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NO・1599A・ネジャド大統領の強気・孤立しているのはアメリカだ [2010年06月30日(Wed)]
 アメリカが強硬に進め、イランに対する新たな制裁を決議した。このアメリカ主導の新たな制裁に、どれだけ各国が協力するかが、今後の問題になっている。当初、決議がなされた段階でさえ、これはアメリカがメンツを取り、実質はザルだと言われてきた。つまり、制裁の効力は無い、ということだ。
 それは、ロシアがエネルギーと兵器で、イランと深い関係にあることや、中国がエネルギーでイランと、強い関係にあるからだった。この両国のいずれか、あるいは2国が反対に回れば、制裁合意は流れたわけであり、アメリカは完全に世界での、指導的立場を失ったことになる。
 そのため、アメリカはロシアや中国との間で裏取引し、実質的にはイランとの関係を、両国に任せたということであろう。比較的アメリカと共同歩調をとることが期待されるヨーロッパ諸国も、それほど厳密にイランに対する制裁を、履行していくとは思えない。
 こうした状況を見てであろうか、イランのアハマド・ネジャド大統領は、強気の発言をしている。「アメリカは我が国を孤立させようとしているが、孤立するのはアメリカ自身だ。世界で今投票を実施して、どちらが支持されるかを試したら、アメリカはイランに敗れるだろう。アメリカの傲慢なやり方は、世界中から嫌われている。」
 イランはトルコとブラジルとの間で、核燃料の交換に合意していることも、強みであろう。それを強引に潰したのはアメリカであり、アメリカがトルコ・ブラジルに対して、イランとの仲介を歓迎していたことも事実だ。
 イランはこれまで、核開発はあくまでも平和のためのものであり、医療と燃料源として、開発を進めてきたと主張している。それが事実であるか否かは分からないし、君子豹変ということもあろう。
 だからと言って制裁をし、次の段階でイランに対する軍事攻撃を行うのであれば、これはやはり問題ありと受け止めるべきではないのか。
 CIAの長官が「イランは1年以内に核兵器2発を製造でき、その運搬手段はそれに1年加えればできる。」と発表している。つまり、イランは2年以内に核兵器2発と、その運搬手段であるミサイルを、手に入れることが出来るということだ。
 イランが核開発をやめることは、制裁が強化しされてもありえまい。CIA,が2年以内にイランは核を持つというのであれば、残された方法は軍事攻撃しかないということになるが、それは容易ではあるまい。イスラエルの我慢が限界点に達するのか、あるいはアメリカが先か、あるいはイランか、まさに、今は神経戦の段階にあるということだ。イランは8月まで交渉を停止する、と言い出しているが、それは何を意味する期間なのか。
Posted by 佐々木 良昭 at 14:59 | この記事のURL
NO・1598イランで流行しているイスラムの祈祷師 [2010年06月29日(Tue)]
 イランと言えば、シーア派イスラムの総本山と言われる国だ。シーア派イスラム教徒のほとんどが、この国に住んでいる。それ以外のシーア派イスラム教徒はイラク、次いで湾岸の幾つかの国に主に居住している。
 そのイランのシーア派イスラム神学法学のレベルは高く、学者のランクも幾つにも分けられている。今日では日本人の間でも知られている、アヤトラやアヤトラ・オズマなどがそれだ。
 それにもかかわらず、イランではいま、イスラム法学から逸脱していると思われる、祈祷が大流行しているということだ。イスラムの祈祷師が悩みごとの相談を受けると、その悩みを紙に書かせ燃やし、祈祷をする(礼拝やお祈りであろう)と、たちまちにして悩みは解決するというのだ。
 ある場合には、この祈祷師が洗面器などに水を汲ませ、それで御祈りをさせる場合もあるようだ。実際にその洗面器の水に、どのようなことをするのかは知らない。
 結婚相談、家庭の悩みなど持ち込まれる相談は、多種多様のようだが、依頼者のほとんどは女性のようだ。その祈祷に対する謝礼はそれぞれで、モノや現金以外に、身体を提供する依頼者の女性もいるようだ。
