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NO・1748「イラン人へ・口から出る言葉はその人の品性を表す」 [2010年08月31日(Tue)]
 イスラムは宗教であり、生きていく上で必要な、全てを教えてくれているのだ、とイスラムの学識者たちは言う。イランの学識者たちも、同じことを言うのであろう。その通りだ、イスラムは信仰としての宗教、という側面だけではなく、人が生きていくうえで必要な、全てのことを教えているはずだ。
 イランのシーア派には多く学者がおり、その学者たちは学識の深さによって、何階級にも分けられている。そうであるとすれば、その学者たちには信徒に対し、正しいイスラムを指導する責任があろう。
 しかし、残念なことに、最近のイランから聞こえてくる言葉には、あまり品性を感じられない場合が多い。例えばフランス大統領夫人について、イランのケイハン紙は相当常識を逸脱した、表現を使って批判している。
 それは、イランのケイハン紙側に言わせれば、フランスの言葉に対する、お返しだというだろう。だがそれは、相手の低いレベルに、自分を引きずり下ろした、ということではないのか。
 また、イランはイスラエルやアメリカが、イランを攻撃した場合、イスラエルのデモナ原発を、攻撃すると語ったが、そのことは、イスラム法で許されることなのだろうか。
 もちろん、イスラエルにしてみれば、デモナの原発を攻撃されることは、悪夢の極みであり、地獄絵であろう。それだけに、このイランの警告は、それなりの効果を、生み出すだろう。
 日本には「売り言葉に買い言葉」というのがあるが、その場合は、まさにお互いが理屈にもならない、誹謗中傷をしあっている状態を、言うのではないか。イランにはハメネイ師という、大変に学識の深い、イスラム教の学者がいるのだから、そのハメネイ師に敬意を表せるような発言を、外部の敵に対しても向けるべきではないのか。
 それがハメネイ師とイスラムに対する、敬意であるはずなのだが。同時にハメネイ師は、激高して感情的な言葉を繰り返す、イランの政治家やマスコミに対し、イスラム本来の常識と礼儀に戻るべきだ、と諭すべきではないのか。
Posted by 佐々木 良昭 at 15:18 | この記事のURL
NO・1747「馬鹿げているM・アッバース議長の言い草」 [2010年08月30日(Mon)]
 アメリカの強い圧力のなかで、パレスチナ自治政府議長のマハムード・アッバース氏が、イスラエルとの無条件の、直接交渉を受託した。
 無条件ということは、条件が設定されていないということであり、それを土台に話し合いが進められるとすれば、話し合いの間に、新たな現実が積み重ねられていくことであろう。例えば、入植地の建設を凍結するという条件は、イスラエルとアメリカによって、拒否されている。
 ネタニヤフ首相は、直接交渉の進展過程で、それはある種の結論に達するのであって、直接交渉の冒頭に入植凍結問題を引き出すのであれば、話し合いは進まなくなってしまうとした。
 ここで問題なのは、過去にもそうであったように、イスラエル政府が認めない、いわば無許可の入植が進むということだ。入植者たちは政府の許可を得ずに入植し、そこの住宅を建設してしまうのだ。
 過去にこうした不法入植者に対し、イスラエル政府は強硬措置をとっており、入植者の住宅を破壊したこともあるが、そうした強硬措置が取られたのは、全てではない。最近では、イランやレバノンのヘズブラ、シリア、パレスチナのハマースなどとの緊張のなかで、イスラエル国民は相当強硬、頑迷になってきている。
 ネタニヤフ首相が、そうしたイスラエル国民の意識を無視して、入植を凍結するようなことになれば、当然相当の反発を受けることであろう。アメリカがごり押しで、ネタニヤフ首相に入植地の凍結を迫ることは、中間選挙を前にしては、難しいのではないか。
