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NO・2278『ヨルダンがサウジアラビアとシリアの板挟み』 [2012年07月31日(Tue)]
 ヨルダンはいま、極めて危険な立場に立たされている。それは湾岸諸国、なかでもサウジアラビアからの、強い要求があるからだ。サウジアラビアはヨルダンをFSA(自由シリア軍)の、拠点にしたいと考えているからだ。
アラブの国ではないトルコが、FSAに対し秘密の軍事基地を提供しており、かつ難民キャンプを設置しているのだから、ヨルダンはもっと積極的にシリアの反政府派を、支援すべきだという論理であろうか。
これまで既に、ヨルダン軍とシリア軍は両国の国境地帯で、何度か銃撃戦を展開しているということだ。ヨルダン政府はそれをひた隠しに隠しているが、軍のなかから情報が漏れてきているし、国境地域にいる一般人からも、銃撃戦の情報は漏れてきているのだ。
サウジアラビア政府はヨルダン政府に対し、FSAを支援しシリア難民を受け入れること見返りに、資金援助をすることを口にしている。ヨルダンの財政が悪化しているなかでは、このサウジアラビア政府の申し出は、きわめて美味な毒盃ではないのか。
ヨルダンがシリアの反政府派を支援することは、シリアとの本格的な武力闘争に発展する、危険が多分にあろう。すでに一部情報筋からは、シリアが国内の問題をヨルダンに転嫁することを計画し、行動を起こしているという情報も、流れてきているのだ。
その証拠は、シリア軍がヨルダンに集結している兵器は、一般的な難民の取り締まりや、FSA掃討のレベルではなく重火器が含まれていることから、ヨルダン軍との本格的な武力衝突を、前提としたものだと見られている。
ヨルダンとシリアでは軍事力において相当の差があり、ヨルダン軍がシリア軍と武力衝突した場合、とても勝ち目はないだろう。それを承知でサウジアラビアがヨルダンに対して、FSAに拠点を提供しろというのは、別に目的があるからではないか。
一般的には、サウジアラビアが一日も早いアサド体制の打倒を、望んでいるからだという説明になろうが、実はシリアに居住するパレスチナ難民の処遇が、絡んでいるのではないかと思える。
その推測が間違っているとしても、ヨルダンにとってサウジアラビアの要求は、極めて厳しいものであろう。サウジアラビアのヨルダンに屋いする要求は、多くの問題を抱えるヨルダンにとって、シリア軍との武力衝突を抜きにしても、体制を不安に追い込んでいく、原因になるのではないか。
Posted by 佐々木 良昭 at 13:19 | この記事のURL
NO・2277モルシーア大統領は就任以来何を実行したのか?』 [2012年07月30日(Mon)]
『 エジプトの大統領選挙でムスリム同胞団の候補者であるモルシー氏は『イスラムが解決策だ』と叫んでいた。ムスリム同胞団の候補者なら当然であろうスローガンだった。
しかし、彼が大統領に就任して以来、今日までその兆候すら見えないのだ。イスラム法に従ってアルコールが禁止されると言われたが、観光業者からの強い反対があってか、未だにアルコールのサービスと販売は禁止されていない。
女性のヘジャーブ(頭や顔を覆うスカーフのようなもの)の着用も、義務付けられていない。このことについては、ブラック・ジョークのようなテレビ番組が登場している。
全身顔も全て黒い布で覆った女性キャスターと、出演者が進行する番組なのだ。これまでのエジプトのテレビ映像と比較して、どう考えても不気味としか言いようがあるまい。これはイスラム的とテレビ局側は説明しているが、ムスリム同胞団に対する、当手付としか思えない。
