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NO4708 10月8日 『トルコは完全に舵を切ったのか』 [2017年10月08日(Sun)]
*トルコの動向が複雑になってきている。既に、これまでEUとの関係は最悪の状態になり、エルドアン大統領をして『EUに加盟しなくてもいい。』と言わしめている。*

*しかし、これはエルドアン大統領の強気の、表向きの発言なのであろう。ユルドルム首相はその後すぐに、関係を改善する意志がある、と言っているし、EUの中心であるドイツとの関係も、改善する意向だということを、口にしている。*

*アメリカとの関係が、劣悪であることは、言うまでもない。アメリカ市民を投獄した後、アメリカ領事館のトルコ人スタッフを、逮捕してもいる。このトルコ人スタッフについては、トルコ政府は『逮捕していない。』と言っているが、では彼はいま、どのような立場に、置かれているのであろうか。*

*他方、ロシアとトルコとの関係は、すこぶる好転しているようだ。これまで長い間、ロシア側から制裁を受けていた、トルコの対ロシア経済活動は、次第に緩和されてきている。トルコからのロシア向けトマトの輸出が、そのシンボルのようになっていたが、それも解除される見通しだ。*

*トルコはロシアから、S400ミサイルを輸入することを決め、既に手付金を支払った、とも報じられている。これはNATO諸国なかでもアメリカに、少なからぬショックを、与えたものと思われる。NTAO側はNATOの武器とスペックが合わないため、不具合が起こる、とクレームを付けているが、トルコは聞く耳を持っていない。*

*そして、今度始まったのは、シリアにおけるトルコとロシアとの、合同軍事作戦だ。シリアのイドリブに対する攻撃で、トルコは陸軍を派兵し、ロシアは空軍を使い、挟み撃ちにするという作戦なのだ。*

*多分この作戦は成功するだろうが、それはアメリカにとっては、極めて不愉快な状況が、始まるのではないかと思われる。アメリカは基本的に、シリアのアサド体制を、潰したいと考えているからだ。*

*加えて、イドリブ作戦はそこに陣取る、アメリカ支援を受ける、SDFが打倒される危険性が、高いということでもある。トルコ側は『トルコには自国の国境を守る権利があり、この作戦はシリア問題への介入ではなく、あくまでも祖国防衛作戦だ。』と主張している。*

*イドリブ作戦が成功した後は、トルコとロシアとの関係は、一層強化されよう。ロシアは自国の陸軍を派兵することなく、トルコの陸軍を使って目的を達成することが、出来るようになるのだ。その露土協力軍事行動は、今後、他の紛争地帯にも、当てはめられるのではないのか。*

*トルコはいま、トルコ・イラン・ロシアという、3ヶ国の連携を進めているが、これは中東地域の軍事状況を、一変させる可能性があることを、否定できない動きであろう。それをアメリカが放置するとは、思えないのだが。*
Posted by 佐々木 良昭 at 10:15 | この記事のURL
NO4707 10月7日 『サウジアラビア経済は悪化の一途』 [2017年10月07日(Sat)]
石油大国として覇者の地位を、長い間記録してきていた、サウジアラビアがいま、経済困難に陥っている。この状況は少なくとも、2020年までは続き、その後も改善の希望は無いようだ。

結果的に、いまのサウジアラビアの失業率は、12・8パーセントということだが、実際の数値は多分、これの10パーセント加えた、20パーセント台ではないか、と思われる。

サウジアラビアの経済が悪化しているのは、述べるまでも無く、同国の唯一の収入源である、石油価格の低迷であろう。そもそも、石油価格を引き下げたのは、サウジアラビアだと言われて久しい。イランに対する圧力であったろう、と言われていた。またアメリカのシェール・オイル潰しだ、とも言われていた。

 石油以外の産業の成長率は、限りなくゼロに接近している、と見られている。石油が高騰し、国家収入が増えれば、サウジアラビアでは建設業を始め、輸入業も活性化するが、石油だけに頼っている国では、石油価格が下がれば、他は駄目になって当然であろう。

