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NO・2121「サイフルイスラームは逃亡かICC行きか」 [2011年10月31日(Mon)]
 カダフィ大佐の二男、サイフルイスラーム氏が未だに、行方不明となっている。時折連絡がつくが、衛星電話では居場所がわかってしまうということで、複雑な経路を経て、外部との連絡を取っているようだ。
 この問題に詳しい人たちの話によれば、彼はニジェールとアルジェリア、リビアの国境が接するの山岳地帯に、いるのではないかということだ。この地域はリビア政府の力が及んでいない、トワレグ族の支配地域であり、トワレグ族はカダフィ大佐支持だったからだということだ。
 問題はこのリビア国内と思われる、山岳地帯か、ニジェールに入り、そこからどこに行くのかということだ。ニジェール北部は中央政府とは、別の立場をとっており、カダフィ大佐支持者が多かったことから、サイフルイスラーム氏が匿ってもらえる可能性はあろう。
 もしここに永久に留まればそれは、それで可能であろうし、リビアに近いことから、将来、サイフルイスラーム氏が反撃を開始するには、いい場所だということになろう。
 ただそうなると、ICCに加盟しているニジェール政府は、苦しい立場に立たされることになる。サイフルイスラーム氏を捕まえて、ICCに引き渡さないことには、国家としてのメンツが立たなくなるからだ。
 それではサイフルイスラーム氏が、ニジェールに短期滞在し、自らICCに身柄を拘束させるのかというと、それも不明だ。彼自身は自分が無罪であると主張しているが、カダフィ大佐を守るために、アフリカ諸国から傭兵を集めたのは彼であり、資金を出したのも彼だと言われている。
そうなると戦争犯罪の罪は免れまい。サイフルイスラーム氏がICC,に身柄を拘束されることを選択するとすれば、それはリビアでの死刑から免れるという、メリットだけということになる。
 それではICCに加盟していない国に、亡命する可能性はあるのか。アフリカ諸国の中で彼を受け入れる、可能性のある国としてはジンバブエがある。それはムガベ大統領とカダフィ大佐の関係が、極めて良好だったからだ。しかも、ジンバブエはICCには、加盟していない国のようだ。
 問題はサイフルイスラーム氏が、どうやってジンバブエにたどり着くかということであろう。ニジェールから航空機を使って、ジンバブエまで飛ぶ場合、ICCはすでにその飛行機を、拘束すると語っている。サイフルイスラーム氏にはすでに、パスポートの偽物が作られているが、一般の旅客機に乗るというのだろうか。
 ニジェールから飛行機をチャーターしても、一般の旅客機に乗ったとしても、ジンバブエまでは相当の距離がある。それは危険の目安でもある。
Posted by 佐々木 良昭 at 15:17 | この記事のURL
NO・2120 「トルコの強運・災いも福に」 [2011年10月30日(Sun)]

           トルコ北東部のワン県周辺で、大地震が起こったことが、関係者の間でいろいろな不安を抱かせている。日本人でトルコに関心を寄せている人たちから、トルコはどうなるのかという質問を受けた。
 私はその質問に対して、これはトルコ政府に『幸いな結果をもたらすかもしれない。』と答えている。なぜならば、ワン県周辺はクルド人が、多数居住している地域だからだ。
 このクルド人が中心で起こった災難に対し、トルコ政府が誠心誠意の支援活動を行えば、結果的にクルド人とトルコ人との和解が、進むことになると考えたからだ。
 意地悪ない方が許されるならば、トルコ政府はこれ幸いと、支援活動に力を入れるであろう。トルコ政府は地震や他の災害が、トルコ人地域で起ころうがクルド人地域で起ころうが、支援活動に差をつけるつもりはないということを、現実に行動で示すということだ。
 そのトルコ政府の努力が実り、多くのトルコ人がクルド地域の地震災害に支援を送れば、両者の間には和解のムードが広がっていこう。実際にトルコではいま、テレビ特別番組を通じて募金活動を行い、放送局には莫大な寄付が、寄せられたと報じている。