 そうした状況を考えた場合、イスラエルとパレスチナ自治政府との直接交渉は、問題の所在が明らかになるだけであり、進展をほとんど期待できないのではないか。すでに、アラブ連盟のアムル・ムーサ事務総長は、交渉の失敗を予測している。
 こうした実情を、マハムード・アッバース議長は、予測できないのだろうか?彼も当然予測できていたはずだ。だからこそ彼は、交渉が失敗したらそれは、イスラエルだけの責任だ、と語ったのだ。
 しかし、それで済むのだろうか。マハムード・アッバース議長には、交渉を成功に導いていく、何の手だてもない、ということなのだろうか。そうであるとすれば、アメリカとイスラエルの圧力に負けていやいやながら、彼は直接交渉の場に、単に参加したということにはならないか。
 マハムード・アッバース議長の、この会議への姿勢は、近い将来、パレスチナ国家を設立するという意欲を、全く感じさせないものではないのか。
Posted by 佐々木 良昭 at 14:57 | この記事のURL
NO1746「想像以上に進んでいるトルコ政府とPKKの交渉」 [2010年08月28日(Sat)]
 世界同時不況の中で、トルコは例外的な復興を続けている。輸出額は増大し、それに伴って、国内の失業率も、低下しているようだ。周辺諸国との外交も、大きな成果を遂げ、ビザなし交流の国が増えている。
 そうしたなか、世界のトルコ研究者は、トルコがいま、オスマン帝国の復活を、目指しているのではないか、という憶測まで、口に出し始めている。それはかつての、オスマン帝国版図の国々の多くが、トルコとの間でビザを廃止した結果、トルコ人ビジネスマンはこれらの国々に、自由に出入りできるようになったからだ。
 ギュル大統領、エルドアン首相、そしてダウトール外相という、絶妙なトライアングル構成からなるトルコ政治は、内外で大きな成果を、挙げているということだ。その成果のスピードは驚異的であり、アラブの多くの国々は、トルコを激賞するようになってきている。
 しかし、そのトルコにとってクルド問題、もっと直接的に表現するならば、PKK(クルド労働党)に対する対応が、なかなか成果の上がらない、頭痛の種であり続けてきた。PKKが結成された1984年以来、トルコ国内ではPKKによるテロが頻発し、軍人民間人のなかから、4万人を越える犠牲者が、出たと報告されている。
 トルコにとって、クルド問題は永遠に解決できない問題、という認識があることも事実だった。しかし、ここに来て、クルド問題には意外な解決に向けた動きが、成果を挙げつつあるようだ。
 最近になって、トルコ政府がPKKやPKKのオジャラン議長と、コンタクトを取っているという情報が、流れ始めた。それは、野党側から流されたものだが、この情報に対し、エルドアン首相は半ば認める発言をしている。
 政府はコンタクトを取っていないが、MIT(情報部)がコンタクトをとることはあるという表現でだ。
 彼に言わせれば、政府としてのコンタクトは取られなくとも、情報部や軍、警察などがコンタクトを取って、政府が平和的なクルド問題の、解決を図ることに寄与することは、ありうるというのだ。
 実際には1999年以来、MITと呼ばれるトルコの情報機関のスタッフが、オジャラン議長にもPKKとも、再三にわたってコンタクトを、取ってきていたようだ。
8月13日にPKK側が宣言した、ラマダン停戦は、トルコ政府側がオジャラン議長とコンタクトを取り、オジャラン議長が和平路線を口にしたことがきっかけだった、という推測が事情通によって語られている。
 それでは何故この時期に、これまで秘密裏に行われていた、オジャラン議長やPKK側とのコンタクトが、表沙汰になってきたのであろうか。実はこれは与党AKPが進める、憲法改正に向けた、国民投票と直結する問題だからだ。
 与党AKPは、クルド問題の解決に直結する、憲法改正を国民投票で実現し、軍の動きを大幅に縮小し、クルドとの和解を実現しよう、と思っているのだ。この与党の動きは、大筋でクルド側から、歓迎されているようだ。
