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NO4292 『アメリカの勝手なI S移動・モースルからシリアへ』 [2016年10月19日(Wed)]
アメリカ政府の神経はどうなっているのか、と聞きたくなるようなことを、ここに来てアメリカは言い出している。アメリカはイラクのモースル攻撃を始めたが、その作戦を容易にするために、
IS(ISIL)の戦闘員に対して、安全なシリアへの逃げ道を、保証すると語ったのだ。

これでモースルに陣取るIS(ISIL)の戦闘員は、安全に(アメリカ空軍の保護の下に)シリアのアレッポに、移動できるということだ。しかし、それではイラクのモースルで起こっていた、悲惨な状況を、シリアのアレッポに移すだけであり、IS(ISIL)問題の解決にはならない。

それどころか、移動先のアレッポで、IS(ISIL)はモースル以上に活動を、活発化させる可能性が高くなろう。その場合、アメリカはマスコミとヨーロッパ諸国を使い、ロシアの空爆とシリア軍のアレッポ攻撃を非人道的だとし、あるいは戦争犯罪だと激しく非難し、ロシアやシリアの戦意をくじくことが、目的であろう。

一説によれば、アメリカがモースルからIS(ISIL)戦闘員を、安全にシリアのアレッポに移動することを、保証した裏には、ロシアの空爆の成果を否定し、シリア軍のアレッポ攻撃はアサド大統領の下に進められている、非人道的な戦争犯罪だという宣伝を、するためのものだということだ。

現段階で、このアメリカの方針に賛成しているのは、サウジアラビア位なものであろう。シリア政府はもちろん大反対であり、IS(ISIL)の戦闘員がシリア領内に入った場合、シリアに対する攻撃の開始とみなし、反撃すると主張している。

当然のことだがロシアも、このアメリカの身勝手な方針に反対であり、モースルからIS(ISIL)
の追放を狙っているイラクですら、シリアへの安全な移送には反対し、アバデイ首相は明確に『もしIS(ISIL)がシリアに逃れた場合、それはアメリカの責任だ。』と警告している。

こんな無茶苦茶なことが、国際社会では認められるのであろうか。犯罪者集団に対して『攻撃しないからモースルから出ていけ、移動上の安全の保証はする。暴れたければシリアのアレッポで暴れろ、人を殺したければ殺せ。』と言っているようなものだ。

この正当性の無いアメリカの提案を、IS(ISIL)は喜んで受け入れる可能性があろう。そして、人道の名の下に、ヨーロッパ諸国もこの考えを、支持するのではないか。アサドの妻は亡命を働き掛けられたが、シリアを離れるつもりはない、と言っている。アメリカはアサド・ファミリーを切り崩し、最終的にはアサド大統領も、死に追いやりたいという事であろうか。それは第一に、サウジアラビアが望んでいることかもしれない。

日本政府はこのアメリカの非常識な考えに対して、はっきりと『NO』と言えるのであろうか。あるいは国民の知らないところでアメリカ案を支持してごまかすのであろうか。
Posted by 佐々木 良昭 at 11:27 | この記事のURL