ムスリム同胞団は権力を手中に収めた段階で、女性のヘジャーブの義務化、銀行業務の禁止(利子はイスラム法では禁止のため)、イスラエルに対する戦争宣言、背広の着用禁止などを宣伝してきていたのだが、現実はこのいずれも実行されていない。
当然のことながら、モルシー大統領の統治に対する不満は、ムスリム同胞団内部からも起こり始めている。しかも、彼はどうやらムスリム同胞団の幹部にも相談しないで、ヘシャーム・カンデール氏を首相に任命したようだ。
あるエジプト人評論家が、モルシー大統領を非難するなかで『モルシー大統領はカリフになったつもりか?』と皮肉っていた。カリフとは預言者ムハンマドの、後継者を意味する言葉であり、ムスリム社会全体に、絶大な権限を有していたのだ。モルシー大統領の統治システムは、民主的なものではなく、イスラム教に似せたカリフ制度の、導入ではないのかということだ。
モルシー大統領の政策に対する、ムスリム同胞団の団員の不満が、出てきているのであろうか。最近エジプト国内では、ムスリム同胞団や他のイスラミストによる、暴力事件が多発している。例えば、腕を組んで歩いていた婚約者のカップルが、風紀を乱したといって殴打され、男性が死亡するという事件さえも起きているのだ。
モルシ―大統領は就任以来、何の危険なボタン(重要な決定)も押していない、と批判され始めている。軍に対しては妥協が目立ち、軍は相変わらず実質的にエジプト政治の、ナンバーワンの権力を握っている。
外交でもさしたる新路線を打ち出していない。彼に対する批判は、今後強まってくことはあっても、弱まることはなさそうだ。もしモルシー大統領が就任時に軍に対し、大ナタをふるっていれば、国民はそれを支持したはずなのだが、タイミングを完全に失ってしまった。
これからはモルシー大統領に対する批判が増え、そのなかでは軍に対して大ナタを振るおうとしても、もはや不可能であろう。そんなことをすれば、結果は逆になる危険さえあろう。タイミングを間違えることの恐ろしさが、彼を襲い始めているのではないか。
Posted by 佐々木 良昭 at 13:51 | この記事のURL
NO・2276『西側があおり始めた?サウジ危機説』 [2012年07月29日(Sun)]

 このところ、イギリスの報道がサウジアラビアの王制に対する、批判記事を増やす傾向になってきている。例えば、7月29日のBBCは『サウジアラビアのアルカテイーフ地区の住民が逮捕に抗議デモ』といった具合だ。
 これ以外にも、昨年には『サウジ東部で衝突』『何故サウジの統治者たちは警戒するのか』『サウジのシーア抵抗者射殺される』『サウジ宗派対立高まる』『といった具合だ。
 今年に入ってからも『サウジ暴動で9人逮捕』『新たな衝突で一人死亡』『サウジの抵抗運動で二人死亡』という報道がなされている。
 サウジアラビアの王制不安については敵対国であるイランが詳しい。イランはこれまでも、サウジアラビアの東部アルカテイーフ地区で、繰り返されてきているデモについて、詳しく報道してきている。
 イランの報道を見ていると、サウジアラビア内部の状況が、次第に危険水域に、近づいていることを感じさせる。その根拠は、サウジアラビア東部のアルカテイーフ地区の抗議デモに対する、サウジアラビア軍や警察による、実弾発砲でデモ参加者のなかに、死傷者が出ていることだ。
サウジアラビアの紅海沿岸最大の港町、ジェッダでは、内務省前で抗議デモが行われているからだ。加えてサウジアラビアの各都市で、小規模なデモが行われるように、なってきているということだ。
イランの専門家によれば、これらの一般的な政府に対する抗議デモに加え、サウジアラビア王室内部の、王族のメンバーの間で地位格差が、歴然としてきており、王室内部の分裂が始まっていることが、最も危険な要素ということだ。
例えば、最近報じられたプリンセス・バースマによる。政府抗議はその典型であろう、し、古くからはルージュ・プリンス(共産主義者の王子)と呼ばれる、王制反対の立場を明確にしている、異端派のタラール王子もいる。
