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NO・3169『シーシ立候補後初のテレビ・インタビュー』 [2014年05月06日(Tue)]
 来る5月26,27日には、エジプトで大統領選挙が、行われる予定になっている。その結果は、6月1日には明らかになる予定だ。この選挙を前に、シーシ大統領候補が始めて、テレビ・インタビューに応じている。
 その中で彼が最も強調しているのは、ムスリム同胞団撲滅だ。この組織がある限り、エジプトは国内が分裂し、不安定な状態が続く、と判断しているからであろう。事実、ムスリム同胞団は国家的な組織ではなく、国際的な組織の特徴を、持っている。
 ムスリム同胞団とは、一国の中で変革を起こして、その中に留まるのではなく、アラブ世界全体に革命を起こし、イスラム体制を作り上げることを、最終目的としているのだ。そのためには、本部がエジプトであっても、サウジアラビアのリヤドであっても、シリアであってもかまわない、ということなのだ。
 これまで、国際的なムスリム同胞団組織の幹部構成は、エジプト国民に限らず、他のアラブのムスリム同胞団員も、含まれているといわれている。具体的に言えば、ガザのハマースのリーダーであるハニヤ首相は、ムスリム同胞団の幹部序列では、上位に位置していると言われている。
いままでは、エジプト人のムハンマド・バデーウ師をトップに、次いでエジプト人のシャーテル氏と言われていたが、ガザに居住するパレスチナ人のハニヤ氏がナンバー2ともナンバー3とも言われている。そのことの真相は分かりようが無い。まさにムスリム同胞団のトップ・シークレットなのだから。
こうしたムスリム同胞団の考えでは、エジプトのムスリム同胞団が、ガザのムスリム同胞団と連携して、エジプトに攻撃をかけることもやってきているが、何の矛盾も感じていないのであろう。シナイ半島でエジプト人の警察や軍人がテロに会い、死亡しているのはそのためなのだ。
現在選挙を前に、エジプト国内ではシーシ大統領候補の当選を、阻止しようとして、ムスリム同胞団が各種の組織を創り、テロ攻撃をさせている。もちろん、ムスリム同胞団はそれらの組織とは、関係無いと言っているが、ほぼ間違いあるまい。
ムスリム同胞団がエジプトで、再度権力を握るようなことになれば、エジプトばかりではなく、リビアもサウジアラビアも、アラブ首長国連邦もクウエイトも、危険な状態に追い込まれよう。現在ムスリム同胞団を支援しているカタールの王制も、やがてはムスリム同胞団によって、打倒される標的となる危険性があるのだ。
そのことをサウジアラビアやアラブ首長国連邦、そしてクウエイトはよく分かっているから、シーシ大統領候補の当選に向け、全面的な支援をしているのだ。リビアではいま戦闘状態が続いているが、その裏にはムスリム同胞団の、絶対的な力が存在するのだ。リビアで起こっているテロ事件は、部族間の問題だけではなく、ムスリム同胞団に対するリビア人の幾つかの組織の、戦いでもあるのだ。
シーシ大統領候補が大統領選挙を前に行ったテレビ・インタビューの中で、彼に対する2度の暗殺未遂事件を明かすと同時に、ムスリム同胞団の撲滅を語ったのはそのためだ。アラブ全体を危険に陥れるムスリム同胞団を、いまだにアメリカは危険な組織とは認識していない、とエジプト外相は訪米後に不満を述べている。n-----
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Posted by 佐々木 良昭 at 22:39 | この記事のURL
NO・3168『ウクライナのユダヤ人にホロコーストの悪夢 [2014年05月06日(Tue)]

 ウクライナに居住するユダヤ人はいま、極めて危険な状況にあるようだ。ウクライナから逃げ出すべきか、あるいは危険を承知の上で留まるべきか、という選択を迫られている。
 オデッサに住んでいるユダヤ人は、逃げ出す準備を始めている。このオデッサには現在、3万人のユダヤ人が居住しているが、ホロコースト以前に比べ、40パーセントに減ったということだ、とオデッサのユダヤ人は語っている。
オデッサでは貿易促進協会ビルがあるが、そこに立てこもっていたロシア派のメンバーが、反対派によって焼き殺されるという、悲惨な出来事が起こっている。この映像はインターネット上で、幾らでも確認できるが、ビルの火災から逃れようとして、3階から飛び降りる人の映像が見られるし、ビルの中では40人以上の人たちが、焼き殺されている。それが反ロシアのグループによって起こされたことは、日本では伝えられていないようだ。
ティクバ協会のラファエル・クルスカルという名のラビ(ユダヤ教の聖職者)の語るところによれば、金曜から始まった戦闘に巻き込まれ、何人かのユダヤ人が負傷している、ということのようだ。なお、このティクバ協会は孤児や老人の世話、学校運営、社会サービスなどをしている組織だ。
 こうした状況から、ウクライナ各地のユダヤ人協会は、ウクライナ国内の安全な場所に移り住むことや、国外に脱出することを検討し、あらゆる選択が可能なように、既に準備を整えているということだ。
 来週の週末には、ウクライナ国内のロシア派と反ロシア派の衝突が、激しさを増すと予測されている。ユダヤ人協会には30分毎に、ウクライナ各地の状況変化の報告が、届いているということだ。
 確かにそうであろう。ウクライナの状況は今後悪化することはあっても、当分沈静化はすまい。そうした中では、常に少数派の人たちが、犠牲にされることになる。ウクライナのユダヤ人がいま、相当危険な状況にあるということを、実感できるに日本人は、どの程度いるのだろうか。
 そもそも、ウクライナにユダヤ人が住んでいることを、知っている日本人が、どの程度いるのだろうか。ユダヤ人たちはいま、あのホロコーストが繰り返されるのではないか、という強い不安のなかにいるのだ。
 いまウクライナで起こっていることは、一般に報じられているのとは、全く異なっている。一体誰がこのウクライナの不安定と、内紛を生み出したのかを、冷静に考えて欲しい。そのうえで日本政府には、公平な外交をして欲しい。人事では済まされない、極めて重大で危険な問題なのだから。
Posted by 佐々木 良昭 at 00:39 | この記事のURL
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