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帰国報告 [2010年07月21日(Wed)]
7月20日帰国しました。
ウズベキスタンは想像以上の猛暑??
あそこではそれが普通なのでしょうが。
成果以上に体力の消耗が激しかったような気がします。-----
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Posted by 佐々木 良昭 at 23:01 | この記事のURL
海外出張のお知らせ [2010年07月13日(Tue)]
海外出張のお知らせ
7月14日から22日まで海外出張します。
今度はウズベキスタンのタシケントに行きます。現地は相当暑いようです。
この期間中東TODAYは休ませていただきます
Posted by 佐々木 良昭 at 16:31 | この記事のURL
NO・1703さざ波程度かラリジャニのネジャド非難 [2010年07月12日(Mon)]
 鉄の結束を誇るイラン神権体制のなかで、意見の食い違いが何故、出始めたのであろうか。ハメネイ師を中心とする体制内の体制派と思われる、アハマド・ネジャド大統領とアリー・ラリジャニ国会議長との間で、意見の違いが出始めているようだ。
 アリー・ラリジャニ国会議長に言わせると、いまのアハマド・ネジャド大統領の進める人気取りのための、国家資金のばら撒き福祉政策は、正しくないということになる。
 確かに、アハマド・ネジャド大統領はこれまで、貧者に対する(ムスタザフィーン)福祉として、食料や現金の支給を行ってきていた。そのことは、テヘランのような都会では、ごく限られていたろうし、あまり政治的な効果はなかったものと思われるが、地方の貧しい町村では、それなりの効果を上げてきたようだ。
 昨年実施された選挙で、テヘランではムサビ候補の方が得票したものと思われるが、このアハマド・ネジャド大統領のばら撒き福祉の結果、アハマド・ネジャド大統領が地方で、得票したことは間違い無かろう。
 アリー・ラリジャニ氏は、金や物をばらまくのではなく、仕事ができる環境を創り出すことが、優先されるべきだと語り、絨毯の上に座っているだけで、飯が食えるような状態を、作ってはならないというのだ。
 つまり、石油やガスの輸出による収入だけではなく、石油ガスの輸出で獲得した資金を使い、経済の開発を図るべきだということだ。
 昨年実施された大統領挙の結果発生した、大衆によるアハマド・ネジャド大性に対する抗議行動は、イラン政府の厳しい締め付けの下、現段階では沈静化したように思える。そうしたなかで、なぜ今この時期にアリー・ラリジャニ国会議長が、アハマド・ネジャド大統領批判を始めたのか。
その裏には、われわれでは知り得ない、イラン国内事情があるのではないか。ただ明らかなことは、アリー・ラリジャニ国会議長は大統領候補と目されていた、体制内の何人かのうちの、一人であったということだ。
Posted by 佐々木 良昭 at 17:04 | この記事のURL
アラブ人と日本人の表情の違い [2010年07月11日(Sun)]
 中東諸国に、ほとんど毎月のように出かけるが、帰国するたびに、中東と日本とは、まるで違うという感情を抱く。
 そう言うと「当然だろう日本は中東ではないのだ」とお思いになる方が多いだろう。しかし、私が違うと感じるのは、そのことではない。中東の人たちと日本人とでは、顔かたちが全く異なるし、言葉も宗教も習慣も異なることは、よく分かっているつもりだ。
 私が何かが違うと感じるのは、人々の表情だ。中東の人たちは、一般的に明るい。もちろん国によって違いはあるが「今を楽しんで生きている」という感じを受ける。そして、それと表裏の関係で、悲しみの表情がある。どうしても取り去ることの出来ない悲しみが、同時に彼らにはあるのだ。それが彼らの表情のなかに、ただよっている。
 他方、日本人の表情を見ていて感じるのは、{無気力}{不安}「猜疑}だ。何処か不安を常に抱いていて、周囲を異常に気にし、疑いの目で人を見る人たちが、多いのではないだろうか。そして、その裏返しに、彼我の立場の違いが明確になると、一辺に尊大な態度になり、他方は卑屈になる。
 こうした類の日本人i以外の日本人は「無気力」な日本人だ。特別に何をしたいということもなく、何が欲しいということもなく、ただ生きているという感じが表情に表れている。