この専門家によれば、今年のラマダン開けの8月19日以降に、サウジアラビアの各都市で、反政府行動が活発化するだろうということだ。
最近では、サウジアラビアがイスラエルにとって、最も信頼できるパートナーになっている、という報道もなされたし、シリアの内戦では、サウジアラビアはあからさまに反政府派に対する、梃子入れを行ってもいる。
サウジアラビア政府のこうした動きは、内部不安によるのではなかろうか。いずれにしろ、サウジアラビアは日本にとって、最も重要なエネルギーの輸出国であり、サウジアラビア国内で過激な変化が、起きないことを期待するのだが。
Posted by 佐々木 良昭 at 11:42 | この記事のURL
NO・2275『トルコのシリア対応と危険な国土防衛』 [2012年07月29日(Sun)]

 シリアの内戦が激化しているなかで、どの国がどう関与しているかが、ほぼ明らかになってきているようだ。資金はサウジアラビアとカタールが出し、武器の入手方法はアメリカやイスラエルが教え、その武器と資金をシリアの反政府派に渡すのは、トルコを経由してのようだ。
 当然のことから、シリア政府はこれらの国々を敵視し、憎んでいることであろう。シリア政府は最近になって、反政府派への攻撃を容赦無しに、行う方向に転換し始めているようだ。
 つまり、これまでは市民の犠牲をなるべく少なくするために、本格的な攻撃を控えてきていたようだ。しかし、ここ数日のシリア軍の攻撃を見ていると、相当荒っぽくなってきているのではないだろうか。
つまり、これからシリアの市民は極めて危険な状況に追い込まれ、犠牲者が多数出るだろうということだ。もちろん、反政府派の戦闘員も多数が、死亡することになろう。
シリアに対し同国の権力の中枢をなしているのが、シーア派の一派であるアラウイ派であることから、サウジアラビアやカタールはできるだけ早く、アサド政権を打倒したいと考えており、反政府派への支援が続くだろう。
では何故いまの時点で中東諸国のなかにあって、国家として機能し、仲介役に回れるはずのトルコが、シリアのアサド政権打倒に、本腰を入れているのであろうか。
それはトルコがシリアの内戦に、軍事的介入をしたくないからであろう。もしトルコが軍事介入すれば、シリア政府側から反撃を受けることになり、トルコも然るべきダメージを、蒙ることになろう。
そうなれば、過去7〜8年でやっと経済を立て直し、軌道に乗せることができたトルコ経済は、一瞬にして壊滅的な状況に追い込まれることになろう。そうなってからの復興は、容易ではあるまい。
そこで、トルコ政府が考えているのは、シリアの反政府派を支援し、彼らだけで政府に対抗させ、一日でも早くアサド政権を打倒させる、ということであろう。シリアの内戦が長期化することは、クルド人の解放区が広がり、イラク、イラン、トルコ国内のクルドと連携し、巨大なクルド国家が誕生する危険性もあるのだ。
シリアの内戦はアサド政権にとって、極めて危険なものであると同時に、トルコにとっても危険なものなのだ。もちろん、平和的な解決が最も望ましいのだが、既にシリア人同士ではそれが不可能になっている。アナン氏の仲介も失敗に終わった。時間の経過と死人の数が、比例して拡大するだけなのか。
Posted by 佐々木 良昭 at 00:39 | この記事のURL
NO・2274『モルシー大統領がソロモン神殿再建に関与?!』 [2012年07月27日(Fri)]
 エジプトのモルシー大統領と言えば、ガリガリのイスラム原理主義者、ムスリム同胞団の出身なのだから、そう言われても不思議はない。イスラム原理主義者は総じて、反ユダヤであり、反シオニズムであり、反イスラエルなのだが?
