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被災者が主人公の復興を求めるー天下みゆき県議の討論 [2012年10月11日(Thu)]

 私は日本共産党県議団を代表して、先議議案を除く四十三議案中、議第百七十号、百七十四号、百七十六号、百七十七号、百七十九号、百八十四号、百九十一号、百九十四号、百九十五号、二百十号ないし二百十二号の十二ヵ件に反対し、討論します。
 今日で東日本大震災から一年七か月が経ちました。今議会は、今後の救援・復旧・復興の確かな道筋をつけるとともに、決算審査を通じて村井県政を検証する重要な機会となりました。
 まず、未曽有の大震災に見舞われ、県職員のみなさんが寝食を忘れ尽力されたことには心から敬意を表します。しかし、決算指標を通じて浮き彫りになった村井県政の問題点を冷静に指摘し、以下決算議案に同意できない理由を述べます。

 第一は、徹底した大企業依存の対応が各分野で強行されました。仮設住宅は九八%が大手プレハブ建築協会に丸投げされました。福島県は約四割、岩手県は約二割が公募などによる地元発注がおこなわれた事実と比較しても、宮城県の対応は異常でした。その結果、寒さ対策も含め、何もかもが後手後手となりました。さらにがれき処理についても、スーパーゼネコンがほぼ談合情報通りに分け合うという結果となっており、地元業者を主体にした仙台方式と呼ばれる処理の迅速さと比べても、その遅れは今も大きな問題となっています。
 第二は、震災後の村井県政がとってきた手法の一つに、破たんした第三センターを惨事便乗型で一挙に県が肩代り解決するやり方がとられたことです。その典型が、昨年十月に仙台空港アクセス鉄道の下部構造を買い取ったことです。累積赤字解消が平成七十七年になるとされ、ひ孫の代まで赤字となる見通しのアクセス鉄道の破たんをつくろうために、八十五億円もの税金投入で借金の肩代わりをするものです。惨事便乗型のまさに震災に乗じた無茶苦茶な県政運営がされました。
 第三に、一方で震災の救援課題がまだ終了していない中で、杓子定規に制度を終了させ、被災者を困らせてきた点を指摘せざるをえません。例えば、民間賃貸住宅の借り上げ入居、いわゆるみなし仮設への受付を昨年十二月末で打ち切りました。また応急修理制度もこれから活用したいという方々がたくさんいたにもかかわらず、今年三月末に打ち切りとなりました。これらはもちろん国との関係がありますが、宮城県が被災者に確固として寄り添い、国を説得するという気迫や構えを、残念ながら感じることはできませんでした。制度に合わせて復興をするのではなく、復興に合わせて制度をつくり、活用することが求められています。
 第四に、今回の震災の最大の特徴となった農林水産業の壊滅的状況に対し、一刻も早く復旧を成し遂げる必要がある中で、知事が打ち出した水産特区や漁港の集約化が復旧・復興に混乱を持ち込むとともに、一次産業の再生・再建の妨げとなっていることです。県漁協が強く反対している水産特区はやめるべきです。
 第五に、原発事故の隣県にありながら、「ヒステリックになるな」として、放射能測定体制を本格化することを遅らせてしまった問題です。私どもは繰り返し放射能測定体制の構築を求めてきましたが、保健環境センターや原子力センターが使えないことを口実に、すばやい対応を取りませんでした。とくに稲わら問題では、知事自身が著書の中で「わが耳を疑いました」と述べているように、宮城県の取り組みに放射能問題に対する過小評価があったことは否めません。
 以上、五つの問題点を指摘し、議第二百十一号議案【平成二十三年度一般会計決算及び各特別会計決算】の認定に反対します。

