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NO.3217『エルドアン時代に増えたトルコの対外債務』 [2014年07月08日(Tue)]

 エルドアン首相は間も無く、トルコの大統領になろうとしているが、そのことに反対するトルコのインテリは、少なくないようだ。エルドアン首相にとっては不都合な情報が、マスコミなどを通じて流れ始めている。
 例えば、エルドアン首相の持っている資産額は、湾岸の多くのシェイクたちよりも多い、という報告がなされた。確かにそうであろう。何十億ドル何百億ドルという大金が、彼の周りで飛び交っているのだから。ある者は『エルドアンの金に目がくらむ者は信仰心が薄い、信仰心の強い者はエルドアンの金に無関心だ。』と語り、エルドアン支持者をたしなめている。
 エルドアン首相の金満ぶりは、トルコ中で知られることとなったが、トルコの庶民の生活は、決してよくはなっていない。それでもいまのところ、エルドアン首相を支持する者が多いのは、賄賂やチップで給与以外の金が、動いているからだということらしい。
 しかし、国家レベルで言うと、与党がエルドアン首相が率いる、AKPの時代になり、トルコの一般債務は大幅に増加しているようだ。例えば、2002年には個人あたりの対外債務額が、3896トルコ・リラであったものが、2014年には8296トルコ・リラに増えているということだ。
 対外債務では、2002年に1963ドルだったものが、2014年には5045ドルに増えているということだ。
 つまり、過去11年半の間に、対外債務の公私合計額は、2・5倍に増えたということだ。2002年には1296億ドルだったものが、2014年には3868億ドルに増えているのだ。
 個人レベルでもクレジット・カードが普及したために、クレジット・カード会社への個人の借金額が、127倍に増えたと報告されている。2002年には19億トルコ・リラだったものが、2014年には2530億トルコ・リラに増えているということだ。
 当然のことながら、クレジット・カードの支払いが不能になっている人が、沢山トルコでは出ている。このクレジット・カードを使い、庶民は家庭の出費をやりくりしているのだが、引き落としの時が怖いと言っていた友人がいた。
 日本でも円が安くなったのに、あまり輸出は伸びていない。しかし、株高傾向にあるために、銀行からの借り入れが、大手企業にとっては楽になり、なんとなく景気がよくなっているような、感覚でいる人が多いようだ。
 トルコの輸出ブームは好景気の雰囲気をかもし出し、それがエルドア人気に繋がっていたが、ここに来てその化けの皮が、剥がされそうだ。
Posted by 佐々木 良昭 at 22:58 | この記事のURL
NO.3216『露イランVS欧米のイラク内戦』 [2014年07月08日(Tue)]
イラクで現在起こっている状態を、内戦とみるべきか戦争と見るべきかについては、意見の分かれるところであろう。ただ言えるのは、現在起こっている戦闘は、外国から侵入したISIL(イラク・レバント・イスラム国家組織)と、イラク政府軍の戦いであり、これは内戦とは呼べないのではないかということだ。
イラクのシーア派政権に反発する、スンニー派の戦いであり、それをあたかもISILが支援しているように報じられているが、事実はそうではない。イラクのスンニー派の中からも、ISILに対し対抗するグループが、幾つも誕生しているようだ。
もちろん、この手の話は宣戦合戦の意味合いがあるわけで、一概に信用できるものではないのだが。一部報道によれば、イラク北部のサラーハッデーン地域のスンニー派が、反ISILで立ち上がり、攻撃を始めているということのようだ。これはイラク政府軍のISILに対する攻撃を、側面からサポートすることになっていよう。
現在イラクで展開しているISILの攻撃は、アメリカが背後から支援し、サウジアラビアが最大のスポンサーとされているが、ISIL側はイラクの油田地帯を支配し、1バーレル10数ドルで売ることにより、戦費を獲得しているのだと言っているが、それでは思うようにはいくまい。
他方、イラク政府側にはイランとロシアが付いている。ロシアはイラク政府に兵器を輸出し、イランは情報と兵員で協力しているようだ。当然のことながら、双方は直接間接イラク問題への関与を非難しあっている。
最近ロシアが発表した兵器輸出額は、400億ドルを超えたと言われているが、それはエジプトへの輸出に加え、イラクへの輸出も積み重なった結果であろうか。エジプトの場合は、サウジアラビアがその代金を、全額支払ったと言われている。
先日お伝えしたヨルダンで開催された、反イラク側の秘密会議の結果、反政府勢力が攻勢に出ていると伝えられているが、その限りではなかろう。イラク政府軍は戦闘機も駆り出して、ISIL側を攻撃し始めているのだ。
こうして考えてみると、かつてシリアの内戦で反政府側が優位にあった時、アメリカがアサド政権に対して、軍事攻撃を加えるという話が出たが、しりすぼみに終わり、今ではアサド政権側が優位に立っている。
それと同じように、イラクの場合も時間の経過によって、ISIL側が不利な戦いに追い込まれる可能性があろう。その場合、シリアからイラクに移動したISILは、何処の国に向かうのか興味深い。そのなかには、ISILを裏から支えているトルコやサウジアラビア、そしてヨルダンが、ターゲットになる可能性もあろう。
Posted by 佐々木 良昭 at 11:55 | この記事のURL
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