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NO4171『英のEU離脱への中東諸国の反応』 [2016年06月25日(Sat)]
国民投票の結果、イギリスはEUから、離脱することを決定した。この結果は、世界中を震撼させている。なぜならば、イギリスは世界の財布を、握っていた国だからだ。

当然のことながら、イギリスがEUとの関係を切ることで、世界の金融を牛耳ることは、難しくなった。それは世界の金融市場に不安を抱かせ、世界の通貨は乱高下し、株価も不安定になっている。実際に日本でも円が急騰し、株は大幅に下げている。

アラブを始めとした、中東の国々も当然高い関心を、イギリスの動きに関心を抱いているのだが、控えめなのであろうか。あるいは先が読めない、ということであろうか、あまり明確な論評は、見出せない。

大半のイギリスに関する記事は、外国の記事や見通しを、転載したものだ。例えば、トルコのサバー紙は『イギリスばかりではなく、スコットランド、北アイルランド、ロンドンさえも、独立することを望むのではないか?』という記事を転載している。

また、同じサバー紙は『イギリスの脱退はEUの終わりの始まり。』という記事を掲載しているし、『イギリスの脱退でトルコがEU加盟をすることは、遠ざかった。』という記事も掲載している。それはそうであろう。

同じトルコのフリエエト紙は『イギリスのEU脱退は、パンドラの箱の蓋を開けた。』と書き、今後EU各国から離脱する国が、増えていくだろうという、予測に立った記事を書いている。

また、イギリスのEU離脱の結果、EUメンバー国内に動揺が生まれ、トルコのEU加盟は、もっと遅れるだろう、と予測している。それは事実そうなるであろうと思われる。

イランのプレスTVは『イランはイギリスの投票結果を尊重する。』と書き、あまり立ち入ったコメントはしていない。まだ自国にとって、どのような影響が及ぶか、イランはつかみきれて、いないのかもしれない。

エジプトは独自のコメントは出さず、EUの議長が『このイギリスのEU脱退は、EU諸国にドミノ現象を起こすのではないか。』と警戒しているというニュースを、紹介しているのみのようだ。

もちろん、エジプトでも株や通貨の下落が、起こってはいる。また、このEUの混乱は、そうでなくとも悪い、エジプトの観光産業に、大きなダメージを、より一層大きくするのではないか、ということも気になるところだ。
Posted by 佐々木 良昭 at 10:20 | この記事のURL
NO4170『エルドアン大統領の冗談と本気』 [2016年06月24日(Fri)]
トルコは東西にまたがる国として、その地理的特徴を、世界にアピールしてきていた。そして、その事からトルコはEUのメンバーになりたいと思い、EU加盟の外交努力を続けてきていた。

しかし、トルコはアジア側の国であり、ヨーロッパではないということと、イスラム国家であることがネックとなり、未だにEU加盟に至っていない。トルコ政府の高官に言わせると、トルコは1963年以来、既に53年間も、ヨーロッパの一員になる努力を、してきたというのだ。

最近キャメロン英首相は『トルコがEUのメンバー国になるには、まだ30以上もの案件が検討されておらず、その検討が全て終わり、トルコのEU加盟が認められたとしても、それは紀元3000年のことであろう。』と皮肉っている。

トルコ政府はEUへの、ビザ無し交渉を進めているが、全く進展が見られない。そのため、トルコ政府の高官は、90パーセント以上のトルコ国民は、ビザ無し渡航を、別に望んではいない、と言ってもいる。

確かに、トルコの庶民は、物価高のヨーロッパに行って、買い物をしたり、観光を楽しむという余裕は無く、自国や近隣諸国で、観光を楽しむことの方を、優先しよう。しかし、トルコ政府の高官は、ヨーロッパがビザ無し渡航を認める方向にある、と言いながら何もやっていない、嘘つきだと非難し始めている。

こうした雰囲気のなかで、エルドアン大統領はとんでもない、妙案(?)を提案した。それは、トルコ国民にEU加盟について、賛否を問うという、国民投票を実施するという提案だ。

あるトルコ人の友人は笑いながら『トルコがEUに加盟を、認められてもいないのに、EUに加盟すべきか否かを、国民投票にかけるというのは、ジョークに過ぎない。』と笑っていた。