 与党の筋書きはこうであろう。
1:憲法改正を国民投票で実現する(そのためにクルド人を取り込む)
2:新憲法は来年発布される
3;クルドにある種の自治権を与える
4:トルコ東部の開発をクルドと協力して進める

 オジャラン議長には終身刑が下っているし、PKKも次第に、外国からの援助が減ってきており、トルコ内クルド組織には、政府と妥協を図る組織が、増えてきている。PKKがクルドの代表的組織、という雰囲気は、既に大分縮小してきているのだ。
PKKとイラクのクルド自治政府との関係も、あまり芳しくなくなってきている。イラクのクルド自治政府は、トルコ政府との良好な関係を、PKKとの関係以上に、優先させるようになってきているのだ。PKKの拠点はイラクのクルド地区のカンデル山であり、次第に居心地が悪くなってきている、ということであろう。
こうしたことが、PKKをして妥協に到らしめる、下地になっているのかもしれない。願わくば、この交渉が成功に到って欲しいものだ。
Posted by 佐々木 良昭 at 16:56 | この記事のURL
NO・1745「慾にはきりがないイランの核開発」 [2010年08月27日(Fri)]
 散々世界中が騒がせた後、イランはロシアの供給する燃料棒を、ブシェールの原発に挿入し始めた。このことについては、イランの核開発に、厳しい対応を取っていたアメリカも、ロシアの管理の下で、厳重に核兵器を開発する材料を、イラン国内に残さないことを条件に、渋々認めることとなった。
 イランにしてみれば、しめしめということであろう。一旦、燃料棒が挿入されてしまえば、その原発に対して空爆を強行することは、出来なくなるからだ。アメリカのボルトン氏が「あと数日しか残されていない。」と大騒ぎしたのもそのためだった。しかし、さすがのイスラエルも、アメリカの賛同無しには、強硬手段を取る決断が、出来なかったのであろう。
 そして、イランは核保有国への道を、一歩進めることが出来た。もちろん、そのことはイランが核兵器を持つ意思がある、ということを言っているのではない。あくまでも、その可能性を一段と高めたという意味だ。
 しかし、今のイランはこれだけでは、済まないのではないか、と世界を疑惑に包む言動を、繰り返している。それはもちろん、国際政治の場での、一つの取引の技術ではあろうが、あまりにも危険過ぎはしないか、と不安になる。
 ブシェールの原発に燃料棒が、挿入されることが決まって間もなく、イランの副大統領であり、原子力開発委員会委員長のアリー・アクバル・サーレヒ氏は、ブシェール原発への燃料棒挿入の後、ロシアとイランで燃料棒を、共同で生産したい、と言い出した。
 そのことは、当然ロシア国内ではなく、イラン国内で生産したい、ということであろうから、世界から猛反発を受けることは必定だ。アリー・アクバル・サーレヒ委員長は「世界に対してイランは核エネルギー開発につながる、ウラン生産の能力を、示す必要がある。」といった内容の発言をしている。
 そして「ロシアはイランの提案を検討中だ。」とも語っている。このアリー・アクバル・サーレヒ委員長の発言を、イスラエルやアメリカは、どう受け止めるであろうか。
そこまでイランの核研究が進んでいるのであれば、最早止めようがない、と思うか。あるいは、何としてもこれを、阻止しなければならない、と考えるか、そのいずれかではないか。そして可能性が高いのは、後者の方ではなかろうか。
 アリー・アクバル・サーレヒ委員長は「イランがすでに20パーセントの濃度のウラニュームを、25キロ生産した。」とも語っている。これは表向き、医療用のものとされているが、もう少し濃度を上げれば、それは危険な核兵器の材料に、限りなく近づくということを、意味している。アリー・アクバル・サーレヒ委員長の発言は、政治的駆け引きなのか。あるいは「調子に乗りすぎた軽率な発言」なのか?
