が分離独立運動を起こし、武力でその目的を果たそうと考えていた一部が、PKK(クルド労働党)なる組織を立ち上げ、1984年ごろから戦闘を展開してきた。
 一時期はトルコに隣接する、シリアに拠点を与えられ、PKK(クルド労働党)のメンバーはそこに集結していた。以来これまでに、PKK(クルド労働党)の攻撃の犠牲になったトルコ人の数は、4万人を超えていると言われている。
 この中には当然のことながら、トルコに居住しているクルド人も、多数含まれていたものと思われる。
 しかし、 1998年10月PKK(クルド労働党)の議長であるアブドッラー・オジャラン氏が、シリア側の意向でシリアの拠点を追われ、翌年2月にケニアで逮捕され、トルコに連行された。以来、彼はマルマラ海に浮かぶイムラル島に幽閉されて、今日に至っている。
 彼とトルコのMIT(情報機関)のトップであるハカン・フェダン長官の交渉が行われ、今年3月21日オジャラン議長は、停戦宣言を行った。
 このアブドッラー・オジャラン氏については、幾つもの噂が流れていた。彼はクルド人ではなく、アルメニア人だという説もある。また、彼を育てたのはアメリカの情報機関だ、という説もある。
 先日、あるトルコ人と話していたときに、このことが話題になると、彼はアメリカによるPKKへの関与の実態を、トルコ側がアメリカに突き付けて以来、PKKの活動が終息に向かっていたのだということだ。アメリカ以外に、イスラエルもPKKの後ろ立てに、なっていたということだった。
 PKKの活動が穏やかになり、アブドッラー・オジャラン議長によって、停戦宣言が出されたことは、トルコのクルド問題が一応収束する、ということであろう。それはアメリカの関与が無くなり、PKKは資金難に直面していたのではないか。
 他方、トルコは現在経済発展期に入っており、PKK問題さえ片付けば、トルコ南東部の開発も進むだろう。そのことは、トルコ政府が何度となく強調してきており、トルコの南東部に居住するクルド人の多くも、それを信じていよう。
 PKK(クルド労働党)の外国支援の後退と、トルコ側の妥協姿勢、そしてトルコの経済発展が、今回のクルド問題における、大変革をもたらしたのではないか。
 こうなると、トルコの経済発展は、今後ますます期待されるようになろう。トルコでは巨大なハブ空港が、イスタンブールの西部に建設される予定になっている。いいことが起こる時は、連続して起こるもののようだ。
Posted by 佐々木 良昭 at 14:15 | この記事のURL
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