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NO・2254『トルコ・クルド人対象の世論調査結果』 [2012年06月30日(Sat)]

 トルコが抱える大問題は、現在の段階ではシリアとの軍事緊張であろう。しかし、これまで長い間継続して、トルコ政府が対応に苦慮してきた問題は、トルコ国内のクルド人問題だ。
 トルコ国内に抱える2000万人を越えるクルド人に、どのような立場を提供するかということだった。トルコ政府はかつてトルコ在住のクルド人に、同じトルコ人として対応するために、クルド語の禁止、クルド文化の禁止、という厳しい措置をとってきていた。
 しかし、開発公正党(AKP)が政権をとってからは、段階的にクルド人に対する自由を拡大してきている。トルコ国営テレビ放送のクルド語による、24時間放送は、その典型例であろうし、クルド語による教育の自由化も、その一つであろう。クルド語文学作品や歌謡の許可も、AKPが進めた同様の改善策だ。
 その甲斐あってか、最近ANAR社が行った、トルコ・クルド人に対する世論調査で、喜ぶべき結果が出ている。以下はその一部だ。
:トルコ人と平和的に共存したいクルド人―66パーセント
:トルコ人と別々に居住したいクルド人―6・2パーセント
:トルコ人を兄弟とみなすクルド人―84パーセント
:トルコ人を嫌っているクルド人―4・1パーセント
:AKPを支持するクルド人―53・7パーセント(昨年同時期より4パーセント増加)
:CHPを支持するクルド人―25・94パーセント(昨年同時期よる2パーセント減少)
:MHP支持のクルド人―12・1パーセント(昨年同時期より0・88パーセント減少)
:BDP支持のクルド人―7・1パーセント

この世論調査結果はトルコ国内26県で、5179人を対象に行ったものだ。クルド人対象の世論調査にもかかわらず、クルド系の政党BDPに対する支持が、極めて低いのは意外な結果といえよう。
 トルコのクルド人が、AKPに対する支持を増加させていることは、その政策がクルド人にとって、極めて歓迎すべき内容だからに他あるまい。加えて、AKPが進める経済改革の成果が、目に見えてきていることにもよろう。そしてAKPはクルド人が多く居住する、トルコの南東部の経済開発に、力を入れていることにもよろう。
Posted by 佐々木 良昭 at 16:54 | この記事のURL
NO・2253『トルコ国営テレビとのインタビュー』 [2012年06月29日(Fri)]
 6月29日久しぶりに、トルコ国営テレビの特配員が連絡してきた。シリアとの緊張問題で、インタビューをしたいというのだ。もちろん受けることにした。
トルコ国営テレビはインタビューのなかで、ロシア、イラン、NATOのシリア問題への対応について聞いてきた。ロシアは最近シリアについて、アサド体制を絶対に守るというスタンスから、距離を置き始めている。曰く『シリア国民が望むのであればその限りではない』
イランも同様であろう、シリア政府はイランについて『イランは賢明な友人であり続けてほしい。』といった内容の記事を発出している。それはイランの立場に変化が出てきたために、何とか友好国として繋ぎ止めておきたい、という焦りからであろう。
ロシアやイランが、シリアのアサド体制に距離を置き始めたのは、シリアの内紛の死傷者の数が、激増したからであろう。たとえどれだけの理由があろうとも、1万人を超える多数の死傷者が出てしまったのでは、味方することは難しくなっていこう。これ以上アサド体制支持の立場をとり続ければ、世界からロシアやイランは血塗られた独裁体制支持だ、と非難されることになろう。
NATOについては、リビアとシリアに対する対応の違いを述べ、良識的な日本人は誰もが、欧米の対応はダブル・スタンダードだ、と考えていると答えた。リビアには石油ガスがあることから、戦争をしても元を取りやすいが、シリアの場合はエネルギー資源も、他の資源もないことから、戦争費用を取り返すことが、困難だということだ。
付けくわえて、本来であればフランスが、もっと積極的にシリア問題解決に、動くべきだとも語った。フランスはかつて、シリアを支配していた国であり、応分の道義的責任があるからだ。そうしたなかで、欧米の思惑通りにトルコが戦争に入れば、馬鹿を見るのはトルコだけだ、とも間接的に述べた。
