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NO・2245「二つの情報源サウジアラビアの体制危機を伝える」 [2012年02月29日(Wed)]
 二つの著名な情報源が、サウジアラビアの将来に対する、危険を伝えている。一つはイギリスの権威あるガーデアン紙、もう一つはイランのプレステレビだ。
 イギリスのガーデアン紙は『アラブの春サウジアラビアは時間の問題』というタイトルで記事を掲載しているということを、アラビア語新聞のアッサフィール紙が伝えている。
 ガーデアン紙の記事によれば、サウジアラビアではシーア派マイノリテイ国民の蜂起や、女性の運転の自由を求める行動だけではなく、大きな社会的不満が、蓄積しているということのようだ。
 そのなかで興味深い部分は、誰が主催者なのか分からないが、22万人のメンバーを有するツイッター(mujtahidd@)が、サウジアラビア国内の、多くの不満の声を公表すると同時に、サウジアラビア王家にかかわるスキャンダルを、暴露しているのだ。
 たとえば、サウジアラビアの平均月収が1300ドルと伝えられているなかで、失業率は30パーセントに達している。そして貧困ライン以下で生活しているサウジアラビア人の割合は、22パーセントにも達しているというのだ。そうしたなかで、政府の要人たちの汚職は、目を見張るものがあるとも伝えている。
 この無名のツイッター氏をはじめ、今では多くのサウジアラビアのインテリたちが、衛生放送、インターネット、携帯電話などを通じて意見の発表や、情報を交換し合っているということだ。
 汚職では政府の公金が、どのように私的に使われているのか、王家のメンバーたちの散財振りなどが、明かされているということだ。この記事を見る限り、サウジアラビアの王家の将来は、危険なものだということになろう。
 もう一つの情報ソースである、イランのプレステレビは『アメリカはサウジアラビア分割を検討している』というタイトルだ。以前にもイランのプレステレビは、カタールの首相がサウジアラビアの国王や軍隊を非難し、体制打倒ができると語ったと伝えている。
 今回はアメリカが、サウジアラビアの体制がアメリカの意向通りに、行動しないことに業を煮やし、サウジアラビアの体制打倒を、考え始めているというものだ。そして、サウジアラビアの体制打倒は、現在のアブドッラー国王の死亡時が、最も可能であるとも指摘している。
 この情報をもたらしたイランのプレステレビは、情報源としてナヘール・ニューズ・エージェンシーの名を挙げている。
Posted by 佐々木 良昭 at 14:24 | この記事のURL
NIO・2244「第3次インテファーダをイスラエルが警戒」 [2012年02月28日(Tue)]
 インテファーダという言葉をお忘れの人がほとんどであろう。インテファーダは第一回が1987年の12月に発生し、第2回目は2000年9月に発生している。簡単に言えばパレスチナ問題が、完全にデッド・ロックにぶち当たり、なす術を失ったパレスチナ人たちが、石を武器にイスラエル軍と衝突するということだった。
 しかし、いずれのインテファーダも、しかるべき成果を生まずに、終わっている。そこには明確な方向性も目的もなかったのだから、無理の無いことであったろう。
最近になって、イスラエル軍や政府は、第3次インテファーダが起こるのではないかという懸念を、抱き始め警戒し始めている。状況は以前と同じであり、マハムード・アッバース議長によって行われてきた、イスラエルとパレスチナの交渉が、何の成果も生みだすことなく、今日に至っているからだ。
アラブ世界はいずこも『アラブの春革命』が大きく、各国を揺さぶっているというのに、パレスチナでは何の変化も生まれていないのだ。マハムード・アッバース議長による和平交渉は、何の成果も生まないだけではなく、同時進行でイスラエル側のヨルダン川西岸地区に対する、入植は着々と進んでいる。
