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NO3742 『エルドアン大統領ダウトール首相に連立内閣組閣許可』 [2015年07月10日(Fri)]
エルドアン大統領はダウトール首相と、1時間半に渡って話し合い、連立内閣の組閣を許可した。これでトルコはやっと、新政府が出来上がる方向に、動き出したことになるのだが、果たしてどうであろうか。

これまで、エルドアン大統領は連立内閣の組閣を、許可しないで時間稼ぎをし、45日間の期限が切れたら、再選挙に打って出るつもりで来ていた。エルドアン大統領の考えでは、再選挙をやれば与党AKPは、今度こそ過半数の議員を当選させることができ、単独政権を樹立することが、可能だと読んでいた。

しかし、ここにきてエルドアン大統領が、連立を許可したのは何故であろうか。実はAKPが野党各党との間で、話し合いをしても、連立内閣が成立する可能性は、極めて低いからであろう。

与党AKPはクルドの政党HDPとは、連立不可能であろう。HDP側は連立に参加しても構わない、と言っているが、それは内閣に入ってしまえば勝ちだという、ゲリラ的な発想からの判断であろう。しかし、それが実現することはあるまい。

野党のMHPとの場合は、やはり困難であることが予想される。MHPは汚職事件に関する、取り調べを強く要求しており、それはエルドアンが認めない。ダウトール首相も何度となく『大統領の地位に関わることについては、連立の条件に含まない。』と繰り返している。

そうである以上、MHPはAKPとは連立に、加われないということになろう。そして、最大野党であるCHPの場合は、ダウトール首相の連立構想に、前向きの立場を示している。そのことは、新内閣に相当影響を及ぼせる、と考えてのことであろうが、それはAKP側にとっては、極めて不都合なことであろう。

結果的に、連立交渉は来週から始まるようだが、それがうまく合意に達する可能性は、低いということではないか。国内のAKPに対する批判が高まる中で、エルドアン大統領は連立が成立しないと判断し、ダウトール首相に連立交渉をする、許可を出したのであろう。
Posted by 佐々木 良昭 at 11:37 | この記事のURL
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