 イランの正式なイスラム学者の一部からは、そうした祈祷はイスラム法に沿っていない、と否定の通達が出されるのだが、あまり効果は出ていないようだ。祈祷師のところに悩みを持ち込む女性たちは、祈祷の効果があった、と信じているのだから無理もない。
 イランではブログを調べると、幾つものサイトがこの手の相談を、受け付けているということだ。一部の祈祷師はその力をコーランのなかから学び取ったと主張しているようだが、それはイスラム法的には間違いだ。
 しかし、イランの社会には特に女性の間で、多くの問題があり、こうした祈祷師の存在が、必要なのであろう。それなくしては、浮かばれない女性が多い、ということであろうか。だから、イラン政府はこの祈祷師に対し、厳しい対応を採っていないのであろう。
 そう言えば以前、イランに行ったときに、ドーグとういうヨーグルト・ドリンクを飲んだことがある。政府主催のパーテイで出されたものだったが、同じテーブルについていたロシア人学者が「それはアルコールを含んでいる。」というのだ。
 イスラム共和国のイランの、しかも公式なパーテイで、アルコールが出るわけはないと思って飲んでみたが、少し顔が暖かくなった。確実にアルコールが含まれていたのだ。
 後で知ったのだが、このアルコールを含むヨーグルト・ドリンクは、一時期禁止になったそうだ。しかし、国民の要望で再度、市場で売られるようになったということだ。どこの国にも抜け穴はあるということであり、それは人間が生きていくうえでの、知恵なのかもしれない。「アッラーはげにお許したもう御方」という一節がコーランにはあった。
Posted by 佐々木 良昭 at 17:36 | この記事のURL
NO・1597イスラエルに関する10の嘘という記事 [2010年06月29日(Tue)]
 ベルギーのミシェル・コリントいうジャーナリストが「メデイアが流すイスラエルに関する10の大嘘」という記事を書き、それをイランのプレステレビが報じている。その内容は以下のようなものだ。
:イスラエル国家は大量虐殺の結果として設立された
―イスラエルが設立されたのは1897年スイス、バーゼルで開催された第一回シオニスト会議の決議に従ったもので虐殺とは関係ない。
:ユダヤ人はAD70にイスラエルから追放された。
―シュロモサンドなど著名なユダヤ人歴史学者は追放はなかったと語っている。
:イスラエルを建国した土地は荒れ地で誰も住んでいなかった。
―イスラエルの領土となったパレスチナからは建国以前、欧州各国に農産品が輸出されていた。
:パレスチナ人は自身の意思でパレスチナから出て行った。
―武力で追い出されていったのだ。
:イスラエルは中東で唯一の民主国家だ。
―領土を守る法がない。イスラエルは拡大国家。非ユダヤ人の人権は認められていない。
:アメリカは中東の民主主義を保護するために3億ドル援助している。
―イスラエルは周辺諸国を空爆するためにアメリカの援助を使っている。
:アメリカはイスラエルとパレスチナの和平を成立させたいと思っている。
―民主的に選出された政府を否認しイスラエルおガザ攻撃を許している。
:反セム主義という非難。
―イスラエル非難は民族非難でも反セム主義でもない。
:パレスチナの暴力。
―暴力行使はイスラエルだ。
:現状打破には道がない。
―大衆による欧米イスラエルに対する抗議行動があるそしてインターネットという新しい抗議行動の道具がある。

 さて、貴方はこの「10の大嘘」をどう受け止めるか。
Posted by 佐々木 良昭 at 14:51 | この記事のURL
NO・1596トルコ・イスラエル関係悪化とトルコ青年の分析 [2010年06月29日(Tue)]
 昨年のダボス会議で、トルコのエルドアン首相が、イスラエルのペレス大統領を非難した。次いで、ガザ住民への支援物資を運ぶ、フロテッラ号に対するイスラエル・コマンド部隊の襲撃事件、といった出来事が起こって以来、トルコとイスラエルとの関係は、悪化の一途をたどっているように見える。
 トルコのクルド人組織PKKの襲撃事件が、トルコの南東部地域で頻発するようになって以来、これはイスラエルによるPKKへの働きかけによるものではないか、という見方が一般的になってきている。