こうしたなかでは、パレスチナ人の間で不満が増大していくのは、当然の帰結であろう。そのことは、パレスチナ内部でもアラブの春が吹き荒れる、可能性があるということだ。マハムード・アッバース議長に対する反乱の炎が、パレスチナ大衆のなかから生まれても、何ら不思議ではない。
そこでパレスチナ自治政府は、パレスチナ大衆の怒りをパレスチナ自治政府と、マハムード・アッバース議長に向けるのではなく、イスラエルに向かうよう、政治的インテファーダを起こすのではないか、という懸念が生まれている。
カタールの仲介でファタハとハマースが統一する方向に向かっているが、必ずしもしっくりいってはいないようだ。ハマースはこれまでの路線を捨てるつもりはなく、イスラエルに対する力による抵抗の姿勢を、崩していないのだ。
パレスチナ大衆の間には、イスラエルの拡張主義的な政策(ヨルダン川西岸地区への入植拡大)に対する反発もあるが、マハムード・アッバース議長に対する反発も強い。
パレスチナを各勢力を統一し、イスラエルに怒りを向けるという作戦は、場合によってはパレスチナ自治政府と、マハムード・アッバース議長に向かって、暴発するかもしれない。その選択肢はイスラエルも考えていよう。パレスチナ大衆の不満は、そこまで達しているのだ。
Posted by 佐々木 良昭 at 16:26 | この記事のURL
NO・2243「H・クリントン国務長官シリア反体制武器供与に反対」 [2012年02月27日(Mon)]
 アラブの親米国であるカタールやサウジアラビアは、シリアのアサド体制を打倒すべく、シリアの反体制派に武器を供与することを、真剣に検討している。アラブ諸国は総じて、アサド体制に見切りを付けているようだ。
 アメリカではマケイン議員が、強硬にシリアの反体制派に、武器を供与すべきだと主張している。そうしたなかで、このような動きに、冷水を浴びせるような発言が、ヒラリー・クリントン国務長官によって語られた。
 彼女に言わせれば『アルカーイダがシリアの反体制を支援すると言っている。我々はシリアのアルカーイダを、支援するというのだろうか。』ということのようだ。
 アメリカ政府はアルカーイダやハマースを、テロリスト集団の名簿に載せているわけであり、そのアルカーイダが支援すると語るシリアの反体制派は、同類だという論理であろう。
 しかし、それは少し飛躍のし過ぎではないのか。リビアの革命闘争の時は、アメリカがアルカーイダのメンバーだったベルハッジ氏を、リビアに連れ戻して、戦わせていたのではなかったのか。
 今回のヒラリー・クリントン国務長官の発言には、どうも裏がありそうな気がする。アメリカはシリアの反体制派に対して、現段階では正面切っては、支援しないということではないのか。そして、カタールやサウジアラビアが支援する分には、目をつむるということではないのか。
 リビア革命の当初、アメリカはイギリスとフランスに対し、戦闘には参加しない、できればNATOの名のもとに、リビアの反体制派を支援したほうがいい。』と言っていた。しかし、結果的には、カダフィ大佐の首をはねたのは、アメリカだった。
ヒラリー・クリントン国務長官の発言からすると、彼女が積極的にシリアの反体制派を支援しないのは、反体制派が未だに統一出来ていないということにもありそうだ。そして、シリアのアサド体制に敵対した場合、ロシア、中国、イランを敵に回すことになる、という懸念もあるようだ。
そうは言っても、ヒラリー・クリントン国務長官はシリアの反体制に対するシンパシーは、十分感じているようであり、その上で、彼女はシリアの国民がもっと積極的に、反体制運動に参加していくべきだ、と考えているようだ。そうなった段階では、いかなる支援も惜しまない、ということではないのか。
Posted by 佐々木 良昭 at 14:29 | この記事のURL
[トルコに関する本を出版しました」 [2012年02月27日(Mon)]
昨年は『革命と独裁のアラブ』をダイヤモンド社から出版し、好評いただいております。ありがとうございます。