 こうなると面白くないのはPKKであろう。彼らはトルコとクルドとの隔離工作を続けてきていたが、状況がそれとは反対の方向に、動きだしているからだ。
 私の予測で外れたのは、こうしたなかでのPKK側からの、トルコ軍やトルコの施設に対するテロ攻撃は、一時的に止まるだろうという点についてだ。そんなことをすれば、益々PKKは大衆の支持を、失うことになるからだ。
 しかし、現実にはトルコの南東部の町、ビンニョルのAKP事務所のそばで、爆弾テロが起こっている。何とかAKPのイメージを悪くしたい.AKPを激怒させ、PKKとクルド人に対する憎しみを、煽ろうと思ったのかもしれない。
 しかし、もし今回のビンニョル市で起こった爆弾テロが、PKKによるものであるとすれば、実に稚拙な判断ではないか。
 イラン政府はPKKの姉妹組織であるPJAKについて、問題はほぼ解決したと宣言している。徹底的な攻撃の後のことだ。トルコも災害復旧がある程度進んだ段階で、徹底的なPKK掃討作戦を、始めるのではないか。
 その時、トルコ国内のクルド人がどれだけ、PKKを支持するというのだろうか。しかも、シリアから流入したクルド難民に対しても、トルコ政府は手厚い保護を与えているのだ。
Posted by 佐々木 良昭 at 20:35 | この記事のURL
NO・2119「サイフルイスラーム氏への対応が他の元首を安心させる」 [2011年10月29日(Sat)]
 リビアのカダフィ大佐の次男サイフルイスラーム氏が、この段階に入りICC(国際刑事裁判所)に身柄を拘束されることを望んでいるようだ。彼がリビアでNTCに逮捕されたのでは、ほぼ確実に殺されることが分かっているからであろう。もちろん友好国に逃亡するという選択肢も残されているが。
 彼の父親であるカダフィ大佐は逃亡中に見つかり、負傷した後で殴られ蹴られ、引きずりまわされ、最後はNTC側の若い兵士に撃たれて死亡している。そのときのカダフィ大佐に対する取り扱いが、むごいものであったことがインターネットやテレビを通じて流されたために、世界中の人々によって知られるところとなった。
 これを見たのではサイフルイスラーム氏も、ICCに身柄を拘束される方がいいと思って当然であろう。彼は何とかICCとの連絡がつき、いま拘束前の条件闘争に、入っているのではないか。
 カダフィ大佐に対するNTCの扱いがひどすぎたため、シリアのバッシャール・アサド大統領やイエメンのアリー・サーレハ大統領、そしてバハレーンの国王は反政府側と妥協することを、ためらって当然であろう。
 それ以外のアラブの国家元首たちも、明日はわが身にと思っているのではないか。そうなると、徹底的に反政府側を叩き潰してしまわなければ、自分がひどいことになると思い、政府側の反政府側に対する弾圧は、激しさを増していくものと思われる。
 そこでそうした悲惨な状態を生み出さないために、サイフルイスラーム氏に対する対応を、ICCは緩和すべきではないのか。つまり、あまり酷い判決を下さないということだ。
 そうすれば、ある意味ではアラブの国家元首たちが、安心してICCに判断を委ねることが出来るようになるからだ。
 そもそも、サイフルイスラーム氏はカダフィ大佐の無茶なやり方に対し、再三反論し改めるよう説得していた人物だ。サイフルイスラーム氏のこれまでそうした人道的な功績を、認めてもいいのではないかと思う。
 世界中にはリビアだけではなく、あらゆるところに独裁者が存在し、あるいは独裁者ではないのに、そう呼ばれてしまう不幸な人物もいよう。そうした人たちにも救済の余地を、残しておくべきではないのか。
 今回のカダフィ大佐殺害の映像を見ていると、どれだけ人間が狂気になってしまうかということが分かろう。その狂気の魂は独裁者の側にも、独裁者を非難する側にも内在するのだから。
Posted by 佐々木 良昭 at 23:13 | この記事のURL
NO・2118「M・アッバース議長は辞任するのか」 [2011年10月28日(Fri)]