 イスラエルはこれまでも、現在でもPKKに対し、武器や資金を供与し、最近では、ゲリラ訓練指導も行った、という情報が飛び交っている。そこで在日のトルコ人青年と夕食を共にする機会があり、そのことを話題に取り上げ、彼の意見を聞いてみることにした。
 彼の意見が実にユニークだったので、この欄でご紹介することにした。彼はイスラエルの働きかけによって、PKKがテロ活動を活発化したというのは、間違いではないかと語り、イスラエルよりもドイツの関与の可能性が高い、と言っていた。
 彼曰く、EUの中心国であるドイツにとって、トルコの経済状況がよくなり、国力が増すことは、決して好都合なことではないというのだ。ドイツは第一次世界大戦時、トルコと同盟関係にあったことから、トルコ・ドイツ関係は今でも良好なのではないか、と考えがちだが、そうではないということだ。
 ドイツには多数のトルコ人移民が居住しており、トルコが国力を上げていけば、彼らとの協力関係も強化され、ドイツ国内を始めEU域内でも、トルコの影響力が増すというのだ。
 彼は続けて、トルコの大手マスコミである、ドアン・グループのスポンサーは、ドイツの企業だとも語っていた。ドアン・グループは現在、トルコの与党AKPに対し、敵対的な立場に立って報道している。そのため、トルコの大スキャンダル事件であるエルゲネコン問題解決でも、与党に対しネガテブ・キャンペーンを展開してきているということだ。
 彼の意見を鵜呑みにするつもりは無いが、実にユニークな推測ではないか。日本人の中東専門家やトルコ専門家に、このことを考えて見た人は、一人もいないのではないか。
Posted by 佐々木 良昭 at 00:48 | この記事のURL
NO・1595サウジアラビア・イスラエル協力という本音と冗談 [2010年06月28日(Mon)]
 サウジアラビアのアブドッラー国王と、アメリカのオバマ大統領が会談している。当然、テーマはアフガニスタン問題であり、イラン問題であり、パレスチナ問題ということになる。
 なかでも、イラン問題はサウジアラビアにとって、最も重要な課題であったろう。それは、イランが核兵器を持つに至るか否かが、サウジアラビアにとっては喫緊の大問題だからだ。
 イランが核兵器を持つようなことになったら、サウジアラビアはイランによって、常に恫喝されることになろうし、そればかりか、サウジアラビア国内のシーア派が勢いづいて、活発な分離独立運動を始めることにもなりかねない。
 もし、サウジアラビアのシーア派が分離独立するようなことになれば、サウジアラビアはほとんどの産油地帯を、失うことになるのだ。したがって、何としてもそのような事態は、避けなければなるまい。
 加えて、イランが核兵器を持つに至れば、イランの中東地域における存在は大きくなり、多くの中東の住民が、イランの意向に沿うようにもなろう。そのことは、サウジアラビアの王制が不安定化し、やがては打倒されることにも、繋がりうるのだ。
 アメリカは今回、イランの核開発に対し、強度の経済制裁を決議したが、サウジアラビアに言わせれば、その程度のことではイランに何の影響も、与えまいということになる。
 そうしたなかで、イランに対する経済制裁は単に、イランの核開発に時間を与えるだけで、何の抑止効果も無いと判断しているのは、アメリカのCIAであり、イスラエルということにある。イスラエルはアメリカの顔を立てて、イランに対する空爆を差し控えているようだが、やがて限界点が訪れよう。
 つまり、サウジアラビア王家の生存がかかっている、イラン問題への対処で、意外なことにイスラエルが、最も似通った判断をしているということだ。そうであるとすれば、サウジアラビア政府が秘密裏に、イスラエルとの間でイラン対応の、協力体制を組んだとしても、不思議ではあるまい。
 サウジアラビアの西部の軍事基地タブークに、イスラエルが武器を持ち込んだという情報や、サウジアラビアがイスラエルの爆撃機の、領空の通過を認めたという話は、こうして考えてみると、空絵事とは限らないのかもしれない。
