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NO・2833『シリアがパレスチナ闘士にイスラエル攻撃許可』 [2013年05月08日(Wed)]
  イスラエルのエルサレムポストが重要な情報を伝えている。それはシリア政府がパレスチナの解放闘士に対し、自国からの攻撃を許可したという内容だ。
その情報には幾つもの重要な情報が隠されているのだ。まず第一に挙げられるのは、シリア政府がイスラエルの越境空爆に対し反撃の権利を有しながらもほとんどそれを実行できない状況にあるということだ
述べるまでもなくシリア政府は自国内に集結する外国人テロリストや反政府の自国民との闘いに苦慮しているからだ。つまり今のシリアにはイスラエルがどんな事をしてきてもそれに反撃する軍事的能力や余裕がないということだ
もちろんシリア政府はイスラエルの攻撃に対し反撃する能力を有しているとは言っているが。イスラエルの軍事技術があまりにも進んでおりシリアのそれとでは比較にならなくなっているからだ。
しかし、2006年に起こったレバノンのヘズブラとイスラエル軍との戦闘では、ヘズブラ側がイスラエルに対し、精神的ダメージを与えることに成功している。被害総量では、レバノン側が大きかったのだがイスラエルは予想しない被害を受けたために、精神的なショックを受けることになったのだ。
今回シリアはイスラエルから攻撃されながらも、実質的には何にもできない状況にあり、自国軍に代りパレスチナ闘士に報復をしてほしいということであろう。ゴラン高原経由の攻撃を許可したようだが、高原側から短距離ミサイルやロケット弾で攻撃すれば、結構な被害がイスラエル側に生じることになろう。
レバノンのヘズブラは高度に進んだ、イスラエル軍に対抗するには幼稚な技術のほうが有効だということを証明してくれたのだ。
もう一つ隠されていた情報はシリアがパレスチナ解放を声高に叫んでいたにもかかわらず、これまでは全く軍事行動をシリア領土内から行うことを、シリア政府は全く許可していなかったということだ。
今回シリア政府がパレスチナ闘士に対しゴラン高原側からのゲリラ攻撃を許可したことは、これまでの沈黙の相互安全の約束を、反故にしたということだ。結果的にイスラエルは面倒な状況に追い込まれるであろう。パレスチナ闘士はシリア側から散発的なゲリラ攻撃を始めた場合、それはイスラエル住民の不安を増長することになるからだ。
イスラエルはシリアの弱みに付け込んで攻撃したのはいいが、結果的にシリアとの間にあった暗黙の相互不可侵状況を、破壊してしまったということではないか問題はこれから先、どの程度の攻撃がパレスチナ闘士たちによって実行されるかだ。
Posted by 佐々木 良昭 at 16:16 | この記事のURL
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