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NO・2243「H・クリントン国務長官シリア反体制武器供与に反対」 [2012年02月27日(Mon)]
 アラブの親米国であるカタールやサウジアラビアは、シリアのアサド体制を打倒すべく、シリアの反体制派に武器を供与することを、真剣に検討している。アラブ諸国は総じて、アサド体制に見切りを付けているようだ。
 アメリカではマケイン議員が、強硬にシリアの反体制派に、武器を供与すべきだと主張している。そうしたなかで、このような動きに、冷水を浴びせるような発言が、ヒラリー・クリントン国務長官によって語られた。
 彼女に言わせれば『アルカーイダがシリアの反体制を支援すると言っている。我々はシリアのアルカーイダを、支援するというのだろうか。』ということのようだ。
 アメリカ政府はアルカーイダやハマースを、テロリスト集団の名簿に載せているわけであり、そのアルカーイダが支援すると語るシリアの反体制派は、同類だという論理であろう。
 しかし、それは少し飛躍のし過ぎではないのか。リビアの革命闘争の時は、アメリカがアルカーイダのメンバーだったベルハッジ氏を、リビアに連れ戻して、戦わせていたのではなかったのか。
 今回のヒラリー・クリントン国務長官の発言には、どうも裏がありそうな気がする。アメリカはシリアの反体制派に対して、現段階では正面切っては、支援しないということではないのか。そして、カタールやサウジアラビアが支援する分には、目をつむるということではないのか。
 リビア革命の当初、アメリカはイギリスとフランスに対し、戦闘には参加しない、できればNATOの名のもとに、リビアの反体制派を支援したほうがいい。』と言っていた。しかし、結果的には、カダフィ大佐の首をはねたのは、アメリカだった。
ヒラリー・クリントン国務長官の発言からすると、彼女が積極的にシリアの反体制派を支援しないのは、反体制派が未だに統一出来ていないということにもありそうだ。そして、シリアのアサド体制に敵対した場合、ロシア、中国、イランを敵に回すことになる、という懸念もあるようだ。
そうは言っても、ヒラリー・クリントン国務長官はシリアの反体制に対するシンパシーは、十分感じているようであり、その上で、彼女はシリアの国民がもっと積極的に、反体制運動に参加していくべきだ、と考えているようだ。そうなった段階では、いかなる支援も惜しまない、ということではないのか。
Posted by 佐々木 良昭 at 14:29 | この記事のURL