 サウジアラビア政府はそれだけ、イランの核開発を真剣に捉え、対応を考えているということであろう。
Posted by 佐々木 良昭 at 16:12 | この記事のURL
NO・1594サウジアラビアにイスラエルが武器集積という情報 [2010年06月28日(Mon)]
 過去数日の間に、とんでもない情報が飛び交い始めている。それは、仇敵同士であるはずの、イスラエルとサウジアラビアとの間で、イランをめぐり軍事協力関係が、構築されつつあるというものだ。
 最初に流れた情報は、サウジアラビアがイスラエルに対し、イラン攻撃の祭に、領空通過を認めたという情報だった。以前、イスラエルがイラクのオシラク原発を攻撃した際、ヨルダン領空を通過し、サウジアラビア領空も通過して、攻撃は行われている。
 もちろん、この場合、ヨルダンとサウジアラビア両国政府は、イスラエルに対して、領空通過を認めてはいなかったと説明している。しかし、認めようが認めまいが、イスラエルの爆撃機が領空を通過したことは事実であり、結果的にイラクの原発は、稼動寸前で破壊されている。
 今回の場合は、イラク空爆の例に比べ、より信憑性を持って受け止められている。それは、イランが核兵器を持つことになれば、サウジアラビアにとって、明らかな脅威に繋がるからだ。そのために、イスラエルとの間に協力関係が成立しても、おかしくないということだ。
 次に流れている情報は、サウジアラビアの西部タブークの軍事基地に、イスラエル軍が武器を搬入しているというものだ。そして、そこに集積された武器はやがて、実施されるであろうイラン攻撃の際に、使用されるというものだ。
 これら二つの情報を、当然のことながら、サウジアラビア政府は否定している。根も葉もない噂だということであろう。
 しかし、情報専門家の間では、これらの情報について、幾通りもの説明、推測が行われている。ある専門家は「サウジアラビア政府がオバマ大統領を弱腰と見て、イスラエルとの協力をする、と迫ったのではないか」というものだ。
 またこれらの情報の発信源がイランであることから、イラン政府がサウジアラビア政府に対して、「イスラエルとの協力関係が生まれないよう、事前に警告を発したのではないか」という説を述べる専門家もいる。
 アメリカ政府がイスラエルのイラン攻撃を、黙認せざるを得ないとすれば、成功裏に終わるよう、最大の便宜を図ることは当然であろう。もし、イスラエルのイラン攻撃が失敗に終わるようなことになれば、まさに中東地域は、大混乱に陥るからだ。
したがって、アメリカの説得でサウジアラビアが、自国領土内へのイスラエルの武器搬入を認めるということは、全くありえない話ではあるまい。確かに、サウジアラビアはアラブの一員として、敵国であるイスラエルに便宜供与をすることは,ありえないとは思えるのだが、イスラエルがサウジアラビアにとって,直接的な敵でないことも事実だ。
中東を始めとした世界の専門家の中にはこれら全てがブラフにすぎないと解説する者もいる。いずれが真実かは,時間の経過が教えてくれるだろう。
Posted by 佐々木 良昭 at 00:10 | この記事のURL
NO・1593危険水域に近づいたエルバラダイ氏 [2010年06月27日(Sun)]
 エジプトという国は何年が経過しても、一見平和に見える呑気な感じなのだが、エジプトの国内は決して呑気でも安定した状態にあるわけでもいない。いまエジプト国内では大きなうねりが、待ち構えているようだ。 
 来年の大統領選挙に向けて、これまで予想もしなかったような、大物候補が誕生しそうなのだ。その大物候補とは、ノーベル賞を受賞した、ムハンマド・エルバラダイ氏だ。
 この欄で以前、彼の大統領選挙での勝利の確立は低い、ということを書いたが、その判断は今でも変わらない。ただ、当時と比べ、変わったことは、ムハンマド・エルバラダイ氏とムスリム同胞団との関係に、進展があったということだ。
 ムハンマド・エルバラダイ氏がムスリム同胞団の集会に、顔を出したということが、多分に、エジプト人にショックを与えたことであろう。そして、ムスリム同胞団がムハンマド・エルバラダイ氏の大統領選挙立候補に当たり、彼を仲間に引き込む可能性が出てきたのだ。
