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NO・2923『サアードデーン博士の皮肉な運命』 [2013年08月19日(Mon)]
サアードデーン博士といえば、かつてカイロ・アメリカ大学で教鞭をとっていた教授だ。彼のムバーラク非難は、極めつけのものであった。彼が造語した『ゴモロケア』という言葉は、一時期エジプトのマスコミを、賑わしたことがある。
ゴモロケアとはゴモホーリーヤ(共和国)と、マリキーヤ(王国)が一体となってできた言葉であり、ムバーラク大統領の統治するエジプトは、ゴモロケアだと叫んだのだ。
つまり、エジプトは共和国と銘うっているが、実体はムバーラク王国ではないか、ということだ。そのことを叫び続けた彼は、有罪判決を下され、刑務所に投獄されていた時期がある。
ただ、彼の妻がアメリカ人であった事と、彼自身もアメリカ国籍を取っていたために、在エジプトアメリカ大使がエジプト政府に圧力をかけ、釈放されることとなった。今回の第二革命でサアードデーン博士は、また政治的な発言を始めている。
そのような彼の政治的発言で、次のようなものがあった。『ムスリム同胞団はエジプト社会にあって、少数派であるから彼らの願望を、国民に押し付けることはできない。ムスリム同胞団に反対の立場の国民の割合は、80パーセントであり、残りの20パーセントがムスリム同胞団を、支持しているに過ぎないのだ。』
この発言はエジプト国内というよりは、外国に向けられたものだ。今回の第二革命の後に、各国のエジプト対応に変化が起こることを、懸念してのもののようだ。例えば、中国やロシアはエジプトに対して、武器を供与しなくなるかもしれないし、経済関係を後退させるかもしれないからだ。
サアードデーン博士はこうも言っている『エジプトでテロとの闘いが成功しなければ、テロ活動はやがて西側諸国にも広がっていこう。テロは北アフリカからアヨーロッパへと、広がる危険性がある。』
彼の意図するところに何ら反対しないが、かつて軍人出身のムバーラク体制が彼に言わせれば、独裁のムバーラク王国を作り上げた、と語っていたことを思い起こすと、現在、シーシ国防大臣が大統領に就任するのではないか、といわれている中での、臨時政府支持の内容の発言をするということは、歴史的皮肉であろうか。
Posted by 佐々木 良昭 at 16:27 | この記事のURL
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