イギリスではEUから抜けるのか留まるのか、ということが国民投票にかけられて、いま開票の真っ最中だが、それを真似て、国民的娯楽のイベントを、エルドアン大統領は提供しようというのであろうか。

ただトルコ政府の高官は『難民がヨーロッパに行きたいというのであれば、彼らを自由に行かせるよう、国境を開く。しかし、ヨーロッパは彼ら難民を、受け入れるに際して、十分な対応ができるのだろうか。』と皮肉っている。多くの難民が今では、あまりにもひどい受け入れ対応に嫌気がさし、ヨーロッパから帰国したがっている、ということも事実だ。

このトルコ政府高官の発言は、ヨーロッパ諸国に対する、恫喝でもあろう。もし、トルコが国境を開放すれば、100万人どころか、200万人300万人の難民が、ヨーロッパ諸国になだれ込むのだから。それはEUの崩壊につながろう。
Posted by 佐々木 良昭 at 11:44 | この記事のURL
NO4169『リビアのシルテ激戦IS(ISIL)敗色濃厚』 [2016年06月23日(Thu)]
リビアのシルテ市では、激戦が続いている。このシルテ市はIS(ISIL)にとって、極めて重要な街だ。それは石油の積出港に近いことや、リビア東西の丁度中間に位置していることなどに、よるものであろう。

IS(ISIL)側にとって重要だということは、述べるまでもなく、リビア側にとっても重要だ、ということであり、このシルテ市をIS(ISIL)に抑えられていたのでは、リビアの東西の軍事力が、分断されてしまうことになる。

このため、リビア側のリビア統一政府寄りの、ミスラタ市の戦闘集団が中心となって、シルテ攻撃が開始された。既に、相当数の犠牲者が出ているが、ミスラタのミリシアは、一歩も引いていないようだ。

リビア統一政府側は海からの攻撃も、IS(ISIL)に対して加えており、ほぼ完全に包囲した状態にまで、IS(ISIL)を追い込んでいる。従って、IS(ISIL)の戦闘員たちは、他の場所に逃げたくても、逃げられない状態に、追い込まれているのだ。

ミスラタの戦闘員たちは、シルテのテレビ局やラジオ局を、奪還したばかりではなく、電力会社やビン・ハメル・モスクも奪還している。

こうしたリビア側の攻勢に対して、IS(ISIL)が今後、どう反撃していくのかが疑問だ。完全に包囲されたということは、彼らが武器や食料、医薬品などを、補給できなくなってきている、ということでもあろう。

リビアに入ったIS(ISIL)は、海岸部から次第に南下し、石油地帯を占領し、次いでアフリカに進出していくのではないか、と予想していたが、それも難しくなってきているのではないか。

その時に、欧米はどのようなリビアへの介入の、仕方をするのか興味深い。
Posted by 佐々木 良昭 at 11:56 | この記事のURL
NO4168『イランはサウジアラビアがテロ送ったと非難』 [2016年06月22日(Wed)]
イランの首都テヘラン市で、爆弾テロ未遂事件が起きているが、これに関連してイラン政府内務省は『サウジアラビアがテロリストを、イランに送り込んだ!』と非難している。イラン内務省の発表によれば、イランの東西各地でテロ計画があり、今後、イラン国内は危険に直面する、ということのようだ。

IS(ISIL)は以前から『イランはナンバーワンの敵』と非難を寄せている。このIS(ISIL)を使い、サウジアラビアはイランにテロ攻撃を、仕掛けてきているということだ。

イラン内務省の説明によれば、サウジアラビアはイラク北部の、クルド自治区のエルビル市にある、サウジアラビア領事館を経由し、テロリストをイラン国内に、潜入させているということだ。

イラン政府はサウジアラビアのムハンマド・サルマン副皇太子、サルマン国王、ジャビール外相を名指しで非難し、『イラン人のハッジを不可能にし、シリアやイラクでも敵対行動をし、イエメンに対しても、戦争を仕掛けている。』と非難した。

イラン内務省は既に、イラン国内に潜入していた、数十人のテロリストを逮捕し、インターネットなどで影響を受けた、IS(ISIL)支持者も50人逮捕している。このイランの発表が事実であるとすれば、サウジアラビアはイランとの、本格的な武力衝突を、望んでいるのかもしれない。