 パレスチナ自治政府のマハムード・アッバース議長が、国連にパレスチナを国家として承認するよう要請したことで、逆に彼のパレスチナ内部での評判が、下がっているようだ。
 このことについては要請が出される前から、多くの意見が出ていた。『アメリカの拒否権が使われることは明白であり、どうせ通過しないのだから無意味だ。』とする意見や『パレスチナ国家の承認を認めてもらおうとすれば、アメリカの逆鱗に触れて、経済援助が受けられなくなる。』という、現実的な意見もあった。
 加えて『これは何の成果も生まなかったマハムード・アッバース議長が辞任を前に、何らかの成果を残したいからだ。』という痛烈な批判を、交えたものもあった。 
 そうした社会の雰囲気に加え、先に行われたシャリット氏とパレスチナ人収監者との交換が、ハマースによって成功し、極めて有利な交換が成立したこともあり、マハムード・アッバース議長に対する評価も、相当悪化している。
 そんな中で、マハムード・アッバース議長の口にした一言が『マハムード・アッバース議長辞任か?』という噂を呼んでいる。その噂は間もなくパレスチナ自治政府によって否定されてはいるが、今後も繰り返される可能性があろう。
 そこまでマハムード・アッバース議長の人気は下がっているということだ。そうなると、彼に絡んだ金がらみのスキャンダルが出てきて、次いで後継は誰かということが、噂の中心になろう。
 パレスチナ自治政府は『アラブの春はパレスチナ人が、イスラエルに対して起こす。』と言ってきたがそうではなくて『パレスチナのアラブの春はパレスチナ自治政府や、マハムード・アッバース議長に対して始まる。』ということではないのか。
 アラブ世界の昨今は何があっても不思議はない。それだけに目が離せない状況に入っているということであろう。
Posted by 佐々木 良昭 at 17:04 | この記事のURL
N0・2117「H・クリントン国務長官イラン国内混乱を語る」 [2011年10月27日(Thu)]
 アメリカでサウジアラビア大使の暗殺計画が暴露されて以来、アメリカとイランとの間には、新たな緊張関係が生まれているようだ。当然のことながら、これはアメリカをしてイランとの間で、直接の交渉を必要としている。
 しかし、アメリカがイラン側と連絡を取ろうとしても、どうもスムーズにはいっていないようだ。このためヒラリー・クリントン国務長官は、イランの権力内部で、何らかの問題が発生している、と推測し始めている。
 彼女の推測では、権力内部で問題が発生しているために、たとえばサウジアラビア大使暗殺のようなことが、誰の命令で行われているのか、確認のしようがないということだ。
 彼女の表現では、軍部が再度力を持ち始めてきているのではないか、ということになるが、その軍部とはどの軍部なのか、彼女の発言からは不明だ。イランにはいわゆる国軍といわれる、イラン軍が存在する以外に、革命防衛隊という軍隊が存在している。
 現段階で表面的には、革命防衛隊はハメネイ師に帰属しているとされているが、革命防衛隊の予算はアハマド・ネジャド大統領の判断で決まろうから、彼もまた応分の影響力を持っている、と考えるべきではないか。
 つい最近、イランからは巨額の資金汚職のニュースが流れてきて、それがアハマド・ネジャド大統領と間接的ではあれ、関係があったとされていた。最近になって、このことを調べるべくイランの国会議員が、アハマド・ネジャド大統領査問会議を、開催することを要求した。
 しかし、途中でハメネイ師が内部分裂すべきではない、という内容の発言をしたところ、当初100人いた査問会議開催要求者が、69人に減り開催に最低必要な71人に満たなかったために、取り止めになっている。
 しかし、この事実はアハマド・ネジャド大統領をして、震撼させたことであろう。この結果、ハメネイ師はアハマド・ネジャド大統領に、貸しを作ったことになり、ハメネイ師の影響力がイラン政治の中で、増すことは予測できる。
 ただ、ヒラリー・クリントン国務長官が口にした、イラン軍部という表現が革命防衛隊ではなく、イラン国軍である場合は、話は全く変わってこよう。一国の中に二つ以上の軍隊を有するということは、外部から観察する場合、極めて困難なものにさせられる。
