CANPAN ブログ検索
Loading
  • もっと見る
« 2009年08月 | Main | 2009年10月»
NO・1419イラク南部の湿原地帯はその後どうなっているのか [2009年09月30日(Wed)]
 日本が2004年1月、イラクのサマーワに自衛隊を派遣した。そのときの公明党の支持者に、自衛隊の派遣を納得させる大きなポイントは、イラク南部湿原地帯の復元、であったと記憶している。
 イラクがイランと8年間に渡って続けた戦争時に、この湿原地帯は敵の兵士が侵入して来る経路として、当時のサダムフセイン・イラク大統領が、枯渇させてしまったのだ。
 イラク南部の湿原地帯は、アフリカとヨーロッパ大陸とを行き来する、渡り鳥の休息地となっていることから、国際的にも湿原地帯の荒廃は、大きな関心を呼んでいたのだ。日本が自衛隊をイラクのサマーワに派遣することで、国民の多くを説得できたのは、湿原地帯復元に協力するということだった。
 しかしその後、日本政府が具体的な協力をした、という話はあまり聞かない。それでも自然の力は偉大だ。いまではイラク南部の湿原地帯は、相当復元しているようだ。
 イラク南部の湿原地帯が復元したことによって、新たな問題が生まれている。背の高い川岸の草が2メートル以上にも伸び、川のあちこちにある小島や川岸を、スッポリ覆うようになったのだ。
 この草むらを麻薬業者が利用し、密かにイラク各地に、外国から麻薬が持ち込まれるようになったのだ。それがイラク国内だけではなく、トルコに流れ込み、そこからヨーロッパ各地にまで、届けられているということのようだ。また、一部はイラクからアメリカにも、送られているということのようだ。
 湿原地帯が復元するということは、麻薬ばかりではなく、風土病が蔓延する原因にもなる。一時期騒がれていた放射性弾頭による、奇形児や巨大な腫れ物は、全てが放射性爆弾や弾頭によるものではなく、風土病が原因でもあったのだ。イラク政府は湿原地帯が復元して来たいま、麻薬の密輸に加え、この風土病との戦いも行っていかなければならない。
 イラクの河川に水が順調に流れ、一部閉鎖されていた運河も再開されたが、その結果生じてきている、問題に対する対処方法は、諸外国からの支援を受けられないまま、放置されているのだ。
 他方、イラクの河川の水量が減り、農業に大きな影響が出ているとし、イラク政府は、水源国であるトルコに対し、水の供給量を増やすよう要請している。トルコは大型ダムを建設し、国土を灌漑し、可耕地面積を拡大し、発電にもこの水資源を活用するようになったからだ。
 トルコはイラク側の要請に対し、イラク側の水利用に問題があるとし、イラクが望むほどの増量には、なかなか応じていない。もちろん、トルコはイラクとの交渉で、以前よりは水の供給量を増やしてはいるのだが、イラク側にしてみれば、まだまだ不満だということのようだ。
 問題は再度もとに戻るのだが、もしトルコの降雪量が増え、あるいは降雨量が増えて、イラクに対する水の供給量を大幅に増やした場合、南部の湿原地帯には、ますます草が茂り、麻薬の密輸業者にとって、好都合な状況になろうし、同時に風土病が現在よりも、蔓延する危険性もあろう。
 そこで提案だが、先進国がイラクの水と麻薬密輸と風土病の因果関係について、総合的な調査をし、対応策を講じてはいかがなものか。イラクが今後、健全な発展を遂げていく上で、重要な戦後処理のひとつではないのか。
Posted by 佐々木 良昭 at 22:57 | この記事のURL
NO・1418イラク次期選挙は荒れそうな予感 [2009年09月29日(Tue)]
 来年、イラクでは選挙が行われる。その結果によって、誰が次期首相に就任するかが決まる。アメリカ軍の撤退問題もあり、次期首相に誰が就任するのかは、今後のイラクの主要政治テーマになって行くだろう
 以前にも触れたが、イラク国内ではダウア党出身のマリキー氏が、首相の座にあるが、次期首相の座をめぐり、相当動きが活発化してきているようだ。これまで首相を経験した、ジャアファリ氏やアラーウイ氏も、当然のことながら返り咲きを目論んでいよう。