Posted by 佐々木 良昭 at 15:28 | この記事のURL
NO・1744 「エジプト大統領候補を巡り与党分裂という情報」 [2010年08月26日(Thu)]
 次期エジプト大統領選挙に、立候補するかしないか、なかなか態度を鮮明にしないガマール氏(ムバーラク大統領の次男)に、彼の取り巻き連中たちが、業を煮やして、行動を起こし始めている。
 ムバーラク大統領の健康問題が、ここにきてほとんど希望がなくなりかけ、早い時期に、ガマール氏が立候補を宣言し、行動を起こさなければ、出遅れになり、場合によっては他候補に敗れることもありうる、と取り巻き連中たちは、考えているようだ。
 彼らはガマール氏の意向を確かめず、エジプト中にガマール氏擁立の、ポスターを張り巡らした。それは、ムスリム同胞団やガド党、エルバラダイ氏の支持団体から、攻撃を受ける対象になり、野党側は「ガマールにはエジプトは大きすぎる」というポスターを作り、国内いたるところに、張り出されることとなった。
 ガマール氏がなかなか、立候補を口にしないのは、父親が終身大統領でありたい、という願望を尊重してだ、という説が流れているが、それに加え、彼自身の健康問題が、あるからであろう。
 しかし、もしムバーラク大統領が、突然死亡するようなことになれば、ガマール氏当選の可能性は、非常に厳しいものになるだろう。日本とは異なり、弔い合戦での同情票を獲得して、選挙に勝つというパターンは、期待出来ないのがアラブ世界だ。悪い表現をするならば、アラブ世界とは、溺れる犬に石を投げつける、世界なのだ。
 それにもかかわらず、ガマール氏の取り巻きが、活発な擁立行動を取ることに、国民民主党内のベテラン議員たちからは、反発が出ているようだ。最近流れてきた情報によれば、与党内で次期大統領候補の選出で、党内に分裂が生じているということだ。
 現実はそれほど、センセーショナルなものとは思えないが、若者層の先走りは、ムバーラク大統領に対して、失礼だという感情は、ベテラン議員のなかにはあろう。
 若いビジネスマンたちが、ガマール氏の支持基盤になっているのだが、彼らが躍起になって、ガマール氏を推す裏には、彼らの利権がからんでいることも否めない。ガマール氏の取り巻き連中の起こした、経済スキャンダルはこれまで、幾つも話題に上っていた。レバノン出身の美人歌手の委託殺人でも、ガマール氏と親しい大金持ちが、その命令を下したとして、現在獄中にある。彼が軽度の罪で済むか否かは、ガマール氏が大統領に就任できるか否かにも、かかっているのだ。
 加えて、エジプト政府が宣言した、原発建設も当然のことながら、大統領選挙に絡んで来よう。ガマール氏の兄である、長男のアラーア氏の立候補も噂されており、取り巻きたちにしてみれば、気が気ではないだろう。
Posted by 佐々木 良昭 at 13:53 | この記事のURL
NO・1743「それでも和平交渉に挑むM・アッバース議長」 [2010年08月25日(Wed)]
 アメリカが強力な圧力をかけ、イスラエルとパレスチナ自治政府に、和平交渉の座に就くように仕向けた。結果的に、これをパレスチナ自治政府の、マハムード・アッバース議長は受け入れた。
 しかし、受け入れに至る段階で、多くのパレスチナ組織と、パレスチナ有力者著名人が、イスラエルとパレスチナ自治政府との、直接交渉の会議には出るべきでない、と反対していた。
 それにもかかわらず、マハムード・アッバース議長は、この直接交渉に、出席を決めたのだ。直接交渉の前提として、パレスチナ内部からは、入植地の凍結や、パレスチナとイスラエルとの国境画定など、幾つもの条件案が出ていたが、そのいずれの条件も、イスラエル側からは受け入れられなかった。アメリカも無条件の交渉開始を、マハムード・アッバース議長に押し付けることに、成功した。
 しかも、この直接交渉の結果、パレスチナ問題に大きな進展があるとは、誰も予想していない。アメリカのヒラリー国務長官は、困難なものになることを予測しているし、この会議に呼ばれたブレア元イギリス首相も、非常に困難なものになることを、見越している。