 彼を引き込むという表現を使ったのは、エジプトの憲法改正にムスリム同胞団は、ムハンマド・エルバラダイ氏を盾として、使おうとしているのではないか、ということだ。
 国際的に著名なムハンマド・エルバラダイ氏が、エジプトの民主化を訴え、大統領選挙に関する、憲法の改正を主張すれば、当然のことながら、世界のマスコミはそれをフォローすることになる。
 そうなれば、エジプト政府は他の人物とは違って、手荒な対応は出来まい。また、ムハンマド・エルバラダイ氏が提案する憲法改正も、完全に無視し続けるというわけにはいかなくなるだろう、という判断がムスリム同胞団内部には、あるのではないか。
 アレキサンドリアで起こった、ハーリド・サイド青年の警察による虐待死事件で、ムハンマド・エルバラダイ氏は抗議デモの先頭に立って、この事件を非難するという行動を起こしている。そのなかでは、まさにエジプト民主化のヒーローとして、ムハンマド・エルバラダイ氏のイメージは、広がりつつあるように思える。
 この抗議デモには2−5000人が参加した、とBBCは報じているが、デモ隊の写真からは、5000人どころか2000人も、参加していないのではなかと思われる。
 問題はこの抗議デモのなかで「ムバーラク体制を打倒しよう」と叫ぶ者がいたということだ。ムハンマド・エルバラダイ氏にとってこれは、極めて危険なことであろう。誰が叫んだのかは分からないが、この一言はムバーラク大統領に、ムハンマド・エルバラダイ氏への対応を、今後、強硬なものにすることに繋がるのではないのか。
Posted by 佐々木 良昭 at 01:21 | この記事のURL
NO・1592混迷のなかのトルコ・クルド人 [2010年06月25日(Fri)]
 パレスチナのガザへの救援物資を積んだ、フロテッラ号がイスラエルの特殊部隊によって攻撃さて、トルコ人など9人が犠牲になったことで、トルコの中東地域における評価は高まっている。
 実はこの同じタイミングで、トルコの南東部の町ハッカリで、PKK(クルド労働党)によるトルコ軍への襲撃事件が起きている。そのことから、この二つの出来事はリンクしている、とういう見方が出てきた。
 トルコ政府は外部からの、PKKに対する働きかけがあるのではないか、という点について検討するとともに、今後のクルドテロに対する対応を、どうするかということを、真剣に検討し始めたようだ。
 トルコの政権政党がAKP(開発公正党)になって以来、AKPはクルド人をトルコ人と同等の権利を有する国民として、受け入れるよう種々の努力をしてきていた。例えば、クルド語によるテレビ・ラジオの放送を、始めたのがそれだ。
 クルド語を使うこと、クルド語の歌を公の場で歌うことも許可し、クルド人が多く居住する地域への、開発投資も進めてきた。しかし、それでもクルド問題は、解決に向かっているとは断言できない。
 今回のハッカリ事件以来、トルコ政府は頻発するようになった、PKKの攻撃に対応せざるを得なくなり、強硬手段がとられる可能性も否定できない。エルドアン首相はそれを前提にしてであろうか、クルドのテロリストはトルコばかりではなく、ヨーロッパでも活動していると語っている。
 こうしたなか、クルド内部からはAKPとの妥協を図っていくべきだとする意見と、あくまでも強硬路線を崩さない、という意見とが出ている。しかし、強硬派も心情的には、PKKを支持しながらも、夢はクルドのトルコ領土内での、自治権の獲得のようだ。
 他方、妥協派の間からは、AKP政府が民主的で平和的な、クルド問題の解決を望むのであれば、アブドッラー・オジャラン(PKKの受刑中のリーダー)の戦いは、終わりを意味すると言い出す者が出てきている。
 この人物はアブドッラー・オジャラン氏の元側近で、アブドッラー・オジャラン氏が実は、トルコのシャドウ・ガバメントと関係していたとも語っている。シャドウ・ガバメントとは、トルコのエリートで構成される、エルゲネコン(影の権力集団)のことを意味している。
 アブドッラー・オジャラン氏も獄中にあって、最近では武力闘争に、意味を見出さなくなってきているということだ。もともと、彼はクルド人ではなく、アルメニア人だという説もある。つまり、何らかの組織によって祀り上げられた、傀儡の英雄なのかもしれない。