このインタビューのなかで語りたかったが、語れないで終わったことがある。それは撃墜された戦闘機のパイロットであるギョカン・エルダンさんの、父親アリー・エルダンさんの発言を、褒める言葉だった。トルコでは広く知られているので、必要がないのかもしれないが、日本の皆さんにはこの場でお知らせしたい。
ギョカン・エルダンさんの父親アリー・エルダンさんは、戦闘機撃墜事件ののち、トルコ国内で高まっていく、報復戦争の可能性を前に『私の息子の死のために、戦争をするのは止めてください。』と言ったのだ。個人的な恨みよりも、公の利益を優先するこの父親の姿勢に、記事を読んでいて涙がこぼれた。
 最近トルコ政府の対応は、日に日に厳しさを増してきている。トルコ・シリア国境には、どんどん兵器と兵員が増強されている。何とかトルコ政府の中枢の人たちは、知恵を絞り戦争によらないシリアへの対応を、考え出してほしい。そうでなければ、アリー・エルダンさんの折角の気持が、生かされないではないか。
Posted by 佐々木 良昭 at 15:15 | この記事のURL
NO・2252『モルシー効果とアラブ諸国のイスラム原理主義組織』 [2012年06月28日(Thu)]
 エジプトで60年以上にも渡って、非合法組織と見なされ、弾圧の対象になってきたれムスリム同胞団が、アラブの春革命後与党第一党になり、大統領選挙では、同組織が結成した自由公正党の候補者が、大統領に就任した。
これは当然のこととして、エジプト国内で大反響を呼んでいるわけだが、そればかりではないようだ。アラブ各国のイスラム原理主義組織が、俄然元気良くなってきている。チュニジアのナハダ党は、ムスリム同胞団に似通った組織だが、与党となり国家元首をはいで輩出している。
シリアでいま、アサド体制に反対する広範に広がる組織は、シリア自由軍が目立つ関係から、あまり表面には出ていないが、ムスリム同胞団なのだ。彼らの組織力が、今後のシリアの行方を、決定付けていくものと思われる。
ヨルダンでも何度かお伝えした通り、ムスリム同胞団組織が反体制(国王批判は)の中核となっている。しかも、ムスリム同胞団の場合は、述べるまでもなく宗教組織であるために、ヨルダン在住のパレスチナ人だけではなく、ヨルダン人も含んでいる。そのため、アブドッラー国王にとっては、極めて手ごわい相手であろう。
最近になって、もう一つ気掛かりになってきているのは、モロッコのイスラム原理主義組織の動きだ。この場合も、宗教的情熱があらゆる困難を押しのけて、体制に対する強い批判勢力となってきているのだ。
通常は臆病で計算高いアラブ人でも、一定のラインを超えると、感情が爆発し、制止できない状態になってしまうのだ。その時、彼らの心のほとんどを埋めるのは『アッラーフ・アクバル=アッラーは偉大なり』というフレーズなのだ。
アラブの革命のなかで、そして今、シリアの革命闘争のなかで、このアッラーフ・アクバルは何度も叫ばれている。シリアの現場の映像を見ていると、何度となくそのフレーズが、叫ばれていることに気が付こう
この宗教を前面に立てた、アラブ大衆の爆発の熱は、どうやら当分冷めそうにない。これから色々な政治主導者たちによる、鎮静化の努力、社会の安定化の努力が、試みられるであろうが、大衆の熱病は当分収まらないだろう。
一旦は鎮静化したとしても、またその炎が拡大するということの、繰り返しになるのではないか。
イラク大使はこの前の講演会のなかで何度も『アラブ人の文化を理解しなければならない』と語っていたが、アラブ人の感情も、文化のうちの一部であろう。彼らが何に怒りを感じ、何に満足を感じるのかを知る必要があろう。
Posted by 佐々木 良昭 at 16:17 | この記事のURL
NO・2251『エジプト大統領選挙の余波』 [2012年06月27日(Wed)]
 エジプトでは改革派の、ムスリム同胞団候補であるムハンマド・モルシー氏が、大統領に当選した。その結果は、ある意味では当然であり、またある意味では意外であった。
当然と考えられるのは、もしムハンマド・モルシー氏ではなく、アハマド・シャフィーク氏が当選していたら、エジプト国内は内乱状態になっていたのではないか、と思われるからだ。ムスリム同胞団は選挙結果の発表前に、もしムハンマド・モルシー氏が当選しなければ、しかるべき行動を起こす、と警告していた。
