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NO・1713エジプトでは大統領選挙前のインターネット戦争激化 [2010年07月31日(Sat)]
 エジプトでは来年の大統領選挙の前哨戦とも言える、人気投票(支持投票)がインターネットを通じて、いま盛んに行われている。
 パソコンのインターネットを通じて行われている、支持のサイン集めと携帯電話を使っての、フェイス・ブックとがその中心になっているようだ。
 ムハンマド・エルバラダイ氏を支持するムスリム同胞団が、最初にこのキャンペーンを仕掛けたのだが、これはエジプトの若者の間で、爆発的な人気を呼んだようだ。
 このインターネットとフェイス・ブックを通じた、支持のサイン集めは瞬く間に、25万人以上のサインを集めた。主催者側のムスリム同胞団は、100万人まで集める、と大張り切りだ。
 これに後れを取ったガマール・ムバーラク氏は、巨大な看板やポスターで後追いながらも、宣伝活動を始めたが、やはりインターネットやフェイス・ブックでも、活動を展開し始めたようだ。
 このガマール・ムバーラク氏への、ネットを通じた支持サインは、初日で1600しか集まらなかったようだ。それは、ガマール・ムバーラク氏に対する支持が少ないというよりは、作戦面でムスリム同胞団が勝っている、ということであろう。
 ガマール・ムバーラク氏のポスターなどには「イスラムの満月」とか「夢が現実になることを望む」といったスローガンが書かれてあるということだが、少し古いフレーズなのではないか?
 もちろん、このインターネットを通じた、支持集めの結果が、直接大統領選挙に影響を与えるものでは無いことは、誰にも分かろう。ただ、ムハンマド・エルバラダイ氏に対する、支持サインが大量に集まった場合、大統領選挙で敗北しても、不正選挙であったというクレームをつける、有力な材料にはなろう。
 あるいは、大量の支持サインを集めることによって、ムハンマド・エルバラダイ氏は国際社会に、彼の大統領立候補への道が開かれるよう、支援を訴えるのかもしれない。(現状では彼は大統領選挙に、立候補できない)
 エジプトの大統領選挙は来年であり、まだ1年ほどあるが、現段階で既に相当熱くなっているということであろう。一時期はムバーラク大統領の、再立候補の噂も流れたが、どうやら彼は自分の次男に、道を明け渡す気になっているのではないか。
 今後注目されることは、ムスリム同胞団が世界的に知られる、ムハンマド・エルバラダイ氏を表看板に立てて、エジプトの現体制と世界に挑戦してくるということだ。ムスリム同胞団はエジプトでは非合法な組織であり、世界的にはイスラム原理主義に近い組織、という認識であろう。その挑戦をエジプトと世界は、どう受け止めるのか。そして、そのことを、主役であるムハンマド・エルバラダイ氏は、何処までムスリム同胞団の真意を、理解しているのか。
Posted by 佐々木 良昭 at 23:00 | この記事のURL
NO・1712ついに出た・ガマール大統領後継者の宣伝大看板 [2010年07月30日(Fri)]
 エジプトのカイロ市に、ムバーラク大統領と彼の二男ガマール・ムバーラクの拡大写真が貼られた、大看板が登場した。「信頼できる人物」というコメント付きであり、これは明らかに、ガマール氏を次期大統領に推薦する、という意味のものだ。
 この大看板だけではなく、同種の写真のポスターが、カイロ(それ以外のところでも、出ているものと思われる)中の喫茶店や、レストランに張り出されようだ。それが及ぼす効果がどう出るのか、効果大とする見方と、その逆の結果を生む、という見方があろう。
 世界の大都市の住民と同じように、エジプトの、特にカイロやアレキサンドリアといった大都市の市民は、相当高い政治意識を持っている。そうした市民の前に、このポスターが貼り出されるということは、逆効果につながる可能性も、否定できないのではないか。
 レストランや喫茶店に張り出されたポスターについて、このニュースを報じたアルクドス・ル・アラビー新聞は、誰が貼ったのか分からないとしているが、店主の許可を得て、あるいは強要して貼らせたのであろうから、誰か分からないということはあるまい。それを敢えて、明らかにしていないだけであろう。
