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NO4099『OIC開催の成果はあったのか』 [2016年04月15日(Fri)]
世界中のイスラム諸国のトップが集まるOIC、つまり、イスラム諸国会議が毎年開催されるが、今年はどんな成果が生まれたのであろうか。会場はトルコのイスタンブール市、かつてのオスマン帝国の首都であるだけに、雰囲気は十分であろう。

もちろん、主催者はエルドアン大統領であり、彼の名演説が会場に響き渡った。曰く『イスラム諸国で国際警察組織を創ろう』『イスラム諸国が協力してテロを撲滅しよう』といった調子だ。

しかし、この二つの提案にはあまり、意味がないと思われる。イスラム諸国が集まって、国際警察組織を創っても、それが機能するとは思えない。各国の思惑だけが先走りし、その本部の設置で争い、そして、資金提供者の湾岸諸国の負担が、増加するだけであろう。

テロ問題の解決についても同様に、実は国際テロ組織のスポンサーは、イスラム諸国が多いのだ。IS(ISIL)について言えば、サウジアラビアとカタール、そしてトルコがスポンサーであり、彼らは立場を変更する気はなかろう。

そうした現実があり、イランは別の立場を、採ることになるわけだが、それに対しては、スンニー派の国々がこぞって、イラン批判を行っている。サウジアラビアやカタールなどは、本音では猛反発であろう。

しかし、今回のOIC会議で幾つかの イスラム諸国の間で関係改善の、兆しが見られたようだ。エジプトと主催国トルコの関係改善が、ささやかれ始めた。エジプトからはシーシ大統領は、参加しなかったものの、両国関係の改善を感じさせる。もしそうであれば嬉しい限りだ。

また、サウジアラビアとイランとの関係も、改善するのではないか、という期待感が出始めてもいる。しかし、このことについては、あまり期待が持てまい。それは昨日の段階で、イランが毎月定期的に、大型の軍事訓練を行うことが、決定されたからだ。もちろん、イランの仮想敵国はサウジアラビアであり、次いでその他の湾岸アラブ諸国、ということになる。

ただ言えることは、話し合いが続いているうちは、殴り合いにはならない、ということだ。その程度の重要性を置いて、この会議の開催を歓迎するのが、順当なのかもしれない
Posted by 佐々木 良昭 at 11:06 | この記事のURL
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