最近、ツイッターで話題になっている映像がある。それは通常のインターネットを通じても紹介されているものだが、実に意味が深いようなのだ。
ある午後であろうか、どこかの海岸で小さな男の子と、そのお姉ちゃんであろうか、二人の子供が砂遊びをしているのだが、何かを造っている。完成すると二人の子供は、新聞を読んでいるお父さんの所に行って、見て見てとせがむのだ。
お父さんがそれを見に行くと、砂で造られたものは、ソロモンの神殿の形なのだ。お父さんはびっくりして、小脇に抱えていた新聞を落とす。するとその新聞には、エジプトのモルシー大統領の写真が、掲載されているというものだ。
他愛のない短い映像なのだが、これがいま爆発的に見られているということは、ムスリム同胞団に対する不信感が、根強くアラブ世界には広がっているということであろう。
エジプトのナセル大統領の大弾圧を受けた、ムスリム同胞団員の多くがイギリスに亡命し、湾岸諸国に逃れたが、以来,ムスリム同胞団はイギリスの操り人形だ、と噂されてきていた。
今回、モルシー氏が大統領に就任するに際しても、アメリカ政府がエジプトの軍最高評議会に圧力をかけ、当選発表を即したとも言われている。つまり、ムスリム同胞団はアメリカやイギリスのエージェントであり、モルシー大統領は今後両国の国益に沿って、行動するという皮肉であろうか。
その皮肉は、ダヴィデ王の子ソロモン大王の建設した、ソロモン神殿の再建に、モルシー大統領が関与している、という噂を広げることにより、イメージが何倍にも強化されよう。
ソロモンの神殿の再建は、イスラエルのネタニヤフ父子の念願だが、神殿が建設される場合には、イスラム教のアクサ・モスクが破壊されることが、前提になっているのだ。ソロモン神殿はアクサ・モスクと、同じ場所に建設されていたからだ。
そのことは、イスラム世界の人たちにとっては、許し難い暴挙であろう。ツイッターやフェイスブック、そして映像を通じた反ムスリム同胞団のキャンペーンのレベルが、極めて高くなっているということであろうか。
Posted by 佐々木 良昭 at 13:40 | この記事のURL
NO・2273『イスラエルはトルコに泣きを入れたのか』 [2012年07月26日(Thu)]
 もう2年が経過したが、マビ・マルマラ事件(ガザ支援船銃撃事件))はいまだに、イスラエルとトルコとの関係に尾を引いて、悪影響を及ぼしている。
トルコ側は公海上で、武器を携帯していないトルコのガザ支援船が、イスラエルの特殊部隊に襲撃され、8人のトルコ国民と1人のトルコ系アメリカ人が殺害されたことに対する、正式な謝罪と補償を求めてきている。
しかし、イスラエル側がこれに応じなかったため、トルコ側はイスラエルとの関係を断ち、NATOの合同軍事演習でも、イスラエルを参加させないという、厳しい対応をしてきている。
このことは、トルコにとっても少なからぬ、悪影響を及ぼすことになろう。それはイスラエルを支える、世界のユダヤ資本がトルコに悪感情を持つことになり、経済金融面で種々の工作をしてくる危険性があるからだ。
他方、イスラエルにとっても、この問題を放置しておくことは、西側所諸国との関係上、トルコを通じた中東諸国との関係上でも、マイナスであろう。
最近では欧米諸国の経済的後退が激しく、イスラエルに対する支援やイスラエル製品の輸出に、影響が出てきていよう。そこで、イスラエルは何とかトルコとの関係を修復し、地域での孤立を避けたい、と思い始めているようだ。
イスラエル外務省高官は、イスラエルがトルコに対して、謝罪することはやぶさかではないと語り、かつ、イスラエル・トルコ合意文書の中に、明確に謝罪という文言を入れる用意が、出来ていることを明かしている。
しかし、イスラエルにとってその謝罪がなされ、トルコとの関係が正常なものになるようにする上で、幾つかの問題が残っている。それはガザ封鎖問題をどうするかということに加え、マビ・マルマラ号犠牲者への補償の問題だ。
イスラエルにしてみれば、犠牲者への補償はできるだけ少ない金額にしたいであろうから、イスラエルとトルコ両国政府間で合意し、個別の裁判案件にはしたくない、ということであろうか。
ガザの封鎖問題も、もしトルコが希望しているように、全面的に開放されれば、武器や危険物が搬入品のなかに、隠されている場合もあろう。それはガザからのテロ活動を激化させ、本格化させることに繋がるという懸念が、イスラエルにはあるのだ。