 単純に考えれば、ガマール・ムバーラク氏の友人たちの、若手実業家のグループが、行ったものと思われる。
 もちろん、別の受け止め方も出来よう。エジプト国民は国内政治の混乱を憂いており、ガマール・ムバーラク氏が次期大統領と決まれば、ほっとするかもしれない、という判断もなりたとうというものだ。
 しかし、その通りに好結果を生むかどうかは、いまのところ分からない。少なくとも、ガド(明日=未来)党などは、激しくこれを非難している。場合によっては、政府とムバーラク大統領、そしてガマール・ムバーラク氏を非難する、格好の材料にされてしまうかもしれない、という不安はある。
Posted by 佐々木 良昭 at 16:17 | この記事のURL
NO・1711パレスチナ国家は西岸に?ヨルダンに? [2010年07月29日(Thu)]
 突然のネタニヤフ首相のヨルダン訪問は、現地では話題を呼んでいるようだ。当然のことながら、誰もがその理由が何なのかを、考えるであろう。報道されたように、パレスチナ和平に向けた、ヨルダンへの協力要請であった、という考えもあろうが、それ以外にも、いろいろな理由が考えられる。
 ヨルダンのパレスチナ人の間から、意外な意見が出てきているので、ご紹介しておこう。この意見を読むと、多分に今後のパレスチナ・ヨルダンの状況が、見えてきそうな気がするいからだ。
 このパレスチナ人の考えでは、ネタニヤフ首相がヨルダンを訪問したのは、彼が西岸の土地(イスラエルの土地)をあきらめ、そこにパレスチナ国家を建設するために、ヨルダンのアブドッラーU世の協力を、仰ぎに来たというのだ。
 この判断(情報)を語ったのは、ヨルダンに居住するパレスチア人だが、彼はヨルダンにパレスチナ国家が、建国されることを希望しているということだ。 
パレスチナ人にしてみれば、やがてはイスラエルが、西岸地区も併吞してしまうのだから、西岸にパレスチナ国家を建設する、という前提の和平交渉は、何の意味も持たない。それならば、ヨルダンをパレスチナ国家に変えてしまった方がいい、ということなのであろうか。
では何故この段階で、ネタニヤフ首相が西岸地区にパレスチナ国家を、しかも、早急に建国することを考えるようになったのか、という疑問がわいてくる。それは、アメリカのオバマ大統領のイスラエルに対する、圧力が強くなってきていることによるのではないか。
かつて、強硬派だったシャロン首相が、最終的にはガザ地区を放棄し、パレスチナ人に返還したことがある。それは、肉を切らせて骨を断つ、という究極のサバイバル戦法だったのであろう。
そして今、ネタニヤフ首相も同様の戦法を、採る決断をしたのであろうか。そして、それはヨルダンがハーシム王家として、生き残ることにも繋がるのであろうか。
世界政治はそれ以上に複雑なのかもしれない。イスラエルのネタニヤフ首相は、パレスチナ問題の解決(撲滅)に、一旦は身を引いたヨルダン王家を、再度巻き込もうとしているのかもしれない。
ヨルダンのハーシム王家がパレスチナ問題に再度関与し、西岸の状況が複雑化し、大量の難民が西岸地区からヨルダンに逃れてくる。それをハーシム王家は拒むことができなくなる、、、。悪夢は常に頭上にあるということではないのか。
Posted by 佐々木 良昭 at 16:26 | この記事のURL
NO・1710エジプト政府イラン国会議員にビザ発給拒否 [2010年07月29日(Thu)]
 エジプト政府は、4人のイランの国会議員が、エジプト経由でガザを訪問しようとし、ビザの発給を求めたとことに対し、4人にビザ発給拒否という対応を採った。
 イランの国会議員に、何故ビザの発給が拒否されたのかについての、詳しい説明は無いが、おおよその見当はつこう。
 イランの国会議員がガザに入ることは出来ば、当然、ハマースは彼らを大歓迎し、イランとガザのハマースとの、友好、協力、連帯が叫ばれよう。そのことは、ハマースを元気づけ、ハマースの主張の正当性を、強めることになろう。