 イラクの場合、宗教派閥がどう動くかが、選挙の結果を予測する上で、非常に大きな手がかりになるが、イスラム教シーア派学者として最高位の、アヤトラオズマになって帰国した、イラクのシーア派のリーダーの一人であるサドル師は、次期首相にマリキー氏が就任することは、あり得ないと明言した。
 このサドル師の言葉には、大きな意味があろう。彼の率いるマハデイ軍が矛を収めたために、マリキー政権は一応イラクの統治が、出来てきていたからだ。しかし、もしサドル師率いるマハデイ軍が、以前のようなテロ活動、軍事行動を再開すれば、イラク国内の治安状況は、一遍に悪化しよう。
 サドル師らが結成した政党集団に、マリキー首相のダウア党が参加したとしても、彼が首相の座に就くことは確かではない。彼以外にも、多数の首相候補者がいるからだ。
 サドル師のグループが次期選挙で、多数立候補することになれば、これもまた問題であろう。大半のシーア派の国会議員が、彼のグループのメンバーによって占められる、可能性が少なくないからだ。
 アラーウイ氏はこうした流れを冷静に分析してか、いまのところ、あまり目立った行動には出ていないが、早晩、彼は次期首相レースの前面に出てこよう。アラーウイ氏とサドル師との連携が出来上がれば、マリキー首相も相当追い込まれるのではないか。
 サドル師がアヤトラオズマになれたのは、イラン側のイラク内政に深く関与していく意図から、事前に打ち込まれた楔であったろう。加えて、アラーウイ氏は首相の座を降りた後、イランとの関係を構築していた。
 この二人がイランの支援を受けながら、イラク国内の政治の表舞台に出てくれば、アメリカはイランと戦うことなくして、イラク戦争の成果を奪われることになる、ということではないのか。
Posted by 佐々木 良昭 at 15:17 | この記事のURL
NO・1417NABUCCOパイプ・ラインとイラン制裁の関係 [2009年09月28日(Mon)]
  トルコがエネルギー資源の、一大中継点となるために計画されたNABUCCOパイプ・ラインは、通過各国の賛同を得て、ほぼ段取りはすんでいる。
この計画には、カスピ海周辺諸国で産出される天然ガスを、ヨーロッパの消費地に運ぶために、トルコに加え、ブルガリア、ルーマニア、ハンガリー、オーストリアなどが合意している。
しかし、このパイプ・ライン構想はロシアにとって、極めて不利なものであるため、その後の進捗状況は、当初、トルコが考えていたようにスムーズには進んでいない。
このNABUCCO パイプ・ラインを通じて、中央アジアのガスが、ヨーロッパの消費地に届けられることになれば、ロシアは中央アジアに対する影響力を低下させるし、同様に、ヨーロッパ諸国に対する影響力も、弱まることになる。
そこで、当然のこととして、ロシアはNABUCCOパイプ・ライン計画に、直接間接的妨害をしてきた。中央アジア諸国も、ロシアと陸続きであることもあり、ロシアを怒らせた場合の危険性を、考慮しなければならない。
つまり、トルコが考えた中央アジアのガスエネルギー輸送の、第二のルートであるNABUCCOパイプ・ラインは完成しても、輸送するガスが無いという状況に、陥る危険性があるということだ。
そうなると、中央アジアに代わり、イラクとイランとが、このNABUCCOパイプ・ラインへの、ガスの主な供給国ということになる。イラクは今の段階では、極めて前向きに、このトルコのプロジェクトを支持している。
問題は、もう一つのガス供給国であるイランだ。イランもトルコとの関係は良好であり、基本的にNABUCCOパイプ・ラインを使って、自国のガスをヨーロッパ市場に、送り出すことに反対ではない。
トルコのエルドアン首相は、その辺の事情を正直に吐露している。つまり、NABUCCOパイプ・ラインの成否は、イランにかかっているということを、正直に認めているということだ。