 サウジアラビアのムハンマド・サルマン皇太子が、日本を訪問し、『石油以外の産業を伸ばしたい。』といったが、所詮絵に描いた餅、サウジアラビアはそんなことが出来る、産業の下地が出来ていないのだ。人材も教育も何もかもが、成長していないのだ。

 このままの経済状況が推移すれば、2020年には国家は大赤字になる、ということのようだ。それを防ぐには、IMFの勧告通りに、水や石油を値上するということだが、それは社会不安を起こしかねない、危険性があるのだ。

 そうした苦しい台所事情にもかかわらず、何故、サウジアラビアはイエメンで戦争を継続し、イラクやシリアに介入し、イランとの緊張関係を生み、カタールとも関係悪化の状態を、生み出しているのか。

 加えて、こうした戦争状態と、戦争の危険からであろうか。サウジアラビアは今年110億ドル相当の兵器購入を、アメリカと合意したが、最近になって、また150億ドルのサアド・ミサイル・システム購入を発表している。これではサウジアラビアの経済状態が、悪化しても無理は無かろう。

 アメリカは自国の経済困窮から抜け出すために、サウジアラビアに犠牲を強いているのであろうか。アメリカだけではない。サウジアラビアのスレイマン国王が、ロシアを訪問したが、そこでも
100億ドルレベルの、S400ミサイル・システムの購入の合意が交わされているのだ。

 サウジアラビアのような金はあるが、外交力も軍事力も無い国は、アメリカやロシア、そしてヨーロッパ諸国からむしり取られる、ということであろう。大分前だがある湾岸のプリンスは『武器を買っても、我々には高度過ぎて使えない、買わなければ体制を潰される。』と嘆いていた、という話を聞いたことがある。
Posted by 佐々木 良昭 at 10:26 | この記事のURL
NO4706 10月6日 『オスマン帝国は偉大米領事館スタッフも逮捕出来る』 [2017年10月06日(Fri)]
*トルコとアメリカとの関係は、最悪の状態にある、と私は見ていたが、まさかここまで悪化しているとは、思いたくなかった。何と、エルドアン大帝の命令で、イスタンブールにあるアメリカ領事館の、現地スタッフが逮捕されたのだ。*

*その人物の名は公表されていないが、イニシャルではM・Tだということだ。彼は10月4日に逮捕されたようだ。その逮捕の理由は、ギュレン・グループのメンバーとの、電話連絡だったということだ。*

* その相手は元検事のザカリヤ・オズ、元刑事のヤクプ・サイユル、ナズミ・アルデチュ、マヘル・チャカル、メフメト・アキフ・ウネルだということだ。*

10月5日、アメリカ政府はこのトルコ政府よる、蛮行に抗議し、このようなことは何のメリットも、アメリカとトルコとの間に生まない。トルコは法に従って問題を解決すると答えているが、それは信じがたい。といった内容のメッセージを、発している。

この逮捕の前には、アメリカ市民が逮捕され、投獄されており、アメリカとしては極めて神経質になっている、ということであろう。しかも、トルコ側はアメリカ市民の釈放については、在米のギュレン氏と交換だ、と主張しているのだ。

これまで、アメリカとトルコは相互に協力して、テロ対応をスムーズに進めてきていた。そのためには、領事館の活動は有益であった、というのがアメリカの認識だ。また、ビジネスの面でも領事館の果たしてきた役割は、大きいとみなしている。

今回のアメリカ領事館のスタッフ逮捕事件も、ギュレンがらみであることを見ると、エルドアン大統領は何としても、ギュレン氏を取り返し、トルコで裁判にかけたい、と望んでいるのであろう。

しかし、今回の領事館スタッフの逮捕は、やり過ぎではないか、と思われる。このような行動を、エルドアン大統領が取るのは、自分はネオ・オスマン帝国の皇帝であり、ネオ・オスマン帝国は偉大だ、という妄想の結果であろう。

