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NO・2097「チュニジア革命後の選挙はどうなるのか」 [2011年09月30日(Fri)]
 今年の10月20日、チュニジアでは革命後初の、選挙が実施される、予定になっている。それが革命を起こした、大衆の望む結果を、生み出すのか否かについては、現段階では誰にも、予測がつかないのではないか。
 しかし、現段階でもチュニジア国民が、どの政党を支持しているのか、ということについては、おおよその見当が付いている。それによれば、イギリスに20年間亡命していた、ラーシド・ガンヌーシ氏が率いる、ナハダ党が20パーセントの票を集めることができ、他党との連携に成功すれば、30パーセントの支持を、集めそうだということだ。
 次いで、アハマド・ナジーブ・シャービ氏が率いる、改革民主党が10パーセントの支持を集めることが、予想されている。それに続くのは、アハマド・イブラーヒーム氏が率いる革新党で、8パーセントの支持を集める、と予測されている。
それ以外には、共産党の4パーセント、次いで大衆のための会議党で、3パーセントとなっている。
 『アラブの春』と呼ばれる一連の革命は、チュニジアを発端としているだけに、チュニジアで最初に行われる選挙の結果は、今からアラブ諸国をはじめ、世界の関心の的になっている。
 問題は、旧体制の残党、例えば内務省や軍が、イスラム教原理主義の政党である、ナハダ党が第一党になり、権力を掌握することを許すのか、あるいはこれを阻止する方向に、動くのかということだ。
 エジプトの場合も、革命がほぼ達成された段階で、ムスリム同胞団が前面に出て、革命の果実を独り占めにしたかにみえるが、チュニジアの場合も同様に、ナハダ党が革命の最終段階で、その果実を横取りした感じがある。
 革命に立ち上がった、最初のコアとなった青年層は、ナハダ党が権力を掌握することを放置するのか、あるいはこれに対抗して、立ち上がろうとするのか.その場合には内務省や軍との関係を、どうしていくのか、興味の持たれるところだ。
 チュニジアの選挙は、来月末に迫っているだけに、ナハダ党潰しをやるのであれば、軍あるいは内務省が、早急に動き出す必要があろう。その場合、軍や内務省は、実際に革命を起こした青年層との関係を、どう構築していくのか。あるいはそれを考慮せずに、力で押し切って権力を掌握するのか、何とも予測ができない。
 ただ、現段階で言えることは、チュニジアの国内政局が、相当に緊張を高めてきている、ということだ。その緊張の挙句には、暴発が起こることが、十分に予測される。チュニジアは当分危険信号、ということであろうか。
Posted by 佐々木 良昭 at 16:05 | この記事のURL
NO・2096「EUがトルコ人にヴイザ免除へ」 [2011年09月29日(Thu)]
 EUがトルコ人に対して、やっとヴィザを免除する方向に、向かい始めたようだ。トルコ人に対するヴィザを、免除する方向でそのための作業を始める、とEUが最近になってトルコ側に伝えたのだ。
 トルコがだいぶ前から、EUのメンバーになりたいと運動をしていたが、未だに条件が満たされない、ということで、メンバー国にはなれないでいる。しかし、ヴィザが免除されることになれば、事情は変わるだろう。
 もう5〜6年前であろうか、トルコで講演を依頼された折に、私は『オスマン帝国の末裔が、何故EUに加盟して、二等国民のなる必要があるか。』という内容のことを、語ったことがある。
その私の発言はトルコ人聴衆から、大いに受けたのだが、その後で親しいトルコ人が、次のようなことを語ってくれた。『我々がEU 加盟を、声高に叫んでいるのには、訳があるんだ。
EU に加盟するためには、トルコ国内で民主化を、進める必要がある。軍が必要に応じて、クーデターを起こす権利を持っているが、それがEUに加盟できていない、理由の一つなのだ。我々はEU 加盟を希望するということで、軍の力を制限したい、と思っているのだよ。