 彼らは自分を殺すこと(自殺)も、人を殺すことにも罪の意識を持たず、特別感動的でもないのだ。何も面白いことが無いし、なににも感動しないのだから当然であろう。生きる価値や喜びなど、何にも何処にも感じていないのだ。
日本人の友人たちと話していて、電車の中で見る日本人は、相当数が精神的に、問題があるということだ。外人の友達と話している「日本人は何を考えているのか、分からないから不安だ」と言う人たちがいる。日本人を見ていてそう感じるのは、無理の無いことだろう。
日本人が皆、修行僧のように忍耐の生活を、送るようになったのは、何故だろうか。日本人がもっと気楽に、気さくに、誰とでも話せるようになるには、何が必要なのだろうか。日本人がもっと腹の底から、笑えるようになるには、何が必要なのだろうか、と考えてしまう。
その解決策の一つには、社会的な寛容さや、お祭りがあるのかもしれない。夏祭り、盆踊り、、、。お祭りを地域ごとにやってはどうだろうか。そうでもしないと、日本は皆精神病患者の国に、なってしまいそうだ。現実に、程度の差こそあれ、精神的病気にかかっている人たちは、日本国内に少なくないのだから。
Posted by 佐々木 良昭 at 18:54 | この記事のURL
NO・1702なかなか決まらないイラクの新政府 [2010年07月11日(Sun)]
 イラクで統一地方選挙が3月7日実施されて、既に4ヶ月の期間が経過している。しかし、いまだに新政府は誕生していない。それは、二人の大物政治家同士の対立によるものだ。一人は現首相のマリキー氏、そしてもう一人は元首相のアッラーウイ氏だ。
本来であれば、統一地方選挙で最大の当選者数を出した、アッラーウイ氏のイラーキーヤ党が組閣することになるのだが、イラク議会の過半数に満たなかったことから、組閣できないでいる。
その間には、マリキー首相の側と思われる、アッラーウイ派の当選議員暗殺が、何度か繰り返された。当選議員を殺してしまえば、結果的マリキー首相の政党が最大政党となり、組閣の権利を得るということであろうか。
しかし、そうした暗殺が行われても、マリキー首相がすんなり組閣できる環境には無い。その他の党がどちらに付くべきなのか、状況を見ているということのようだ。
これまで、マリキー首相とアッラーウイ氏が話し合いで、連合政府の結成に進むかに見えたが、双方ともに首相職を譲る気配が無かったことからか、連合政府は誕生していない。
アッラーウイ氏は首相職、国会議長職、大統領職をマリキー氏と分配して、連合政府の結成を考えているが、そうなると、クルドが大統領職を失う可能性があることから、黙ってはいない。
業を煮やしたイラクの宗教家たちが、両者を批判するという場面もあったが、その効果は出ていない。ハキーム師ばかりか、最大の宗教指導者シスターニ師までもが、苦言を呈している。
サドル師にいたっては、自分たちの仲間内で、誰が一番首相職に就くべきかを、投票したりもした。それは言ってみれば、人気投票のようなものであろう。そのこと自体が、首相選出に影響を与えるとは思えないが、混乱させる効果があることは、事実であろう。
アッラーウイ氏は8月までには、組閣が成功すると語っているが、それは再度、マリキー首相と要職の配分を交渉して、連合政府を成立させるのか、あるいは暗殺によるのか、全くわからない状態だ。
どの党がイラクの新政府を牛耳るのかをめぐって、混沌とするなかで、イラク国内では再度、テロが増加してきている。その犠牲者の数は当分の間、増え続けるのだろう。政治家の莫大な利益をめぐる争いが、力の無い庶民を犠牲にして、続いているということだ。
Posted by 佐々木 良昭 at 18:43 | この記事のURL
NO・1701欧米で始まったトルコ重視 [2010年07月10日(Sat)]
 最近のマスコミの報道を見ていると、これまでとは違った傾向が見られる。それは、トルコに対する見方が、好意的になってきているということだ。これまでは、ヨーロッパ諸国ではトルコが毛嫌われていたし、ドイツなどではトルコ人に対する、放火殺人事件さえも起こっていた。
 ヨーロッパ諸国のトルコに対する、対応が厳しかったのは、トルコがオスマン帝国の末裔であり、一時はウイーンの近くまで、攻め入られたという、歴史的な背景があろう。
 加えて、第二次世界大戦後は、トルコからのドイツを始めとした、ヨーロッパ諸国への不法労働者の、流入問題があったろう。そして、彼らはトルコの文化そのものを、露骨に持ち込んでいたことも、問題であったろう。
