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NO:5006 2月5日 『国境が見えなくなってきた中東諸国』 [2018年02月04日(Sun)]
*最近思うことは、中東諸国の国境が、不鮮明になってきているということだ。いままでは、敵対しあっていたイスラエルとアラブ、あるいはアラブとアラブが敵対しており、それぞれの関係は極めて明確であり、厳しいものだった。*

*しかし、最近ではアラブとイスラエルが、協力し合い友好的になったり、敵対しあっていたアラブの国の関係が、良好になったり、あるいは友好的だったアラブの国が、敵対しあうようになっている。*

*こうした状況は、いままで中東諸国に抱いていた、一般的な認識が大変化するということであり、古い認識で状況を診ては、とんでもない間違った判断をする、ということだ。

*例えば、アラブとイスラエルは不倶戴天の敵同士、といわれていたが、いまではアラブ最大の軍事力を有し、4度のイスラエルとの戦争で主役を勤めた、エジプトがイスラエルと良好な関係になっている。*

*そのエジプトはシナイ半島北部の、IS(ISIL)のテロ活動に、手を焼き困っていたが、IS(ISIL)のシナイ半島北部進出は、イスラエルにとっても危険なことであり、イスラエルとエジプトが共闘作戦を、取り始めているのだ。*

*イスラエル側はエジプト政府との合意の下に、シナイ半島北部のIS(ISIL)の拠点を、100回以上に渡って空爆したということが、明らかになっている。これまでであれば、自国領土をこともあろうに、イスラエルに空爆させるなどということは、起こり得なかったのだ。*

*単純に言ってしまえばIS(ISIL)はエジプトにとっても、イスラエルにとっても敵であることから、共同して対応するということなのであろう。*

北アフリカのリビア、チュニジア、アルジェリア、モロッコの関係も、IS(ISIL)
を中心とするテロリスト対応をめぐり、協力姿勢が見え始め、いままでの状況とは異なってきている。例えば、アルジェリアとモロッコとは敵対関係にあったが、最近では治安面等で、協力姿勢が目立ってきている、それはチュニジア・リビア関係でも然りだ。

サウジアラビアとUAEは領土問題をめぐり、敵対関係にあった時期もあるのだが、最近では関係が良好になり、カタールを共通の敵とする形になっているし、イエメン戦争ではUAE
がサウジアラビアを支援し、軍事作戦に参加している。

トルコとシリアとの関係は、以前は悪くなかったのだが、いまでは完全に敵対関係になり、トルコはシリアに軍事侵攻している。トルコのハラの内はシリアを、オスマン帝国の時代の自国領土と考え、シリア北部を奪取したいということのようだ。

トルコが数百万人(トルコに居住するシリア難民数は、300万人とも500万人とも言われている)
のシリア難民を抱え込んでいるのは、将来への布石であり、それを国際的にアピールするためであり、決して単純な人道的な、支援ではあるまい。

各国の利害が最優先してであろうか、現在では各国はそれぞれの国益を最優先し、かつての敵とでも組む時代に、入っているようだ。それは国境の存在をぼかし、中東地域に新たな組み合わせを、作っていくのではないか。
Posted by 佐々木 良昭 at 11:15 | この記事のURL
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