意外だったと考えられるのは、軍がアハマド・シャフィーク氏の当選を、無理強いしなかったことだ。軍最高評議会が絶対的な、権限を有しているなかでは、あらゆることが可能であったはずだ。選挙結果の発表が遅れたのは、それをどうするか軍が考えているからだ、とささやかれれていた。
問題は、多くの疑問をはらむ選挙結果が発表されてみると、両候補の得票差は、90万票未満であったという点だ。8900万人のエジプト国民のうちの、半分が選挙権を有していたとして約4500万人、その人口に対する90万票は、そう大きな数ではない。
言い方を変えれば、僅少差で大統領が決まり、エジプト有権者の約半分が、反対する人物が大統領に当選したという事実だ。そのことは、今後に多くの問題を、残すということであろう。
どうやら、ムハンマド・モルシー大統領と軍最高評議会の間では、ある種の妥協が生まれつつあるようだが、そうでもなければ、大統領暗殺事件すら、起きても不思議はあるまい。
ムハンマド・モルシー大統領は、6人の副大統領職を設けたようだが、そのなかには、コプト教徒の女性も含まれているようだ。彼が当選後間もなく口にした『エジプト全部の大統領』を具体的に、実施していくつもりなのであろう。
これで当分の間は、エジプト国内は安定するのではないか。しかし、軍をあくまでも現在の地位から、引きずり降ろすと叫んでいるグループもあり、予断は許されまい。
そしてもう一つの問題は、イスラエルとの関係がどうなるかであろう。ムハンマド・モルシー大統領は『キャンプ・デーヴィッド合意は不平等だ。」と主張し始めている。これをどう変更しようというのであろうか。イスラエル側は当然真っ向から反対するであろう。
Posted by 佐々木 良昭 at 15:30 | この記事のURL
NO・2250『米・イスラエルのイスラミスト大統領に対する見方と対応』 [2012年06月26日(Tue)]
 エジプトでムスリム同胞団という、イスラミスト組織のメンバーが、大統領に当選した。このことは少なからぬ動揺を欧米諸国や、イスラエルに呼び起こしているようだ。
アメリカ政府はムハンマド・モルシー大統領が、どのような政治を進めていくのか、当分の間静観する姿勢のようだ。これまでにアメリカはムスリム同胞団に対し、接近策をとり、ムバーラク氏が大統領職にある時から、ムスリム同胞団との関係を構築してきている。
今回も大統領決選投票の結果発表の前から、アメリカがエジプト軍に働きかけ、ムハンマド・モルシー氏の当選発表をさせるよう、働きかけて来たことが伝えられていた。そのことは事実であろう。
しかし、それだからと言って、アメリカがイスラム原理主義の大統領を、根本から信用しているとは限らない。これまでのアメリカとムスリム同胞団との関係から、アメリカにとって都合のいい方向にだけ、向かうとは言えまい。
イスラエルも同様に、あるいはアメリカ以上に、ムスリム同胞団出身の大統領が、どのような政策を展開していくのかを、注視しているようだ。イスラエルはムハンマド・モルシー氏の、対応を見ようとしてであろうか、幾つかの試みを始めたようだ。
第一には、シナイ半島からのテロ攻撃が、増加する懸念があるとして、エジプトとの国境地帯に、レーダー網を設置し、監視を強化することを決定している。そしてそれに時を合わせ、ガザ地区への攻撃を強化している。
イスラエルのバラク国防相は、シナイからのテロ攻撃が増加すると警告し、しかるべき対応策を、準備し始めているようだ。
ムハンマド・モルシー大統領がガザのハマース支持表明と、それに伴う具体的な行動を起こせば、イスラエルは直ちに、彼をより厳しい監視の対象に置くだろう。
エジプトのイランに対する対応がどう変化するかも、イスラエルにとっては注目するポイントのようだ。既にムハンマド・モルシー大統領は、イランとの関係改善を、希望していることを語ったが、他方ではムハンマド・モルシー氏が当選発表前に、イランのプレステレビとのインタビューに答えた、というニュースを否定している。
イスラエルのマスコミは、ほとんどが今後のエジプトとの関係に、悲観的な見方をしているようだ。つまり、ムハンマド・モルシー大統領に向けられる視線は、厳しいということであろう。
Posted by 佐々木 良昭 at 16:14 | この記事のURL
NO・2249『アラブ大使がアラブ大使に今後を問う』 [2012年06月25日(Mon)]