 どうやら、トルコのクルド問題は、新たな動きを見せ始めるのではないか。それは、外国のPKKや他のクルド組織に対する働きかけの、終わりを意味しているのかもしれない。
Posted by 佐々木 良昭 at 14:34 | この記事のURL
NO・1591イランが独自でウラン濃縮に成功という発表 [2010年06月24日(Thu)]
 これまで国連やアメリカの主導の下、イランのウラニューム濃縮が、大きな問題となってきた。イランが所有する5パーセントのものを、20パーセントの濃度まで高めることは、核兵器の製造につながるとして、世界中から警戒されてきていた。
 その結果、アメリカの主導でイランに対する、新たな制裁が決められた。しかし、それはイランにとってあまり効果的な制裁ではない、というのがおおよその判断であった。
 それは、国連常任理事国のうちロシアと中国が、イランとの間に特別な利害関係を持っているために、アメリカが両国の賛成を取り付けるには、ある種の妥協が必要とされたからだった。結果的に、新たな制裁はザルになるだろう、と専門家諸氏が判断したわけだ。
 この結果を嘲笑ったのはイランだった。そして、イランのイラン原子エネルギー協会委員長のアリー・アクバル・サーレヒー氏は、イランが独自で17キロの20パーセント濃縮ウラニュームを作り出したと発表した。
 しかも、同氏は「イランは月5キロのペースで、20パーセント濃縮ウラニュームを製造できるに至った。」とも語っている。
 これはイスラエルにとって脅威であろう。イランのアハマド・ネジャド大統領は、イスラエルの国が滅びることを、再三に渡って繰り返して、語ってきているからだ。イランが核兵器を持つった段階で、一番最初にそれが使われるのは、イスラエルだと同国政府と国民は信じているからだ。
 そのため、日本人が考えている何倍もの確率で、イスラエルはイラン攻撃を検討しているようだ。サウジアラビア上空通過によるイラン空爆、あるいはグルジア、アゼルバイジャン経由の空爆など、幾つもの予測が出ていることを、見逃すわけにはいくまい。
 それでは何故イラン政府はこうまでも、これ見よがしにイスラエルを不安に貶めるような、発表をするのだろうか。その裏には、イランの体制と国民の間に、溝が生じているからではないか。イランは核兵器を造ることは否定しているものの、それを考えさせることによって、強いイランのイメージをイラン国民に抱かせ、体制支持を取り付けようとしているのではないか。
 もちろん、それはサウジアラビアを始めとした、湾岸諸国に対する圧力にもなろう。中東地域にあって、イランの強気の姿勢は、大衆を引きつけもしよう。しかし、実際にはイランのこうした動きは、イスラエルを攻撃することを、全く前提にしていないのではないかと思われる。
 そうであるとすれば、イランのウラニューム濃縮は、まさに危険な火遊びではないのか。
Posted by 佐々木 良昭 at 16:56 | この記事のURL
NO・1590トルコのアマセヤという街 [2010年06月24日(Thu)]
 今回トルコ出張のおり、アマセヤという地方都市で公演を依頼された。それは同市の市長が東京訪問の際に、私のトルコ観を話したことがきっかけだった。
 訪問時はアマセヤの祭りで、あちこちでイベントが同時開催されていた。しかし、講演には400人弱の人たちが参加してくれた。私の講演と合わせ同行者が居合道を披露してくれ、もう一人は日本舞踊を演じてくれた。
 このアマセヤ市はオスマン・トルコ帝国時代に、幾多の皇太子が教育を受けたところであり、ケマル・アタチュルクが独立闘争宣言をした街でもある。盆地の中心に岩の山があり、その山肌にはローマ時代の王の墓が幾つか掘られてあった。それを囲むように川が流れるおとぎ話のような街だった。
 ここのサクランボは山形の佐藤錦の原種だ、ということを聞いたことがあるが、癖が無く日本人好みの味だった。それを腹いっぱい食べるという、ぜいたくを味わった。
 来年からは日本にいるトルコ人の友人がそれを輸入し、日本の市場に並ぶことが期待されているが、ぜひ実現してほしいものだ。
