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NO5200 8月15日  『ヨルダンでテロ・警官4人死亡テロリスト3人死亡』 [2018年08月13日(Mon)]
ヨルダンの首都アンマンに近いファヒスの街で、テロ事件が起こった。治安部隊の車両に対する、テロリスト側からの爆弾攻撃で戦闘が始まり、テロリストは近くのビルに立てこもり、戦闘を継続した。

戦闘の結果、治安部隊員の4人が死亡し、テロリスト側にも3人の死者が出ている。それ以外に、テロリスト5人が逮捕されている。この戦闘に巻き込まれ、市民も犠牲になっているが、20人以上が負傷した模様だ。

ヨルダン国王はこのテロ事件を重く捉え『我々はハワーリジュと戦うし、情容赦なく攻撃する。ハワーリジュとはイスラムから離れた者、棄教者を意味する言葉だ。つまりヨルダン国王はこのテロリストを、最も厳しい言葉で表現したということだ。

ヨルダンの治安軍は1月にIS(ISIL)を攻撃しており、彼らのテロ計画を阻止している。それは治安部事務所攻撃や、ショッピング・モール、穏健派イスラム学者を狙った、テロが起こっていたからだ。

テロリストは今回のテロ事件の後、何処の組織も犯行声明を出していないが、これまでの経緯から考えると、IS(ISIL)の潜伏している、細胞メンバーによるものであろう、と思われている。

ヨルダンでは若者の失業率が高いことや、貧困の増大などで、次第に過激な考えをする者が増えてきている。

ヨルダン国内には相当数のIS(ISIL)細胞が、潜伏しているものと考えられており、事態は失業、貧困の増大で悪化して行き、テロはこれから増大していくのではないか、と思われる。

その事に加え、IS(ISIL)がイラクとシリアで支配地を失い、周辺諸国に逃亡しているが、ヨルダンもIS(ISIL)の逃亡先の一つだ。ヨルダンにはシリアの難民キャンプがあり、IS(ISIL)メンバーはそこに潜伏することが、容易なのだ。

種々の状況から判断すると、これからヨルダン国内は、危険度を増していく、ということであろう。そして、それは決して逆ではないということだ。
Posted by 佐々木 良昭 at 23:07 | この記事のURL
NO5199    8月14日   『エルドアンの怒り心頭』  [2018年08月13日(Mon)]
今朝のトルコ・リラ・レートは、ついに1ドルに対し、6,61リラを記録している。まさに滝つぼに落ちる勢い、と言えよう。これでは貿易もままなるまい。そのためエルドアン大統領は怒り心頭、アメリカに対して激しい怒りを、口にしている。

彼は『我々には取り引き 相手を変えることができる。』と語り、これまでのトルコとアメリカの、50年にも及ぶ信頼関係を、反故にするのかと言っている。トルコはNATOのメンバー国として、アメリカに奉仕してきていたのだ。

アメリカがトルコに敵対する、PKKを支援してきたことを暴露し、アメリカ人牧師ブロンソンの釈放を、要求していることも非難した。エルドアン大統領に言わせれば、このブロンソン牧師はエルドアン大統領の仇敵である、ギュレン・グループの仲間であり、PKKの味方でもあるということだ。

こうした動きのなかで、トルコは次第にアメリカの陣営から外れ、ロシアや中国との関係を、強くして行くことが予想されるが、そうなれば、中東におけるアメリカの立場は、弱体化していこう。そうでなくとも、アメリカに対する不満は、中東諸国と国民の間で、拡大しているのだ。

アメリカによるトルコに対する、貿易を中心とした圧力は、ヨーロッパ諸国も同様であり、ドイツの経済大臣は『アメリカの通商政策は失業を増やし、経済を悪化させるものだ。』と非難している。アメリカが打ち出したトルコ製の鉄やアルミニュームへの、関税倍増はドイツなども、影響をこうむるものだからだ。

 そうした流れのなかで、トルコはシリアにシリア国民軍なる、新たなミリシア組織を結成している。もちろん、このミリシア組織は反アサドの組織であり、35000人の戦闘員を有するということだ。その組織に対しトルコは武器と資金を、提供することになった。トルコはシリアのイドリブに、12の軍事基地を確保している。

 この新たなシリア国民軍の結成によって、アメリカとロシアが交わした、アサド体制生き残りと、アサド政府のシリアに於ける支配と、安定化戦略は水泡に帰するかもしれない。その事はアメリカの軍事負担が増え、かつ駐留期間が大幅に延長される、ということではないのか。

 トルコのエルドアン大統領が最終的に勝つのか、あるいはアメリカという世界帝国の前にひれ伏すことになるのか。今世紀最大のショーなのかもしれない。
Posted by 佐々木 良昭 at 10:16 | この記事のURL
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