 エジプト政府とイラン政府との間は、決して良好な関係にあるわけではない。イランのシーア派イスラム教の、アラブ世界への影響力の浸透と拡大を、他のアラブ諸国と同様に、エジプト政府も恐れている国の一つだ。
 不満を抱くアラブの大衆の多くは、イランの強硬な立場を支持しており、そのアラブ大衆が、イラン支持を強めるに至ったのは、2006年に起こった、レバノン戦争の結果による。レバノンのヘズブラによる、イスラエルに対する、精神的な戦争での勝利は、アラブ大衆の鬱積した感情を、鼓舞したのだ。
 イランの国会議員や外交官が、アラブ諸国を自由に動き回れるということは、結果的に、彼らの宣伝工作に機会を与え、支えることになるわけであり、エジプト政府としては、認められなかったということであろう。
 エジプト政府の現在の、中東和平に向けたスタンスは、マハムード・アッバース議長を代表とする、パレスチナ自治政府を中心とする、和平の模索であって、ハーリド・ミシャル氏をリーダーとする、ハマースの強硬路線を貫く、和平交渉のスタイルではないのだ。
 今回、イランの国会議員がエジプトから、ビザを支給されなかった結果、彼らのガザ訪問は失敗したわけだが、このことについて、イラン政府は真っ向から、エジプト非難を始めるのではないか。当然、ガザのハマースもエジプトの対応を、非難することになろう。
 そのことは、エジプトの内政にも影響していくであろうから、イランの国会議員たちは、あるいは、ガザ訪問に隠されていた、当初からの目的を、達成したのかもしれない。エジプト国内はいま、それだけ不安定だということだ。
 エジプト政府はガザにつながる、ラファの回廊に設けられている、ゲートを閉鎖し続けてきたが、トルコの送ったガザ支援船事件を機に、開かざるを得なくなっていた。今回は、より広範に渡り、ガザ通過のためのビザの発給という、もう一つの扉を開かせるかもしれない。
Posted by 佐々木 良昭 at 13:47 | この記事のURL
NO・1709キャメロン英首相のリップ・サービス? [2010年07月28日(Wed)]
 トルコの首都アンカラを訪問した、イギリスのキャメロン首相は、エルドアン首相との共同記者会見の席で、信じられないような、激しいイスラエル非難の演説を行っている。
 キャメロン首相は、パレスチナのガザ地区が刑務所(収容所=オープン・キャンプ)になっていると発言したのだ。そして「ガザには3年にも渡って、食料や医薬品、燃料、基礎生活物資が持ち込めない状態になってきている。」と非難した。キャメロン首相は「ガザ地区がこのような、収容所のような状態に置かれるべきではない。」とも語っている。
 同時に、トルコのEU加盟問題についても、トルコがこれまでNATO の一員として、欧州を防衛に寄与してきているし、アフガニスタンでも応分の活躍をしてきているのだから、EUはトルコの加盟を認めるべきであり、それが遅延することは、トルコにとって不満の鬱積となっている、とも語っている。
 加えて、イスラエルが軍の特殊部隊を送り、公海上でトルコからのガザへの支援船を急襲したことについても、許されるべきことではない、と非難した。
 さて、こうした発言内容はイスラエルにとって、極めて不利なものであるが、何故キャメロン首相がここまで言及したのか、という疑問がわいてくる。もちろん、トルコを訪問している中での発言であることから、少しリップ・サービスの部分もあるだろうが、それにしても非難の内容が、イスラエルにとって不快のレベルに、達するものではないか。
 このキャメロン首相の発言をあくまでも、訪問先国でのリップ・サービスとして受け止めるか、あるいは、イギリス国民の間に広がる、反ユダヤ、反イスラエル感情を意識したものなのか、じっくり考えてみる価値がありそうだ。
 ガザに対するイスラエル軍の連続的な攻撃は、ガザ戦争が終わった今日も、継続して行われている。そのことに加え、トルコの支援船フロテッラ号に対する、イスラエル軍特殊部隊の急襲があり、9人の犠牲者を生み出した。このこともキャメロン首相の、非難の対象になっている。