 キリスト教社会のなかに、イスラム教の習慣を持ち込まれることは、嫌悪の原因であったとも思われる。しかし、次第にヨーロッパに居住する、トルコ人たちが垢抜け、あまり宗教的習慣を、重視しなくなってきたことや、各国の現地語を話せるようになったことなどが、少しずつ誤解を氷解させているのかもしれない。
 こうした時間のかかった変化が、トルコ人とヨーロッパ人双方から起こり、最近では、トルコが経済的に力を増してきたこともあり、ヨーロッパ人のトルコを見る目が、変わってきたのであろう。
 ギリシャの経済危機では、トルコはエルドアン首相と経済代表団が、大挙してギリシャを訪問し、支援の手を差し伸べている。EU全体が経済支援で苦しんでいるときだけに、これは相当いいインパクトを、与えたものと思われる。
 そうしたこともあってか、アメリカはヨーロッパ諸国に対して、トルコを受け入れるべきだと主張し始め、これに呼応するように、ドイツの外相がトルコを重視する旨の、発言をしている。加えて、NATO のトップもトルコに対して、EUはアン・フェアーだと言い始めている。
 トルコに対するアメリカの重視は、戦略的なものであろう。イラク、アフガニスタン、イランへの対応、シリアやパレスチナ、イスラム諸国への対応の上で、トルコはアメリカにとって、力強い味方であろう。
 ヨーロッパにとっては、フロテッラ号事件(トルコがガザに送った支援船で、イスラエル・コマンド部隊の攻撃を受け、トルコ人が犠牲になっている)や、その前のダボス会議以来(2009年)、ヨーロッパ諸国がイスラエルに対して言えなかったことを、トルコのエルドアン首相がはっきり言ってくれたことで、心の底では溜飲を下げているのではないだろうか。
 もちろん、トルコの経済改善に向けたエネルギーは、ヨーロッパにとって脅威であると同時に、強い味方でもあるのではないか。トルコに対するこうしたアメリカやヨーロッパ諸国からの評価は、当分変わらないのではないだろうか。
Posted by 佐々木 良昭 at 23:06 | この記事のURL
NO・1700イラン姦通罪の女性石打ちの刑逃れるか [2010年07月09日(Fri)]
 イランで行われている裁判で、いま世界的な話題になっている事件がある。それは姦通罪を犯した女性が、石打ちの刑に処せられるかどうかということだ。
 石打ちの刑とは、既婚の女性が夫以外の男性と通じた場合に、あてはめられる罰であり、首から上だけを地上に出し、首から下は土中に埋められて、投石で殺されるという形だ。
 この刑はむごいもので、あまり大きな石では、一つ当たれば失神するか死亡するので、それほど大きくない石を投げつけて、徐々に痛い思いをさせ、かつ苦しませながら、殺すというものだ。実に非人間的な処刑の仕方だ。
 このため、世界中から非難の声が上がっている。イギリスなどは外務大臣までもが、石打ちの刑によって処刑をすべきでない、と非難しているほどだ。確かにその通りであろう。残念ながら、日本ではニュースそのものが、伝えられていない。したがって、政府の要人がこれを、非難するということもない。
 さて、この女性はどうして石打ちの刑という、極刑に処せられそうになったのだろうか。彼女の名前はアシュテアーニ、43歳写真で見る限り、相当の美人だ。一度結婚したが、夫は殺されて現在は寡婦だ。もし、彼女が寡婦なら鞭打ち100回で済んだのだが、そうはいかなかった。(彼女には一度、99回の鞭打ちの刑が、判決として下されていた)
 彼女は夫が健在であるときから、二人の男性と関係があったことが証明され、既婚女性の姦通罪が適用されたのだ。そのため、鞭打ちの刑から、石打ちの刑に、格上げされてしまったのだ。
 彼女の息子が何度も刑務所を訪ねて母親に会い、助命嘆願をしたこともあり、世界の非難もあってか、どうやらアシュテアーニ女史は、石打ちの刑だけは、免れたようだ。だからと言って、彼女に対する死刑判決が、覆されたわけではない。単に処刑方法が変わっただけなのだ。
 さて、このアシュテアーニ女史なる女性は、悪女なのだろうか、あるいは、家庭が貧困であったことが、彼女を追い込んだのであろうか。あるいは、若い日の関係が、続いていたのであろうか。そのことまで知る術はない。 
 日本でならば、お茶飲み程度のことが、ところ変われば、最も残忍な処刑方法に至るのだ。他人に言えた義理ではないが、日本人にも、もう少しモラルがあっても、いいのかもしれない。
