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NO・2283『サウジアラビアのアルカテイーフで兵士が死亡』 [2012年08月05日(Sun)]

 サウジアラビアの東部地区の、主要都市であるアルカテイーフ市で、金曜日の夜の11時に、サウジアラビア軍兵士が、オートバイに乗った4人のテロリストによって、攻撃を受けた。
 その結果、フセイン・バワーフ・ザッバーニ兵士が死亡し、他にもサアード・ミテイブ兵士、ムハンマド、シャマーリ兵士の2兵士が負傷し、病院に搬送された。
 この出来事は、これまでのアルカテイーフ市で起こっていた、反政府運動を大きく方向転換させる、ものになるのではないかと懸念される。これまで長い間、アルカテイーフ市では反政府運動が展開され、再三に渡ってデモが行われ、多数の逮捕者と負傷者が出ていた。
 最近では、受刑者によってハンストが行われたり、宗教指導者が逮捕投獄される、ということが起こっており、アルカテイーフ市住民や、サウジアラビア東部のシーア派住民の間で、サウジアラビア政府に対する、反発が増していた。
 今回サウジアラビア軍の兵士が、オートバイに乗った4人の若者に攻撃されたことは、これまでの反政府運動のなかでは、なかったものであり、新しい展開の始まりであろう。
 この戦闘の中で、テロリスト側は1人が死亡し、残りの3人は逮捕されている。この3人が、これから取り調べを受けるなかで何を語るかが、大きな関心を呼ぼう。彼らが何処から武器を入手したのか、アルカテイーフ市やその他のシーア派地区に、どの程度の武器が隠匿されているのかということが、ある程度明らかになるのではないか。
 サウジアラビア政府は既に、国名は明らかにしないものの、外国の関与を語り始めている。多分にそれはイランということに、されるのではないか。
 このテロ事件を伝える記事と共に、BBCはサウジアラビアのシーア派地区を示す地図を掲載した。それによれば、サウジアラビアのほぼ5分の3が、シーア派地区となっている。
 その地図を記事に付けて、掲載した意味は何処にあるのか。しかも、その面積はいままで話題になっていた、狭いものではなく広大なものであり、ほぼ完全にサウジアラビアの油田地帯を、包含するものになっているのだ。
 この地図が添付されたことは、今後、サウジアラビアの国内情勢が、決して安定したものではなくなっていく、という前触れではないのか。反政府派のシーア派教徒が、武器を手にすることを決めさえすれば、武器は幾らでも彼らの手に渡って来よう。
Posted by 佐々木 良昭 at 10:55 | この記事のURL
NO・2282『イスラエルとアメリカの異なる一点』 [2012年08月05日(Sun)]

 二日ほど前だったろうか、イスラエルの新聞のネットに『イスラエルとアメリカには異なる一点がある。』というニュースが掲載された。なんだろうと思って読んだところ、イランに対する対応をめぐる認識の違いだった。
 イスラエルは今年末までか、遅くとも来年の4月までには、イランに攻撃を加えたいと考えており、アメリカはまだ1年半は余裕がある、と考えているということだった。
 もちろん、イスラエルもアメリカも、イランが核兵器を製造する、という前提でそう考えているわけだ。しかし、イランの最高権威者であるハメネイ師は、これまで何度も、イランが核兵器を製造することは無い、と明確に否定してきている。
 イランが核兵器を製造する気になったとしても、まだ当分時間がかかるだろうということは、これまで何度も書いてきたが、それはあくまでも製造するという、前提でのことであり、イランが核兵器を製造しない可能性もあるということを、忘れてはなるまい。
 欧米の専門家の間では、イランが核兵器を製造するには、まだ3〜5年はかかるだろうと言われてきた。そのことに加え、その核兵器がもし出来ても、それを敵地にまで運搬する手段が必要なのだ。大型のミサイルが無ければ、とても搭載できないのだ。
 イスラム教徒からすれば、イスラム法(シャリーア)では核兵器は、禁止されている。それをあえて製造するとすれば、パキスタンのように明確な敵国が、核兵器を持ったときであろう。
 イランもイスラエルが核兵器を持ち、敵対しているのだから製造していい、という理屈も成り立つが、そうあって欲しくないものだ。述べるまでも無く、核兵器は広範囲に渡って被害を及ぼし、戦闘員だけではなく、多くの婦女子が焼け死に、あるいは一瞬にして、蒸発して消えてしまうのだ。
 イスラエルにしてみれば、被害妄想の挙句に、正常な判断が出来なくなっているのだろうか。ホロコーストで多数が犠牲になったと主張するユダヤ人は、その犠牲から何かを学ぶべきであろう。そのことを説いたとき、世界はユダヤ人を心から、尊敬するのではないのか。
 イスラエルが被害妄想から発する、異常なまでの疑心暗鬼の果てに、イランを攻撃するようなことになれば、やがて自身が滅びるときが、近くなるのではないのか。
イランはイスラエルとアメリカを敵に回し始めてから、既に各種の兵器を独自に開発している。それはかつての日本がそうであったのと、同じ現象であろう。日本は世界的に優れたゼロ戦を開発し、巨大な戦艦大和を建造し、戦争末期にはジェット戦闘機を開発し、核兵器の開発も始めていた。
追い込まれた者の発揮する能力は。常識をはるかに超えるのではないか。イランはやがてとんでもない兵器を、開発するかもしれない。その兵器の攻撃にさらされるとき、イスラエルやアメリカは軽度の被害で済むのだろうか。無駄な争いをしないのが一番の得策であろう。
Posted by 佐々木 良昭 at 00:26 | この記事のURL
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