CANPAN ブログ検索
Loading
  • もっと見る
NO4460 2月22日 『中東短針リビア・サウジアラビア』 [2017年02月22日(Wed)]

:ほとんど忘れかけられていた、リビアのカダフィ大佐の子息、サイフルイスラームをICCに引き出して、公正な裁判を行うべきだと言い出している。*

*サイフルイスラームはリビアの、革命騒ぎの中で捕まり、ズインタンの刑務所に繋がれている。ズインタンの部族たちは彼をトリポリに引き渡せば、殺されるだろう、少なくとも公平な裁判は、行われないだろうということが、引き渡し拒否の公式の理由だ。*

ヨーロッパ諸国がサイフルイスラームの、引き渡しをリビアに迫り、ICCで公正な裁判をしてやる、というのは聞こえはいいが、実はカダフィの金塊を狙ってのことではないのか。ズインタンの部族に連中も然りであろう。*

:サウジアラビアがシリアに派兵を言い出している*

* サウジアラビアのジャビール外相が、最近、サウジアラビアはシリアへ自国軍を、派兵する意向であることを、明らかにしている。*

*ジャビール外相はサウジアライア軍の、シリアへの派兵はアメリカの、対IS(ISIL)戦争を支援することが、目的だということだ。*

* 加えて、ジャビール外相は他のアラブ湾岸諸国も、同様の意向であることを、明かした。*
Posted by 佐々木 良昭 at 11:30 | この記事のURL
NO4459 2月21日 『アラブ諸国欧米露がリビアに介入意向』 [2017年02月21日(Tue)]
*リビアは砂漠の花嫁なのであろうか。内戦で相当に街は破壊され、瓦礫の下になったが、多くの国々がこの国の持つ可能性に、食指を伸ばし始めている。エジプト、チュニジア、アルジェリアといった北アフリカのアラブ諸国は何とか内戦をおさまらせよう、と努力している。*

*
しかし、リビアのネオ・ストロング・マンであるハフタル将軍が、統一リビア政府のセラジ首相と、対話する気が無いので、なかなか然るべき成果は生まれないでいる。エジプトは先日、セラジ首相と、このハフタル将軍の仲介を、試みたのだが、恥をかく結果となっている。*

加えて、最近はロシアが仲介役に登場する、雰囲気になって来ている。それはハフタル将軍とロシアとの関係が良好だからだ。トリポリの統一リビア政府のセラジ首相は、ロシアのリビア問題解決への支援を期待し、コンタクトを取り始めている。ロシア政府もセラジ首相の、モスクワ訪問受け入れ意志を、明らかにしている。*

チュニジアも同様に、アルジェリアやエジプトに声をかけ、3月にはリビア会議を開催する予定になっている。果たして、ハフタル将軍はその会議に、参加するか疑問だ。エジプトが開催した際に、ハフタル将軍はカイロを訪問しているが、それはエジプト政府がハフタル将軍の属す、東リビア政府[トブルク]を支援しているからであろう。*

アメリカやフランス、イタリアも手を出してはいるのだが、未だに決定的な成果は、挙げていない。敢えて言えば、シルテからIS(ISIL)を追放する作戦で、アメリカが本土から爆撃機を飛ばして、空爆支援したことであろう。それはそれなりの成果を挙げ、IS(ISIL)はシルテから追い出されている。

そうは言っても、リビアの内戦状態がだいぶ終わりに近づいたから、各国がリビア問題に、首を突っ込んでいるのであろう。そうしたなかで、トリポリのセラジ首相公邸のそばで、彼に対する暗殺未遂事件が起こった。*
*
犯人はトリポリに拠点を置く、リビア国民救済政府(グエールなるテロの親玉がトップ)のメンバーだった。このグエールについては、無知で乱暴な男というのが、私のリビア人の友人の評価だったが、確かに彼の顔からは、知性も品性も感じられない。*
Posted by 佐々木 良昭 at 11:42 | この記事のURL
NO4458 2月20日 『ロシアに泣きつきたいリビア首相』 [2017年02月20日(Mon)]
ロシアの中東諸国に対する、存在感が拡大している。それと相反して、アメリカの影響力は、後退しているのではないか。アメリカはアラブ諸国に問題を創り、その解決に高い兵器を売りつけ、軍隊が土足で入ってくるのだから無理もない。