 イスラエル側はキャメロン首相の非難を受け、ガザはテロリストの巣窟であるから、オープン・キャンプだと、当然のことだという、開き直りの返答をしているが、それだけでは済まされないのではないか。
イギリスの首相が正面切って、イスラエルのガザ対応を非難したということは、ヨーロッパ各国にも影響を及ぼす、可能性があるのではないか。そうだとすれば、それはアメリカにも飛び火し、イスラエルやユダヤ人は苦しい立場に、追い込まれるかもしれない。
Posted by 佐々木 良昭 at 16:04 | この記事のURL
NO・1708ヨルダン王国の将来に不安は無いのか [2010年07月28日(Wed)]
以前にも、ヨルダン王国の将来に不安がある、という内容の原稿を書いたが、最近になって、中東のジャーナリストとして世界的に著名なロバート・フィスク氏が、同様の内容の記事を書いている。
 ヨルダンは元々ヘジャーズのハーシム王家の王子が、イギリスによって連れてこられ手設立された王国であり、ヨルダン王家はもともとの、ヨルダンの住民ではなかった。つまり、イギリスの植民地政策が生み出した、人口の王国ということになる。
 その人口の王国が、ヨルダンに出来て以来、今日まで安定して存在してこれたのは、ヘジャーズから移ったハーシム家が、イスラム教の預言者の末裔であることが、大きな理由だった。
 ヨルダンに居住していたベドウインたちは、預言者の末裔ということで、高い評価をし、自分たちの王に収まってくれることは、極めて名誉なことだと認識し、歓迎したのだ。
 既に死亡したフセイン国王は、危機に遭っては、ベドウインの部落に逃げ込み、またあるときは、ベドウインの部落に滞在することによって、心の安寧を得たと伝えられている。つまり、ヨルダンの王家はベドウインたちによって守られ、支えられてきたということだ。
 しかし、イスラエルの拡大政策が、ガザやヨルダンア川西岸地区から、多くのパレスチナ人を追放した結果、ヨルダンに居住するパレスチナ人の数が、激増している。湾岸戦争時も、多くのヨルダン・パスポートを所有するパレスチナ人が、ヨルダンに逃げ込み定住している。
 そればかりではない、そのパレスチナ人の多くが、ヨルダンの国籍を取得し、国の要職に納まるようになった。ヨルダンも国会議長はパレスチナ人、法律部門のトップもパスチナ人、アカバ経済特別区のトップも、パレスチナ人だというのだ。
1988年から現在までに、195万人のパレスチナ人が、ヨルダンの市民権を取得し、85万人が不法に市民権を得ているということだ。またヨルダン川西岸地区からは、合法的にヨルダンに入国し、市民権の無いままに、居住しているといことだ。加えて、ガザ地区からも30万人のパレスチナ人が、ヨルダンに移り住んでいるということだ。
このような状況の推移には、幾つかの理由があろう。世界の何処でも起こる現象だが、ガザ地区やヨルダン川西岸地区よりも、ヨルダンの方が経済的に豊かであり、より自由だということであろう。
またアメリカやイスラエルが進める、ヨルダンに対する民主化の、押し付けの結果であり、ムスリム同胞団の議会での、影響力の拡大にもよろう。こうした状況を危険だと考えているのは、退役軍人たちだということのようだが、もし彼らの不安が拡大していけば、軍事クーデターのようなことも、起こりうるということではないのか。そうなると、元皇太子だったハサン王子が、どのような役回りをするのか、興味がもたれるところだ。
Posted by 佐々木 良昭 at 01:23 | この記事のURL
NO・1707 社会復帰するオスマン帝国末裔 [2010年07月27日(Tue)]
 第一次世界大戦を機に崩壊した、オスマン帝国(トルコ共和国の前身)の末裔がいま、トルコ国内でその存在を、再度明らかにし始めている。それは、オスマン帝国シンポジュームの開催がきっかけだった。
 このオスマン帝国シンポジュームには、元オスマン帝国支配下にあった、15の国々が参加した。同時に、オスマン帝国の習慣や文化が公表されもした。
 この中で、オスマン帝国の末裔であるオルハン・オスマンル氏は「オスマン帝国はケマル・アタチュルクについても、トルコ共和国についても、何も誹謗するような発言をしたことがない。」と語っている。