加えて、今回の逮捕の裏には、ギュレン氏を捕まえて裁判にかけ、あわよくば処刑したい、と願っているエルゲネコンの意向も、大きく影響しているのであろう。どうやらトルコのエルドアン体制は、終局に向かい始めているようだ。
Posted by 佐々木 良昭 at 08:22 | この記事のURL
NO4705 10月5日 『エルドアンのイラン訪問と成果』 [2017年10月05日(Thu)]
*トルコのエルドアン大統領が、イランの首都テヘランを訪問したが、何が話し合われ、そして、何が成果として、出てきたのであろうか。トルコとイランは中東で、最も危険な要素を含んでいる、国同士であるだけに、興味が沸く。*

*今回のエルドアン大統領と、ロウハーニ大統領との間のメインテーマは、クルド自治区の問題であり、シリア問題だったようだ。クルドのイラクからの分離独立については、両国共に反対であり、トルコもイランもイラク軍と合同で、クルド自治区に接する、国境地帯での軍事訓練を行い、クルド自治政府に圧力をかけている。*

*それ以外には、イラン・トルコ間の貿易の話が、行われたようであり、イランはトルコへの石油輸出を増やすことを、既に決めており、イランはトルコヘの石油輸出量を、142パーセント増やした、と伝えられている。*

*加えて、興味深いイラン・トルコの合意には、両国が自国通貨で貿易を始めることに、合意したことだ。これは両国にとっては、極めて好都合な合意であろうが、ドルの世界支配体制を維持している、アメリカにとっては極めて不愉快な、動きであろう。*

*貿易の決済をドルではなく、自国通貨で行うという動きは、ロシアと中国との間でも進んでいるし、BRICSでも進んでいる。これが今後ますます拡大していけば、ドル安が起こることは必定であり、アメリカの世界支配構造が、崩壊する危険性がある、ということだ。*

*これら以外には、トルコとイランはイラク・クルド自治区で予定されている、大統領選挙と議会選挙について、話し合ったようだ。実際にこの選挙が行われれば、クルド自治区の独立への動きは、前進することになろう。*

*イスラエルがクルド自治区独立への動きを、支持していることもあり、イランは警戒しており、『クルド自治区が独立することは、もう一つのイスラエルが、中東地域に誕生することだ。』と警告している。*

*しかし、トルコとイランはシリア問題では、妥協が生まれるのがせいぜいであり、大きな協力体制が生まれるとは、いまの段階では考えられない。単純な表現をするならば、トルコはシリアのアサド体制を、打倒したいと考えており。他方、イランはアサド体勢を守りたい、と思っているからだ。*

*中東ウオーッチャーのなかには、クルドの独立についても、アサド大統領の今後についても、大きな新しい枠組みが出来ており、表面に出ている現象は、嘘だと判断している人もいるが、そこまでは推測を広げたくはない。*

*入って来る情報と、常識的な判断で、現在の動きを見るのが、妥当ではないのか。国際情勢を見ている者にとっては、予測が的中することは、魅力的なのだが、あまりかんぐると、陰謀論者と呼ばれたり,ハッタリ屋と見なされたりする場合がある。*
Posted by 佐々木 良昭 at 07:06 | この記事のURL
NO4704 10月4日 『斬首するISも自分の命は惜しい』 [2017年10月03日(Tue)]
*敵の兵士や市民の首を切り落とす、斬首刑を実行してきた、IS(ISIL)のメンバーも、いざ自分が殺されるかもしれない立場、状況に追い込まれると、命が惜しいらしい。敵に捕まったIS(ISIL)のメンバーが、間抜けというか、だらしの無い言い訳をして、命乞いをしているようだ。*
*イラクのハウイジャが、イラク軍の手によって奪還されると、多くのIS(ISIL)のメンバーが逃げ出し、キルクークに向かったようだ。彼らがキルクークに逃れたのには、意味がある。*

*ハウイジャにいて、イラク兵に捕まれば、イラク兵のほとんどが、シーア派であることから、スンニー派であるIS(ISIL)のメンバーが、イラク軍に捕まればどんな仕返しをされるか、気が気ではなかったようだ。*