今年はますます重要になるトルコをテーマに『これから50年、世界はトルコを中心に回る』をプレジデント社から2月15日に出版しました。

トルコはアメリカやヨーロッパが不況下にあるにもかかわらず、8パーセント台の成長率を維持しています。その秘密は周辺諸国との友好的な関係を構築していることと、ギュル大統領、エルドアン首相、ダウトール外相の努力のたまものだと思われます。

日本が中東諸国、中央アジア諸国、ヨーロッパ諸国、アフリカ諸国とのビジネスを展開していく上で、トルコは最も信頼すべきパートナーだと思います。『トルコ大躍進7つの理由』を説明し、日本のビジネスマンの皆さんのお役に立てたいと思います。ご一読ください。
出版後幾つかの変化がありました。
あるテレビ局がこの本をベースに特別番組を作ることが決まりました。3月中の取材、4月初旬の放映のようです。
経団連がトルコとの経済関係促進のために委員会を結成し、政府に『日本トルコ経済連携協定』を働きかけるようです。そのための会議が4月9日に開催されることが決まっています。

Posted by 佐々木 良昭 at 11:21 | この記事のURL
NO・2242「シリア反政府派外国から武器供与・戦闘は本格化へ」 [2012年02月26日(Sun)]

 シリアの反政府派による抵抗運動は、ほぼ1年続いているが、いまだに決着が付いていない。チュニジアやエジプト、そしてリビアの例を考えた場合、どうも不思議な気がするのは、当然ことであろう。
 しかし、長期に及んでいまだに、決着が付いていない反政府運動が、まだ二つある。一つはバハレーンであり、もう一つはサウジアラビアのアルカテイーフ地区の、シーア派住民による反政府運動だ。
 これら二つに共通することは、外国の関与が弱いか、ほとんど無いということであろう。したがって、反政府派には武器が渡っていない、ということであろう。
 加えて、テレビ報道の度合いが少ないということも、挙げられるのではないか。チュニジア、エジプト、リビアの場合は、大々的に報じられており、世界中の人たちが現地で起こっていることに、十分関心を払うだけの材料が、提供されていたのだ。
 それでは、シリアの場合はどうであろうか。最近になって、シリアの反政府運動は過剰なまでに、報道されるようになっている。その報道内容が何処まで正確であるのかはさておき、これだけ連日大量の映像を流されると、誰もがシリアのアサド大統領は独裁者だ、というイメージを抱くだろう。
 このイメージが出来上がると、国際的な合意が得られようが得られまいが、武器を供与したいと思う国が、行動を起こしても誰も非難すまい。先のチュニスで開かれた、シリア反体制を支援する国際会議では、具体的な介入支援に付いては、合意できなかったようだが、武器の供与をやりやすい環境は、出来上がったということではないのか。
サウジアラビアやカタールはこれまでも、少量の武器や資金を提供していたのであろうが、ここに来てシリアの反政府派に、資金と武器を本格的に送ることが容易になろう。
シリアの反政府派に渡る武器はトルコ、レバノン、ヨルダン、イラクが陸伝いであることから考えられるが、レバノンやイラクについては、断片的な武器の流れの情報が伝わってきていた。トルコもそうであろうが、いままでのところ、トルコはそれを認めていない。
これからは、これらシリアに隣接する国々から、本格的にシリアの反政府派に武器が贈られることになろう(通過を黙認することも含めて)。そうなると、シリア国内の反政府派と政府軍との戦闘は、激化することが予想される。
つまり、シリア国民の間に犠牲が出るのはこれからであって、いままでの5000人、あるいは7000人といわれている犠牲は、数のうちに入らなくなるかもしれない。
それでは、それだけの犠牲をシリア国民に支払わせて、一体何が得られるのか、ということになろう。つまり、一定の成果が期待できるからこそ、行動が起こるのだから、そこには然るべき理由が、あるだろうということだ。
単純に考えて、シリアは石油ガスの通過地点として、極めて便利だということだ。イラクはもちろんのこと、湾岸諸国やイランのガス石油が、シリアを通過できれば、地中海から欧米市場に直結できるのだ。