 惨事便乗型で三セクを救うやり方はアクセス鉄道に続き、今年六月には仙台港貿易促進センターの赤字原因だったアクセルビルの完全県有化を行いました。そして今回の議会には、債務超過に陥った住宅供給公社の救済措置が提案されています。
 債務整理の百二十二億二千六百万円のうち、七十七銀行などの金融機関に七十七億九千六百万円の損失補償を県費で負担し、三十二億五千万円を県が新規で公社へ貸し付けるというものですが、バブル経済に便乗し、当てのない住宅団地開発にのめりこんだ歴代執行部、貸し手責任も問われるべき金融機関、そして十年前に損失補償を承認してしまった議会の責任が曖昧にされており、失敗のツケの大半を県民に負わせるスキームを認めることは到底できません。知事は三浦議員の責任を問う質問に、「県政を預かる者として、大変重く受け止めた」などと答弁しましたが、県民に莫大な損失補償をお願いしながら、謝罪の一言も聞かれなかったことは大変遺憾です。破綻処理にあたって、県民に責任の所在を明確にすることは、それこそ「県政を預かる者」の最低限の責任ではないでしょうか。よって、関連する議第百七十号議案【平成二十四年度一般会計補正予算】および議第百九十一号議案【調停案の受諾について】、議第二百十号議案【地方債の起債に係る許可の申請について】に反対します。
 さらに、震災復旧に紛れるかのように今回、富県戦略の目玉政策として提案されているのが、大和リサーチパーク工業用地整備費=八億三百万円です。いま工業用地整備は立地を決めた企業からのオーダーメード方式で進めるとされていますが、今回の整備費は企業からの引き合いはあると説明はされていますが、立地に向けた確実な担保があるわけではないようです。県が深く関与しながら、企業が来ないで借金だけが残った亘理町のエムセテック進出を見るまでもなく、憶測による願望的整備は極めて危険であり、わが党は不確かなこの整備につながる議第百九十四号議案【財産の処分について(黒川郡大和町小野地内県有林)】に賛同することはできません。
 港湾整備特別会計補正予算の補正額一億二千五百万円は、高松ふ頭用地造成費の増額分二億五百万円と流通ターミナル用地取得費の減額分八千万円を相殺し、新たな借金を起こすものです。高松ふ頭用地の造成は、背後地にある自動車産業基地の使い勝手を良くするために、バルク貨物の整理をする必要があるとして、国が防波堤、県が埋立を進めているものです。今回の造成費の増は、国の工事進展に合わせ、埋立のための仕切板の追加をおこなうものですが、優先順位や緊急性に疑問があります。また、流通ターミナル取得の八千万円の減は、二月当初の九億円の予算があらためて不動産鑑定を行い、近隣の土地の時価も検討し減となったということですが、港湾計画も上回る自動車プールの拡張であり、六月議会でわが党は反対しました。慎重に優先順位や緊急性を判断し、災害復旧に全力をあげるべきときに、港湾整備事業の新たな開発促進をすすめる議第百七十四号議案【港湾整備事業特別会計補正予算】には同意できません。
 地域整備事業会計は、アクセルの建設を契機に平成九年度に創設されたものですが、アクセルの建設維持費の赤字補てん以外は、水道事業や工業用水事業に貸付けをするという、いわば企業局内のやりくりの調整弁にすぎず、タコ足・貸金会計となっています。平成二十三年度貸付残高は三十億五千二百九十七万七千七百十一円であり、同年度にも工業水道事業会計に三億三千六百五十万円貸付けています。かつて監査委員もアクセルについては、民間等に対する事業譲渡も視野に入れた経営改善を指摘しましたが、六月議会で完全県有化するという逆行の道をたどっていることはご承知の通りです。わが党県議団は、こういう会計は不用であり、二〇〇五年(平成十七年)以来、特別会計の廃止・閉鎖を要求してきました。よって、議第百七十六号議案【地域整備事業会計補正予算】および議第二百十二号議案【平成二十三年度公営企業会計決算の認定について】に反対します。