サウジアラビアによってこのようなことが、イランに対して行われているのが事実であるとすれば(事実である可能性は高い)、それはムハンマド・サルマン副皇太子の、地位補強と格上げ、冒険心を満足させるものであろう。

ムハンマド・サルマン副皇太子はイエメン戦争を始めたし、トルコにも軍を送りシリア・イラクなどへの、軍事介入の準備も進めている。彼が副皇太子から皇太子に昇格するためには、しかるべき大きな成果が、必要だということであろうか。

しかし、それが事実であるとすれば、イランとの緊張関係から武力衝突、そして戦争へと事態が発展した後には、サウジアラビア王家が終焉の時を、迎えるのではないのか。アメリカにとっては、大量の兵器を必要とする、サウジアラビアの動きは、本心では大賛成であろう。
Posted by 佐々木 良昭 at 11:26 | この記事のURL
NO4167『バハレーン政府はレッド・ラインを超えた』 [2016年06月21日(Tue)]
アラブ湾岸諸国の一つであるバハレーンは、サウジアラビアと橋でつながる出島のような国である。この国は最も古く、石油を産出し始めた国であり、現在ではサウジアラビアの石油を、自国のものとして輸出し、産油国としての体面を保っている。

従って、サウジアラビアとの関係は、ほぼ同一国家と言っても、過言ではないほど、強い関係にある。サウジアラビアにとっては、バハレーン国内の安定が直接的に、影響してくることも心配だ。バハレーンはシーア派が過半数の国であり、サウジアラビアのアルカテイーフ地域も、シーア派がほとんどの人口を占めている。

そのバハレーンでは、過半数がシーア派国民であるにもかかわらず、スンニー派の首長(国王)が統治しており、シーア派国民は差別の対象となってきている。このため、シーア派国民による同等の権利を求める、抗議運動が起こり、既に4〜5年が経過している。もちろん、シーア派の抗議活動は、それ以前から起こっていた。

シーア派による抗議行動が活発化したため、バハレーン政府はシーア派の活動家リーダーである、シェイク・アリー・サルマン師を逮捕し、投獄していたが、最近になって刑期を、9年延長した。

バハレーン内務省は、もう一人のシーア派の精神的リーダーである、アヤトラ・イーサ・カースム師に対して、市民権を剥奪する決定を下した。このことは、今後相当危険な状況を、バハレーン国以内に生み出すかもしれない。

世界のシーア派の総本山であるイランからは、バハレーン政府に対する警告が出され、シーア派国民に対する檄が飛んでいる。革命防衛隊のスレイマーニ将軍は、バハレーンのシーア派国民に対して『武器を取れ!』と発言したのだ。

イラン政府はこれまで、バハレーンのシーア派国民によるデモが続くなかで、これほど明確な政府非難はしなかった。しかし、今回は『武器を取れ!』とまで語っているのだ。その事は、革命防衛隊がバハレーンのシーア派国民に対して、武器を提供することを、意味していよう。

過去にも武器の密輸が、バハレーン政府によって発覚しており、それはイラク・シーア派からだった。これからは、対岸のイランから武器が送られ、しかも、それは本格的なものとなろう。海上では革命防衛隊の艦艇と、バハレーン海軍の衝突もありえよう。

バハレーンにはアメリカの海軍基地があり、国内が混乱することは、アメリカ海軍の活動に悪影響が出る。このため、アメリカ政府はアヤトラ・イーサ・カースム師の市民権は剥奪対して、早い段階で反応を示し、懸念を述べている。
Posted by 佐々木 良昭 at 10:00 | この記事のURL
NO4166『クルド問題はシリア・トルコ共通和解の糸口に』 [2016年06月20日(Mon)]
以前、シリアの北部都市コバネで、クルド・ミリシアとIS(ISIL)が激しい戦いを行ったことがある。その結果は、クルド側の勝利というものだった。その裏には、イラク北部のクルド自治政府が、援軍ペシュメルガを、派兵したことがあった。