もう一つは、シリアにも石油ガス資源があるということだ。最近では、イスラエルとレバノン沖の、海底ガス資源が話題に上り、探査から採掘の段階に向かっている。トルコとキプロス島の間でも、同様にガス資源が埋蔵されていることが分かっている。
シリアの場合、海底石油ガス資源の存在は、確認されているが、イラク国境のガス石油資源についても、同様に期待できるのではないか。そして、イラクとの国境地帯には、ウラン鉱が埋蔵されている、可能性も高いようだ。
最後には、イスラエルの安全保障問題を、挙げることができよう。これまでイスラエルに対し、敵対的立場を堅持し、アラブ民族主義の旗頭を自認してきた、アサド体制が打倒されれば、イスラエルはシリアの軍事的脅威を、感じなくて済むようになるのではないか。
シリアは決して貧しい国でも、無価値な国ではないのだ。だからこそ、各国が介入を目論んでいるのであろう。したがって、シリア内戦はこれから、本格的な段階に入っていこう。そして、それは多くのシリア国民が、犠牲になるということでもある。
Posted by 佐々木 良昭 at 22:17 | この記事のURL
「笹川会長の本を推薦する・大人の微笑と爆笑」 [2012年02月26日(Sun)]
 最近声を出して笑う人が、めっきり少なくなっているように思えてならない。時折聞こえる笑い声は、上司の言った下手なジョークに付き合って、笑ったものであり、余り健康的でない雰囲気が伝わってくる。
 日本にはたくさんの笑いを表現する、言葉があると思うのだが、それすらも消えうせ、誰もがお通夜にでも行くような感じで、うつむき加減で出勤し、仕事場でも暗い表情を崩さない。それを神妙というのか、はたまた真面目というのか。
 その点、笹川陽平会長(日本財団)は人をリラックスさせる、特殊な能力をお持ちのようだ。私は仕事の関係で、週に何度かお会いするが、決まって冗談が飛び出す。私も会長の冗談に負けていられないとばかりに、双方からの冗談の応酬が始まる。
 その日は決まって仕事の調子がいいし、感が働く。笑うということは、脳により多くの血液を送り出してくれる、作用があるからなのかもしれない。
 ただ大人の冗談は、ややもすれば卑猥になる。私の冗談はすれすれのところに、何時も納まってるようだと自認しているが、周囲の若い女性からすれば『親父ギャグ』『セクハラ発言』なのかもしれない。それを許してくれるのは、周囲の『女性たちの品格』と『心のおおらかさ』であろう。
 先週の金曜日に『一寸来てくれませんか』という電話があり、7階の執務室まで上がって行くと、会長が最近出した『紳士の品格』という本を、あげるよといって差し出された。PHP 社から出したものだが、読んでみると実に面白い。
 本は人柄を表すもう一つの名刺、とよく言われるが、まさにそのとおりだ。会長は自分の周りで起こっている、あらゆる出来事を書き連ねている。それは家庭内の話から職場の仕事がらみ、スタッフとのやり取りから、外部の方々との話のなかで、生まれてきたものであり、何処にも障子を立てていない。
 そうした一つ一つのエピソードが笑えるのだから、会長の人柄がそうなのであろう。回りをリラックスさせ、自分も人との接触を楽しんで、仕事をしているということだ。
 もちろん、さりげない表現ではあるが、会長の博識ぶりも感じられる。その博識の範囲は、高度なものから、極めて庶民的なものまで、含まれているところにおかし味がある。それは多分に会長の照れによるものではなかろうか、と思われる。
 電車の中でこの本を読んだら、きっと読者は誰もがクスッと笑うだろう。フンフンと感心して、うなずく部分もあるだろう。奥様とのやり取りでは『世の男は皆同じだ』という同胞感を抱くだろう。上品な笑い話、楽しい会話をしたいと思う人に、うってつけの参考書であろう。同時に外国勤務の部下への、一番喜ばれるお土産になると思われる。外国勤務の人たちは、日本の国内、なかでも『高貴な人たちの日常』を知ることに飢えているのだから。
Posted by 佐々木 良昭 at 11:18 | この記事のURL
NO・2241「世論調査結果という不可思議な事実」 [2012年02月25日(Sat)]