トルコ国民の多くが、EU加盟を希望しているから、EU加盟は軍を抑え込む、いい口実になるんだ。我々が望んでいるのは、EUのメンバー国になるよりも、ヴィザが免除になることなんだ。』
 それを聞いてなるほどと思った。軍を抑え込むために、EU加盟を声高に叫んでいるのか、と納得がいった。しかし、ヴィザについては喫緊の問題であり、一日も早い免除の決定が出ることを、望んでいるということだ。
 あるトルコの友人は、日本トルコ間の航空券は割高だ。それはヨーロッパ経由に、乗れないからだ、と語っていた。トルコ人がヨーロッパ経由で、日本に入ろうとすると、ヨーロッパの経由国のヴィザを、取る必要がある、というのだ。したがって、トルコ人は割高なダイレクト便の航空券を、買わざるを得ないのだ、と語っていた。
 トルコ外務大臣のダウトール氏は、元マレーシアの国際イスラム大学に、在籍していたことのあるアジア通だ。トルコ政府内ではそのこともあり、ルック・イーストの雰囲気がある。
 日本がそうした好意的な雰囲気があるうちに、トルコとの関係を確実なものに、しておくべきであろう。トルコの友人たちは『日本との関係は片思いなんだよなあ。』とも語っている。トルコのような真の友人は、大事にすべきだ。
Posted by 佐々木 良昭 at 14:10 | この記事のURL
NO・2095「リビアは密輸武器の販売元に・地域の危険度増す」 [2011年09月28日(Wed)]
 リビアの大衆が42年にも渡る、カダフィ独裁体制を打倒すべく、立ち上がった。そしてほぼ勝利を手にした。その事実は喜ばしいことであろう。しかし、今回のカダフィ打倒劇の後には、難問が山積しているようだ。
 その一番の問題は、リビアが輸入した大量の武器兵器が、今後どう扱われるかだ。それがどこに密輸され、どうなるのか、ということを考えると、背筋が凍る思いがする。 
 今回のリビア革命の出発点となった、ベンガジの東部の街は、いま武器の密輸取引の場に、変わっているようだ。東部の街アジュダビア、アルバトナン、シャハート、ブルデイなどがそのようだ。
 これらの街は、述べるまでもなく、エジプトとの国境に近い街であり、エジプトの密輸業者が足を運びやすい、ということがあるのであろう。加えて、革命が起こった東部であることから、監視が緩いのかもしれない。
 シャルクルアウサト紙の記者のレポートによれば、積み込まれた武器はほとんど問題なく、エジプト領まで移動が可能なようだ。この記者が報告しているところによれば、道路で検問しているミリシアは『なんか新しいニュースがあるか?』と声をかけてくるだけで、トラックの積載荷物をチェクすることは、無いということだ。
 密輸される武器兵器は、カダフィ大佐の時代に、大量に買い付けられたものであり、リビア各地の武器庫に納められていたものだ。それが、リビアが無政府状態になった今、勝手に持ち出され、売られているということだ。
 ここのメイン商品はK11と呼ばれるカラシニコフ銃(AK47)の北朝鮮製コピーのようだ。密売者は『コリアン・メイドの新品だ、ロシアの中古とは違うよ。』と説明して売っているようだ。
 売られているのは、K11ばかりではない、カチューシャ・ロケット砲、サム‐7ミサイルも含まれているのだ。サム‐7ミサイルは射程距離が、3500メートルもある、対空ミサイルなのだ。それがK11よりも安価に、売られているとうということだ。
 武器兵器の種類は、サム‐7ミサイル、RPGロケット、手りゅう弾、地雷、暗視鏡といったものだ。それがリビア東部で買い付けられ、エジプトのシナイ半島のエルアリーシュに持ち込まれ、捌かれている。その最終的目的地は、パレスチナのガザ地区であり、レバノン、そしてシリアであろう。
 リビアのカダフィ体制が打倒されたということは、これまでリビアが買い込んだ武器兵器が、周辺諸国にばら撒かれるということであり、将来極めて不安定で、危険な状態を生み出すことになろう。
 そのことを、イギリス、フランスや、アメリカ、イタリアは予測していたのであろうか。武器が密輸される先は、ヨーロッパ諸国も含まれようし、ヨーロッパのマフィアが顧客になっている、可能性も否定できまい。もちろん、アフリカ諸国にも武器兵器は、密輸されて行こう。つまり、リビアのカダフィ体制を打倒したということは、新たな難問を創り出し。危険な地域を広げた、ということでもあるのだ。