 6月24日の日本時間午後11時ごろから、エジプト大統領選挙の最終結果発表があり、パソコンの画面にかぶりついていた。そして11時40分ごろに、最終結果が発表され、ムスリム同胞団のムハンマド・モルシー氏の当選が、明らかとなった。
 そして6月25日、笹川平和財団の主催で、在日イラク大使の講演会が開催された。この会には、バハレーン大使やエジプト、その他の大使館からも参加があった。
 イラク大使はアラブの春とその後について、極めて論理的に話をしてくれたが、そのなかで彼が何度も強調したのは、アラブ人の文化に対する理解が、必要だということだった。
 アラブで現在起こっていることが、何故どうして今の時期に出てきたのか、それが今後、どのような経緯をたどっていくのか、という内容だった。そのことを考える上で、アラブ人の文化的特徴を知り、彼らの感情の流れを知る必要がある。 
それはアラブの政治を動かしていく、アラブの人たちにとって、極めて重要な注目点であろうし、日本の人たちがアラブ人との間で、ビジネスを展開していく上でも、必要だと語っていた。
 まったくその通りであろう。本来は日本人にも文化に対する配慮が、多分にあったはずなのだが、最近ではビジネス一辺倒に、なってきているのではないか。そのために、日本人なら敏感に分かりうること、簡単に理解できるアラブ人の心理の変化が、全く読めなくなっているのではないだろうか。
 講演の後、NHKの出川氏のコメントと、会場との質疑議応答があったが、そのなかで興味深かったのは、バハレーン大使が『今後アラブ世界はどうなっていくか?』と質問したことだった。
 バハレーンはご存知の通り、現在の体制が打倒されることも十分に予想される、革命途上にある。その国の大使が自国を含めた、アラブ諸国の将来について心配しても、無理からぬことであろう。
 彼の質問に対するイラク大使の返答は『文化に対する理解と探求』だったと思う。講演会が終わった段階で、私はバハレーンの大使に『今後混沌は10年は続くと思います。』と話した。バハレーン大使は少し暗い表情をしていた。
いまアラブ世界は全てが大変革しようとしている。それが2〜3年で達成するとはとても思えない。アラブばかりか日本を含む、世界が大変革の途上にあるのだから、一国だけが安定するということはありえまい。大統領に当選したムハンマド・モルシー氏も、彼自身の計画はあるものの、先のことは全く予測できていないのではないのか。
Posted by 佐々木 良昭 at 20:43 | この記事のURL
速報エジプトの新大統領 [2012年06月24日(Sun)]
エジプトの新大統領にはムスリム同胞団のムハンマドモルシー氏が当選
得票は
ムハンマドモルシー:51・73%
アハマドシャフィーク:48.27%-----
EXTENDED BODY:
Posted by 佐々木 良昭 at 23:52 | この記事のURL
エジプト新大統領はムスリム同胞団のムハンマドモルシー氏 [2012年06月24日(Sun)]
エジプトの新大統領にはムスリム同胞団のムハンマドモルシー氏が当選
得票は
ムハンマドモルシー:51・73%
アハマドシャフィーク:48.27%-----
EXTENDED BODY:
Posted by 佐々木 良昭 at 23:43 | この記事のURL
NO・2248『シリアがトルコ軍機撃墜・その後どうなる』 [2012年06月24日(Sun)]

 6月22日、領空侵犯したトルコ軍機をシリアが撃墜する、という出来事が起こった。これは今後に大きな影響を及ぼす可能性がある、と受け止めた方がいいニュースであろう。
 領空侵犯をしたのはトルコのミスだが、それは航空機の場合、割合に多く発生することのようだ。トルコ軍機は一部偵察目的もあったかもしれないので、シリア側が過剰な反応をしたとしても、トルコがシリアをあまり、責められることではないだろう。
 しかし、現在のトルコとシリアの関係を考えると、そうとばかりは言えないようだ。かねてからトルコは、シリアのアサド体制を非難し、シリア難民や反体制派を受け入れているし、自由シリア軍(FSA)には基地も与えている、といわれている。
 加えてトルコは、自国内でカタールやイスラエル、サウジアラビアが、FSAに資金や武器を供与することを、認めてもるようだ。そうであるとすれば、トルコ側は今回の撃墜事件を、格好のチャンスと捉え報復攻撃をし、その後、本格的な軍事介入をする、可能性も否定できまい。