問題は、イランの核開発問題が次第に険悪になり、アメリカを中心とする先進諸国が、イランに対する制裁を、強化する方向にあることだ。もし、イランへのガソリン供給を止めるだけではなく、イランの経済を利する、ガスの輸出をトルコが助けることになれば、問題となってこよう。
アメリカをはじめとする国々が、どこまでイランに対する制裁を、強化させるかにかかっているが、イランだけではなく、この新たな制裁の発動は、トルコにとっても、大きな影響を及ぼす、可能性があるということだ。
同時に、もしNABUCCOパイプ・ライン計画が失敗に終われば、中央アジア諸国はロシアのクビキから、解放される可能性はないと判断し、次第にロシア寄りに、政策を変更していくことになろう。
ヨーロッパ諸国もまた、この計画が挫折すればロシアによって、常にガス輸送のパイプ・ラインの、コックをコントロールされる、という状態になろう。アメリカはこうした事情を十分に考慮して、イランに対する制裁を考える、必要があるのではないか。
トルコが自国のメガ計画NOBUCCOパイプ・ラインの成否をかけて、イランと欧米との仲介に、最大の努力を払うものと思われる。その成果が上がることを期待したい。-----
EXTENDED BODY:
Posted by 佐々木 良昭 at 16:11 | この記事のURL
NO・1416仏の顔も三度イランの核施設攻撃の可能性高まる? [2009年09月27日(Sun)]
 国家は尊厳を守るためには、自滅を覚悟しても、立ち上がる場合がある。戦後60年以上も、平和ななかに暮らしてきた日本人には、到底理解しがたいことであろう。
 日本は平和であり続けたために、結果的には経済発展が遂げられ、国民は幸せであった。しかし、他方では平和が全てであるとし、自由が全てである、という考え方が蔓延した。
 そして、結果的に日本人は、尊厳とか社会性といったものを失い、いまでは無国籍のような、人種とも呼べない怪物になってしまった。その重大な日本人の人種的後退を、重く受け止めている日本人は、どの程度いるのだろうか。
 アメリカの経済破綻が語られ、アメリカの対外姿勢に、非難が寄せられているが、アメリカは他方で、どんな犠牲を払ってでも、尊厳を守ろうとしている国であることを、忘れてはなるまい。
 イランはアメリカとの緊張当初から、アメリカが軍事攻撃をかけてくることは無い、と踏んでいたようだ。少なくとも、イランの政府高官たちは、皆そう語っていた。そして彼らの主張していたとおり、今日までイランはアメリカの軍事攻撃を、受けることなく過ごして来ている。
 しかし、今回はどうであろうか。イランは密かに、もう一箇所核燃料の濃縮施設を建設していた、ということが明らかになった。今度はオバマ大統領も激怒しているようだ。
 言ってみれば、オバマ大統領は核削減を、世界に呼びかけているわけだから、顔に泥を塗られたということになる。まるで小ばかにしたようにアハマド・ネジャド大統領は「平和利用だ」と応えている。なにやら「やれるものならやってみろ」と言わんばかりという感じがする。
 さすがに、これまでイランの擁護に回っていたロシアや中国も、アメリカの激怒に反応したようで、ロシアはアメリカを支持し、中国は沈黙している。
 イランは本気でアメリカの意向を、完全無視の立場を、貫こうとしているのであろうか。そして、それでもアメリカは攻撃してこない、と踏んでいるのであろうか。
イランのアハマド・ネジャド大統領の強硬姿勢は、アメリカとの関係修復の限度を、通り過ぎたような気がするのだが。もし本当に危険が迫ったとき、イランは豹変して、状況を変えられると、いまでも思っているのだろうか。それはアメリカを甘く見すぎている、ということではないか。
今度のアメリカのイランに対する激怒は、必ずしもイランと国際社会に対する、アメリカの強がりだけ、とは受け止めるべきではなかろう。
Posted by 佐々木 良昭 at 01:24 | この記事のURL
NO・1415アルカーイダがイラク刑務所から集団脱走 [2009年09月25日(Fri)]
 イラクのサラフッデーン県にある、テクリート市の刑務所から、アルカーイダのメンバーが、集団脱走に成功した。16人の脱走者のうちの一人には、死刑判決が下っていた。
