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NO4468 3月2日 『シリアのアサドはアラブ・サミットに復帰するか』 [2017年03月02日(Thu)]
来る3月29日に、ヨルダンの首都アンマン市で、アラブ・サミットが開催される予定だ。アラブ・サミットは定例で行われる性質の会議であり、特に珍しいことではないのだが、今回ばかりはそうとばかりも、言っていられないようだ。

この会議には、シリアのアサド大統領が参加する、予定になっているからだ。2010年以来続いている、シリアの内戦のために、シリア政府はアラブ・サミットからボイコットされてきていた。勿論、アサド大統領の参加も、認められないでいたのだ。

今回、アサド大統領がアラブ・サミットに、参加する運びとなったのは、ロシアのプーチン大統領の後ろ盾と、開催国ヨルダンのアブドッラー国王、そしてアラブの重鎮であるエジプトの、シーシ大統領の働きかけによるものだった。

問題の焦点は、これまでアサド体制の打倒を、声高に叫び続けているサウジアラビアが、どうアサド大統領に対応するか、ということだ。アサド大統領とサウジアラビアのサルマン国王は、握手をするのか、言葉を交わすのかに、関心が集まっている。

ただ言えることは、今の段階ではこのことは、相当に煮詰まってきているのではないかという事だ。つまり、アサド大統領の側もサルマン国王の側も、相手をある程度は受け入れる方向に、あるのではないかということだ。

こうした大きな変化が、アラブ世界のなかで、あるいはシリアとサウジアラビアとの関係で、生まれてきているのは、一言で言えば、アメリカの中東諸国への影響力の、低下であろう。

ロシアの中東諸国への影響の拡大が、世界的に話題になっているが、その関係でロシアが仲介に動いた場合、アラブのいずれの国も、無視できなくなってきているのであろう。ロシアとイランとの関係は、現在すこぶる良好だが、そのイランとサウジアラビアは緊張関係にある。

サウジアラビアは強気な発言をしながらも、イランと一戦を交えるつもりは、毛頭なかろう。そうなると、ロシアのイランへの働きかけが、どうしても必要になる、ということだ。

反対にアメリカは、最近ますますイランに対する、強圧的な対応を強めてきている。これではサウジアラビアはアメリカに対して、イランへの仲介を期待できまい。

いずれが真実であるかは 分からないが、ロシアのアラブ諸国への、影響力の拡大が、アラブ同士の仲直りに効奏していることは、うれしい限りだ。何とかアサド大統領とサルマン国王の、握手が実現してほしいものだ。
Posted by 佐々木 良昭 at 11:17 | この記事のURL