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「台湾出身者の国籍表記の是正を求める意見書案」に対する三浦一敏県議の反対討論 [2012年10月11日(Thu)]

 私は日本共産党県議団を代表して、意見書第三十一号議案、「台湾出身者の国籍表記の是正を求める意見書案」に対し、反対の立場から討論をおこないます。

 まず意見書案の内容に入る前に申し上げたいことは、政調会長会議で四会派が反対し不調とされた意見書案を、いとも簡単に「提案権がある」とか「数も民主主義」などの口実で、政調会長会議の申し合せ事項さえふみにじり、国際的な関係にも関わる問題を、数の力だけで押し通そうとする、このようなやり方は絶対、容認できないものであります。

 この意見書案は、台湾出身者の戸籍における国籍について、地域名も認め、「中国」を「台湾」と表記できるよう求めるものです。現在、我が国の戸籍表記は、台湾出身者の場合は、法務省民事局長通達(一九六四年六月十九日付)により、原則「中国」と表示されることになっています。原則というのは、他にも「中国台湾省」や「中国(台湾)」と表記されている事例があるからです。
 そもそも国籍表示問題とは、その人がどの国の国民であるかを示す核心的事項であり、心情的側面などとは区別して論じられるべき事柄です。わが党は、「一つの中国」論の立場から、国籍表記に心情的抵抗を持つ方々がおられたとしても、法的にも経済的利害関係においても、その表記によって不利益や差別を受けている実態にないことから、現在の原則表記をいますぐ変える必要はないと考えます。
 実は、「一つの中国」打破の運動を進めている「日本李登輝友の会」などの団体が、地図帳問題と合わせて、現在、重点的に取り組んでいるのが、この「戸籍問題」です。意見書案にある要望は、「日本李登輝友の会」などの団体が署名運動を進め、本年八月七日に法務省に提出した、「台湾出身者戸籍の『中国』から『台湾』への表記改正を求める要望書」と、その趣旨は基本的に同じものです。
 「日本李登輝友の会」のホームページに掲載されている会長挨拶では、日本と台湾を日台運命共同体と位置付け、「日本政府が台湾を正当な独立主権国家と認知し、正規の国交を回復し、台湾の国際社会への復帰を支援する」とあります。これは一九七二年以来の日中共同声明にうたわれた、我が国が国際的に確立している「一つの中国」論の立場を敵視し、「二つの中国」論に立つものです。
 したがって、地図帳問題や戸籍問題を通じて、日本と台湾の新たな関係をめざすというところに運動の最終目標があることは明らかです。こうした立場は、我が国が確立している「一つの中国」という立場はもちろん、国際社会の合意とも矛盾するものです。

 この間の政治的動向にもふれておきますが、二〇一一年七月の衆院外交委員会で台湾出身者の戸籍問題が初めて審議されました。その時の政府の態度は「日本の国籍表示において台湾を認めるかどうか否かは、台湾に対するわが国の立場を踏まえて慎重に検討する必要がある」(小川敏夫法務副大臣)というものです。
 また、同年八月に出された「戸籍における台湾出身者の国籍表示に関する質問主意書」に対する答弁書では、台湾出身者の国籍を「中国」としていることは「我が国が国家として承認しているところの『中国』を指すものであり、このような取り扱いに問題があるとは考えていない」と回答しています。
 ここで「国家承認」している「中国」とは、外務省の説明によれば明治時代にまでさかのぼるとされ、現在の中国大陸や台湾を含む地域とされています。
 わが党は、こうした日本政府の対応に問題があるとは思っていません。

 もちろん、台湾出身者がこの百年間を見ても、翻弄された歴史を体験してきたことは心情的には理解できます。日本帝国主義の植民地時代には「日本国籍」となり、戦後まもなくは連合国の統治下で「連合国籍」となり、サンフランシスコ条約を経て、これが「中国国籍」とされ、それは当時の認識では中華民国を指すと理解されていたので問題にならなかったと思いますが、一九七二年の日中共同声明によって、日本は中華人民共和国と国交を結び、中華民国と断交したことから、その国籍表記をめぐる心情的抵抗やアイデンティティーをめぐる異和感が生じてきたことは、確かに否めません。
 しかし、中華民国とは国交を断絶している我が国の立場からすると、国籍を「中華民国」と表記することはできません。そのことは充分承知なために、意見書案では「国籍」に「地域」を追加するように求めていますが、これはビザや免許証および外国人登録証明書にかわる在留カードなどの表記とは性格を異にする問題です。
 国籍表記という根源的な問題であるだけに、現状を追認することは中国の主張を受け入れていることになるなどという問題ではなく、国としては厳密かつ国際関係も考慮に入れた判断が必要な問題であります。
 したがって、台湾出身者の国籍表記問題については、心情的側面とは区別して、どの国家に所属する国民であるかを示す指標をどう定めるかという角度から検討されるべき問題であり、わが党は今ただちに表記変更をすることは妥当ではないと考えます。よってわが党県議団は、意見書第三十一号議案には反対であることを表明し、討論とします。
 ご静聴ありがとうございます。
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