 このうちの一人は、脱走後逮捕されたが、それ以外の脱走者は、未だに捕まっていない。このため、アブドルカリーム・ハラフ中将はサラフッデーン県全域と、国境地帯にチェック・ポイントを設け、脱走者の再逮捕の構えを敷いた。
 問題はこの大がかりな脱走が、なぜ成功したのかということだ。死刑囚もいたことから、この刑務所は厳重な警備が、敷かれていたはずなのに、なぜ逃亡出来たのか。脱走者たちは風呂場の窓を外して、そこからビル外に出、次いで、梯子を使って刑務所の塀を、乗り越えて逃げたということだ。
 どう考えても、これは刑務所内に協力者がおり、彼らの手引きで逃亡が、可能となったものだと思われる。そう考えているのは私だけではない、テクリート地区の治安責任者も、同じ意見のようだ。
 テクリート地区と言えば、追い浮かぶのは、サッダーム・フセイン元大統領の出身地であり、スンニー派の地域だ。アルカーイダのメンバーは、スンニー派出身者であること、サッダーム・フセイン元大統領の支持者が、この地区には少なくないことなどを考えると、刑務所内部関係者による手引きは、十分にありうることだ。
 問題はこの後、アルカーイダ・グループがどのような破壊活動を、イラク国内で展開していくかということだ。今後、アルカーイダがターゲットとするのは、イラク駐留のアメリカ軍が一つであり、シーア派イラク国民、クルド・イラク国民ということになろう。 
来年の段階では、イラクの選挙が予定されており、国内の各派はテロを始めとする、あらゆる手段を使って、自派の優位を確保しようと考え、工作するであろう。
 今回の集団脱走のニュースを読んで強く感じたことは、アルカーイダとイラクのスンニー派、あるいはサッダーム・フセイン元大統領の支持者たちとの連携が、始まったのかということだ。もしそうであるとすれば、現在、シリアとイラクとの間に燃え上っている、相互不信の感情は、ますます拡大していくものと思われる。
 現在、シリアとイラクとの間では、シリアがイラク人の反政府派(主にサッダーム・フセイン元大統領支持派)をかくまっており、イラクへの越境テロ攻撃を支援している、とイラク側が主張し、両国間で大きな問題となっている。
もし、脱走したアルカーイダのメンバーが、イラク・シリア国境で逮捕されることになれば、シリアとイラクとの関係は、ますます複雑化していくのではないか。イラクのマリキー首相は、イラクとシリアとの間で、問題になっているテロ支援の件は、全く解決の目途が立っていないと語っている。
Posted by 佐々木 良昭 at 14:24 | この記事のURL
NO・1414エジプトのキファーヤ運動ガマール氏を追及 [2009年09月24日(Thu)]
 エジプトの大衆政治運動として、一時期は大きな盛り上がりを見せていたキファーヤ運動は、その後、代表者カンデール氏が逮捕され、投獄された。その後、彼が釈放される時の条件は、政治活動を再開しないということだった。
 したがって、彼はその後、政治活動面で慎重な動きを見せてきたが、ここにきて、再度活動を活発化させる方向に、動き出したようだ。カンデール氏が率いるキファーヤ運動(党)は、ムバーラク大統領の後継者と目されている、ガマール氏を、その新たな闘争の、ターゲットと定めたようだ。
 キファーヤ党の主張によれば、ガマール氏が蓄財している額は、七億五千万ドルにも上り、その出所が怪しいということのようだ。キファーヤ党はガマール氏がこの財産を、どうして手に入れたのか、追及すべきだと主張している。
 キファーヤ党の手元には、ガマール氏の不正蓄財に関する、各種の情報と証拠書類が、揃っているとも主張している。
 そもそも、キファーヤ党はガマール氏が、大統領候補に就任すること自体、法的に問題があるともしている。
 今回のキファーヤ党の、ガマール氏攻撃宣言ともいえる表明は、ドイツの通信社とカンデール氏との、インタビューの形で表面化したものだ。
 ムバーラク大統領の高齢化が話題に上り、それと相前後して、後継者が話題になり、ムバーラク大統領の二男ガマール氏の名前が、最有力候補者として登場してきていた。