それに対して、ロシアは手弁当で、しかも、相手国の要請に従って派兵し、きちんとした仕事をしてくれている。シリア駐留のロシア軍が、その典型であろう。

リビア問題もしかりだ。リビアは3つの政府が、存在するといわれているが、メインはトリポリを首都とする統一リビア政府、セラジ首相が率いる政府だ。そしてもう一つは東のトブルクを本拠とする政府だ。残りの一つは、ミスラタのミリシア集団だ。

いま、リビアでは西のトリポリ政府と、東のトブルク政府が、綱引き状態にあり、なかなか一体化できないでいる。その裏にはロシアの関与があるからだ。東のトブルク政府の実質的トップは、アメリカ帰りのハフタル将軍だが、彼は訪露して関係を強化している。

しかも、彼は強力な軍を抱えていることから、トリポリ政府も安易には、手を出せない状態にあるのだ。エジプトがつい最近、セラジ首相とハフタル将軍の仲介を試みたが、失敗に終わったようだ。

もちろん、エジプト政府は成功だったと発表したが、後にセラジ首相は、何の合意も生まれなかった、と語っている。そうであろう、ハフタル将軍はセラジ首相との会談を、拒否しているのだから、主役抜きの合意など、生まれるわけがないのだ。

ここに来て、セラジ首相はハフタル将軍の強気の立場は、ロシアの後ろ盾にあるとして、ロシアに仲介を依頼したい意向をロイター通信とのインタビューのなかで語っている。それは正しい選択であろうと思われるが、果たしてロシアはトリポリ政府を、相手にするか否か疑問だ。

セラジ首相はハフタル将軍側との交渉に、次のような立場を示している。

:交渉から軍人を排除しない。

:リビア軍を統一したい。

:テロとの戦争を共に進めたい。

:軍は政治的指導の下に置かれることを希望する。

しかし、トリポリ政府のこれらの新しい立場は、ハフタル将軍を喜ばせはすまい。交渉から軍人を排除しないのはいいとしても、リビア軍の統一にはハフタル将軍は賛成すまい。彼はあくまでも東の軍を掌握していたいのだ。

加えて、テロとの戦争を共に進めることについても、受け入れないだろう。そして最後の、軍を政治の指導下に置くという考えは、まるで相手にされまい。つまり、
IS(ISIL)のシルテからの掃討作戦は、一応成功したが、まだまだリビアの内部対対立は解消されない、という事ではないのか。
Posted by 佐々木 良昭 at 12:08 | この記事のURL
NO4457 2月19日 『エジプトは地獄から抜け出せるか』 [2017年02月19日(Sun)]
*エジプト政府にとっては、いまの同国の経済状態は、まさに地獄であろう。それは庶民にとっても同じだ。物価は値上がりし、物資は不足し、明日の生活がどうなるか、分からない状態なのだ。*
エジプトの現在の失業率は、公式発表で(実質はもっと悪い)14パーセントとなっており、若者の失業率は40パーセントにまで、跳ね上がっている。つまり、若者の2人に一人が、仕事の無い状態にある、ということだ。*

*エジプトはシーシ大統領の肝いりで、第二スエズ運河を作り、運河収入が増える予定だったが、世界的な経済不況などから、減ることはあっても、運河収入は増えていない。*

*巨大なガス田が、ナイル・デルタ地帯や地中海海底で、発見されているが、未だ本格的な生産段階には、入っていない。エジプトは観光収入も、高いポテンシャルを、持っているのだが、テロの不安から伸び悩みの状態にある。*

*エジプトは可能性としては、大きいものがあるのだが、それが現実化していないのだ。外貨準備高は減り、シーシ大統領は3年間の期間で、120億ドルをIMFから借り入れる、契約を交わした。*

*その結果、エジプトのポンドはフローテング制になり、たちまちにして半額に値下がりし、現在は18ポンドになっている(以前は8ポンド台だった)。このためシーシ政権はエネルギー価格を値上し、公共費への援助を減らすことになった。*

*結果は、砂糖、米、食用油、薬品などが品不足となり、値上がりしている。政府は薬品については、軍の工場で増産して、市場に供給すると言っているが、未だその成果は、出ていないようだ。

*シーシ大統領は苦境下にある、エジプトの経済の見通しについて、楽観論を国民に語っている。彼の考えではこれから6ヶ月が最も苦しい時期であり、それを過ぎれば改善していくというのだ。その根拠はエジプト経済が、4〜4・5パーセント伸びていくからだ、ということのようだ。
*
*先日起こったコプト・キリスト教会テロ事件の後、シーシ大統領が早速現場に駆けつけたことで、コプト教徒からの受けは良くなっているが、ムスリムの国民の間の受けは良くなく、悪化してさえいる。*