Posted by 佐々木 良昭 at 13:59 | この記事のURL
NO2094「サウジアラビアが二度目の反米行動・大丈夫か?」 [2011年09月27日(Tue)]
 サウジアラビア政府は、アメリカとの強い信頼関係を、維持してきた国だ。そのために、サウジアラビアの王制は、安定してこれた、という部分が多い。つまり、サウジアラビアの体制は、アメリカによって守られてきた、ということだ。
 その反対給付として、サウジアラビアはこれまで、石油価格の安定にアメリカの意向に沿い、協力してきていた。また、アメリカによるイラク侵攻(湾岸戦争、イラク戦争)時には、全面的な協力もしてきた。
 しかし、昨年末から始まる、アラブ世界の不安定化の中で、サウジアラビア王家はアメリカの意向に、反する動きを明確にし始めた。その一つは、エジプトのムバーラク体制を倒す方向に、アメリカが動いたとき、全面的にこれに、反対した。
 革命が達成された後、サウジアラビア政府はアメリカの意向に反し、新生エジプトへの協力を、しない立場をとりもした。
 第二のサウジアラビアの、アメリカに対する抵抗は、パレスチナ問題だった。今回国連で、パレスチナ自治政府のマハムード・アッバース議長が、国家としての承認を要請したが、これをサウジアラビアは、全面的に支持したのだ。
 しかし、アメリカの立場は国連での承認ではなく、かつ、パレスチナ側の一方的な要請によるのではなく、パレスチナ国家の樹立は、イスラエルとの話し合いによるべきだ、という立場だ。
 以上述べたように、サウジアラビアは重大なテーマで、アメリカと立場を異にしたのだ。その結果、何がサウジアラビア政府や、王家に及んでくるのか不明だ。多くの識者たちは、このことがサウジアラビアとアメリカとの関係を、破壊していき、アメリカがしかるべき敵対的立場になり、サウジアラビアに対する行動を、起こすのではないかという不安を抱いている。
 かつて、アメリカの国防総省の高官は、アメリカの国益のために、保守的なアラブの体制は破壊しなければならない、と言っている。サウジアラビアはまさに、保守派アラブの代表的な、国家ではないのか。
Posted by 佐々木 良昭 at 13:49 | この記事のURL
NO・2093「アルジェリアがカダフィ軍に協力?」 [2011年09月26日(Mon)]
 インターナショナル・ヘラルド・トリビューン紙が、興味深いニュースを、報じている。それによれば、カダフィ軍がアルジェリアから、大量の武器を調達し、リビア国内に持ち込んでいるということだ。
 そのため、NTC(リビア臨時政府)は苦戦している、ということのようだ。このニュースが事実であるとすれば、アルジェリアはイギリス、フランス、アメリカ、イタリアを、敵に回す覚悟、出来ている、ということではないのか。
 アルジェリアとフランスとの関係は、かつてフランスがアルジェリアを、植民地化に置いていたこともあり、必ずしもいい関係ではなかった。アメリカやイギリスについても、アルジェリアは革命で勝ち取った、独立国であることから、外国の介入には厳しい視線を、持っていることであろう。 
 リビアで起こった今回の革命は、その当初の段階から、イギリス、フランス、アメリカが、深く関与していたということは、地域の各国賀共通して認識している。多くのアラブの国々は、言を濁しているが、アルジェリアはその限りではなかった、ということであろうか。
 したがって,NTCの軍司令官であるアハマド・オマル・バー二氏が言った、カダフィ軍がアルジェリアから武器を入手している、という情報はウソではあるまい。そうなると、これからのアラブ各国の立場に、何らかの変化が、生まれてくるかもしれない。
 確かに、チュニジアに比べ、アルジェリアはカダフィ大佐の家族に対する、取り扱いでも、温かみがあるように感じられる。チュニジアはカダフィ大佐の家族が亡命してきたのを、受け入れはしたが、その後、冷たい反応であったのであろう。あるいは、カダフィ大佐の家族にとって、チュニジア国内に滞在することが、危険なものになっていたのであろう。