 この時期に、キファーヤ党があえて危険を冒して、ガマール氏の大統領後継就任阻止に、挑戦するということは、いくつかの理由があろう。
 ムバーラク大統領の健康状態が、相当悪化してきており、権力内部でガマール氏後継の準備が、相当進められていることによるのではないか。そして、ガマール氏の大統領後継就任については、政府高官屋インテリ層も含む、多くのエジプト国民が、反対しているからではないか。
 今回の動きは、ガマール氏の後継者への道を、法的に阻止しようということであり、金に絡んだスキャンダルも、露見する可能性のあるガマール氏にとっては、きわめて危険な動きだ。
 そのことは、追及する側のキファーヤ党にとっても、相当な危険が伴うということであろう。エジプト国民はキファーヤ党を、どこまで支持するのか。警察はどう動くのか、裁判所はどのような行動を起こし、判断を下すのか。
 エジプトはいま、非常に緊張した状況を、迎えつつあるのかもしれない。
Posted by 佐々木 良昭 at 17:12 | この記事のURL
NO・1413嘘か誠か・イスラエルとアラブの接近情報 [2009年09月23日(Wed)]
 イスラエルのエルアル(ELAL)航空が、欧州便やアジア便を飛ばす場合、サウジアラビア、シリア、レバノン、イラク、レバノン、アフガニスタンなどが、自国の領空の通過を認めないために、遠回りをせざるを得ない状況にある。 
 こればかりではなく、北アフリカ諸国の領空通過も、認められていないことから、エルアル機は燃料を相当に余計に、消費しているということだ。経済観念の強いイスラエル人にとっては、これは大きな問題のひとつであろう。
 そうしたなか、アメリカで行われる中東三者会議(アメリカのオバマ大統領、イスラエルのネタニヤフ首相、パレスチナ自治政府のアッバース議長)では、ヨルダン川西岸地区への、イスラエルによる入植が、主要なテーマとなる。アメリカのオバマ大統領にしてみれば、問題を少しでも前進させたい、ということであろう。
 そこで出てきた情報が、イスラエルのヨルダン川西岸地区への、入植を停止することと、アラブ諸国の領空通過を、交換で認めるという話だ。この情報はワシントン・タイムズ紙が報じたものだが、何処まで信憑性がある話かは、なんとも言えない。
 サウジアラビアは、中東問題が完全に解決するまでは、エルアル機の領空通過を認めない、と明言しているが、当然といえば当然であろう。アラブ諸国の多くは、いまだに橋や公共建物の写真撮影を、厳しく禁止しているのだ。
 エルアル機が自国の領空を通過するということは、航空写真を撮られてもいい、ということに他ならない。それは、戦略的には非情に大きな、マイナスであろう。もちろん、偵察衛星から撮れば、全く問題は無いから、航空機から撮らせても、大勢に影響は無いと言えばそれまでの話だが、アラブ諸国側には、感情的な部分もあろう。
 このヨルダン川西岸地区への、イスラエルの入植停止と交換に、領空通過を認めるという話は、どうも実際にそれが、アラブ諸国から提案されたというよりは、そのようなこともありうる、というアメリカの上げた、観測気球ではないかと思えてならない。
 あるいは、パレスチナ自治政府がイスラエルに対し、ヨルダン川西岸地区への入植活動を停止するならば、エルアル機のアラブ領空通過を、アラブ諸国と掛け合ってもいいと、言ってみたという程度の話ではないのか。
 もし、この情報が事実であるとすれば、アラブ側の革命的なイスラエル対応の、大変革ということになろう。そうした大変革をする必要が、いまのアラブ諸国には無いのではないかと思えるのだが。
Posted by 佐々木 良昭 at 17:08 | この記事のURL
NO・1412ラマダンは終わったが悲惨は続く [2009年09月22日(Tue)]
 イエメンで北部のアルホウシ部族と、イエメン政府軍との衝突(内紛)が始まって久しい。毎日届くニュースは、アルホウシ部族側の死傷者の数だ。