 それではマハムード・アッバース議長は、何故この会議に出席することを、受託したのだろうか。彼ももちろん、直接交渉が極めて希望の無いものであることを、予測しているはずだ。マハムード・アッバース議長はこの会議から、パレスチナ問題を巡る、何らかの成果があることを期待して、出席するのではあるまい。
 マハムード・アッバース議長は、この会議に出席することによって、親米派アラブの国々からの、援助を取り付けること、アメリカ政府が今後も、彼をパレスチナ自治政府の代表とみなしてくれること、そのことに加えて、彼の身辺の安全を保障してくれること。イスラエル政府が彼の身の安全を、保障してくれることを願ってであろう。
 つまり、今回、マハムード・アッバース議長が、直接交渉の場に出るのは、彼の個人的経済的メリットと、彼の身の安全確保が、目的ではないのか。
 しかし、それと交換に、イスラエルによるヨルダン川西岸地区と、東エルサレムに対する入植活動は、止まることなく進められるだろう。イスラエル国内には、入植活動に反対するグループは、ほとんど存在しないし、アメリカも中間選挙をすぐ先に控え、ユダヤ・ロビーに対する配慮から、入植活動の凍結を、厳しく迫るとは思えない。
 イスラエルのネタニヤフ首相は、「いま進められている入植活動は、政府が認めたものではない。あくまでも個人が勝手にやっているものだ。入植活動を停止させるように善処したい。」と言い逃れることが出来よう。あるいはその程度の配慮も、必要ないかもしれない。マハムード・アッバース議長は、完全に足元を、見透かされてしまっているのだから。
Posted by 佐々木 良昭 at 16:08 | この記事のURL
NIO・1742「アラブの友人が語ったエジプト内情と次期大統領」 [2010年08月24日(Tue)]
      
 アラブの親しい友人が来日した。さっそく飯を食おうということになり、あるレストランで落ち合った。最初は相互の家族、仕事状況の話をしたり、冗談を言い合っていたのだが、途中からどうしても聞いてみたい、エジプトの状況を聞くことにした。 
 まず最初に聞いてみたのは、エジプトの庶民の生活状況だった。最近では食料品の高騰に加え、電気、水で困っているというニュースが、伝えられていたからだ。ナイルの大河を擁し、アスワン・ハイダムを持つエジプトが、何故水と電力に事欠くのか、ということが私の素朴な疑問だった。
 この点については、ナイル沿岸諸国会議があり、エチオピアやスーダンがエジプトよりも、川上に位置している。このため、エチオピアがダムを造ると、エジプトに流れてくる水量は減り、発電量も減るというのだ。言われてみれば、確かに数ヶ月前、ナイル川の水の配分を巡って、問題が起こり妥協が生まれないままになっていた。
 エチオピアがダムを造ることについて、彼はイスラエルがエジプトを困らせるために、エチオピアをけしかけているのだと語っていた。ナイル川はエジプトにとって、貴重な財産ではあるが、同時に危険な存在でもある。
 何十年か前の話だが、イスラエルがエジプトに対し、アスワン・ハイダムを破壊することも出来る、と脅したことがある。もし、それが実行されれば、数時間後にはカイロの街のほとんどが、水面下に埋もれてしまうことになるのだ。それは現在、パキスタンが直面している、水害の規模に相当するのではないか。
 食料の高騰は相当に大衆の生活を、脅かしていると言っていた。一番の問題は、巨万の富を持つごく一部の国民の反対側には、大多数の貧民層がいることだ。以前いたような中間層は、完全に消えたよと彼は語り、俺もその貧民層の一人さ、と自嘲的な笑いを浮かべていた。そのことは、いまのエジプトでは自然発生的な暴動が、いつ起こっても、不思議ではないということだ。
 次期大統領候補については、至って明快な意見を聞かせてくれた。ムバーラク大統領は終身大統領で死にたい、と考えているため、ガマール(次男)は立候補を明らかにしていないのだ、ということだ。加えて、彼が病弱であることも、その理由だということだ。