 アルジェリア政府はカダフィ大佐の家族が、アルジェリア国内に留まることを、許可することを明らかにしている。つまり、身の安全を保証する、ということであろう。
 ただし、アルジェリア政府はカダフィ大佐の家族が、政治活動をしないことを、その条件としたようだ。なかでも、カダフィ大佐の娘アーイシャ女史が、外国の報道に応えることを、禁じたようだ。
 それは、これまでに既に、アーイシャ女史がシリアのアッラーイ・テレビで、反NTC 発言を行っているからであろう。今後、もし彼女が続けて反NTC発言をするようでは、アルジェリア政府としては、苦しい立場に立たされる、可能性があるからだ。
 しかし、アルジェリア政府が黙認(?)の形であるにせよ、アルジェリアからカダフィ軍が、武器を調達してリビアに持ち込み、戦闘を継続することになれば、戦局は複雑さを増す、ということではないか。
 NTC政府が今後、カダフィ派を長期間にわたって、抑え込むことができず、国民の生活が厳しさを増していけば、NTCそのものの安定度が、あやしいものになろうということだ。
 他方では、リビアの解放地域で発見された武器について、参戦した各部族が、自部族の地域に持ち去り、NTCのコントロールが利いていない、という情報もある。それは、将来に対する不安からではないのか。リビアの戦局は再度難しい局面に、入ってきたということかもしれない。
Posted by 佐々木 良昭 at 16:43 | この記事のURL
NO・2092「ハサネイン・ヘイカル氏が第二次サイクス・ピコを語る」 [2011年09月25日(Sun)]

 エジプトの著名なジャーナリストである、ハサネイン・ヘイカル氏が、現在の中東情勢について、重要な発言をしている。彼の発言によれば、今アラブ世界で起こっていることは、第二次サイクス・ピコ計画であるというのだ。
 サイクス・ピコは、1916年4月26日ロンドンで、サイクス(イギリス外務省・中東担当官)とピコ(フランス前駐ベイルート領事)との間で、オスマン帝国領土の戦後分割について、交わされた秘密協定のことを言うのだ。
 つまり、第一次世界大戦中にイギリス・フランス・ロシアの間で話し合われた、オスマン帝国領土の分割と、その後の占有(植民地支配)のことだ。それと同じことが、今アラブ世界で進んでいる、とハサネイン・ヘイカル氏は指摘している。
 一見する限りでは、オスマン帝国の影は何処にも無く、アラブ各国の民主化の波が、旧体制を打倒しているように見えるのだが、その裏では、イギリス・フランス・アメリカの介入が明確だというのだ。
 アメリカは既に、パレスチナ問題に対しては、何も関心も示さなくなり、この問題を国連の小委員会に、委ねてしまったというのだ。つまり、アメリカが積極的にパレスチナ問題解決に、向かうことは無い、とハサネイン・ヘイカル氏は予測している。
 リビアについて言えば、リビア国民のカダフィ体制弾圧からの、解放の支援でも民主化でも無く、まさにサイクス・ピコ協定の現代版であり、イギリス・フランス・アメリカ・イタリアが、それぞれの権益を狙って、介入しているのだということだ。
 シリアも現在、非常に厳しい状況に向かっているが、ハーフェズ・アサド大統領から現在のバッシャール・アサド大統領に、権力が移行したことについては、問題があるとしながらも、そのことが、イラン問題と結びつき、遂にはイランと湾岸諸国との、対立に火を着けていく、と見ているようだ。
 確かに、バハレーンやイエメンなどの問題を見ていると、イランとサウジアラビアとの国益が、正面から対立しているし、目に見えない形での、敵対行動も起こっている。それがこの先、表面化されより強化されていく、ということであろう。
 そうした中で、トルコの位置は同国にとって、きわめて好都合だ、とハサネイン・ヘイカル氏は分析している。彼によれば、現在進められている、第二次サイクス・ピコ協定では、トルコもケーキの一片を手にすることが、出来るというのだ。
Posted by 佐々木 良昭 at 12:53 | この記事のURL