 現段階では、それが革命防衛隊であるか、あるいはイラン軍であるのかは別にして、いずれもハメネイ師あるいはアハマド・ネジャド大統領の、指揮によって動いている、と考えるのが妥当ではないか。そのこととは別に、イラン国内で混乱が、始まったことは事実であろう。
Posted by 佐々木 良昭 at 15:50 | この記事のURL
NO・2116 「イスラエルから出てきたM・アッバースに関する意見」 [2011年10月26日(Wed)]
 今日エルサレム・ポストを見ていたら、面白い記事が掲載されていた。いずれもイスラエルの要人が、パレスチナ自治政府のマハムード・アッバース議長に関して語っていたものだ。それが興味深かったので、ご紹介することにした。
 一つはペレズ議員(大統領のシモン・ペレス氏ではない)が語っていたものだ。彼はマルワーン・バルグーテイ氏のような人物を釈放することが、今後のパレスチナ・イスラエル関係を進展させていく上で、有効だというものだ。
 これはイスラエルとパレスチナとの間で、今後550人の釈放が約束されていることに関して出てきた発言だが、そのなかには、マルワーン・バルグーテイ氏のような人が入っていると、マハムード・アッバース議長の和平に向けた活動を、助けることになるだろうというものだった。
ペレズ議員はマハムード・アッバース議長のことを批判するのではなく、外交的能力があり代表者にふさわしい人物と、持ち上げながら、しかし、巷で人気のある人物の釈放が、有効だというのだ。つまりマハムード・アッバース議長の能力が限界に達している、と間接的に言っているのだ。
もう一人の発言は、そんなソフトなものではなく直接的に、マハムード・アッバース議長の能力を否定したものだ。それはリーベルマン外相の発言だ。同外相は『マハムード・アッバース議長はもう辞任すべきだ。』と語り、『彼が辞任して後継となる人物は誰でも、マハムード・アッバース議長よりもましだ。』というのだ。
そればかりか、リーベルマン外相はマハムード・アッバース議長が現在の地位に留まれば、殺害されることもありうる、と言いってさえいるのだ。
さすがにリーベルマン外相の発言は、パレスチナ側を刺激したようで、パレスチナの社会担当大臣フセイン・アッシェイフ氏が噛み付いている。彼はリーベルマン外相の発言を、和平交渉をする相手に対してふさわしくなく、失礼を詫びるべきだと語っている。
加えて、フセイン・アッシェイフ社会問題担当大臣は、そのような不穏当な発言は強硬派の人たちグリーン・ライトを与えることであり、行動に移させる危険性があるのもだ、と非難している。
こうした発言が出てくる裏には、今回の1対1027の人質交換が、イスラエル国内で議論を巻き起こしたことに、影響されているのではないか。この人質交換では、賛否両論が出ていた。
加えて、この有利な交渉を成功させたハマースの人気が、マハムード・アッバース議長の人気に、陰りをもたらしたからであろう。
Posted by 佐々木 良昭 at 23:21 | この記事のURL
『トルコ地震支援のお願い』 [2011年10月25日(Tue)]
                『トルコ地震支援のお願い』
 トルコの東部VAN市の近くで大型地震が発生したことは、皆様も存じのここと思います。トルコの皆さんは3月に東北で起こった地震と津波に際し、迅速な支援を送ってくださいました。
 今回はこれの返礼ということもあり、ぜひトルコの被災者に対するご支援を、お願いしたいと思います。
 トルコ東部はすでに初雪が降る寒さですがその中で被災した人たちは耐えしのいでいます。日本政府からの支援はすでに始まっていますが民間、個人の方々からのご支援も会わせていただければ幸いです。
 支援の受け入れ窓口は在京トルコ人が組織する日本トルコ文化交流会です、その連絡先と振込口座をお知らせします。
日本トルコ文化交流会 (NITTOKAI)
新宿区西新宿1−19−8
新東京ビル8F
電話:03-5909-4025
<募金のお振り込み先>
銀行:みずほ銀行 新宿南口支店
口座:普通口座1924939