 いま大統領候補として話題になっている、元IAEA事務局長のムハンマド・エルバラダイ氏については、長期の外国暮らしのため、彼はすでにエジプト人ではなくなっている。例えば、彼が主催するホーム・パーテイで、突然姿が見えないので、どこに行ったのかと探すと、就寝の時間だから、自室に戻ったということだった。
こんなことは、エジプト人が開くホーム・パーテイでは絶対に起こり得ないというのだ。したがって、彼がエジプトの大統領になる可能性は、ゼロだろうということだ。
 それではムスリム同胞団から、大統領候補者が出るのかというと、もし万が一当選しても、すぐに軍部がクーデターを起こして、その政権を潰すだろう。エジプトは軍部が最大の力を、今でも持っているんだ、ということだった。
 そうなると、候補が予想される誰もが、出てこないことになるが、他方、ムバーラク大統領は最近、歩行に困難があり、講演も支離滅裂に、なってきているという話だ。そうなれば、次に考えられる人物は、軍部からか、ムバーラク家からかということになる。
 友人はこれまで、政治に興味を示してこなかった、ムバーラク大統領の長男のアラーア氏が、最近になって、大統領後継者になることを、意識し始めているようだ。どうも彼がそのことを意識して、動き始めている様子が、うかがえると語っていた。彼の出現で、アラブの大国であるエジプトが、安定した権力の移行が出来るのならば、それに越したことはあるまいということか。
Posted by 佐々木 良昭 at 13:20 | この記事のURL
NO・1741「トルコ・クルドPKKの和解はあるか」 [2010年08月23日(Mon)]
 クルドの政党にDTK(民主社会会議)という組織がある。この組織は正式な政府の認可を受けた組織であり、政治活動の自由も認められている。
 このDTKがいま、大きなトルコの社会変革の、中心になろうとしている。それは、トルコ政府とPKK(クルド労働党)を仲介し、恒久和平を実現しようとしているのだ。それには幾つかの、難問が立ちはだかっているが、意外に前進し、実現する可能性があるかもしれない。
 トルコの与党AKP(開発公正党)はいま、憲法の改正に全力を集中している。それは、トルコの将来に関わる、重大事なのだ。憲法が改正され、軍部がクーデターを起こせなくなり、軍の幹部が入れ替えられれば、与党は安心して政策を、遂行することが出来るのだ。
 AKPが今やろうとしていることは、クルド問題の解決による、トルコ東部の資源開発を、進めることではないか。トルコの東部に隣接しているのは述べるまでもなく、イラン、イラクといった地下資源(石油、ガス)の豊富な国である。
 そのことは、トルコの東部にも石油、ガス資源がある、と考えても不思議はないということだ。その資源を開発するには、クルドとの問題を、解決しなければならない。そうでなければ、資源開発現場を狙ったテロが、PKKによって展開されるからだ。
 つまり、トルコの与党AKPが考えているシナリオは、PKKとの和解を実現することであり、それに先だって、トルコ軍部の反対を抑え込むために、憲法を改正するということであろう。
 DTKは当然のことながら、トルコの与党AKPと、クルドのPKKとの個別の会議を開催し、双方の落とし所を、探っていくということであろう。その場合、PKKもDTKもPKKの議長である、現在マルマラ海の孤島イムラル島に、収監中であるアブドッラー・オジャラン氏の処遇、が第一議題となろう。
 DTKもPKKも、アブドッラー・オジャラン氏の釈放を求めることは、当然であろうし、これまで、PKK関係者ということで逮捕投獄されていた、クルド人の釈放も、同時に求めることになろう。
 それに対し、与党AKTはどう対応するのであろうか。すでに、PKK側はラマダン停戦を発表し、9月20日まで戦闘行為を停止することを、知らしめている。その後については、トルコ軍側が挑発しなければ、停戦延長を考えているようだ。