NO・2091「M・アッバース議長の国連演説と今後」 [2011年09月24日(Sat)]
 パレスチナ自治政府の、マハムード・アッバース議長が国連で演説し、パレスチナを国家として、国連に正式に加盟させてくれるよう要請した。彼はこれまでの経緯を細かく説明した。マハムード・アッバース議長はパレスチナの現状を語ったことによって、パレスチナとイスラエルとの間で行われた直接交渉は、何等進展しなかったことを明らかにした。
 それは事実であろう。強者であるイスラエルと、弱者であるパレスチナが話し合っても、イスラエル側の主張が優先され、パレスチナに対する譲歩は、ほとんど行われないからだ。言ってみれば、マハムード・アッバース議長の演説は、パレスチナ人の愚痴のばら撒き、不満の爆発といった感じであったと思う。
 この演説の中で、彼は何度と無くPLO(パレスチナ解放機構)の名を上げ、それがパレスチナ大衆を代表するものだ、という話し方をしたことだ。それが意味するのは、何であろうかと考えてみたが、もし、和平交渉が失敗に終わった場合、PLOが行っていた武力闘争を、再開するという意味ではないかと思えた。
 それを感じさせたのは、マハムード・アッバース議長が、故ヤーセル・アラファトPLO議長の名を引き出し、ヤーセル・アラファト議長はこの国連の場で『私の手から平和を希求するシンボルの、オリーブの枝を奪わないで欲しい』と語った内容の一節を繰り返した。彼はまた『パレスチナの春』が始まるとも語った。それはパレスチナ大衆が、イスラエルという権力に対して、挑戦するという警告であろう。決して、マハムード・アッバース議長と、彼の体制に対する『パレスチナの春』ではあるまい。
 もう一点気が付いたことは、マハムード・アッバース議長が言う、パレスチナの首都は『コドスッシャリーフ』であり『東エルサレム』ではなかった点だ。つまり、マハムード・アッバース議長はエルサレムの全てを、将来建設されるパレスチナ国家の首都とする、と主張したのであって、現在言われている、エルサレムの半分に当たる、東エルサレムではないということだ。
 確かにそうであろう。パレスチナとイスラエルの国境を、1967年戦争以前のラインとするならば、エルサレムの全てが、パレスチナ側の領土であり、イスラエルには何の権利も無くなるのだ。しかし、そのマハムード・アッバース議長の主張は、受け入れられまい。 
 国連総会の場で、パレスチナが国家として受け入れられたとしても、国連安保理では、アメリカの拒否権によって、阻まれることは確実であり、実質的に進展は、無かったということであろう。
 それでは、マハムード・アッバース議長は何故、今回国連でパレスチナ国家承認を訴えたのであろうか。それは、現状を打開したい、ということであったろう。そのためには、過去と現在のパレスチナが置かれている状態を、訴えることであったろう。そして国連出席で、何も具体的には得ることが出来ず、手ぶらで帰るマハムード・アッバース議長が、パレスチナ大衆に温かく(英雄として)迎えられるための、言い訳であったのではないか。
 『国連から凱旋するマハムード・アッバース議長』、『数十万のパレスチナ大衆が熱狂的に彼を歓迎』そんな新聞記事のタイトルを、期待しているのであろうか。そうなることはなさそうだ。昨夜のマハムード・アッバース議長の、国連演説を見るために用意された、大型テレビの前には、約1000人のパレスチナ人が集まった、と伝えられている。ガザではほとんど、関心が払われなかったということだ。
 そうは言っても、徐々にではあるが、イスラエルの傲慢と、アメリカのイスラエル寄り外交は、世界から嫌われていこうし、誰もアメリカが公平な仲裁者とみなさなくなるだろう。その後に来るのは『常識』ではないのか。
Posted by 佐々木 良昭 at 11:37 | この記事のURL
NO・2090「イスラエルと戦争も辞さず・エルドアン首相発言の真意」 [2011年09月23日(Fri)]

 最近、トルコのエルドアン首相の発言が、激しさを増しているような気がする。先日もトルコ人の友人たちと、食事をしているときに、どう思うかとたずねられ、彼らを安心させたいということもあり、計算づくの発言だと思う、と答えた。