 イギリスのBBC放送局のブログが、シリアのアサド体制について行われた世論調査の結果に、疑問を呈している。簡単に言えば、『少ない人たちの意見を基にして、アサド体制が支持されている、という結論を導き出すのは間違いだ。』ということだ。
 それはそうであろう。ここで取り上げられている世論調査は約1000人の人たちの答えに基づくものだった。一般的には1000人の世論調査参加は、一定の状況を判断するに際しての、最低限の受け入れ可能な数字だ、ということのようだ。
 しかし、そればかりではなかろう。例えばその世論調査が、シリア国内に居住する人たちに対して行われたのであれば、アサド支持派の人たちが、絶対的に多くなろう。
 シリア国内でパソコンを持ち、インターネットにアクセスできる人たちは、一定以上の生活レベルを維持している人たちであり、同時に高等教育を受けた人たち、ということになるのではないか。
 その場合、そうした恵まれた人たちの多くは、体制側の人たちと考えるのが常識であろう。従って、そこから出てくる結論は、アサド体制支持ということになろう。
 もし、シリア以外にいるシリア人を対象にして行えば、結果は述べるまでも無く、反アサドということになろう。外国に在住している人たちの多くは、アサド体制を嫌って、シリアから出た人たちがほとんどであり、今回の戦闘から逃れるために、難民として周辺諸国に、出ている人たちだからだ。
 それでは、そうした偏った結果を出さないために、外国居住者と国内居住者を半々にして、世論調査を行うことが可能だろうか。その場合、出てくる結論は正解に近いものであろうか、いささか疑問だ。
 世論調査の結果は、世界的に一つの状況に対する、判断を下す場合の目安、として利用されているが、実は世論調査が、特定の意向を持った人たちによって行われた場合、多分に政治的意図のために、利用されるということになるのではないか。
 マスコミの報道もしかりだ、『イランは核兵器開発に向かっている。』と声高に報道が繰り返されれば、世界の人たちは『イランは危険な国家。』という結論に到るようになる。
 『狂犬カダフィ』『独裁者ムバーラク』『血塗られた手の男アサド』いずれもマスコミが煽っている部分が、大きいのではないのか。情報を受ける側の人たちは、報道のなかから事実を拾い上げる、努力が必要であろう。それ無しには、マスコミや特定の国家の意向に、何時の間にか盲目的に追従する、『無知な暴力の主体』になってしまう危険性がある。
もう一つ大事なことは、『常識』を元にした判断を心がけることであろう。日本人は幸いにして、平均的に高いレベルの教育を受けていることから、『日本人の常識』は他の国に比べて、より正解に近いのではないか。
Posted by 佐々木 良昭 at 14:11 | この記事のURL
NO・2240「ロシアはシリアを何処まで擁護できるか」 [2012年02月25日(Sat)]