*先日は離婚法をめぐり、エジプトの宗教権威であるアズハルのトップと、シーシ大統領との意見が対立して、もめてもいるのだ。加えて、シナイ半島北部にいるISなど反政府勢力は、次第に南下し、カイロに迫ってもいる。*

*シーシ大統領の政権は、現在抱える難問をクリアでき、発展段階には入れるのか、あるいは躓いて倒れるのか、極めてデリケートな段階にあることは、確かなようだ。しかし、私はエジプトの経済改善に期待を抱いている一人だ。*
Posted by 佐々木 良昭 at 10:40 | この記事のURL
NO4456 2月18日 『イスラエル・パレスチナは2国家か1国家か』 [2017年02月18日(Sat)]
*大分前からあった話なのだが、ここに来て再度話題に上り始めている。それはイスラエルとパレスチナの問題を、どう解決するかということだ。*

*一つの考えは、国連などが中心になって、進めようとしている、イスラエル、パレスチナの二つの国家を、設立する解決法であり、イスラエルはそれを望んではいないが、パレスチナ側はそれを強く希望してきている。*

*もう一つの考えは、イスラエルとパレスチナを一つの国家にしてしまおう、という考えだ。そうすれば、エルサレムの帰属問題も消えてなくなり、イスラエルにとっては敵性国家が、誕生しないということだ。*

*そもそも、いまの段階でこの二つの案が、再度話題になったのは、イスラエルのネタニヤフ首相が訪米し、トランプ大統領と話し合った結果、出てきたものだ。トランプ大統領は『2国家樹立だけが選択肢ではない。』と語ったのだ。つまり、イスラエルとパレスチナが、一つの国にまとまってもいいだろう、という考えなのだ。*

喜んだのはネタニヤフ首相だった。彼はパレスチナ国家が、イスラエルに隣接して誕生すれば、その国家はイスラエルの敵国となり、事態は悪化すると考えているからだ。

しかし、2国家にしない場合、イスラエル国民となったパレスチナ人は、やがてイスラエル国民(ユダヤ人)よりも多くなり、パレスチナ人がその国家の政治的、イニシ ャアチブを握るようになり、イスラエルはパレスチナ人の支配する国家、になりかねないのだ。

このパレスチナ人人口の増加は、大分前からイスラエルの頭痛の種であり、最近ではそれが、より明らかになってきているのだ。そうしたなかで、イスラエル国籍を持ち、イスラエルの議会クネセトの議員になっている、テイビ氏(パレスチナ人)は、イスラエルとパレスチナが1国家になった時には、自分が首相になる、と言い始めている。そのテイビ氏の発言は、極めて現実的なものなのだ。

イスラエルとパレスチナの問題を解決するには、いずれかの形でパレスチナ人を、満足させなければならないのだが、1国家にしても2国家にしても、それはイスラエル側にとって、極めて危険なものなのだ。

そこで出てきたのが、エジプトのシナイ半島北部を、エジプトがパレスチナに与えることにより、そこにパレスチナ国家を創る、という考えだ。もちろん、これはエジプト政府が全面的に反対している。このことを言い出したのは、ムスリム同胞団出身のモルシー氏だが、彼が大統領の時代に言い出したことなのだ。

この話の根拠と思われるのは、ガザがかつてエジプトの支配下にあった、ということから来ているのだ。イスラエル側にしてみれば、以前のようにガザはエジプトが責任を持ち、ヨルダン川西岸地区はヨルダンが支配するのが、いいということであろう。そして、その場合は、これら両国がイスラエルに対して、安全の保証をするということなのだ。

しかし、エジプトもヨルダンも、そんなお荷物は背負いたくあるまい。結局のところ、パレスチナ問題は、多くが語られ、何も生み出さないで時間が過ぎていく、ということであろう。
Posted by 佐々木 良昭 at 11:18 | この記事のURL
NO4455 2月17日 『中東短信エジプト・トルコ・湾岸』 [2017年02月17日(Fri)]
:エジプトはエネルギー大国になるとイギリス

つい最近、イギリスが経済ミッションをエジプトに送ったが、そのメンバーのなかには、イギリス4大企業のうちの、2企業も参加していた。これらの企業はエネルギー部門で活動しているが、エジプトを訪問するのは、今回が、初めてのことであった。