*このため、スンニー派であるクルドのペシュメルガの元に、逃げ込んだということであろう。そこでは当然のことながら、人定が行われ、戦争犯罪に関与していたか否かが、調べられる。*

*後ろ手に縛られた、IS(ISIL)のメンバーたちは、女子供のIS(ISIL)メンバーと共に、投降してきたようだが、床に膝まづかせられ、尋問に答えている。なお、IS(ISIL)の男女は、別々に収容されているようだ。*

その尋問のなかでの、IS(ISIL)のメンバーの答えが振るっているので、ご紹介することにした。

問い:お前はIS(ISIL)のメンバーか?

答え:いや違います、私はIS(ISIL)の戦闘員の、食事を作るコックをしていました。

問い:IS(ISIL)にはハウイジャだけで1万人を超えるコックがいたのか?(投降したISメンバーの多くがコックだったと答えている)

答え:、、、、、。

問い:お前は斬首に加わったのか?

答え:斬首は加わっていないし、見たこともありません。(ISは斬首刑を見るよう強要していた)

 ペシュメルガの仕官は尋問のなかで、IS(ISIL)の戦闘員のほとんどが『俺は農民だ』『俺はコックだ』と答えることに、苦笑しているということだ。しかし、やがては調書が出来上がり、IS(ISIL)メンバーのリストも出来上がり、そのような嘘は通用しなくなるだろう、ということのようだ。

 IS(ISIL)のメンバーでないことが、明らかになった者については、家族と合流することが出来るようだ。だが、未だに3000人のIS(ISIL)の戦闘員が、ハウイジャには残っているようだ。クルドのペシュメルガは、出来るだけ多くの情報を、この投降者たちから得たい、と思っているようだ。

 有罪と目される者は、裁判で公正な判決を受けることが出来る、だから正直に答えろ、と語っている。そうは言われても、IS(ISIL)のメンバーにしてみれば、そう簡単には、ペシュメルガを信用できない、ということであろう。

 ハウイジャのIS(ISIL)の戦闘員の多くは、イラクのスンニー派国民であることから、その事に対する配慮もあるのであろうし、場合によっては、IS(ISIL)から抜け出してきた投降者たちを、将来のイラク・シーア派軍との戦闘に、クルドのペシュメルガは雇い入れることも、考えているのかもしれない。
Posted by 佐々木 良昭 at 19:15 | この記事のURL
NO4703 10月3日 『トルコの工業力進歩』 [2017年10月03日(Tue)]
*トルコの工業力が進歩している、というニュースが、つい最近伝えられていた。トルコは日本を含む自動車組立工場を持つ国として、知られている。トヨタを始めメルセデスベンツ社も、工場を持っているのだ。*

*それはトルコで製造されたものが、無税でヨーロッパ市場に輸出出来る、というメリットと、トルコ人のものづくりのレベルが、高いことを意味していよう。このため、トルコには基本的な工業技術が、根付いているということであろうか。*

*そうしたなかで、イギリスからキャタピラが輸出されている、というニュースも伝ってきた。キャタピラはブルド−ザーばかりではなく、戦車や装甲車にも使われる。もちろん堅牢であることが、最重要ポイントであろう。*

*次いで、トルコから戦闘車両が、自国で生産できるようになった、というニュースが伝えられた。これは注目に値するニュースであろう。トルコは自前で重兵器を、製造できるようになったということは、この国の戦略思考を、大幅に変える可能性が、あるからだ。*

トルコは周辺諸国と緊張関係にあり、しかも、トルコは周辺諸国への軍事侵攻を、常に考えている国でもある。そうした国が、自前の武器を持つことになれば、先進諸国はトルコの暴走を、止め難くなる危険がある。

以前から、戦争はその国の工業力を躍進させる、と言われてきている。戦車や装甲車両ばかりではなく、トルコは今後、科学兵器を含む各種の武器を、国内生産していくことになろう。その場合、一体どの国が待ったをかけられるのか。

