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NO・2080「エジプト・タンターウイ国防大臣の評判」 [2011年09月13日(Tue)]

 エジプトのカイロを訪問している間には、何人かのエジプトの人と会ったが、その中で印象的だった話が幾つかあった。そのひとつは、現在エジプトの軍最高評議会のトップである、タンターウイ国防大臣の評判だった。
 現在のエジプトは大衆蜂起から革命、そして最終段階で軍が行ったクーデターの結果、最高権力機関は軍が結成した最高評議会、ということになっている。この軍最高評議会は次の選挙があり、与党が決まり、大統領が選出されるまで、エジプトにあっては最高の権力機関、ということになる。
 その軍最高評議会のトップは、述べるまでも無く国防大臣、ということになるが、その人はタンターウイ氏だ。彼に人柄については、いろいろな話題が出始めているが、いまだにその実態が、分かっていないようだ。
 タンターウイ国防大臣は、他のアラブ人とは異なり、比較的寡黙で通っている、人物だからであろう。ところが、そのタンターウイ国防大臣の声や話し方が、故ナセル大統領に非常に似ているというのだ。友人がタンターウイ国防大臣の演説の様子を、U TUBE で見せてくれたのだが、私の留学した時期が、既にナセル大統領の没後だったので、確かな記憶は無く、私にはタンターウイ国防大臣と故ナセル大統領の声が、どれだけ似ているのかについて、分からなかった。
 その友人が語ったのは、タンターウイ国防大臣の政治手腕が、故サダト大統領に極似しているということだった。
 もしその通りであるのであれば、タンターウイ国防大臣は二人のエジプトの英雄の、優れた点を受け継いだ人物、ということになる。そのことは、エジプトの今後にとって、大きな力となるのではないか。
 その友人は、次のようなエピソードを語ってくれた。タンターウイ国防大臣はアメリカが言う、民主化を逆手に取っているというのだ。彼は在エジプト・イスラエル大使館に対する、国民の襲撃事件で、アメリカに対し、あくまでも『国民の意思』という説明をするのではないか、ということだった。
 つまり、アメリカがイスラエル大使館への、デモと襲撃を阻止しろ、と言ってきた場合、国民がそう望んでいる。それを軍が出動して抑え込むことは、国民の意思に背くことであり、民主的ではない。アメリカはわが国に対して、民主化を進めろ、と言ってきたのではないか、とやり返すのではないか、ということだ。
 もちろん、それは友人が思いつきで語ってくれたのであって、タンターウイ国防大臣がそうアメリカに返答する、という意味ではない。ただ、タンターウイ国膨大臣はそれくらいのユーモアのセンスを、持った人物だという意味だ。
 タンターウイ国防大臣の能力が、友人の言うようなものであれば、今後、エジプトは甘く見ることの出来ない相手、ということになろう。それは、トルコのイスラエルに対する対応が、厳しくなってきたことにあわせ、イスラエルの取っては、脅威になるのではないか。
Posted by 佐々木 良昭 at 22:43 | この記事のURL
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