名義:特定非営利活動法人日本トルコ文化交流会
Posted by 佐々木 良昭 at 16:05 | この記事のURL
NO2115「最近の中東は話題の宝庫」 [2011年10月25日(Tue)]
 中東情勢を追っていると、毎日書くテーマに事欠かない。それよりも書けずに、そのテーマを書くタイミングを逃している場合が多い。あれも書きたかったなあ、とその後で思うことがよくあるのだ。
 そこで今回は、いま書きたいテーマの概略を、まとめて書くことにした。

:北アフリカのアラブ諸国には、ユダヤ人が正式に社会参画をしていくのか。
 リビアで革命が達成されるとNTC(新政府)の幹部は口をそろえて、元リビア在住のユダヤ人の政治参加と、社会復帰を呼びかけている。同じように、チュニジアでもマイノリテイの代表として、ユダヤ人が別枠の国会議員参画が、成立しそうな雰囲気だ。
 エジプトの場合はどうかわからないが、それでも同じような流れが、生まれてくる可能性はあるだろう。また、モロッコはユダヤ人が以前から、社会的な地位を占めてきているが、それがもっと大きくなっていく、可能性があろう。

:アラブの春とイスラム化の関係。
 アラブの大衆が現状に不満を感じて起こした、アラブの春革命は次第にイスラム色を強くしている。革命後にはじめて自由な選挙が行われたチュニジアでは、イスラム穏健派(?)のナハダ党が第一党にほぼなりそうだ。
 エジプトでもムスリム同胞団が勢いを増しているし、シリアでもムスリム同胞団が、大きな力を示しつつある。ヨルダンでもムスリム同胞団の存在は、否定できない社会の政治運動の、中核となっている。
 リビアではNTC(新政府)の代表者、ムスタファアブドッジャリール氏が、イスラム法を基本とすると宣言した。こうした一連のイスラム復興の動きは、今後どうなっていくのであろうか。
 多分に考えられるのは、革命の先駆者である世俗的な若者たちが、世俗的な政治を求めることから、国内対立が生まれてくるのではないか。その場合、世俗主義者たちは、何を理闘争論の根拠とするか、ということだ。イスラム主義者たちはイスラムを根拠とするが、世俗主義者たちにはそれがないからだ。

:サウジアラビアの次期皇太子は同国王制の寿命を縮めるか。
 サウジアラビアのスルタン皇太子が死去し、後継者としてはナーイフ殿下の就任がほぼ確実なようだ。彼はサウジアラビアの内相であり、これまで何度か起こった国内不安を、力によって抑え込んできた。
 今後皇太子に就任した後、サウジアラビアで不安定な状況が起こった時、彼はより強硬な対応をするのではないか。彼の子息ムハンマド氏も、父親似の強硬派だという噂がもっぱらだ。
 そうなると妥協の余地がなくなり、民主化を求める国民との間で、正面衝突が起こる可能性が、高くなるということだ。
 いまアラブ諸国は押し並べて、大きな変化の始まりの時を、迎えているのであろう。それだけに、少しの変化でも見逃すわけにはいかない。それが日本の今後に、直結していることは述べるまでもなかろう。
Posted by 佐々木 良昭 at 15:13 | この記事のURL
NO・2114「選挙結果とナハダ党の躍進でチュニジアはどう変わる」 [2011年10月24日(Mon)]
 チュニジアで10月23日、統一地方選挙が実施された。結果は、今日10月24日中には出るはずだが、ナハダ党が第一党になる、という予測がもっぱらだ。それは世論調査などの結果、ナハダの党支持者が29パーセント、世俗主義の進歩民主党が、12パーセントとなっているからだ。
 その他にも、多くの政党が今回の選挙で名乗り出たが、とても10パーセント台の得票を、獲得するとは思えない。つまり、ナハダ党と進歩民主党がどう競り合って、どちらが与党になるかということであろう。
 問題は、ナハダ党が実は危険な側面を持った、政党だということだ。これまで、ナハダ党が絡んだり実行したりした、テロ事件は少なくない。1979年のチュニジア大使館襲撃事件への支援、1980年に起こった観光客に対する爆弾襲撃事件、ベン・アリ大統領の与党本部に対する、襲撃事件などがある。