 トルコの憲法改正投票日は、9月12日であり、その結果が出るのは、9月20日前であろうから、停戦期限が切れる一歩手前には、AKP側からPKK やDTKの求める、妥協案が出てくるかもしれない。そうなれば、トルコの状況は一変しよう。そうあって欲しいものだ。
Posted by 佐々木 良昭 at 16:43 | この記事のURL
NO・1740「イラン攻撃に不安募らせる湾岸諸国」 [2010年08月22日(Sun)]
 イランのブシェール原発に燃料棒が入ることになり「イランが核兵器を持つのではないか?」という不安が、イスラエルのなかでますます高まっている。そのことは、イスラエル軍内部の意見の対立、分裂状況からも推測できる。
 イスラエルはイランの核兵器開発を、武力をもってしても阻止すべきか、アメリカがそれに同調しなくてもやるべきか、イランは本当に核兵器を開発し、それをイスラエルに向けて使用するのか。イスラエルは政府も国民も、いまそのことで頭が一杯であろう。
 つまり、イスラエルは国内では、イラン核開発への不安が高まり、頂点に達した場合、単独でもイラン攻撃を実施する、可能性があることを、否定できなくなっているといことだ。その場合、結果的に、アメリカはイスラエルを放置できず、参戦せざるを得なくなる、と考えるほうが妥当であろう。
 そのイスラエルの不安から来る、イラン攻撃の可能性に対し、ある意味では、イスラエルよりも敏感に、かつ強い不安を抱いているのは、イランに隣接する湾岸諸国だ。
イスラエルがイランを攻撃し、それにアメリカが加担することになれば、ほとんどの湾岸諸国は、アメリカ軍の基地を抱えていることから、戦争に巻き込まれざるを得ないからだ。
 バハレーンとイランとは、歴史的にも宗派的にも、多くの複雑な問題を抱えている。バハレーンのシェイク・ハーリド・ビン・アハマド・ハリーファ外務大臣が、イランを訪問し、アハマド・ネジャド大統領を始めとする、イラン側の高官らと会談している。
 (イランはバハレーンを、自国の領土だと考えているし、バハレーンのイスラム教徒の多くは、シーア派でありイランと同じ宗派なのだ。このため、これまでも何度と無く、イランが背後から支援しているのではないか、と思われる破壊工作が起こっていた。)
その後で、バハレーンのシェイク・ハーリド・ビン・アハマド・ハリーファ外相は「バハレーンはイランを始めとする、地域諸国への攻撃の、前線基地にはならない。}と語った。
そして外相は「アメリカとの防衛合意は、あくまでも防衛目的であり、攻撃が目的ではない。またバハレーンの基地には、攻撃的兵器は蓄積されていない。」とも語っている。また、同外相は「湾岸のアラブ諸国は、押しなべて、いかなる武力衝突も、戦争も望んでいない。}と語った。
これとほぼ時を同じくして、アラブ首長国連邦に駐在する、イランのムハンマド・レザ・ファイズ大使は、イランとアラブ首長国連邦の関係は、確かなものであるとし、エネルギー部門でも協力関係は確かなものになっている、と語っている。(アメリカを中心とした西側先進諸国の、イランに対する経済制裁で、アラブ首長国連邦からイランへの、ガソリンの輸出や通商制限を、させない目的の発言であろう。)
つまり、バハレーンを代表とする、アラブ湾岸諸国はいま押しなべて、イラン攻撃を恐れているということだ。
Posted by 佐々木 良昭 at 15:25 | この記事のURL
NO・1739「アメリカ軍イラク撤退とは言うが?」 [2010年08月21日(Sat)]
 イラクのサダム独裁政権を倒す、そのことによって、WMD(大量破壊兵器)撲滅を果たす、という大義名分で始まめられた、アメリカによるイラク戦争は、2003年3月に以来、今日までに大量の戦死者を、アメリカ軍とイラク軍に生み出した。そしてそれ以後も、駐留アメリカ軍と新生イラク軍や警察に、更なる大量の犠牲者を生み出している。(アメリカ政府の公式発表では、アメリカ軍人は4415名、負傷アメリカ軍人は約32000名、民間の発表ではこれ以上の犠牲とされている。たとえばICHはイラク人犠牲者数を1366350名、アメリカ軍犠牲者数を4733名と伝えている)