イギリスはエジプトの、エネルギー生産国としての可能性を、高く評価しており、ガス生産は現在、日産44億キュービック・フィートだが、2017年末までには15億キュービック・フィート増産される、見通しだということだ。そして、2019年までには日産55億から60億キュービック・フィートキュービック・フィートまで、増産されようという見通しだ。(数字が合わないが原文の通り)


:トルコ与党AKPの幹部が新憲法選挙で敗北なら内戦と語る

トルコの与党AKPのマニサ地方幹部は、もし、4月16日の新憲法国民投票で、与党はこの新憲法に対する賛成票が、50パーセントに満たない場合、それを敗北とみなし、内戦を仕掛けるつもりだ、と語ったとされている。

このことで、オザン・エルダン・マニサAKP副代表は、辞任する羽目になった。彼は発言内容が間違って理解された、と弁明している。しかし、実際は彼が語ったとされている通りであり、エルドアン大統領は新憲法支持投票で、敗北した場合は強硬手段を、採るつもりでいるものと思われる。

オザン・エルダン氏は与党AKP内部の、幹部の間で語られていた秘密の話を、うっかり公の席で語ってしまった、という事ではないのか。


:トランプ大統領湾岸諸国のアメリカ離れに不安

イランのロウハーニ大統領が、アラブ湾岸のオマーンとクウエイトを訪問した。その甲斐あって、これまでアラブ湾岸諸国に存在していた、イラノホビア(イラン脅威論)が解消されたようだ。

オマーンは最初の招待国であり、以前からイランとは良好な関係を、維持してきており、これまでイランとアラブ湾岸諸国との、橋渡し役を果たしてきていた。クウエイトもまた最近、イランとの関係を修復しよう、と努力してきていた。

結果的に、ロウハーニ大統領のオマーン・クウエイト訪問は、大成功に終わったが、そのことでアメリカのトランプ大統領は、アラブ湾岸諸国とアメリカとの関係が、疎遠になることを、懸念し始めている。

トランプ大統領はイランを、核問題で追い込みたい、と努力しているさなかだ。従って、イランの脅威を一番感じている、アラブ湾岸諸国がアメリカを支持してくれるか否かが、重要なカギとなっているのだ。なお、ヨーロパ諸国は押しなべて、イランとの関係正常化を、進めようとしている。
Posted by 佐々木 良昭 at 11:31 | この記事のURL
NO4454 2月16日 『イスラエル・パレスチナ2国家解決はあり得ない』 [2017年02月16日(Thu)]
イスラエルのネタニヤフ首相が、アメリカを訪問した。そのなかでは、2国間関係が話し合われ、イスラエルはアメリカからのより一層の、支援を期待したことであろう。同時に、現在混沌としている入植地問題と、その先にあるイスラエル・パレスチナ問題の解決についても、話し合われた模様だ。

このネタニヤフ首相の訪米を機に、パレスチナ自治政府側も動きだし、公平なイスラエル・パレスチナ問題の、解決を訴えている。パレスチナ自治政府のエレカト氏は、100年前にイギリスのバルフォア卿が進めた、パレスチナの地の分割と、その後のイスラエル国家の建国について、不当なものであるとした。

そのうえで、その後に国連が採決した2国家、つまりイスラエルとパレスチナ国家の共存に、修正する責任がイギリスにはある、と言い出している。そして、その両国の国境は、1967年に決められたラインに、すべきだと訴えた。

このエレカト氏の主張を、ネタニヤフ首相は無視し、現状を進めるつもりだ。つまり、問題解決を無視して入植を進め、既成事実としての、イスラエル人によるパレスチナの土地の収用を、進めるということだ。

アメリカのトランプ大統領の考えはどうであろうか。彼は一見、イスラエルにもパレスチナにも組しない、という感じではあるが『2国家の樹立だけが問題解決の道ではない。』と語っている。(トランプ政権の考えでは、パレスチナ国家ができれば、その後、新たな武力闘争が展開される、ということを懸念しているのだ。)

つまり、民主的なイスラエルにパレスチナを併合させ、双方を『1国家2制度』にするという考えのようだ。これは中国と香港のような関係であろうか、あるいは全く異なる、関係になるのであろうか。この考えすらイスラエル側には、受け入れられまい。それは、パレスチナ側の人口増加が、イスラエルにとって、将来の脅威となるからだ。