 ナハダ党はイラン革命に刺激され、イスラム大学の人士が1979年に結成し、その2年後には活動禁止となった党だが、エジプトのムスリム同胞団のサイイド・コトブ師の思想に、近いとされている。
 今回のチュニジアの革命成功後、ナハダ党の党首ラーシド・ガンヌーシ師が帰国し、羊宣言をしているが『羊の皮を冠った狼だ』と見る向きも少なくない。リビアでは革命勝利宣言の式典で、ムスタファ・アブドッジャリール氏がイスラム法の施行を宣言し、『4人の妻帯』や『イスラム法による無利子』を、宣言している。
 こうなると、チュニジアのナハダ党も似たり寄ったりの、方針を打ち出すのではないかと思われる。
 このナハダ党の与党が誕生するのか、あるいは国民の中の世俗派が、選挙の投票でこれを潰すのか。あるいは内務省が動いて力による、ナハダ党の撲滅を図るのか、今後の注目点であろう。ただ言えることは、どの政党が政権を取ったとしても、チュニジアは当分の間、資金難に苦しむであろうし、そのことは同国を不安定な状態に、置くということであろう。
Posted by 佐々木 良昭 at 15:28 | この記事のURL
NO・2113「スルタン皇太子の死と後継ナーイフ王子」 [2011年10月23日(Sun)]
 毎日書いていると、以前にどんなことを書いたのか、あるいは書かずに頭の中だけで考えをめぐらせていたのか、混同してしまう。確か以前に、スルタン皇太子が余命いくばくも無く、その後にはナーイフ殿下が、皇太子の後継に就任し、やがて彼はサウジアラビアの国王に就任するだろう、と書いたような気がする。
 そのなかで、スルタン国王よりも6〜7歳年上のアブドッラー国王は、スルタン皇太子が死亡すれば、相当落胆し、死期が早まるのではないか、とも書いたような気がする。そして、アブドッラー国王の国民の間での人気が、実はサウジアラビア国内安定の要だ、とも書いたような気がする。
 さて、スルタン皇太子の死を受け、後継の皇太子に就任することが、ほぼ確実なナーイフ殿下とは,どのような人物なのであろうか。彼はサウジアラビア王家の中でも、有力なスデイリ家の出身で、1933年にターイフ市で生まれている。現在78歳と高齢だ。
 彼は故ファハド国王の信望が厚く、20歳でリヤドの知事に任命され、1970年には副大臣に、そしてその5年後には大臣に昇格している。つまり、サウジアラビアの王家の中でも、なかなかの切れ者ということであろう。
 彼は現実主義者だと言われ、これまで何度もサウジアラビア国内で起こった危機を、救ってきている。2003年、2006年の流血事件などがその代表格だ。つまり、テロに対してはあくまでも、力の対応を断行して来たということだ。
 彼はサウジアラビア国内で活動していたアルカーイダのメンバーを、徹底的に掃討し、遂にはイエメンに追放することに成功している。その追放されたアルカーイダのメンバーが、イエメンで結成したのが、『アラビア半島のアルカーイダ』組織なのだ。
 こうした手法からも分かるように、ナーイフ殿下は極めて保守的な、考えの持ち主でもあるようだ。例えば諮問会議の議員指名については、あくまでも国王による指名がいいとし、選挙による選出を支持しない考えだし、女性の参画についても、認めたくない意向のようだ。
 サウジアラビアが開かれてきている中では、折々問題視される宗教警察(ムタッワー)について、彼は高く評価している。当然、彼が皇太子に就任すれば、彼と同じ考えの人物を内相に推薦することが予想される。つまり、単純に考えると、保守派の幹部が一人増える、ということであろう。
 サウジアラビアはナーイフ皇太子の指揮の下に、アラブの春対応を進めるであろうが、それは力によるものであり、国民対話によるものではないだろう。そうなった場合、サウジアラビアの開明派のインテリたちは、どう動くのであろうか。どうやら、サウジアラビアの内政は混乱に満ちた、新時代を迎えたようだ。
Posted by 佐々木 良昭 at 12:10 | この記事のURL
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