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NO・2275『トルコのシリア対応と危険な国土防衛』 [2012年07月29日(Sun)]

 シリアの内戦が激化しているなかで、どの国がどう関与しているかが、ほぼ明らかになってきているようだ。資金はサウジアラビアとカタールが出し、武器の入手方法はアメリカやイスラエルが教え、その武器と資金をシリアの反政府派に渡すのは、トルコを経由してのようだ。
 当然のことから、シリア政府はこれらの国々を敵視し、憎んでいることであろう。シリア政府は最近になって、反政府派への攻撃を容赦無しに、行う方向に転換し始めているようだ。
 つまり、これまでは市民の犠牲をなるべく少なくするために、本格的な攻撃を控えてきていたようだ。しかし、ここ数日のシリア軍の攻撃を見ていると、相当荒っぽくなってきているのではないだろうか。
つまり、これからシリアの市民は極めて危険な状況に追い込まれ、犠牲者が多数出るだろうということだ。もちろん、反政府派の戦闘員も多数が、死亡することになろう。
シリアに対し同国の権力の中枢をなしているのが、シーア派の一派であるアラウイ派であることから、サウジアラビアやカタールはできるだけ早く、アサド政権を打倒したいと考えており、反政府派への支援が続くだろう。
では何故いまの時点で中東諸国のなかにあって、国家として機能し、仲介役に回れるはずのトルコが、シリアのアサド政権打倒に、本腰を入れているのであろうか。
それはトルコがシリアの内戦に、軍事的介入をしたくないからであろう。もしトルコが軍事介入すれば、シリア政府側から反撃を受けることになり、トルコも然るべきダメージを、蒙ることになろう。
そうなれば、過去7〜8年でやっと経済を立て直し、軌道に乗せることができたトルコ経済は、一瞬にして壊滅的な状況に追い込まれることになろう。そうなってからの復興は、容易ではあるまい。
そこで、トルコ政府が考えているのは、シリアの反政府派を支援し、彼らだけで政府に対抗させ、一日でも早くアサド政権を打倒させる、ということであろう。シリアの内戦が長期化することは、クルド人の解放区が広がり、イラク、イラン、トルコ国内のクルドと連携し、巨大なクルド国家が誕生する危険性もあるのだ。
シリアの内戦はアサド政権にとって、極めて危険なものであると同時に、トルコにとっても危険なものなのだ。もちろん、平和的な解決が最も望ましいのだが、既にシリア人同士ではそれが不可能になっている。アナン氏の仲介も失敗に終わった。時間の経過と死人の数が、比例して拡大するだけなのか。
Posted by 佐々木 良昭 at 00:39 | この記事のURL