 ラマダンが終わった日を、イスラム世界ではイード・ル・フィトル祭と定め、子供たちは新調した服で着飾り、親族近隣が訪問しあって、楽しむのが普通だ。このときにお菓子やお小遣いをもらえることも、子供たちにとっては楽しみだ。 
 しかし、イエメンの場合はイエメン政府側が、ラマダン停戦を呼びかけたが、実際には戦闘は止むことは無かったし、イード・ル・フィトルを迎えても、戦闘は続いている。何十人あるいは百何十人の、犠牲が出たというニュースが流れてくると、そこはまるでイスラム教世界とは、関係のない場所のような気さえする。
 同じように、イランとイスラエルとの緊張関係は、あいも変わらず続いている。イスラエルのペレス大統領は、ロシアのメドベージェフ大統領に、イランと戦争をするつもりは無い、と語ったと伝えられているが、他方では、戦争はイスラエルの選択肢から消えていない、という強硬な意見が、イスラエル政府高官の、何人かの口から出てきている。
 アメリカはどうかといえば、ブレジンスキー氏が、「イスラエル機がもしイラク上空を通過して、イランを攻撃するようなら、アメリカ軍はその爆撃機を撃墜すべきだ。」という強硬な発言しているが、それが彼の本心なのかどうかは、分からない。
 ところで、この二つの危険な状況は、いずれもイスラム教のシーア派が、かかわっているということは、何を意味するのだろうか。イエメンのアルホウシ部族は、何度も書いたようにシーア派のザイデイ派であり、イランはシーア派のなかの12イマーム派の国だ。
 その他のイスラム教スンニー派の国は、比較的穏やかなイード・ル・フィトル祭りを、迎えているようだ。もちろん、イラクの状況は、必ずしもそうではない。この国も、内紛の原因のひとつには、イスラム教シーア派の存在が、絡んでいる。
 いま世界は、イスラム教シーア派を、問題を生み出す原因のひとつに、定めているのかもしれない。近い将来、イスラム教シーア派の住民を抱えている国は、多かれ少なかれ国内的トラブルに、遭遇するのではないか。
 たとえば、サウジアラビア、バハレーン、クウエイトなどがそうだ。これら以外にも、湾岸諸国にはイスラム教シーア派国民と、住民を抱えている。イスラム教シーア派の人たちが、イスラム教世界のなかで虐げられてきたために、いまだに、現状に対する怒りを、爆発させるエネルギーを、蓄えていることが、その原因であろうか。そして、そのエネルギーを利用とする国々が、存在するからであろうか。
 世界の経済、特にアメリカの経済は今後、年末にかけて危険水域に入る、と主張する人たちが少なくない。そうであるとすれば、湾岸諸国は今後、不安定さを増していくのではないか。
Posted by 佐々木 良昭 at 10:33 | この記事のURL
NO・1411A・ネジャド大統領は何故イスラエルにこだわるのか [2009年09月20日(Sun)]
 イランのアハマド・ネジャド大統領が、また激しいイスラエル非難をした。イランのプレス・テレビの報道では、世界が反イスラエルで立ち上がるべきだ、という相当過激なものになっている。
 今回のアハマド・ネジャド大統領の非難は、イスラエルが中東地域全体を危険にさらしており、イスラエルは永遠に、中東地域の安全を脅かす存在だ、と語っている。中東地域のいずれの国も、イスラエルを承認することは無い、とも語っている。
 そして、イスラエルは嘘と詐欺の国家であり、植民地主義の目的に沿って、建設されたものだ、と語っている。加えて、シオニストは地球規模の帝国を、建設するつもりだとも語った。
 今回の発言の極めつけは、ホロコーストが真実ならば、何故その真実を突き止めることを、イスラエルは許さないのかと語ったことだ。
 このアハマド・ネジャド大統領の、イスラエル非難は尋常ではない、というのが世界的な評価だが、何故、彼はここまでもイスラエルを非難するのであろうか。しかるべき理由が無い限り、常識的には、ここまでは非難しないはずなのだが。
 このイスラエルに対する、激しい非難のスピーチは、エルサレム・デー(コドス・デー)でのものだが、このエルサレム・デーは、国際社会とイラン国民、そして世界のイスラム教徒が、パレスチナを支援する目的で、行われているものだ。