1国家2制度になれば、イスラエルが優位に立つことは目に見えている。パレスチナ側はイスラエルの資金を当てにするようになろう。また、1国家2制度のもとでは、パレスチナ側に送られる援助金も、減ることになるのではないか。それはい、まだに多くのムスリム諸国が、イスラエルを毛嫌いしているからだ。

結局のところ、ネタニヤフ首相の訪米で、2国家の話が出ては来たが、イスラエル・パレスチナ問題には、何の改善も進展も生まれなかった、ということではないか。そして、イスラエルは安心して、今後も非合法な入植を進め、時間が経ったところで、それを合法と認めるという手法を、採るのであろう。

ネタニヤフ首相はアメリカで、うまいことを言っている。イランはイスラエルにとって脅威であり、核開発を進め、長距離ミサイルを開発し、イスラエルを攻撃する危険性がある。パレスチナはそのイランと良好な関係にあり、なかでもガザのハマースのイランとの関係は強い。よってイスラエルはパレスチナに、一歩も譲るわけにはいかない、と言っているのだ。そのことにトランプ大統領も同感であろう。
Posted by 佐々木 良昭 at 11:39 | この記事のURL
NO4453 2月15日 『トルコはシリア北部一帯を領有の意向か』 [2017年02月15日(Wed)]
トルコのエルドアン大統領は、シリアの北部地域アルバーブでの、勝利が近いと語っている。ここを落とせば、あとは他の地域を落とすことも、容易になると考えているようだ。それは、シリア北部地域全体とトルコとをつなぐ、幹線道路がアルバーブを通過しているからだ。

トルコ軍がアルバーブを抑えてしまえば、IS(ISIL)が首都と言ってきた、ラッカの攻略も容易であろうし、マンジブも自動的に落ちる、という事であろう。そうなれば、シリア北部で他にはこれと言った、要衝はなくなるということだ。

このシリア北部を占領してしまえば、ほぼ4〜5千平方キロメートルの地域を、トルコは支配することになるらしいが、トルコにはその土地をシリアに返還する気は、無いのではないか。

トルコのエルドアン大統領は、これまで安全地帯の設立を、何度となく訴えてきているが、それもシリアの北部地域にということだ。この安全地帯を創設するという事は、その管理が難しいことから、半ば永久的にトルコはその安全地帯を、支配することになる、という事であろう。

シリア北部に安全地帯を創設することについては、アメリカがやや前向きではあるが、ロシアは困難であることを強調している。外敵の攻撃から安全地帯を守るためには、そこに治安維持のための軍隊を派遣し、駐留させなければならないし、その軍隊を守るためには、重装備をさせる必要も出て来よう。

加えて,航空攻撃もありうるので、戦闘機や監視のための飛行機を、飛ばすことになろうが、そうなると、その飛行機を守る手だても、必要になろう。つまり、安全地帯や人道的理由という、甘い言葉でこの安全地帯の創設を、現実のものにしていくことになると、相当の負担が関係諸国には、かかってくるという事なのだ。

トルコは領土的な野心と、トルコ国内にいるシリア難民の、一部追放を考えて、安全地帯を創りたいのであろうが、ロシアやアメリカには、安全地帯を創設することは、何のメリットも無いのだ。

アメリカは出来るだけ、自国軍を投入したくない、と考えていることから、現実にこの安全地帯設立となれば、トルコがその多くを、負担せざるを得なくなろう。エルドアン大統領はかつての、オスマン帝国の住民たちを守る、という大義前提で大宣伝をするだろうが、その費用はばかになるまい。

トルコの現在の経済状態は、極めて悪いのに、そのような負担を背負うことになれば、トルコの経済はますます悪化するだろう。エルドアン大統領にすれば、業者から難民施設を創ることで、賄賂を受け取るつもりであろうが、トルコ国民には大迷惑であろう。
Posted by 佐々木 良昭 at 12:17 | この記事のURL
NO4452 2月14日 『勝負ありかバグダーデイとIS』 [2017年02月14日(Tue)]
イラク空軍による猛爆撃で、IS(ISIL)の幹部13
人が死亡した、という報道がなされている。その死亡者のなかにバグダーデイが含まれていたかは、いまだ不明だが、少なくとも重傷を負っているだろう、という情報が流れている。

今回IS(ISIL)がイラク空軍によって、空爆されたのはシリア国境に近い、カーイムという街の一軒家でのことだった。そこで、IS(ISIL)
の幹部たちによる、モースルの状況や今後に向けた、バグダーデイの後継者問題などについて、討議する幹部会議が、開かれていたということだ。バグダーデイもこの会議に参加すべく、ラッカから駆けつけていた、と言われている。

