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NO・2373『経験不足のムスリム同胞団政権への不安』 [2012年11月20日(Tue)]
ガザの状況がだんだん悪化してきている。もちろん、国連もアメリカ政府もヨーロッパ各国も、一日も早い戦闘停止を、イスラエルとガザ地区のハマースに呼びかけている。しかし、現段階のミサイルやロケットによる、ガザ地区からのイスラエルに対する攻撃も、イスラエルによるガザ地区への空爆も、止みそうな雰囲気には無い。
それどころか、イスラエルは地上軍をガザに侵攻させ、徹底的にガザの抵抗勢力を、叩き潰そうという姿勢も見せている。イスラエルがここまで本気になっているのに、は幾つかのことが理由として考えられる。
一つは、頼みの綱のアメリカ政府の、イスラエルに対する対応が、醒めてきているということだ。このこともあってか、イスラエルのネタニヤフ首相が、ロムニー候補支持を呼びかけたにもかかわらず、アメリカ在住のユダヤ・アメリカ人は、オバマ大統領に票を投じた者が多かった。自分たちの安全をイスラエルの安全以上に、考えたからではないのか。
もう一つは、ヨーロッパで広がる反ユダヤ感情だ。最近ではナチの真似事をする連中が、おおっぴらに活動をするようになってきている。それに対するヨーロッパ各国政府の対応は、イスラエルやユダヤ側から見れば、不安で仕方の無いことであろう。
イランの核開発も、ネタニヤフ首相が短期に核兵器が出来る、とあおったために、イスラエル国民の相当部分が、強い不安を感じているであろう。実際には、イランが核兵器を開発に向かっているとしても、完成はまだ数年先のことであろうが、ネタニヤフ首相の宣伝が効いて、数週間、数ヶ月先にはイランが核兵器を持ち、イスラエルを攻撃する危険性がある、と多くのイスラエル国民が、不安がっているであろう。
こうしたことが、イスラエルをして強硬な立場を、採らせているのであろうが、そのことに加え、ガザのハマース(ムスリム同胞団の組織)とエジプトの現政権は、同じムスリム同胞団であることから、ムバーラク政権時代とは全く異なる、エジプトの現政権はシンパシーを、ガザに感じていよう。
このため、エジプトのムスリム同胞団から選出されたモルシー大統領は、出来るだけガザを支援する、と言い始めている。しかし、ムスリム同胞団もモルシー大統領も、政治の経験は浅く素人同然であろう。
そうなると、一歩間違えればエジプトが、ガザ救援の軍事行動に出る可能性が、否定できなくなる。モルシー大統領は『すべての能力をもってイスラエルの攻撃と流血の事態を阻止するために立ち上がる。』と語ったということだ。
その言葉には戦争も含まれている、とイスラエル側は受け止めているのではないのか。そして、エジプトもガザ戦争に巻き込まれる危険があるのではないのか。
Posted by 佐々木 良昭 at 21:56 | この記事のURL
NO・2372『イスラエルのガザ攻撃は世界の友人を減らす』 [2012年11月20日(Tue)]
ガザからパレスチナ人イスラム現地主義者が放った、ロケット攻撃に対する報復として、イスラエルのネタニヤフ政府は、強硬な対応を選択した。それが7日間にも及ぶ、ガザへの空爆攻撃だった。
結果的に女子供をも含む、100人以上のパレスチナ人が、犠牲となっている。その惨状は目も当てられないばかりであり、当然の帰結として、世界中の人たちはパレスチナ人に同情し、イスラエルに対しては非人道的だ、と非難の声を高めている。
しかし、イスラエルのネタニヤフ首相は、世界がイスラエルの報復攻撃を、支持していると強弁している。アメリカのオバマ大統領を始め、世界各国の政府はイスラエルに対し、国を守る権利があることを認める、とは言っているが、そのために、過剰な攻撃をガザに加えることについては、必ずしも賛成しているわけではないのだ。
政府ではなく個人レベルとなると、大半の人たちはイスラエル攻撃を非難しているし、そうしたイスラエルの非人道的な攻撃に、激怒した多くの人たちが、イスラエル政府の各機関に対し、ハッカー攻撃を仕掛けている。
今回のガザ側からのミサイルやロケットによる攻撃で、見逃してならない点は、発射された何発かのミサイルが、テルアビブ市にまで届いているということだ。述べるまでもなく、テルアビブはイスラエル最大の都市であり、多くの住民がそこでは暮らしている。
イスラエルの南部の都市、アシュケロンやアシュドッド市に、パレスチナ側がガザから放ったロケット弾が、到達することはこれまでにもあったが、テルアビブにまで到達したのは、今回が初めてであろう。それだけに、イスラエル政府と国民の不安は、相当なレベルに達していると思われる。
イスラエルにとってショックだったのは、ミサイルが到達したことだけではない。イスラエルが鉄壁の防衛システムと呼んできた、アイアン・ドーム(鉄のドーム=迎撃ミサイルシステム)が完全ではなかったということだ。だから、ガザからのミサイルが、イスラエルの各地で、死傷者を出すに至っているのだ。
いまイスラエル国民と政府はある意味で強い不安の渦に、巻き込まれていることであろう。その渦から抜け出すためには、ガザに対する徹底的な攻撃を加えるということであろうが、それはイスラエルが世界のなかで、孤立することに繋がって行こう。
トルコのエルドアン首相は舌鋒鋭く『イスラエルはテロ国家だ。』と非難したが、第三世界の首脳のなかには、エルドアン首相と似たような考えを持つ人たちが、多いのではないか。加えて先進諸国のなかにも、イスラエルの過剰反応に対し、冷ややかな受け止め方をしている首脳が多かろう。
イスラエルの攻撃がこれ以上続くことは、自殺行為だということだ。イスラエル内閣内部では、停戦を模索し始めているというニュースもある。イスラエルは早急に、停戦すべきであろう。
Posted by 佐々木 良昭 at 13:47 | この記事のURL
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