 イラクの民間人の死亡者数は、100万人を超えたと伝えられているし、その難を逃れ、イラクの周辺諸国に移り住んだ、イラク人難民の数も何百万人の単位で、報告されている。
 そしてこの8月19日、アメリカ政府はイラクからアメリカ軍戦闘部隊を、撤退させる事を決定し実施した。アメリカ軍は戦闘地イラクからクウエイトに移動を終了したということだ。
 このアメリカ駐留軍(占領軍)のイラクからの撤退は、歓迎すべきことであろう。もちろん、アメリカ軍の撤退後には、多くの危険が待ち受けているため、イラク国民の多数が将来の安全に対する、不安を高めていることであろう。既にアルカーイダは、イラク国内での戦闘活動を拡大していくことを、宣言しているし,アラブ、トルコマン、クルドという人種間の武力衝突や、スンニー、シーアというイスラム教宗派間の衝突もあろう。
膨大な量の石油資源を持つイラクに対し、周辺諸国ばかりではなく、欧米諸国も、イラクに対し新たな食指を、伸ばしてくることであろう。つまり、イラクは今後、多方面からの介入や工作により、ますます混乱の度を増していく、と予測するのが常道であろう。
しかし、いまイラク人が考えなければならないことは、アメリカ軍の駐留によって、国内的な安定が期待できる、という安易な他力本願の考えを、捨てるということだ。自国の安全と安定は、イラク国民自らが、実現していかなければならないということだ。それを行わなかった日本が、大東亜戦争後今日に至ってどうなっているのかを、考えてみれば分かることだろう。
イラク政府と国民は、アメリカ政府が巨額の赤字を抱え、やむなくイラクから軍を撤退させ始めたいまこそ、全面的な撤退を勝ち取るべきではないのか。アメリカ政府はアメリカ軍を撤退させた後に、民間警備会社に対し、多数の警備員(戦闘員)を、イラク国内に送り込むことを決めている。彼らの蛮行は既に、十分イラク国民と政府は認識しているであろう。
加えて、アメリカ軍が今後、イラクの軍や警察を指導する、という名目で残留するが、これも出来るだけ早く撤退させるよう、イラク政府と国民は動くべきであろう。
アメリカ軍は全面撤退を、2011年には実現すると言っているが、それでは何故巨大な軍事基地を、イラク全土に築いたのか。その費用は莫大であろうが、それは何処から捻出して来ていたのか。そして、アメリカ軍が全面撤退することを、アメリカ政府は全く予想せずに、これらの軍事基地を、建設してきたのだろうか。
そうとは思えない、アメリカ政府がアメリカ軍を、イラクから全面撤退するのは,あくまでも臨時的措置だ、と考えるべきではないのか。いまアメリカは他の敵と対峙するために、イラクに大量の軍を投入させてはいられない、ということではないのか(あるいはイランとの戦争に備えて、アメリカ軍をイラクから一時的に、退避させることが目的ではないか?)。
イラク政府はアメリカ軍のイラクからの、完全撤退を実現する方向で、アメリカ政府と交渉すると同時に、アメリカ軍が再度、イラクに派兵されてこないような合意を、取り付けておく必要があろう。そうしなければ、アメリカ政府はこれまでに構築した、アメリカ軍のイラク国内の基地を、何時でも自由に使用できる、状態になってしまうからだ。
そうなれば、イラクは永久にアメリカの占領下に、置かれるということだ。それでは、これまでのイラク人の犠牲は、何の意味も無い、無駄なものになってしまうだろう。
アメリカ政府がイラクから手を引き始めたいまこそ、イラク政府と国民は自分の国の治安は、自分の国民と政府で、確かなものにしていく、という意志を固めて欲しいものだ。そのためには、イラク政府はイラク国内にある、アメリカ軍基地について、正確な情報をイラク国民に知らせることが、先決ではないのか。
Posted by 佐々木 良昭 at 12:26 | この記事のURL
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