以来、シリアのクルドとイラクのクルドとの関係は、以前にも増して強いものになり、そのことが、シリアのクルド人たちに、自治区設立の夢を膨らませることとなった。

そして自治区設立の先には、シリア・イラクそしてトルコのクルドが、一体となってクルド連邦共和国を設立する、という希望が湧いてきた。このことはトルコにとっては、実に厄介な問題だ。もし、そういうことが進んでいけば、第一にはトルコでトルコ軍とクルドのミリシアとの間で、内戦が勃発することになる。

トルコ軍は現存のPKK(クルド労働党)との戦いに加え、トルコのクルド人と戦わなければならい。その他には、シリアやイラクからクルドのミリシアや、ペシュメルガ軍が参加する、という危険性がある。

シリアもしかりであり、いまの段階で既に語られている、シリアの分割構想が、現実味を増していく危険性があるのだ。シリアは多数派のスンニー地区と、クルド地区、そしてアサド大統領の所属する、アラウイ地区に分けられる、可能性が出てきている。

ロシアとアメリカがその可能性を、話し合っているのだ。ロシアにしてみれば、シリアのタルトース市やラタキア市などの、シリアにある既存の、ロシアの海軍基地や他の軍事基地を維持できればいい、ということであろう。

シリアが連邦制の国家になれば、シリアの分裂を救ったことになり、しかも、アサド大統領の体制を、維持で来たことにもなるのだ。これがアメリカとロシアとの間で、交わしうるぎりぎりの、妥協点なのかもしれない。

困ったシリアとトルコは、いまアルジェリアを仲介にしたり、イランを仲介にして、対クルド対処法と両国の、協力の可能性を探っている。

この交渉には、シリア側からはアサド大統領と親しい関係にある、ハーリド・アルアハマドという名のビジネスマンが、トルコのアンアカラ市を頻繁に、訪問して行っているようだ。

これと関連するのであろうか。最近、トルコのユルドルム首相は、シリアやエジプトとの関係を、改善する意向があることを、公式の場で語っている。この一連のニュースが出てくる以前に『クルドは結局国を持つことができず、アメリカのIS(ISIL)対応に利用されるだけだ。』という記事が掲載されたことがある。それがクルド人に与えられる運命であり、現実なのであろうか。
Posted by 佐々木 良昭 at 12:11 | この記事のURL
NO4165『IS(ISIL)バグダーデイの少年兵の未来』 [2016年06月19日(Sun)]
アラブの新聞が『バグダーデイの少年兵』という記事を掲載した。延々とこの子供たちが受ける、軍事訓練や参加した作戦について、述べられている。このバグダーデイの少年兵は、15歳前後のまさに子供たちなのだ。

彼らはバスに乗せられ、『勝利の歌』や『天国への道』など、軍歌を歌いながら、モースルから1
時間の距離にある、テル・アファルのオマル・ビン・アブドッラー軍事学校に到着する。

そこでの訓練は相当厳しいもののようだ。まずファジュルの礼拝(未明の礼拝)に始まり、軍事訓練を受け、その後に朝食、少しの休憩の後、軍事訓練が行われ、その後、昼食となっている。

午後の教科は教室での授業だが、主にシャリーア(イスラム法)の講義を受ける。もちろん、そのシャリーアはイスラム原理主義のシャリーアだ。訓練期間中に20ページの、コーランの暗記が義務付けられているが、あまり暗記に苦労はしないようで、それ以上のページを、暗記する者が少なくない。

約1ヶ月から2ヶ月の訓練を受けた後、彼らには携帯電話が与えられ、軍服も支給され、短い期間の帰宅が許される。彼らに支給される月給は50ドルから120ドルで、能力に応じて支給額が異なるようだ。また、給料以外に物資の支給も受けているが、それは家族に送られるのであろう。

これで少年兵は立派に通用する、イスラム原理主義の兵士になるわけだが、問題は彼らの思考が、完全にイスラム原理主義に、洗脳されてしまうことだ。やがては、IS(ISIL)がイラクやシリアから、追放されるときが来るであろうが、彼ら少年兵の脳に刻まれた、イスラム原理主義の思想、価値観からは、抜け難いであろう。