トルコでは軽 火器は、大分前から製造されている。爆弾や砲弾も製造可能であろう。そして、エルドアン大統領がロシアや日本との間で、原発の建設を希望していたのは、将来、核保有国になることを、目指していたためと思われる。

トルコの隣国イランが、核兵器の製造を考えているとして、アメリカが警戒し、圧力を掛け続けているが、そのイランとトルコとの関係は、必ずしも良好ではない。潜在的敵対国同士なのだ。

サウジアラビアの国王が、モスクワを訪問し石油基金を設立し、10億ドルの基金拠出を決めたと言われているが、この国も将来的には核保有国を、目指しているようだ。そうなると中東には幾つもの核保有国が、誕生する危険性がある、ということであろう。

そして北朝鮮が、幾つかの中東の国々との間で、核開発の協力をしていることも事実だ。エジプトに北朝鮮からロケットが輸出されていた、という報道もあった。今後、中東はますます危険度を、高めていくということだ。
Posted by 佐々木 良昭 at 07:58 | この記事のURL
NO4702 10月2日 『アフガニスタンの少年がシリアで戦闘参加』 [2017年10月02日(Mon)]
* アフガニスタンの戦争から逃れ、難民としてイランに移住している、アフガニスタンの少年たちが、イラン政府の募集に応じて、ボランテアの戦闘員になっている、という報告が人権委員会から出された。*

*その報告によれば、少年たちの年齢は13、14歳前後、ということであり、シリアでの戦闘に参加すれば、帰還後に難民のステータスから、居住者のステータスに変ええてもらえる、ということのようだ。*

もちろん、居住者のステータスを得る前に死亡する者は、少なくないということであり、居住権を命と交換するという、極めリススキーな選択であろう。それでも、その徴兵に応募するのは、イラン政府の強い働きかけと、家族への思いからであろう。

こうしてシリアの戦線で死んでいった、少年たちの数は少なくなく、イランには彼らの墓があるということだ。その墓石には何処で死んだのかが、記されている場合もあるようだ。だがそれがどんな価値を意味するのか。

このボランテアの少年兵たちは『モスクの防衛者たち』ということになっているが、そのモスクはサイイダ・ゼイナブだそうだ。彼らはイラン軍のファタミユーン部隊に所属するということだ。サイイダ・ゼイナブは泣いているのではないのか。(サイイダ・ゼイナブは預言者ムハンマドの妻の名前)

イランには2015年の段階で、250万人以上のアフガニスタン難民が居住しており、イラン政府がそのなかから、ボランテアの戦闘員を掘り起こすことは、そう困難ではあるまい。

しかし、この話はどう考えても悲劇でしかない、と感じるのは私の信仰が、薄いが故であろうか。
Posted by 佐々木 良昭 at 09:31 | この記事のURL
NO4701 10月1日 『意外にクルド独立はうまく行く可能性がある』 [2017年10月01日(Sun)]
*北イラクのクルド自治区で、イラクからの分離独立を目指す、住民投票が行われ、その結果は92パーセント以上が、賛成票であったことは、何度か書いた。問題はその後のクルドが、どうなるのかということだ。*

*トルコやイラン、イラクの立場は、このクルドの動きを潰す、という強硬なものだ。既に、イラク政府はクルド地区の空港への、国際便の発着を止めている。またクルド地区に繋がる陸路も、閉鎖すると言っている。そのことは結果的に、クルド地区を陸の孤島にしてしまう、ということに他ならない。*

*こうなってしまえば、クルド地区で行われた住民投票の結果、つまり、クルドの独立への夢は、費えてしまうということなのだが、その通りに推移するのであろうか。どうもそれでは、クルドの代表者であるバルザーニ議長が、あまりにも単純で、感情に流された、判断をしたということになってしまう。*

*バルザーニ議長は父親の代から、クルド地区の分離独立を目指して、イラク政府に抵抗してきた、バリバリの抵抗運動ファミリーだ。従って、話はそう単純ではなかろうと思う。*