 もちろん、一部は彼の正義感が、言わせる部分もあろうが、確かに、エルドアン首相はあらゆることを計算した上で、発言しているものと思われる。イスラエルに対する非難は、総じてアラブ諸国や第三世界で、エルドアン首相の評判をよくすることは、誰にも分かろう。
 そもそも、エルドアン首相とトルコが、アラブ世界から歓迎されるようになった、最初のきっかけはダボス会議での、イスラエルのペレス大統領批判だった。アラブの首脳の誰もが口に出来ない、イスラエルのガザに対する蛮行を、激しく非難したことが、アラブ大衆の血を躍らせたのだ。
 続くガザへの支援船乗客に対する、イスラエル軍コマンド部隊による蛮行は、アラブの人たちをして『トルコがアラブのために血を流してくれた。』と感激させたのだ。
 今回、エルドアン首相の発言を取り上げたのは、実はガザ支援船問題について、外国人記者から質問を受けた際に『イスラエルと戦争も辞さず。』という発言が出てきたからだ。
 これまでエルドアン首相は、何度も『イスラエルは謝罪し、遺族に補償すべきだ。』と主張してきた。それは当然のことであろうが、イスラエルはこれを、受け付けないできている。国際常識では、公海上で他国船を襲撃し、殺害するなどということは、起こるはずの無いことなのだが、それがイスラエル軍によって、起こされたのだ。
しかも、それは間違いからではなく、確信犯であった。謝罪は国家として当然すべきなのだが、イスラエル政府はトルコに対し、いまだに謝罪していない。その犠牲になったトルコ側は、イスラエルに対して、激怒して当然であろう。
 エルドアン首相の他の発言から考えてみると、彼の本心が分かるような気がする。エルドアン首相は『イスラエルは西洋の国々から、甘やかされてきた子供のような国だ。』と語っている。
 つまり、国際社会が大きく変化しているなかで、いままでのような甘えの行動を続け わがままな子共のような態度をとっていたのでは、最後に袋叩きに会うということを、言っているのであろう。
 取りようによっては、トルコがイスラエルの将来の危険を、一番強く察知し、早く間違いに気が付き、姿勢を変えるように、即しているのではないのか。今ならまだ間に合うが、近い将来世界はいまほど、イスラエルに対して寛容では、なくなるだろう。今回のパレスチナ承認をめぐる、国連での各国の動きを見ていると、世界のほとんどの国が、パレスチナ国家の承認を支持していた。イスラエルがかろうじて、それを止めることが出来たのは、オバマ大統領が拒否権を使うと言ったからだ。しかし、それはオバマ大統領とアメリカの評判を、世界中で低下させることでもあるのだ。アメリカは何処まで、イスラエルの味方でいられるのか、疑問が沸いてくるではないか。
言ってみれば、エルドアン首相はイスラエルにとって、厳父のような存在なのかもしれない。その彼の気持ちが、これでもイスラエルは分からないのか、という意味で『戦争も辞さず。』と言わせたのであろう。
Posted by 佐々木 良昭 at 17:41 | この記事のURL
NO・2089「M・アッバースは何を考えているんだという怒りの声」 [2011年09月22日(Thu)]
 パレスチナ自治政府の議長マハムード・アッバース氏は、大代表団を結成し、ニューヨークに乗り込んで行った。その費用はとんでもない金額に、上ることだろう。パレスチナ代表団は決して、質素なホテルには宿泊しない、一流のホテルに滞在し、好きなだけ食べ、好きなだけ飲むのが、通例になっている。
 他方では、毎日の食事大に事欠く、パレスチナ人が相当数いると言うのに、パレスチナ自治政府に最も強硬な、イスラエルのリーベルマン外相は『パレスチナ人の10パーセントが極めて裕福であり、残りの90パーセントは極めて貧しい環境にある。』と語っていたが、事実はその通りだ。
 まあ代表団の贅沢三昧に対する非難は、その程度にして、マハムード・アッバース議長は一体どんな戦略を持って、国連に乗り込んでいったのであろうか。来年に大統領選挙を控えているオバマ大統領が、イスラエルを敵に回すようなパレスチナ支持の立場を、採ることは100パーセントありえない。
