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NO・2152「ムスリム同胞団がユダヤ人は皆殺しと言った?」 [2011年11月29日(Tue)]
 エルサレム・ポストが伝えるところによれば、エジプトのムスリム同胞団の幹部が『ユダヤ人皆殺し』を、主張しているということだ、それが事実であるのなら、とんでもないことであろう。しかも、ムスリム同胞団は現在進められている選挙で、与党になることがほぼ確実だからだ。
 ムスリム同胞団ばかりか、アズハル大学(世界的に権威のあるイスラム大学)の教授陣も『シオニストを殺すべきだ。』と象徴しているということだ。最近カイロで行われた金曜礼拝後のデモでは、ムスリム同胞団メンバーが『何時の日にか全てのユダヤ人を皆殺しにする』と叫んでいたということだ。
 こうしたイスラム教徒側のユダヤ人やシオニストに対する憎しみは、何処から来るのであろうか。それは最近のイスラエル政府の政策が、イスラム教徒にとって、きわめて刺激的なものだからであろう。
 たとえば、ヨルダン川西岸地区への入植地建設の黙認と、一部政府による入植地建設があろう。加えて、ガザ地区に対する爆撃も、イスラム教徒にとっては、赦せない蛮行ということになる。
 アラブ人はもとより、世界中のイスラム教徒の反感を買っているのは、イスラエル政府による、エルサレム旧市街への関与であろう。最近では、モロッコ門を改築するという話が進んでおり、これはイスラム教徒側にとっては、許せないことだ。
 イスラエルのシオニストたちが、アクサモスクを破壊して、ソロモンの神殿を再建するということも、真実味をもって語られるようになってきている。アズハル大学のイマームである、ムハンマド・アハマド・タイイブ師は『シオニストがエルサレムをユダヤ化することを許さない。我々はエルサレムの石一個でも移動することを認めない、と欧米とイスラエルに主張する。』と語っている。
イスラム教徒側の強い反発があるにもかかわらず、イスラエル政府がエルサレム問題で、強硬な立場を採っているのは、ユダヤ人の側にある、イスラエル国家崩壊に対する、不安からではないのか。
存在しない脅威を信じ込み、結果的に存在する状態を創り出すのは、常に人間だ。そしてその根底にあるのは、人間の弱さからではないだろうか。イスラム教徒側のユダヤ人やイスラエル国家に対する、コンプレックスと不信感が、ますますイスラエルやユダヤ人の不安を煽り、存在するはずのないものを存在させているのではないのか。
Posted by 佐々木 良昭 at 14:41 | この記事のURL