日本人に言わせれば、税関検査でそのようなものは発見できるのだから、人道支援物資の搬入は、全面的に認めるべきだということになろうが、死と背中合わせに暮らしているイスラエル国民には、そんな甘い判断はできないのだ。それがトルコとの関係正常化の上で、イスラエルを躊躇させているのだ。
Posted by 佐々木 良昭 at 15:32 | この記事のURL
NO・2272『シリア・クルドはトルコの新たな頭痛の種』 [2012年07月25日(Wed)]
『シリア・クルドはトルコの新たな頭痛の種』
 中東諸国のなかで、例外的にあまり深刻な問題を抱えていない国は、トルコであろう。しかし、そのトルコがいま、新たな頭痛の種を、抱えつつあるようだ。
それは、隣国シリアのクルド人の動向だ。シリアもまた、トルコと同様にクルド人を、国内に擁しているが、今回の国内混乱のなかで、彼らクルド人がシリア北部の幾つかの街を、制圧し始めているのだ。
シリア国内のクルド人たちは、シリア軍から同国北部の支配権を奪取した。そのシリア国内のクルド人の組織のなかで、最も大きいものがPYD( 民主統一党)であり、シリアの北部最大の都市カミシリ市は、クルド人によって支配されている。
最近になってそのPYDが、トルコと敵対関係にあるPKK(クルド労働党)と、連携し始めているのだ。もし、この連携がより本格的なものになれば、トルコの反政府クルド組織であるPKK が、シリア北部に拠点を構築することができ、反トルコ活動がより活発になる、危険性があるのだ。
一説によれば、シリアのクルド人が支配する、シリア北部の街の一部には、既に、PKKの旗が掲げられているということだ。もちろん、シリアの反政府組織である自由シリア軍(FSA)は、クルド人の勝手な分離は認めないとしている。
シリアのクルド人の反政府活動が活発なったのは、イラク北部のクルド自治政府の、支援によるようだ。最近イラク北部クルド自治区の街エルビルで、シリアの10以上ものクルド人組織が集められ、統一会議を行なっている。
そのことに加え、イラクのクルド自治区代表であるバルザーニ氏は、シリアのクルド人たちに軍事訓練を施したと語っている。バルザーニ氏とトルコ政府との関係が強いことから、トルコ政府は軍事教練そのものに対しては、不満を述べていない。
しかし、今後シリアのクルド人とPKKとの関係が、どうなっていくのかはトルコ政府にとって、極めて重要な関心事であろう。
クルド人問題はトルコ、シリア、イラク、イランにまたがる問題であり、各国にとって頭痛のタネとなってきたが、今後、イラクのクルド人とシリアのクルド人、イランのクルド人、そしてトルコのクルド人が大同団結するようなことになれば、クルド人の国家樹立も夢ではなくなって来よう。
中東の国々は、このように一国が激変すると、隣国に直接的に影響が出る形になっているのだ。だからこそ、中東の国々は周辺諸国に対して、否が応でも関与せざるを得ないのだ。
Posted by 佐々木 良昭 at 14:29 | この記事のURL
NO・2271『WMD(大量破壊兵器)の再現』 [2012年07月24日(Tue)]
  2003年3月に始まったイラク戦争は、その戦争原因としてイラク政府が所有するとされた、WMD (大量破壊兵器)にあるとされた。しかし、実際には、アメリカが主張したような核兵器も、核兵器開発につながる施設も、出てこなかった。
そしていま、再度WMD が取りざたされている。今回の場合は、イラクの場合とは異なり、実際に存在しているということだ。WMD を所有していると非難されているシリア政府,は、化学兵器 (WMDの一種)の存在を、正式に認めている。
シリア政府は自国民に対して使用することはないが、外国軍に対してはその限りではない、と今回の緊張のなかで言明しているのだ。シリア政府が自国民に対しては、使用しないと言ったのは、イラクがかつてハラブジャのイラク・クルド人に対して、毒ガス兵器を使用し、大量の死者を出していることからの、発言と思われる。
さて、シリア政府はどのような化学兵器を、所有しているのであろうか。
BBCによれば、シリアは世界4位の化学兵器を所有する国であり、1980代から生産が行われている。主な生産工場は3か所あり、それらはアレッポ、ホムス、ハマだと言われている。