言ってみれば、IS(ISIL)が行っている少年兵の訓練は、戦闘に参加させることも目的ではあるが、同時に時限爆弾の効果を、持つということだ。数年が経過して、イラクやシリアが安定化したときに、彼ら脳裏に生め込まれた記憶は、彼らをして一匹狼の、テロリストに蘇らせるのだ。

戦争の後遺症が抜けず、多くのベトナム戦争に参加したアメリカ兵が、帰国後に国内で殺人事件などを犯している。バグダーデイの少年兵たちは、それ以上に、通常の人間に戻すことが、大変なのではないか。この問題に世界はどう、対応していくのであろうか。

トルコのイスタンブール市の、ラジオヘッドというレコード店で、アルコールを飲みながら、音楽を楽しんでいた若者たちが、棍棒やビンを持った、20人ほどの暴漢に襲われている。暴漢たちは『ラマダンにアルコールを飲むことは恥だ。』と叫んでいたということだ。同じような事件が、将来、バグダーデイの少年兵たちによって、起こされることが懸念される。
Posted by 佐々木 良昭 at 09:01 | この記事のURL
NO4164『サウジアラビアの苦悶』 [2016年06月18日(Sat)]
サウジアラビア政府はいま。多くの悩みを抱えているようだ。イエメン戦争を始めたのはいいが、何時どの段階で停戦し、終戦に持ち込むべきなのか、全く分からないのではないか。

イエメン戦争の戦費は膨らみ、石油価格の低迷と重なり、金満国家だったサウジアラビアは、外国にある資産を取り崩し、しかも、外国の銀行から借り入れをする、段階に入っている。

国内的には経済の悪化で、庶民の暮らしは少しずつ苦しくなってきており、失業率も高くなってきている。その事は国内と国外からの、反政府の動きが起こるという、危険性をはらんでいるということだ。

既に、IS(ISIL)はサウジアラビアをターゲットにする、と宣言しており、IS(ISIL)によるテロが、サウジアラビア国内で起きている。

サウジアラビアのこうした焦りが、対外政策にも影響し、サウジアラビアのアーデル・ジュベイル外相はアメリカに対して、シリアのアサドを打倒するよう、強く要請した。これとは別に、アメリカからの要請もあり、現段階ではサウジアラビアはシリア攻撃に、参加しなければならなくなる、可能性が出てきているのだ。

サウジアラビアの空軍はこのため、トルコのインジルリク空軍基地に、戦闘機を送り込み、トルコとの合同訓練も行っている。それは述べるまでも無く、シリア空爆を想定してのものだ。

サウジアラビアがいま、強硬にアメリカに対して、シリアのアサド体制打倒を要求しているのは、その少し前に、アメリカの外交官51人が、シリアに対する強硬対応を要求したことに、タイミングを合わせているのであろう。

サウジアラビアがアサド体制の打倒を急ぐのは、アメリカとロシアとの間で、シリアを三分割する案が、具体化してきているからであろう。それはシリアにクルド自地区、スンニー自治区、アラウイ自治区を作り、それを連邦にしていくという考えだ。

サウジアラビアはアメリカに対し、空爆の実施、ノーフライ・ゾーンの設定、セイフ・ゾーンの設定、ノ−ドライブ・ゾーンの設定を要求している。つまり、できることは全てやってほしい、ということであろう。

オバマ大統領はこのサウジアラビアの要求に対して、何も応えていないが、ロシアは早速厳しい反論よせている。ロシアは『アメリカは2014年以来、シリアからも国連からもOKを得ないで、これまで空爆を重ねてきており、その犠牲者の数は甚大だ。いま必要なのは、国連などを通じた、政治対話によるシリア問題の解決だ。』と正論を述べている。
Posted by 佐々木 良昭 at 13:41 | この記事のURL
NO4163『本格化し始めたのかリビア統一政府のIS攻撃』 [2016年06月17日(Fri)]
これまで膠着状態のような形になり、なかなか勝敗の決着がつかなかったリビアのシルテ戦は、ここに来て進展が見え始めている。すでにシルテ市のほとんどを押さえているのは、リビア統一政府の軍隊であり、IS(ISIL)の反抗は、うまく機能していないようだ。

このため、IS(SIL)側はシルテ市から逃れ、シルテ市とミスラタ市の中間にある、アブ―・ガラインに拠点を置き、ここの警察署を襲撃する、特攻作戦を敢行している。このアブ―・ガライン市は、ミスラタ市から東に100キロの地点ある。