 さて、そのアマセヤ市での講演だが、要旨以下のようなものであった。この内容は決して、トルコに対するお世辞ではない、現実なのだ。
あるトルコの財閥が「15年後に我が国は世界のトップ・テンに入っているでしょう。」と語った。それに対し友人が「ではその時日本は?」と尋ねるとトルコ人は「たぶん10番以内には入っていないでしょう。」と答えていた。
「トルコの地政学的重要性」

:ジェラール・アマセヤ市長との出会い
―サムライ的雰囲気は何処から?強さと誇りを感じさせた
:アマセヤの歴史
―スルタン子息の教育の場(シャー・ザーデイ皇太子、アウス・セリムも)
―ケマル・アタチュルクが共和国設立宣言した街
:アマセヤで講演する機会
―名誉なことであると同時に不安でもある、沢山の人格者とインテリが聴衆だからだ
(本題)
:トルコの位置
―ヨーロッパ、アジア、アラブ、アフリカ、ロシアに隣接=世界の中心地
:長い歴史(600年のオスマン帝国の統治とその知恵)
―大英帝国(第一帝国:17,8世紀から20世紀半ば、第二帝国19世紀半ばから20世紀半ば)、
―ロシア帝国(1721-1917年)、
ソビエト連邦(1917−1991年)
―アメリカ建国1776年(1945-2010年)
:トルコ系民族国家は多数
―アラブ、中央アジア、東ヨーロッパ、ロシア
*1936年に日本の学者がトルコ系民族の分布地図を作っている
:トルコの優位性
―地理的条件=陸海輸送と距離的優位性、輸出入が楽
:歴史的経験
―歴史的蓄積が外交内政に及ぼす影響、
:歴史から来る教育重視
―教育熱心、教育普及、教育レベルの高さ
:歴史的誇り
―トルコ人が持つ誇りは自信ある行動を国内外で取らせる
―それは他国の信頼を得る
:人種的近似性(エジプトがそうだった)
―トルコ系諸国に進出しやすい、
―トルコ系諸国との交渉がしやすい、
―トルコ系諸国と理解しあい易い
―トルコ系諸国と協力しやすい、
:言語的優位性
―トルコ系諸国との政治外交交渉がしやすい
―誰でもトルコ系諸国でビジネス展開しやすい、
―教育面での支援もしやすい(外国での教育活動、留学生の受け入れ)
:トルコの変化
―トルコは東向きにシフトした
―歴史の見直し、自信と役割の回復
―周辺諸国との関係改善=イラク・クルド、シリア、ヨルダン、パレスチナ、リビア、エジプト、イラン、東欧諸国、ロシア、ETC
―イスラム諸国との関係強化=穏健スラム思想の拡大、OICの議長国、イスラム教育協力、
:周辺諸国のトルコへの期待拡大
―湾岸諸国:イラン、アメリカ対応で、経済振興
―シリア:安全保障と国内開発
―リビア:国内開発
―エジプト:産業開発
―イラク:安全保障、国土開発、経済開発、国内安定
―ヨルダン:経済開発
―パレスチナ:イスラエルとの和平、経済支援
―東欧:経済開発
―ロシア:21世紀トルコは露土戦争に勝利した(エネルギー協力、地域の安全保障)
―イラン:核問題の仲介
:イランの核開発問題とトルコの役割
―孤立するイラン
―アメリカもいまはイラン攻撃したくない
―イスラエルは攻撃のリスクに不安がある
―アラブ諸国、第三世界諸国の不満を代弁者
―ハラームを正しく理解できるトルコ
:イスラエルの救世主トルコ
―エルドアン首相の厳しいイスラエル批判
―欧米で拡大する反ユダヤ感情
―孤立するイスラエルとユダヤ人
―方向性を見失ったイスラエル
―トルコがここでも仲介者
―トルコに不動産を買い求めるイスラエル国民
:トルコが今進むべき道
―強いリーダーシップ(世界各国は嵐の海に浮かぶ小船と同じ、強いリーダーシップのキャプテンがいなければ沈む)
―国民の団結
―勤勉な学習と労働
―世界に正義を示す
*トルコ国民はいまやトルコが地域、世界のリーダー国であることを自覚するべき
*トルコと日本が協力して両国の間に位置する国々に協力していく必要がある
*トルコの歴史を誇りとし、自国の歴史的役割、明日への希望、栄光の確信を持つ
Posted by 佐々木 良昭 at 15:21 | この記事のURL
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