*トルコ軍とイラク軍は、クルドの国境近くで合同軍事演習などをして、威圧しているが、その効果はあるのだろうか。また、イランはクルド地区への石油製品の輸出を止める、と発表しているが、それは戦闘車両を動かせなくなる、ということであろう。*

*エルドアンは『バルザーニはやがてとんでもない、付けを払わせられる。』と脅してもいる。つまり、分離独立というクルド人の夢は、彼らを破滅に導く、と言っているわけだ。*

*それでは空路は別にして、陸路も完全に閉鎖され、物資がクルド地区には届かなくなる、ということについては、どうであろうか。トルコのユルドルム首相は『クルドの庶民を、困らせることは無い。』と語っているが、それはトルコから今後も、食料品を始めとする物資は、届くということであろう。*

*トルコはいまロシアの経済制裁で、農産品業者が大きなダメージを受けており、これにクルド地区への輸出も重なれば、相当数の業者が倒産するハメになろう。その事は、トルコ国内でクルドへの締め付けに、反対する動きが起こりうる、ということだ。*

*さて、それではクルド地区の経済を支える、石油の輸出についてはどうであろうか。北イラクのクルド地区に隣接する国(地域)には、トルコ、イラン、イラクだけではなく、シリアのクルド地区もあるのだ。*
*
シリアのクルドの戦闘には、イラクのクルドのペシュメルガ軍が、応分の協力を送っていた。しかも、いまではシリア北部のおおよその部分は、クルド人の支配下にある。
*
*そうであるならば、イラクのクルド地域で生産された石油は、シリアのクルド地区を通って、欧米市場に向かうということが、起こりうるということだ。また、イスラエルもイラク・クルドの石油の、大口購入者なのだ。*

*今回のイラク・クルドの動きについては、イラン、トルコがイスラエルの関与を、非難している。確かにそうであろう。独立投票の後、イラクのクルド地区ではイスラエルの国旗が、振られたのだ。イラクのクルドとイスラエルとの関係は古く、1960年代に始まっているのだ。*

*イスラエルはイラクとシリアのクルドを、結びつけることにより、将来的にはこの二地区に、トルコのクルド地区を加えて、一つにして独立させ、石油はトルコを経由せずに、欧米に輸出できる体制にする気ではないのか。*

*アメリカは大分前から、トルコのエルドアン大統領を毛嫌いしており、トルコの5分の1の領土を、新生のクルド国家に加える、という考えを持った人もいるのだ。思うに、今回のイラク・クルドの分離独立への動きは、その裏にイスラエルとアメリカの、大構想があったために、進められたのではないか、ということだ。*
Posted by 佐々木 良昭 at 10:44 | この記事のURL
NO4700 9月30日 『クルド追い込み、戦争か交渉か』 [2017年09月30日(Sat)]
*北イラクのクルド自治政府が実施した、独立への住民投票の結果は、予想通りだった。92〜93パーセントの住民が、分離独立を支持する票を投じた。それはそうであろう、3000万人とも4000万人とも言われるクルド人が、自分たちの国を持てずに長い苦難の歴史を、記して来たのだから。*
当然この投票結果は、クルド住民を歓喜させたのだが、問題はこれから始まるということだ。クルド自治政府が断行した投票には、イラクもイランもトルコも大反対だった。従ってこれらの国々が、クルド自治政府に圧力を掛けてくることになる。*

*その圧力とは、クルド自治区のエルビルにある、国際空港を閉鎖することに始まる。イラク中央政府は3日間の猶予を与えたが、それは29日までであり、この日以後はエルビル空港への国際便の発着は、全て止まることになった。*

加えて陸路の国境も、閉鎖されることになっているが、これについては、イラク中央政府とクルド自治政府との間で、話がまとまっていないようだ、クルド自治政府が国境警備の、イラク中央政府への権限引き渡しを、拒否しているのだ。

トルコ政府はクルド自治政府の締め上げに、イラク軍と協力して、軍事的な圧力を掛け、国境付近で合同軍事演習をしているが、それよりも応えるのは、トルコ経由のクルド地区からの石油輸出の、パイプ・ラインを止めることであろう。