 オスマン帝国の末裔の最長老者であった、エルトールル・オスマン・オスマンル氏は、1912年にユルドズ王宮で誕生し、97歳で死亡している。このオスマン帝国の末裔たちには、1974年に人権的保護が約束され、オザル大統領の時代、1985年にはトルコの市民権が与えられている。
 その後、エルドアン首相とギュル大統領は、アメリアにあるオスマン・オスマンル市の自宅を訪問している。そして、彼らにはトルコのパスポートが渡されもした。
 オルハン・オスマンル氏はハ―ルーン・オスマンル氏の子息として、1963年にダマスカスで生まれた。
 現在、オスマン財団がフランスのパリに設立されているが、オルハン・オスマンル氏はイスタンブールにも、同様の財団を設立したい、と望んでいるということだ。彼はオスマン帝国の650年の歴史を、消し去ることはできない、と語っているが、私も同意見だ。
 トルコのなかでは、世俗派はオスマン帝国の歴史を否定し、イスラム派と呼ばれる人たちは、逆にケマル・アタチュルクの貢献を、否定する傾向にある。トルコで何度か講演を依頼された折に、何時も訴えたのは、オスマン帝国の歴史もケマル・アタチュルクが創り上げた、トルコ共和国の歴史も、否定できない、トルコ国民の歴史なのだということだ。
 そうした冷静な自国の歴史を見直す考え方が、最近のトルコには出てきたということであろうか。そうであってほしいものだ。
Posted by 佐々木 良昭 at 17:17 | この記事のURL
NO・1706やはり気になるイラン攻撃 [2010年07月26日(Mon)]
 イランに対する、アメリカ軍による軍事攻撃の可能性は、アメリカ政府の高官の口から何度もありえない、という否定的な意見が述べられてきたし、中東問題や軍事の専門家も、同様の意見を述べる者が多い。
 しかし、ここにきて、元CIA長官のミシェル・ハイデン氏が、イランに対する攻撃をアメリカが実施するには、条件が整ってきている、という内容の発言をし始めた。
 彼の考えでは、イランに対する、アメリカ軍による軍事攻撃には、十分な正当性が出来てきたというのだ。もともと、アメリカにとって、イランに対する軍事攻撃という選択肢は、最優先ではなかったのだが、イランの頑なな姿勢と、核兵器開発につながる一連の動きが、イラン攻撃を正当化するに至った、というのだ。そして、それを世界は支持するという結論に、アメリカは達しているのかもしれない。
 こうしたアメリカ側の判断のもう一方で、イスラエルはサウジアラビアとの軍事協力を進めている、という情報が流れてきている。イスラエルのモサド長官メイル・ダガン氏が、サウジアラビアを秘密に訪問し、サウジアラビア側の情報、軍関係者と話し合ったというのだ。もちろん、その内容は知るべくもないが、イラン攻撃に関連するものであることに、間違いあるまい。
 イスラエルとサウジアラビアとの軍事協力については、以前もお伝えしたが(サウジアラビアのタブーク基地に、イスラエルが軍事物資を集結し始めている)、一般的には、イスラエルが流したデマ情報とされてきた。
 しかし、アラブ首長国連邦の駐米大使が語ったように「湾岸諸国にとってはイランが核兵器を保有することは、イスラエルの核兵器よりも、喫緊の脅威だ。」というのが、湾岸諸国共通の本音であろう。
 だからこそ、トルコのダウトール外相やブラジルのセルソ外相が、イランを訪問し、何とかEUとの話し合いを再開させよう、としているのであろう。イランの核問題は沈静化しているのではなく、ますます危険性を高めてきているのだ、という判断をすべきではないのか。少なくとも、イスラエルがイランを攻撃する可能性は、いまだに非常に高いのだから。
Posted by 佐々木 良昭 at 15:43 | この記事のURL
NO・1705イスラエルとギリシャの関係改善は名目だけか [2010年07月26日(Mon)]
ギリシャのパパンドレ首相がヨルダンア川西岸地区のマハムード・アッバース議長を訪ねる途上、イスラエルのネタニヤフ首相と会談している。