カーイムでの戦闘は激しいものであり、イラク地上軍とIS(ISIL)との間でも、日曜日から月曜日にかけて、6時間にも及ぶ銃撃戦が起こった。IS(ISIL)
側は外部の友軍に対して、支援を求めたようだが、何処からも支援の戦闘員は、集まってこなかったということだ。

IS(ISIL)側の17台の車両が破壊され、50
人の戦闘員がこの戦いで犠牲になった。そのなかには司令官のアブ―・アヌワルも含まれていた。また戦闘の後には、大量の軽,
重武器が放置され、戦車も放置されていた、ということだ。

IS(ISIL)
側としてはモースルを放棄し、シリアへの移動を本格的に、進めようとしていたのであろう。しかし、イラクからシリアに抜ける幹線道路は、イラク側によって、ほぼ制圧されているようだ。

バグダーデイの死亡か負傷かについて、イラク軍が明かしていないのには、種々の理由が考えられる。単純な理由は、そのことが分からないため、ということになるが、他の幹部の死亡は確認し、名前も明らかにしていることから、バグダーデイについてのみ、情報が無いはずはない。

バグダーデイが死亡したか、重傷を負った、ということになると、イラク軍や合同軍のなかに、心のゆるみが発生するかも知れない。当分は世界の関心を集めることも目的として、バグダーデイの死傷については、明かさないほうがいい、ということかもしれない。

いずれにしろ、イラクではIS(ISIL)の戦闘能力は、ほとんど尽き果て、戦闘員は逃げ腰になっていることは、明らかなようだ。その分、多数のIS(ISIL)
の戦闘員の、シリアへの移動も予測されることから、シリアの今後は危険度を、増すかもしれない。
Posted by 佐々木 良昭 at 11:48 | この記事のURL
NO4451 2月13日 『バグダッド・グリーン・ゾーンの戦い』 [2017年02月13日(Mon)]
*イラクの首都に、グリーンゾーンと呼ばれる地域がある。ここはアメリカ軍が多数駐留する頃に、造られた地域だったと思うが、今ではイラク政府の官庁ビルや、外国の大使館、国際機関の事務所に加え、要人の居住区になっている。*

当然、このグリーンゾーン内部は住環境が、バグダッドの他の地域に比べて、格段に恵まれている、ということであろうし、治安もいい状態にある。従ってバグダッドの一般市民にしてみれば、羨望の眼差しで見られる地域、ということになる。*

そうしたことから、市民に不満が高まると、このグリーンゾーン地域に対する、抗議デモが行われている。その意味では必ずしも、安全地帯とも言い切れないのかもしれない。*

今回はシーア派の巨頭、サドル師が扇動するデモが、グリーンゾーン地域に向かって行われた。もちろん、地域そのものには人格があるわけではないから、グリーンゾーンに対するデモということは、政府に対する抗議のデモであったわけだ。*

イラクはいまIS(ISIL)の占領と暴力支配の時期が、終わろうとしており、国内の平和が直ぐそこに、迫っているはずだ。それにもかかわらず、グリーンゾーンへのデモが起こり、しかも死傷者が出ているということは、何故であろうか。*

グリーンゾーンへのデモで7人が殺害され、174人の負傷者も出ているということだ。警官もこのデモの中で1人が殉死している。*

今回のサドル派の怒りは、主に元首相のマリキー氏に、向けられたものであり、カチューシャ・ロケット弾に加え、銃器やナイフも持ち込まれたようだ。従って、警察側も当然、それを阻止できるだけの装備が必要であり、死傷者が多数出たということであろう。

こうした大規模な衝突が起こったということは、言葉を変えて言えば、イラクがIS(ISIL)との戦いの時期から、次の段階に入った、ということではないのか。つまり、今回のグリーンゾーンに対するデモと衝突は、次の段階でサドル派がどのような権益を、得ることが出来るのかにかかっている、ということではないか。

同じようなことがリビアでも起こっており、リビアにはいま三つの政府が、鼎立状態にあるということだ。アラブ世界での政治的な衝突の裏には、常に権力闘争があり、その権力闘争の裏にはいつも利益が存在する。言ってみれば、グリーンゾーンに対するデモは、経済行為の一種だ、ということではないのか。
Posted by 佐々木 良昭 at 09:01 | この記事のURL
| 次へ