 このエルサレム・デーは、そもそも、イラン革命の父とでも言うべき、ホメイニ師によって提唱されたものだ。ホメイニ師の熱烈な信奉者であるアハマド・ネジャド大統領は、イスラエルの存在がパレスチナを、追い詰めているという認識であり、イスラエルの存在そのものを否定しないことには、パレスチナ問題は永遠に解決されない、ということであろう。
 他方で、アハマド・ネジャド大統領はアメリカの、イランへの介入を激しく非難してもいる。1953年に起こったイランのモサデク政権潰しは、アメリカによるものだった、という認識に立っている。
 そのアメリカがイスラエルを支援しているということは、イスラエルはアメリカの植民地政策の、道具だという認識であろう。そして、アハマド・ネジャド大統領の論理では、イスラエル建国は植民地主義者の陰謀であり、イスラエルは植民地主義の目的に沿ったものだし、イスラエルが建国に到る正当化のひとつであるホロコーストは、嘘だということであろう。
 しかし、このことを声高に叫べば叫ぶほど、彼に対する支持はもとより、イランに対する世界の支持は、得難くなるのではないか。核開発問題で、イランの味方についているロシアも、今回のアハマド・ネジャド大統領の発言は、受け入難く反対している。
Posted by 佐々木 良昭 at 23:45 | この記事のURL
NO・1410ナスルッラー師がイエメン内紛停戦呼びかけ [2009年09月20日(Sun)]
  レバノンのヘズブラのリーダーである、ハサン・ナスルッラー師がイエメン内紛の、停戦を呼びかけた。これに対し、イエメン政府は歓迎の意を表したが、それは表面的なものだ。
 述べるまでも無く、レバノンのヘズブラは、イスラム教シーア派の組織であり、イエメン政府軍がいま戦っているアルホウシ部族は、シーア派の一派である、ザイデイ派だからだ。
 つまり、レバノンのヘズブラが、イエメン内紛の停戦を呼びかけたのは、あくまでも、イエメンのシーア派を守りたい、という意向からであり、公平な問題の解決を、望んでではないのだ。
 これまで、イエメン政府はイエメンのシーア派勢力に対し、イランが物心両面の支援を送っている、と非難してきている。イランがイエメンのシーア派を支援するのは、当然といえば当然であろう。イランはイスラム教シーア派の、総元締めだからだ。
 イエメンのイラン非難に対し、イラン政府はイエメンがサウジアラビアから、物心両面の支援を受けて戦っている、と非難している。そして、サウジアラビアがイラクでも、イエメンでも、シーア派に対する攻撃を支援している、と非難しているのだ。つまり、中東における不安定な状態は、サウジアラビアがテロリストを、支援しているから生じているのだ、と非難しているのだ。
イランは最近、サウジアラビアがテロリストを支援していることを、アメリカも知っていると非難している。つまり、サウジアラビアのシーア派に対する攻撃支援はアメリカもその裏にいる、と言いたいのであろう。
この場合、問題はイランではなく、レバノンのヘズブラが、イエメンの内紛に口を挟み始めたということ。ヘズブラの義勇兵が、イエメンに入り込むことは、イランの義勇兵が入り込むよりも、容易であろう。その可能性が、出てきたということだ。
イエメンは黄海の出口、バーブ・ル・マンデブ海峡を、支配する要衝であり、ここをイランが支配下に置くようになれば、中東情勢は極めて複雑かつ、不安定になろう。述べるまでも無く、ペルシャ湾の出口であるホルムズ海峡は、イランの支配下にある、と言っても過言ではない。つまり、アラビア半島を囲む二つの海峡が、イランの手に落ちる可能性が、出てきたということだ。
イエメンのアルホウシ部族が、イエメン軍に勝利するとは思えないが、もし、アルホウシ部族の抵抗が長期化すれば、イエメン政府は弱体化する危険が生じ、その折には、かつてのようにイエメンが、南北に分裂することもあろう。
Posted by 佐々木 良昭 at 22:52 | この記事のURL
| 次へ