 シリアに対する世界の風当たりは、日増しに強くなってきている。5000人とも7000人とも言われる、犠牲者が出ているだけに、シリアのアサド政権を支持することを、大声で叫ぶのは困難な雰囲気が、世界中を包み込んでいるのだ。
 そうしたなかで、これまで本部をシリアのダマスカスに置いていた、パレスチナのハマースが、遂にシリア離れを明確にした。パレスチナのガザでは、アサド体制に対する、大規模な抗議デモが行われ、ガザの住民はシリアの反体制派を、支持することを明らかにした。
 今回のハマースのシリア離れは、そうした流れのなかで起こったものだった。もちろん、それに先駆けて、ハマースとファタハの和解が生まれ、その後、ハマースのミシャアル氏がヨルダンを訪問し、シリアのダマスカスに代わる本部の事務所を、暗にヨルダンのアンマンに開設する意向を示した。
 このハマースの路線変更の裏には、カタールの強い働きかけがあったが、その裏には、アメリカの意向が存在したのであろう。カタールがハマースを説得できたのは、金銭的援助であったろう。膨大なガス輸出によって得られる収入が、ハマースに対して説得力を持ったのであろう。もちろんそのことに加え、権力側の弾圧に対して抵抗を続ける、シリア国民を無視するわけには、いかなかったのでもあろう。
 チュニジアではシリアの反体制を支持する、国際会議が開催され、アメリカからはヒラリー・クリントン女史が、この会議に乗り込んでいる。会議場の外では、小規模な反対デモがあったようだが、そのことは会議の流れを、変えるには到らなかった。
 さて、そうした世界の流れに反して、ロシアはいまだに、シリアのアサド体制支持の立場を堅持している。それは、シリアとの良好な関係無しには、ロシアの中東地域での活動が、大幅に制約されるからに他ならない。ロシアにしてみれば、同国の海軍が地中海地域で自由に活動する上で、唯一利用可能な軍港が、シリアのタルトース港なのだ。
 もし、このタルトース港を利用できなくなるとすれば、ロシアは地中海地域を始めとする、中東地域での軍事作戦を、大幅に変更させられ、かつ縮小させられることになろう。もう一つの友好国であったリビアも、現在では欧米の支配下に置かれており、ロシア海軍がリビアの港を使うことは、不可能になっている。
 そうした事情から、ロシアはシリアのアサド政権を、支持する姿勢を堅持しているが、これから先もそうなのであろうか。これだけ多くの犠牲者を出したシリア内乱は、結局のところアサド憎し、アサドは許せない、という感情を世界的に燃え上がらせ、カダフィの最後のような結末に、到るのではないか。
 ロシアの外交方針は義理と人情で、決められているわけではない。あくまでも自国の利益を最優先して、種々の決定が下されているものと思われる。そうであるとすれば、近い将来、ロシアも他の国々と同じように、アサド体制に背を向ける時が来るのではないか。
 ロシアはそのことによって、アサド体制崩壊後のタルトース港の利用権を、維持しようとするのではないのか。つまり、シリアに対するロシアの対応の変化が、近い将来、アメリカとの取引材料に、なるのではないかということだ。アメリカもロシアもシリアのために、戦争をする気は毛頭無かろう。
Posted by 佐々木 良昭 at 13:32 | この記事のURL
NO・2239「ムバーラク判決近付く・エジプトマスコミの意見」 [2012年02月24日(Fri)]
 エジプトのムバーラク前大統領に対する判決が、6月2日に下されることになったが、判決が下る前に、エジプトの各マスコミが自説を述べている。そのことは、大衆の意向によるだろうし、大衆はマスコミの影響を、受けることになろう。
 したがって、ムバーラク前大統領に対する判決は、多分にマスコミや大衆の意向を、反映したものになり、罪を罰するというのではなく、憎しみを持って罰することになるのではないか。それは法の公正という立場から考えた場合、極めて問題のあることであろう。
 エジプトのマスコミは、それだけの重責を担っているのだが、現段階で、裁判の判決をどうしたいのであろうか。あるいはエジプト国民は、どのような判決を望んでいるのであろうか。

:アルアハラーム紙(政府所有)
―ハビーブ・アドリー前内相はハマースやヘズブラの関与を力説している。(発砲事件の多くは、彼らによるものだとする、ムバーラク前大統領やハビーブ・アドリー前内相に対する擁護。)

