• もっと見る
« 2015年09月 | Main | 2015年11月»
NO3945『アメリカが軍特殊部隊シリア派兵の意味』 [2015年10月31日(Sat)]
これまでアメリカ国民を、外国の戦争で死なせることを嫌った、オバマ大統領は尊敬に値する。だが、実態はどうなのであろうか。彼は12年が経過したいまなお、アフガニスタンとイラクにアメリカ軍を貼り付けたままになっている。

そして、アメリカ軍の将兵の犠牲を生まないために、彼は無人機を使って無差別といっていいほど、現地の人たちを攻撃し、殺してきたのだ。一見、平和愛好者であるように見えているオバマ大統領の実態は、あくまでも利己的でしかないのだ。

その自分中心の考えのオバマ大統領が、ここに来て、突然、シリアに派兵すると言い出した。しかも、シリアに送り出される部隊は、特殊作戦専門の部隊なのだ。つまり戦争のプロというか、殺しのプロの集団ということになる。

だが、その数は50人以内のようだ。オバマ大統領は一体何をやらかす、というのだろうか。実はオバマ大統領は腹の中では、アメリカの軍部を納得させ、国民の支持を得るために、ロシアのシリアでの独り舞台を、失敗させることを狙っているのであろう。

このままロシアがシリアで戦闘を続け、空爆によってIS(ISIL)を打倒できれば、ロシアに対する中東地域各国の、ロシア賞賛の声は大きくなろう。もともと、ソ連(ロシア)との関係が強かった、エジプトは述べるまでも無い。

イラク政府はアメリカの派兵を断り、ロシアに派兵を要請している。既に、親米のサウジアラビアなど、湾岸の幾つかの国も、ロシアとの関係改善に、動き出している。

これでは、中東地域はアメリカの覇権から外れ、ロシアの覇権内に組み込まれてしまうかもしれない。それでオバマ大統領は恐る恐る、シリアへの形式的な派兵を、決めたのであろう。

しかし、腰が引けたオバマ大統領の、絆創膏を張るような、シリアへの軍事介入は、必ず失敗に終わろう。そして、50人のアメリカ兵はボデー・バッグ(軍が使う死体を入れるための袋)に入って、帰国するかもしれない。

オバマ大統領の腰の引けた対応に比べ、プーチン大統領は断固とした強い意志で、シリアに対応している。しかも、その進め方は国際法に則り、シリア政府の要請を受けて行っているのだから、文句の付けようは無いはずだ。

そして、ロシアに派兵を要請したシリアのアサド政権は、少なくとも現段階では、正統な政権なのだ。武蔵では無いが『オバマ敗れたり』というプーチンの声が聞こえてくるようだ。
Posted by 佐々木 良昭 at 23:24 | この記事のURL
| 次へ