Posted by 佐々木 良昭 at 16:38 | この記事のURL
NO・16099月は大決断の月になるか・米イラン関係 [2010年07月08日(Thu)]
 イラン政府が核燃料濃縮問題などで、8月末までは何も発表しない、という趣旨のニュースを流していた。同じように、アメリカ政府も9月までは、様子見といった感じの、情報を流していた。
 その二つのニュースを目にした時、9月までというのは何を意味するのか、といぶかっていたが、やっとその答えらしいものが出てきた。イランは8月末に、ラサド1という衛星を打ち上げることを、発表したのだ。
次いで、イラン政府は9月にブシェール原発に、燃料棒を入れることを発表した。この結果、イランの原発は実際に動き出すわけであり、外国はこの原発を阻止することは、実質的に出来なくなる。もし、攻撃して破壊するようなことをすれば、放射能が周辺に拡散するからだ
イランが衛星を打ち上げるということは、長距離ミサイルを持っている、ということと同じ意味だ。ミサイルに搭載するものが衛星であれば、平和利用のロケット(ミサイル)であり、爆弾を搭載するのであれば、たちまちにして戦争用のミサイルに、早変わりするということだ。
イランのこの二つの発表は「我々は長距離ミサイルを持ったし、核兵器開発まで、あと一歩のところまで達しているぞ。」という警告であろう。したがって、アメリカやイスラエルを始めとする、イランに敵対的な国々は、覚悟して対応しろ、ということであろう。
他方、イスラエルはネタニヤフ首相が訪米し、オバマ大統領との間で、イラン問題、パレスチナ問題、レバノンのヘズブラ問題などを話し合った。その結果は、「アメリカはイスラエルの安全保障に関連する行動を反対しない。」というものだった。
つまり、イスラエルが必要に応じて、イランを攻撃するとしても、それをアメリカは止めないということだ。これまでのアメリカのスタンスは、イスラエルが勝手にイランを攻撃することは、認めないというものであっただけに、これはイスラエルにとって、好都合なものであろう。
これに呼応するように、アメリカ政府も必要があれば、イランに対して軍事行動を採ることも、やぶさかではないという声明を、発表している。つまり、イランに対するイスラエルとアメリカの立場は、似通ってきており、危険度が高まったということだ。
イランは長い歴史を持つ国であり、あらゆるチャンネルをアメリカ政府との間に持っている、とある在日イラン外交官は豪語していた。その通りであれば問題はないのだが「上手の手から水が漏れ。」という言葉が日本にはある。
 アメリカやイスラエルの挑戦的な言辞に、イランが挑戦的な言葉で応酬することが、大きな問題に発展するようなことが、あってはなるまい。いま、アメリカは秋に選挙を控えていることから、イスラエル(ユダヤ・ロビー)に対するサービスが、重要になってきていることを、イランは計算に入れるべきではないのか。
Posted by 佐々木 良昭 at 16:11 | この記事のURL
NO・1608やっと聞こえ始めたムバーラク大統領の本音 [2010年07月07日(Wed)]
 今年の3月、突然エジプトのムバーラク大統領が、ドイツを訪問し、手術を行った。胆のう摘出手術であろう、という噂が流れたが、彼の病気の詳しい情報は、いまだに出ていない。
 以来、シナイ半島のシャルム・エルシェイクで療養生活を送っていたが、エジプト国内でムバーラク大統領は復帰が無理であろう、という情報が流れ始めると、老骨に鞭うってカイロに戻り、執務に復帰した。
 最近では、アルジェリアのブーテフリカ大統領の、兄弟の葬儀に出向き、その後、フランスを突然訪問した。フランスのパリでは、サルコジ大統領と会見し、レバノンのハリーリ首相にも会っている。
 しかし、この二つの会見はムバーラク大統領が、健在であることを示す、写真撮影に目的があったのではないかと思われる。
 このムバーラク大統領の突然のパリ訪問の目的は、実のところ、彼の健康診断にあったと言われている。ドイツでの手術後、定期的に精密な、その後の病状検査が、必要だとされていたからだ。
 ムバーラク大統領は癌にかかっているという噂と、それ以外にも、病気を抱えている、という噂がもっぱらだ。彼の年齢が83歳(日本人の93歳に相当)である事を考えれば、当然、身体の何処かが悪いということになろう。