 化学兵器の種類はマスタード・ガス、サリンガス、そしてVX神経ガスだと言われている。
アメリカやイスラエルはこの化学兵器が、レバノンのヘズブラの手に渡った場合、イスラエルの安全は脅かされるとし、それを阻止するためには、いかなる作戦でも実行しようということだ。
同時に、シリア問題を外交的に解決することの、合意が得られた場合には、国連(アメリカとイスラエル)によって、シリアの化学兵器生産工場は徹底的に、調査されるということであろう。
もちろん、現段階ではアメリカ政府が、外交的解決方針を捨て反政府派に、兵器を供与する方向に変わっていることから、平和的な化学兵器の査察はありえまい。そうなれば、シリアの化学兵器が明るみに出るのは、シリアが欧米イスラエルなどによって、政権が打倒されてからではないのか。
その前の段階では、外国人傭兵のみを対象に使用される、という説明がなされても、それが国内で使用される場合、シリア国民も犠牲になる、ということではないのか。シリア政府が言う外国人に対しての使用は、国内では使用しないという説明は、なされていないのだ。
化学兵器、アウシュビッツのガス室、ハラブジャ、シリアの残虐なイメージは、今後シリアに対するいかなる対応をも、許すことに繋がるのではないか。
Posted by 佐々木 良昭 at 14:28 | この記事のURL
NO・2270『イスラエルで焼身自殺続発の理由』 [2012年07月23日(Mon)]
 イスラエルで最近焼身自殺が増えている。最初に焼身自殺を試みたのは、モシェ・スリマンという人物だった。彼の場合焼身自殺を試みた後、一命を取り留めるのだが、後に死亡している。
彼には多額の借金があり、それを苦にして自殺したが、政府の政策を非難する内容のノートを残している。
今回の焼身自殺者も、似たような環境にあったと思われる。彼は退役軍人であり、車いすに乗って生活していたということだ。
何とか周辺にいた人たちが消火を試みたが、彼の皮膚はこの焼身自殺で、80パーセントを失っており、危険な状況にあるようだ。
モシェ・スリマン氏の葬儀が日曜日に行われたが、この葬儀には1000人以上もの人が、参列したということだ。つまり、モシェ・スリマン氏の自殺に同情し、かつ自分も同じ立場にあると思った人たちが、多数いたということであろう。
イスラエルでは家賃が高騰しているため、住宅よこせの座り込みストが、何万人もの参加で、テルアビブ市で長期間行われている。また生活必需品の高騰も、庶民の生活を窮地に追い込んでいるようだ。
焼身自殺が連続して起こるのは、ある種の社会現象であろう。その理由は物価高や家賃の、高騰だけではあるまい。精神的拠り所を失った結果でもあろう。ユダヤの神は何処へ行っってしまったのであろうか。
Posted by 佐々木 良昭 at 15:51 | この記事のURL
NO・2269『BBCの気になるニュース』 [2012年07月22日(Sun)]

 BBC放送(?)のネットの記事に、一寸気になるものがあった。それはシリアからイラクに、逃れてきた人たちの発言だ。
 彼らの証言によれば、殺戮を繰り返しているのは反政府側であり、反体制派の戦闘員によって、サイダ・ゼイナブ市の市民が追い出されて、イラクに逃れてきたという内容だった。ご主人はイラクのシーア派国民であり、奥さんはシリアのスンニー派の人だったと記憶する。
 シリアのサイダ・ゼイナブ市は、シーア派にとって重要な聖地であり、イラクからもシーア派の人たちが、巡礼に来る場所だということのようだ。
 この記事を読む限り、シリア国内で悪辣非人道的なことをしているのは、反政府側の戦闘員と取れるのだが、なぜかその記事は1時間ぐらいしてからであろうか、消えてなくなっている。
 もし、この記事が正式に流されたものであるとすれば、西側諸国なかでもイギリスのシリア対応に、変化があったということであろう。また、もし、これが一記者の判断によって流されたものであったとすれば、ある力がBBC放送局におよび、ブログの上から消されたということであろう。
 真相は分からない。
Posted by 佐々木 良昭 at 22:39 | この記事のURL
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