パレスチナ自治政府が国連で正式に、国家として認めるよう要請しても、アメリカが安保理の場で、拒否権を発動することは、目に見えており、否決されることは確実だからだ。実際に、オバマ大統領はマハムード・アッバース議長に対し、拒否権を行使することを、正式に伝えている。
 そうした無駄な努力を、マハムード・アッバース議長がしようとしたのは、単に彼が任期中に、何らかの成果を上げたかったからだ、というのがアラブの評論家、専門家諸氏の一致した意見だ。
 しかし、この国連に対するパレスチナ国家の承認要請は、もし万が一、通過していれば、とんでもないことになったのだ。その辺の事情を、ハマース代表のマハムード・ザハール氏はおよそ、次のように語っている。
『国連で承認された国家は、テロ活動(民族抵抗闘争)を放棄しなければならない。一体どのラインを、国家の国境としようというのか。もし、67年時の境界を国境とするのであれば、それは、同時に、イスラエルの国家と民族を承認することにはなるが、パレスチナ難民の帰還する権利を、放棄することにもなるのだ。』。
何やらオバ大統領の冷たい拒否の言葉を、耳にしたからであろうか、マハムード・アッバース議長は緊急安保理で討議される前の、国連総会での討議に、この件を提案するのを、遅らせようと語り始めているということだ。
アメリカにへそを曲げられれば、パレスチナ自治政府に対する、アメリカの援助が止まるだけではなく、アラブ産油諸国からの援助も、滞ることになる危険性があるからだ。旨い酒を飲み、豪勢な生活の方を、彼らは選択したようだ。
Posted by 佐々木 良昭 at 14:25 | この記事のURL
NO・2088「ウイキリークスがアルジャズイーラ報道部長の首をはねる」 [2011年09月21日(Wed)]
 ウイキリークスで流れた情報がもとで、アルジャズイーラの報道部長が首になった。アルジャズイーラといえば、歯に衣着せない報道で、アラブ世界ばかりか、世界中で人気になった、カタールのテレビ局だ。
 そのアルジャズイーラ・テレビの報道局長の首が飛んだということは、おのずから重要ニュースとして、世界に伝わった。その裏には、ウイキリークスによる、情報漏えいがあったからだ。
 その情報によれば、アルジャズイーラ・テレビのワダーハ・カンファル報道部長が、カタールのアメリカ大使から圧力を受け、イラク戦争報道に、手心を加えたというのだ。たとえば、婦女子が顔などが重傷を負った映像の放映が、さし止めされたことなどだ。
 アルジャズイーラ・テレビの報道は、公平ではないという非難の声もある。例えば、シリアに関する国内動乱報道と、バハレーンの国内動乱に関する報道との間には、明らかに差異があるというのだ。
 アルジャズイーラ・テレビがチュニジアの大衆蜂起や、エジプトの大衆蜂起を昨年末の段階から、誇大に伝えていたということも、話題になっていた。
 今回、アルジャズイーラ・テレビのワダーハ・カンファル報道部長部長が首になったのは、アルジャズイーラ・テレビの最大スポンサーである、カタール王家の意向であろう。
 そのことは、これまでのようなアメリカ政府による、直接的な圧力による報道の歪曲が、だんだん通用しなくなってきている、ということを意味しているのではないか。アラブ世界でも、パソコンの普及やモバイル電話などで、情報が大量に行きかう、時代を迎えている。
 そうした中では、情報のコントロールが、極めて難しくなってきており、下手なやり方をすれば、かえって墓穴を掘ることにつながる、危険性があるということではないか。
 アルジャズイーラ・テレビのワダーハ・カンファル報道部長の後継者に、どのような人物が就任するのか。その人物とアメリカ政府大使館は、どういう取引をするのか、あるいは、一切裏取引を止めるのか、興味深いところだ。いずれにしろ、今回のこのニュースは、『時代は変わった』ということを実感させるものだ。
Posted by 佐々木 良昭 at 14:59 | この記事のURL
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