 事件発生当初は、ギュル大統領が『パイロットは、航路を間違えたのであろう。』という、比較的穏便なコメントを出していたが、エルドアン首相やダウトール外相は、厳しいコメントを出している。
 欧米諸国は自国軍をシリアに出すのではなく、トルコに代理にシリアへの軍事介入を、させることを考えていようから、今回の事件を機に、トルコ軍が動いたとしても、なんら反対すまい。
 従って事件はとんでもない方向に、トルコとシリアとの関係を、導いていく可能性が、高いのではないか。そのことは、トルコとイランとの関係にも複雑に影響し、イランの石油・ガスが、トルコに入ってこなくなる可能性もあろう。それはイランにとってもトルコにとっても、経済的に大きなダメージとなろう。
 今回の事件でもうひとつ気になるのは、兵器の過剰な進歩だ。シリア軍が狙った地対空ミサイルは、確実にトルコ軍機を捉え撃墜したという事実は、世界の軍事専門家を驚かしていよう。
 ロシアが欧米のシリアに対する、軍事的な動きを警戒して、シリアに兵器を送る動きに出ているが、そうなれば軍事介入をした欧米の戦闘機や、それ以外の兵器が然るべきダメージを、受けるということではないのか。
 今回の出来事が、兵器が進歩するなかでは、安易に戦争を始められないという教訓を与えたことを祈る。
Posted by 佐々木 良昭 at 11:42 | この記事のURL
NO・2247『ムスリム同胞団とアメリカの密約・トルコは?』 [2012年06月23日(Sat)]
 6月23日の土曜日の夕方、エジオプとの友人から電話が入った。彼はエジプトを訪問したとき、必ず決まって細かい分析と情報を語ってくれる、数少ないエジプト人にしては珍しい、冷静な考え方をする友人の一人だ。
 彼は今回のムスリム同胞団の異常に早い、ムハンマド・モルシー氏の当選発表の裏を説明してくれた。彼の説明によれば、真相は以下の通りだ。
 『ムスリム同胞団の大統領候補者、ムハンマド・モルシー氏当選発表は、まだ票の半分も計算されていない段階の、異常に早いものだった。それが何故真夜中に出されたのか、それはアメリカ時間を配慮したものだった。
 アメリカで先に情報が流されれば、信憑性を持って世界中に流され、世界が同じ考えを持つようになる。そうなると訂正は極めて難しくなる。実際にその後、エジプトのムスリム同胞団と同じ様に、ムハンマド・モルシー氏が当選したと信じ込む、エジプト人が増えており、しかもその考えが固定した。
 事実は、アハマド・シャフィークの方がフェアであり、彼の方が得票数は多かった。しかし、いまとなっては、それを覆すことは極めて難しく、選挙管理委員会がアハマド・シャフィーク氏の当選を発表すれば、エジプト国内は混乱するだろう。
 今回のエジプトの大統領選挙で、アメリカとトルコが深く介入している。アメリカは軍最高評議会に対し、何度もムスリム同胞団のムハンマド・モルシー氏を、当選させるように圧力をかけてきた。
 それは、ムハンマド・モルシー氏を当選させ、大統領にしてガザのハマースに対し、イスラエルと取引するように、仕向けるためなのだ。ガザのハマースはエジプトのムスリム同胞団の、指導下にあることは知っているだろう。
 どういうわけか、トルコのエルドアン首相、もエジプトの大統領選挙当選者は、ムハンマド・モルシー氏だと強調し、出来るだけ早く彼の当選を、認めるべきだと主張している。そのことは、エジプトのインテリの間で、エルドアン首相びいきだった人たちを、幻滅させている。
 近い将来、エジプトはトルコ製品ボイコットを、始める危険性が高まっている。そうなれば、他のアラブの国でも、似たような動きが始まるだろう。貴方はトルコに友人が多いから、そのことをトルコの友人たちに伝えて欲しい。
 私はエジプトとトルコとの緊密な関係を望んでいる。だからそのことを、トルコ側に伝えて欲しいのだ。』
 この友人の分析は、単なる個人的な想像の産物ではない。彼はビジネス界の主要なメンバーや、政府の高官に多くの友人を、持っている人物なのだ。その友人たちから得た情報を分析して、彼は私に伝えてきているのだ。
Posted by 佐々木 良昭 at 21:55 | この記事のURL
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