 そこでいま話題になっているのは、彼の二男ガマール・ムバーラクが、来年の大統領選挙に出馬するのか、あるいはムバーラク大統領が、再度立候補するのかということだ。
 ムバーラク大統領は来年の選挙には立候補しない、という比較的信頼度の高い情報が流れ始めると、二男のガマール・ムバーラク氏が、活発な動きを見せ始めている。彼は人権尊重、民主化、汚職追放などを、スローガンに掲げ始めている
 彼は与党(NDP=国民民主党)の国家政策委員会のチーフを務めているが、彼の大統領立候補を支えるのは、オマル・スレイマーン情報長官であろう、と言われている。オマル・スレイマーン情報長官はこれまで、ムバーラク大統領の身辺警護の、最高責任者の立場にあり、ムバーラク大統領を何度かの暗殺から、未然に防いだ功績がある人物だ。
 しかし、エジプト国民の間では、オマル・スレイマーン情報長官の評判は決して良くない、陰湿で冷血な人物、というのが彼に対する一般的な評価だ。
 彼が支援し、ガマール・ムバーラク氏が大統領に立候補した場合、ガマール・ムバーラク氏の評判も良くないことから、支持はますます下がるのではないかと懸念される。
 そこで、立候補が噂されている、ムハンマド・エルバラダイ氏(元IAEA事務局長)だが、現行憲法ではほとんど立候補が無理だ。彼は何とか立候補しようと、支持者の取り付けに狂奔している。
エジプトの大統領選挙は来年に迫っているが、いまだに誰がムバーラク大統領の、後継者になるのかは予想が難しい。来年のことを言うと鬼が笑うそうだ。
Posted by 佐々木 良昭 at 15:12 | この記事のURL
NO・1607シリア・アサド大統領戦争勃発を懸念 [2010年07月06日(Tue)]
 シリアのアサド大統領が、スペインのマドリッド市を訪問中に、中東戦争勃発の、懸念を語っている。アサド大統領のこの発言は、単なる懸念ではなさそうだ。
 中東戦争と言えば、もちろん、イスラエルとアラブの一国、あるいは複数国の間で起こる戦争だが、アサド大統領は戦争勃発の懸念の第一に、イスラエルとトルコとの、関係悪化を挙げている。
 これまで、イスラエルとシリアとの緊張に、トルコが両国の和平に仲介の労を、採ってきていたために、緊張は戦争暴発に至らずに済んできた。
しかし、ガザへの支援のためのフロテッラ号に対する、イスラエル・コマンド部隊の襲撃で、トルコ系アメリカ人一人を含む、9人のトルコ人が殺害されて以来、イスラエル・トルコ関係は、最悪の状態にある。
トルコ側はこの問題の処理に、イスラエル側の謝罪を要求したが、イスラエル側はこれを拒んでいる。トルコは謝罪がイスラエルによってなされない場合は、国交断絶ということもありうる、と強硬な対応を崩していない。
これでは、イスラエルとシリアとの和平の仲介を、トルコが果たすということは、期待できないのが当然であろう。
戦争を起こすとすれば、最初に挑発するか攻撃するのは、イスラエルであろう。イスラエルにはいま、戦争を周辺諸国との間で始めたい、幾つもの理由があるのだ。
それらは、シリアの兵器装備が進んでいること。レバノンのヘズブラが2006年の戦争時以上に、兵器を蓄えていること。そして、シリア・レバノン・ハマースとイランとの連帯がある。この状況を壊すには、レバノンかシリアに対する、徹底的な軍事的勝利が必要であろう。
それ以外にも、イスラエルが戦争を起こしたい理由がある。イスラエルはレバノン沖の海底ガス田を、全部抑えたいと考えている。このガス田はイスラエル沖から、レバノン沖まで伸びる長大なものであり、ガスの埋蔵量は莫大だと言われている。(埋蔵量はタマルガス床が8兆5千億立方フィート、リバイアサンガス床は16兆立方フィートと言われている)
イスラエルはかつて、レバノンのリターニ川の水源を確保するために、レバノンの南部を占領していていたが、ガス資源をめぐっても、同じ手口を使うかもしれない。そのためには、いち早く開発に着手し、レバノン沖からガスが出るようになった場合は、盗掘だと主張するのであろう。またレバノン南部の占領は、このイスラエルの主張を、実質的に補強することにもなろう。
レバノンのヘズブラやシリアは、正直なところ現段階で、戦争をしたいとは考えていまい。だからこそ、シリアのアサド大統領が、戦争抑止のために戦争の懸念を、声高に世界に訴えているのであろう。
Posted by 佐々木 良昭 at 15:03 | この記事のURL