そこでは、イスラエルとギリシャとの関係改善が話し合われ、今後両国は双方にとって必要な、種々の面で関係強化を図ることを合意したということだ。
しかし、これは同床異夢なのではないか。イスラエルにしてみれば、ギリシャが経済危機の中で、トルコとの関係を強化する動きに出ていたことを受け、イスラエルとギリシャとの関係を、トルコ以上に強化する都合が、あったからであろう。
しかし、そうは言っても、イスラエルにはトルコのような、ギリシャに対するダイナミックな、経済協力は出来まい。トルコの場合は官民が一体となって、外国との間の経済協力を推進しているが、イスラエルにはそれだけのパワーが、無いのではないか。
イスラエルにできることは、ユダヤ・ネットワークを使い、ギリシャに対する世銀やIMFによる、経済支援ぐらいなものであろうが、実際の効果は、あまり期待できないのではないか。
そうなると、ギリシャ側は表面上はイスラエルとの関係強化に合意しても、何も期待できない以上、イスラエルをトルコに優先させることはあるまい。
今回のイスラエルのネタニヤフ首相と、ギリシャのパパンドレ首相との合意を、旅の途上のリップ・サービスと受け止めていいのではないか。少なくとも、イスラエルが期待したような効果は、出てくるとは思えない。
Posted by 佐々木 良昭 at 00:06 | この記事のURL
NO・1704イスラエルの誤ったトルコ判断 [2010年07月25日(Sun)]
イスラエルがどうもトルコの外交を、誤って判断しているようだ。あたかも、トルコはイスラム世界に戻って行き、イスラム原理主義のリーダー国になろうとしているかのような認識を、ネタニヤフ政権は抱き始めているのではないか。
確かに、トルコのエルドアン首相は青少年期にイスラム学校に通い、コーランを読み、イスラム法を学んではいる。しかし、そのことが彼をして、イスラム原理主義者だと判断することは間違いだ。
エルドアン首相はあくまでも、ガザの現状があまりにも非人道的であることから、何らかの解決を生み出さなければならない、と真剣に考えているのだ。パレスチナがファタハとハマースに二分し、西岸地区とガザ地区との往来が不自由な状況のなかでは、ガザの代表者も和平交渉に入れるべきだ、というのは正論であろう。
加えて、トルコはケマル・アタチュルクがユダヤ系であったことは、識者の間ではよく知られていることであり、トルコ共和国が成立した段階で。ギリシャのテッサロニキから、25000人ものユダヤ人が彼らの意思で、トルコに移住し、トルコ政府の要職に就いていた。
現在なお、トルコの軍部はユダヤ系の人たち多数が、幹部に加わっているし、財界人でも少なくない。もちろん学者や外交官のなかにも、ユダヤ系の人たちは多数含まれている。
つまり、エルドアン首相がたとえ、イスラム原理主義的な政策を採ろうとしても、それは不可能な構造に、トルコ政府は出来上がっているのだ。
イスラエル政府はトルコ政府を困らせようと、あらゆる方策を講じている、とトルコ側は見ている。ガザへの支援船フロテッラ号に対する、イスラエル・コマンド部隊の攻撃の5時間前には、トルコのPKK(クルド労働党)ゲリラが、イスケンデルンの港町で、海軍施設に対する攻撃を敢行し、トルコ軍兵士に死傷者が出ている。
トルコ側ではイスラエルがPKKに対し、軍事訓練を施し、資金と武器も供与していると判断している。もちろん、それにはそれなりの証拠、情報があるからであろう。
トルコ人の多くの友人たちが言うところによれば、イスラエルが今のような強硬姿勢を貫いていけば、最終的に世界で孤立し、彼らがいまガザのパレスチナ人たちにしていること以上に厳しい対応が、ユダヤ人全体に及ぶだろうということだ。
従って、トルコのエルドアン首相は何とかそのような状況が起こらないよう、イスラエルに対し、正しい方向に向かうよう、直言しているのだということのようだ。今こそネタニヤフ首相とイスラエル国民には、冷静な判断をして欲しいものだ。
Posted by 佐々木 良昭 at 00:20 | この記事のURL
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