 石巻地区の災害廃棄物処理業務の契約変更は極めて問題です。がれき処理総量が六四%減ったにもかかわらず、契約額は二三%しか減らない。現場管理費や一般管理費は大幅に増加し、処理未確定分の四十二万トン余の運搬費はトン当たり単価が六万五十三円と、北九州市分より一万円も高いという不可解なものです。これで県民に説明できるのでしょうか。契約変更を改めて行うことを求めて議第百九十五号議案【石巻地区災害廃棄物処理業務の工事委託変更契約の締結について】は認められません。
 「課税所得二百万円の四人家族で国保税四十数万円」など、高すぎる国保税に県民が悲鳴をあげています。国保税を払えず、資格書や無保険となって受診をがまんし、救急車で運ばれてきたときは手遅れという事例が後を絶ちません。こうした中で、二〇一二年の通常国会で国保の「都道府県単位化」を行う国保法改定案を可決しました。国保の都道府県単位化は、一般会計繰入の解消による保険料の引き上げと都道府県による市町村国保の統制をねらいとしています。その具体化のひとつが国保の定率国庫負担の削減です。これまでの定率国庫負担三四%を三二%に減らし、都道府県の調整交付金を七%から九%に引き上げました。定率国庫負担は全ての市町村に無条件に拠出される部分であり、その削減は市町村の国保財政の困難をいっそう拡大します。議第百八十四号議案は、この国保法改正に伴う条例改正です。住民のいのちを守り、国保財政の危機を打開するには、国庫負担の削減ではなく、引上げこそが必要です。この立場から議第百八十四号議案【国民健康保険法に基づく都道府県調整交付金の交付に関する条例の一部を改正する条例】に反対します。

 最後に、以下の理由で「みやぎ発展税」および「企業立地促進税制」を5年間延長する議第百七十七号議案【県税条例の一部を改正する条例】および百七十九号議案【企業立地促進のための県税の課税免除等に関する条例の一部を改正する条例】に反対します。
 村井県政の大企業依存の体質は「みやぎ発展税」にも現われています。「平成二十年からの四年間で百十八件の企業が宮城県に立地し、六千八百十八人の雇用が生まれた」としていますが、六千八百十八人の内訳は、地元の新規雇用か否か、正職員か否かもわかりません。
それでは、宮城県の経済状況を宮城県震災復興企画部が発行する「宮城県社会経済白書二十三年度版」のいくつかの指標でみてみます。
 震災前の平成二十二年度の経済成長率は、宮城県は前年比で実質一・五%増加といっていますが、全国は三・一%増。鉱工業生産指数が宮城県は一〇・一%増に対して全国は一六・四%増。一方、農林水産業は、農業総生産額が全国〇・八%減に対して宮城県は実に十倍の七・九%減、林業産出額は全国二・三%増に対して宮城県六・五%減、漁業生産額は全国一・一%増に対して宮城県一・八%減、負債総額一千万円以上の企業倒産件数は全国一三・九%減に対して宮城県は二・五%増で百六十三件の倒産です。一年間の倒産件数が四年分の企業立地件数百十八件を上回っています。負債総額は全国三・三%増に対して宮城県三一・六%増です。一人当たり県民所得は全国二百七十九万一千円に対して宮城県二百四十七万八千円で三十一万円も少ない。「二人以上の世帯のうち勤労者世帯実収入」は全国一か月五十二万六百九十二円に対して宮城県四十四万六千九百十八円で全国四十四位、東北最下位です。
これが震災直前の宮城県の経済実態です。村井知事は、宮城県の基幹産業である農林水産業の落ち込みや、倒産企業の実態、宮城県の勤労世帯の実収入の低さなど県民生活の深刻さを直視すべきです。
 「発展税」で大企業を応援しても県民生活はますます冷え込み、貧困と格差が拡大する。ここに大震災と津波、原発事故が直撃したのです。県民生活や地元企業、農林水産業を応援する施策こそが今、宮城県では必要なのではないでしょうか。そして、それは、大企業優遇の「富県戦略」「創造的復興」ではなく、被災者に寄り添った生活と生業の再建を進める「人間復興」の道です。
 知事の抜本的な政策転換を求め、反対討論とします。
 ご静聴、ありがとうございました。

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