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NO:5272  10月22日  『カシオギ虐殺事件と各国の反応の温度差』 [2018年10月21日(Sun)]
アラブの新聞に『何故アラブのマスコミはカシオギ事件を、大々的に取り上げないのか?といった記事が掲載され、それに反してカタールは何故大げさな報道をするのか、といったことが載っていた。

実はアラブばかりではなく、欧米諸国にもカシオギ事件に対する、温度差はあるのであろう。アメリカはサウジアラビアに対して同情的であり、ヨーロッパ諸国の多くは厳しい扱いになっている。

まず、カタールについて述べれば、サウジアラビアが率先して(サウジアラビアが主体)でカタールに制裁を決め、カタールは海陸ルートが閉鎖され、銀行の金の流れも制限されている。あたかも明日にでも、サウジアラビアはカタールに軍事侵攻しそうな、気配さえあるのだ。

そうした状態である以上、今回のカシオギ事件はカタールにとって、サウジアラビアを非難する、最高の口実となっているのであろう。このカタールと良好な関係にあり、サウジアラビアによって制裁を受けてすぐに、支援に乗り出したのはトルコだった。トルコは食糧を始めとする、消費物資をカタールに、空輸してくれたのだ。

そのトルコでカシオギ事件が起こったということは、トルコがほとんどの情報を、カタールに渡している可能性がある、ということだ。カタールはそれをアメリカに流していようし、ヨーロッパにも流していよう。

従って、サウジアラビアがどうつくろっても、それはバレバレになっている、ということだ。ある日、中東から来た友人とカシオギ問題を話していて『日本では専門家が情報はアップルの時計から外部に漏れた、領事館内に隠しカメラやマイクをセットすることなどありえないと言っていた。』と話すと彼は腹を抱えて笑った。

日本の専門家や情報関係者の常識は、世界では通用しないということだろう。トルコはこの手のテクノロジーは、極めて高度な技術を持っているのだから、隠しカメラや隠しマイクは、簡単に取り付けられるのだ。

また、アメリカもそのトルコの隠しマイクと、隠しカメラが取った情報に、アクセスすることは簡単なのだ。つまり、カシオギ事件は始めから最後まで、トルコやアメリカは見ていたということだ。

アメリカがそれにもかかわらず、知らないふりをしていたのは、アメリカの武器市場としての、サウジアラビアの存在が大きかったからであり、トランプ大統領はその事を語っている。サウジアラビアは石油取引とドルを結び付けており、アメリカのドル覇権体制を、守っている国でもある。

加えて言うならば、アラブ湾岸諸国全てが、不安を抱いているイラン対応で、サウジアラビアの存在は大きいのだ。(武器の大量購入をサウジアラビアやUAEはアメリカとの間で行っている)その事についても、トランプ大統領は正直に語っている。

ヨーロッパ諸国は多少の温度差はあるものの、押しなべて厳しい受け止め方をしている。それは、ヨーロッパ諸国が人権の国だ、ということであろう。しかし、それとてもフランスやイギリス、ドイツなどは、サウジアラビアなどアラブ湾岸諸国に、武器を売っているわけであり、手心が加えられている、ということであろう。

イランはというと、そもそも、「カシオギを殺せとムハンマド・ビン・サルマン皇太子にアドバイスしたのは、トランプ大統領の娘婿である、クシュネルだった。』と報じている。そうなると、そこからまた新たなスト−リーが、始まるということであろう。
Posted by 佐々木 良昭 at 09:57 | この記事のURL