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NO3953『ダウトールがイメージアップに欧コンサルタントと契約』 [2015年11月08日(Sun)]
トルコのダウトール首相が、ヨーロッパ最大の、PR会社と契約を結んだ。述べるまでもなく、それは彼のヨーロッパを始めとする、外国での評判を良くするためだ。

この契約が結ばれたのは、与党AKPが選挙で勝利した2日後、つまり11月3日だった。契約金は9、999ユーロということだが、それだけではあるまい。ケース・バイ・ケースなどで、契約金はどうにでも膨らませることが、出来るのであろうが、トルコ国内での反応を気にしての、表向きの契約金であろう。

このPR会社とは、バーソン・バーステラーズという会社で、PR会社としてはヨーロッパ最大の会社であり、ワシントン、ロンドン、パリなどに、オフィスを構えているということだ。

エルドアン大統領が選挙後に、独裁色を強めていることは、欧米が懸念するところであり、法による統治、報道の自由などが侵されるのではないか、という懸念が広がっている。

今回のダウトール首相のPR会社との契約は、こうしたトルコとエルドアン大統領に対する、欧米のネガティブなイメージを変えたい、ということからであろうが、果たしてどの程度の効果が、上がるのかは疑問だ。

確かに、ダウトール首相はエルドアン大統領とは異なり、インテリであり、考え方もエルドアン大統領とは異なる。そこで彼が、どれだけエルドアン大統領の方針を、修正をすることが出来るのかが、問題であろう。

実際には、ダウトール首相は完全に、エルドアン大統領のコントロール下にあり、彼がエルドアン大統領の方針を、変えることは出来まい。マーク・ピエリーニ元在トルコEU大使(現在はカーネギーに籍を置く)は『ダウトールには考えがあるが、選挙後に力を増したエルドアンを抑えることは、到底出来ないだろう、彼には何も変えられまい。』と語っている。

確かにそうであろう。今回、ダウトール首相がPR会社バーソン・バーステラーズと契約を交わしたのも、彼がエルドアン大統領に提案して許可されたか、エルドアン大統領の指示によるものであろう。

しかし、いずれであるにせよ、トルコとエルドアン大統領の、イメージが変わることはなかろうし、ダウトール首相のイメージだけが改善するようでは、彼の身が危険になるということではないか。
Posted by 佐々木 良昭 at 10:00 | この記事のURL
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