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NO 3603 『第二スエズ運河で事故発生か』 [2015年01月20日(Tue)]
エジプトのシーシ大統領が、国民に夢を与えるプロジェクトとして始めた、第二スエズ運河建設プロジェクトが、ちょっと問題を起こしたようだ。
それは、工事現場で多分土手が崩れたのであろう。土手といっても何十メートルもある高さの土手であり、そこが崩れた場合の被害は甚大だろう。
エジプト政府はあまりこの事故の被害状況を、明らかにしていないが、現地の民間報道機関は、250
人の作業員や重機操作員が、運河に投げ出されて不明のようだ。また多くの重機が、運河に埋没したとも伝えられている。

この第二スエズ運河とは、スエズ運河の片方にもう一本の運河を掘り、船舶の往来航行を可能にするものだ。このため既存の運河の両岸の掘削も行われている。それが完成すると既存のスエズ運河の半分は、船が行きかう幅になるということのようだ。

運河の狭い部分についてはもう一本の運河を掘り、それが運河の半ばにある湖に達する、という形になっている。

この第二スエズ運河が完成すれば、エジプトの運河収入は3倍から5倍に、増えると予測されている。


今回の現場での事故によって、エジプト政府が弱腰にならないことを祈るばかりだ。このプロジェクトは、シーシ大統領が誕生した後で打ち出された、エジプト国民に対する大きな夢のプロジェクトなのだから。

日本政府はこの運河建設にこそ技術的支援を行うべきであり、何の考えもない単なる援助を実施すべきではなかろう。
Posted by 佐々木 良昭 at 16:39 | この記事のURL
NO3602『イラクのアバデイ首相アメリカ・イラン関係を語る』 [2015年01月20日(Tue)]
イラクはアラブ諸国のなかにあって、シリアと同様にイランとの、特別な関係を有している国だ。それは、イラク国民の60
パーセント以上が、イランと同じシーア派イスラム教徒であることに起因している。

そして、イラクのカルバラやナジャフは、シーア派イスラム教徒にとっては聖地であり、イランから毎年多数の巡礼者が、この地を訪れているのだ。イランのシーア派イスラム教徒は、カルバラやナジャフの川の泥でできた、タイル状のものを使って、それに額を当てるようにして礼拝している。


シーア派がイラクの国民の、多数を占めているということは、シーア派の高僧も存在するということであり、イラクにはアヤトラ位のシーア派イスラム学者がいる。シスター二師はその一人だが、彼はイランからも一目置かれる存在の人物なのだ。

イラクのマリキ―前首相は、イランと特別な関係にあったが、現在のアバデイ首相も、やはり特別な関係にあるのであろう。このアバデイ首相が最近重要な発言をしている。彼に言わせると、『アメリカとイランとの関係は、近く大きく改善するだろう。』ということのようだ。

彼が語るところによれば、3〜4
か月前まではイラン側の要人との会談の中で、アメリカとの関係改善の話は、全く出なかったが、ここにきて急遽関係が改善している、ということのようだ。イラン側はアメリカとの関係改善を望んでいるが、アメリカ政府も真剣にイランとの関係改善を望んでおり、一定の合意に達したいということだ。このアバデイ首相の発言は、アルハヤート紙とのインタビューのなかで語られたものだ。

アバデイ首相はこのほかに、IS(ISIL)とイラク軍との問題に触れ、イラク軍はまだ十分にIS(ISIL)
と戦うレベルにはなく、そうするためには何千人もの若者を、軍隊に入れる必要があると語っている。

また、IS()ISIL)の幹部については、バグダーデイはいまイラク国内ではなく、シリア国内に留まっており、旧サダム体制のナンバー2であり、現在
IS(ISIL)の重要人物の一人であるイッザト・ドーリ氏も、イラク国内にはおらず、他の国(シリアとは明示していない)に留まっていると語った。

この二人のIS(ISIL)の要人が、イラクを離れているということの持つ意味は、極めて大きいのではないか。つまり、IS(ISIL)
にとって、既にイラクは関心の対象ではなくなった、ということではないのか。

アメリカ・イラン関係に、大きな変化がありそうだ、IS(ISIL)の動きに変化が出てきているということは、今後の動向を占うカギになるのではないか。
Posted by 佐々木 良昭 at 15:34 | この記事のURL
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