:アッドストール(民間企業の発行)
―ハビーブ・アドリー前内相と彼の部下アハマド・ラムジーは処刑されるべき。

:アルワフドワフド党所属反体制)
―ムバーラクは絞首台に向かう。

:アッシュルーク(個人所有)
―ムバーラク判決はショックを起こす。

:マスリ・アルヤウム(民間紙)
―ムバーラクは巧妙だ、処刑されれば支持派が狂気し、処刑されなければ大衆が騒ごう。彼は1か月前に撃たれて死ぬべきだった。

:アッタハリール(民間紙)
―ムバーラクは国民の流血を望んでいなかったと語っている。

:アル・ジュムフーリーヤ(政府系紙)
―ムバーラクの現実の姿があらわになった。

:ロウズルユーセフ(政府系誌)
―裁判所でベッドに横たわるムバーラクは、オスカーを受賞するにふさわしい最高の役者。

 これらの論評をどう理解するかは、読者個々人にお任せしよう。一言言えるのは、ムバーラク大統領に対して、あまり擁護の声は大きくないということだ。
Posted by 佐々木 良昭 at 14:29 | この記事のURL
NO・2238「6月2日・ムバーラク裁判の判決が下るが」 [2012年02月23日(Thu)]
 昨年起こったエジプトの革命は、900人弱(850人)の犠牲者を生んだ。そのため、ムバーラク前大統領は殺人者として、裁判にかけられている。もちろん、当時のハビーブ・アドリー内務大臣や、ムバーラク前大統領の二人の息子も、同列に並べられている。
 これは取りようによっては、復讐裁判ということになるのではないか。大衆の怒号の前に、そうした冷静な意見は、なかなかエジプト社会では、出て来難いようだ。
 昨年、エジプトへ行き、友人と話しているなかで、今回のエジプト革命の実態の一部を、耳にすることができた。友人が語っていたのは、次のような点だった。
1:犠牲者の多くは各地の警察署を襲撃したおりに、発砲されて死亡した。
2:アメリカ大使館からカイロの中心部にある、カイロ・アメリカ大学に武器が運び込まれ、その武器でデモ隊に向けて発砲した者がいた。
 真偽のほどはわからないが、彼の友人は警察の幹部であり、でたらめとは思えない部分がある、と聞き留めていた。
 6月2日にムバーラク裁判の判決が出るが、それを前に、これらの点が表面に出始めている。
1:外国人がデモ隊に向かって発砲した。
2:カイロ・アメリカ大学の警備員がデモ隊に向かって発砲した。
3:ハマースやヘズブラのメンバーが、刑務所を襲撃をしたときに発砲した。
 ムバーラク大統領は政治のベテランであり、軽々にデモ隊に対して、発砲を許可するようなことは、なかったと思われる。したがって、警察がデモ隊に発砲したとすれば、それは彼らが危険な状態に陥ったからであり、ムバーラク大統領の命令によるものでは、なかったのではないか。
 以前に、内務大臣が警察に対して、発砲を許可したか否かということが、取りざたされ、彼に対する死刑判決を要求する声が上がった時、もし、内務大臣が発砲を命令したのであれば、ムバーラク大統領はこのことでは、無罪だという意見があった。
 最近になって、ムバーラク大統領に似せた人形を、絞首刑にいている写真が報じられているが、決して品のいいものではないし、こうした行動は冷静な判断によるものとも思えない。
 ここで挙げたようなことが理由で、もし、ムバーラク前大統領が無罪、あるいは軽い罪に処せられるようなことになれば、エジプトの大衆やムスリム同胞団のメンバーは、大反対の抗議集会を開こう。
そこにはひとかけらの冷静さもない。魔女狩り裁判のようなものではないか。そこにあるのは大衆の感情の爆発だけだ。大衆の激昂の流れというものは、実に怖いものだ。
Posted by 佐々木 良昭 at 13:33 | この記事のURL
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