クルド地区のキルクークには、イラクのなかで最大規模の、石油埋蔵量を誇る油田があるが、そこの石油が輸出できなくなれば、クルド自治政府はお手上げであろう。ただし、これはトルコにとっても、両刃の剣なのだ。締め付ければそれまで、安価に買っていたクルド自治区の石油は、トルコに入って来なくなり、トルコ経済に悪影響を与えるからだ。

アメリカもこのクルド地区の分離独立には、反対しているが、このことについて、クルド自治政府はアメリカがイラク北部に、新しい軍事基地を建設している、と揺さぶりを駆けている。それは、多分にイランに対する、警告のメッセージであろう。イランもスンニー派のイマームをして、イラクの分離には反対している旨を、伝えている。

トルコはイラクのクルド自治政府は、投票後に『トルコがどれだけ怒っているかを、知ったであろう。それまでは甘い考えであった。」と語り、これから締め付けを強化し、結果的にクルド自治政府は、立ち行かなくなる、と警告している。

トルコのエルドアン大統領は『バルザーニ大統領は投票を実施することで、自身を火中に投げやった。』つまり自殺行為をした、と非難している。確かにそうであろう。いかな勇敢なクルド人とは言え、トルコ、イラン、イラクを敵に回して、戦争をすることは、不可能であろう。時間をかけて締め付けられるか、あるいは周辺諸国の締め付けと、脅しに耐え抜くのか、これからそれが始まろう。

もちろん、交渉の余地が全く無いわけではない、イラク政府は高度な自治を保障することで、この問題を解決するかもしれない。そうあって欲しいものだ。
Posted by 佐々木 良昭 at 09:32 | この記事のURL
NO4699 9月29日 『バグダーデイのメッセージ、死せる孔明生ける仲達を走らす』 [2017年09月29日(Fri)]
*季節外れのような、間抜けな情報が、伝わってきた。それはIS(ISIL)のトップである、アブーバクル。バグダーデイの音声メッセージが、公開されたことだ。この、アブーバクル・バグダーデイの音声メッセージは、テープでIS(ISIL)が運営する、フルカーンを通じて流された。*

*フルカーンとはアラビア語で、コーランを意味する言葉だが、そのウエッブ・サイトであろう。テープのメッセージは46 分という、極めて長いものだったようだ。このメッセージの前に流された、アブーバクル・バグダーデイのメッセージは、去る11月のものだった。*

*IS(ISIL)は今年の7月に1ヶ月にも及ぶ、イラク軍の攻撃を受け、モースルで敗退した。もちろん、この戦いにはアメリカ軍の支援があった。その後、IS(ISIL)はイラクとシリアの国境沿いの、砂漠の中に逃げ込んだ、と伝えられているが、シリアのイドリブやデルズールにも、流れ込んでいる。*

*バグダーデイの死については、ロシア軍がラッカ攻撃をした際に、ほぼ確実に死亡したようだ、と発表したのは6月であったが、アメリカはその後、このロシア軍による、アブーバクル・バグダーデイ殺害情報を否定し、まだ生存している確率が高い、と発表している。*

*それはそうであろう。アメリカにとってIS(ISIL)は、まだ使えるテロ集団であり、アメリカが打倒したいと望んでいる、シリアのアサド大統領にとっては、最大の脅威であろう。従って、そう簡単には、IS(ISIL)のリーダーであるアブーバクル・バグダーデイに、死なれては困るということであろう。*

*加えて、アメリカ政府はアブーバクル・バグダーデイに懸賞金をかけており、ロシア軍が殺害したのであれば、懸賞金額2500万ドルをロシア軍に支払わなければならない、というジョークになってしまう。*

*もう一つは、彼らが創り上げた虚像の、アブーバクル・バグダーデイは自分たちの手で始末したい、という気持ちもあるだろう。私に言わせればアブーバクル・バグダーデイは死亡している、と思えるのだが『死せる孔明生ける仲達を走らす。』の類ではないのか、と思えるのだが。*
Posted by 佐々木 良昭 at 08:10 | この記事のURL