IS(ISIL)側は何とかして、シルテ市から抜け出し、他の地域あるいは外国に、逃亡しようと、懸命の努力をしている、ということであろう。

しかし、いまになってみれば、2014年にIS(ISIL)がリビアに入り、シルテ市を攻略したのは、嘘のような話に思える。

IS(ISIL)はあっという間にシルテ市を占拠し、ここをシリアのラッカ市に次ぐ、IS(ISIL)の首都と宣言していたのだが、あまりにももろく崩れ去ってきているのだ。

シルテの攻防では相当の死傷者が、リビア側にも出ているようだ。なかでも、ミスラタ出身の兵士のなかには、多くの死傷者が出ている。このため、リビア統一政府は、戦争で負傷した負傷兵を、アルジェリアの軍病院で治療させるよう、アルジェリア政府とチュニスで交渉をし、その合意に至った。

これまでも、負傷兵が非公式には、アルジェリアに運ばれていたようだが、これからはリビア兵の、アルジェリアの病院での治療が、本格的に行われるということであろう。

負傷兵はミスラタ市から、直接アルジェリア南部のワルカラ市の、病院に運ばれる手はずだ。すでに、30人の負傷者がワルカラ市の病院に運ばれ、治療が始まっている。

このリビア統一政府と、アルジェリア政府との間で交わされた、負傷兵の治療受け入れ合意は、今後、リビア統一政府がリビア国内で、しかるべき信頼を勝ち得ていくことにつながろう。

現時点ではチュニジア政府、アルジェリア政府がリビア統一政府を、支援する形になっている。しかし、まだアラブの大国、エジプトのリビア統一政府に対する対応は、明らかになっていない。
Posted by 佐々木 良昭 at 11:43 | この記事のURL
NO4162『バグダーデイの死亡にまつわるほら話がまた出てきた』 [2016年06月16日(Thu)]
*
IS(ISIL)の頭目バグダーデイが重傷を負った、という話は大分前に出てきた。もちろん、述べるまでもなくその有効な攻撃を行ったのは、精強なアメリカ軍ということになる。
今回も、バグダーデイの重傷説が流れた後、彼は死亡したようだ、という情報が流れている。

ところが、そのバグダーデイ死亡説はどうも信用が置けない感じがする。なぜならば、3つの死亡情報は以下のようなものだからだ。

:バグダーデイはシリア北部の街、IS(ISIL)の首都ラッカ市に対する、アメリカ軍の空爆で死亡した。

:バグダーデイはイラク北部の都市モースル市で死亡した。

:バグダーデイはイラクのカルバラ市で開催される、IS(ISIL)幹部会議に出席するため、移動中に攻撃されて死亡した。

死亡現場はシリアのラッカ市と、イラクのモースル市、そして、イラクのカルバラ市への路上だ。こんな情報は情報ではなく、噂かでまかせでしかあるまい。

大分前に、ラッカ市からIS(ISIL)の幹部が、イラクのモースル市や、リビアのシルテ市に移動した、という情報があった。何故バグダーデイが、いまにも陥落しそうな、ラッカ市に居残る必要があるのか、腑に落ちない。

モースル市もしかりだ。ここもだいぶ危険になってきている、と以前から言われていた街だ。そこにラッカ市から移動して、バグダーデイは潜伏していたのであろうか。

カルバラ市で開催されるIS(ISIL)の幹部会議などあるわけがない。このカルバラ市はイスラム教シーア派の聖地であり、そこでスンニー派(?)と称しているIS(ISIL)が、幹部会議を開くはずはない。

危険極まりない敵の陣地で、IS(ISIL)は何故、幹部会議を開かなければならないのか、実にばかげているとしか言いようがない。

これまでビンラーデンの死亡にしろ、サダム・フセインの死亡にしろ、彼らの死亡情報には、多くの疑問が投げかけられている。バグダーデイの場合にも、疑問が沸くのは当然なのであろう。死亡説が出てきているということは、彼の役割が終わった、ということであろうか。
Posted by 佐々木 良昭 at 11:40 | この記事のURL
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