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〔後房雄のブログ〕

現実関与型の政治学者が、日本政治、自治体改革、NPOやサードセクターの動向などについて話題を提供しています。一応研究者なので、面白かった本や論文の紹介もします。


議会改革論から地方政府形態論へ [2012年09月30日(Sun)]
『日経グローカル』に連載していた「議会改革論から地方政府形態論へ@〜E」が完結しました。

二元代表制の全国画一化から、地方政府形態の選択制、多様化へという持論をほぼ全面展開する機会となりました。依然として支配的な「二元代表制神話」を解体する一助になれば幸いです。


@「劇場型首長と二元代表制の矛盾」、『日経グローカル』第199号、2012年7月2日、pp.42‐43.
A「橋下「議会内閣制」論の波紋」、『日経グローカル』第200号、2012年7月16日、pp.46-47.
B「地方政府形態の多様な選択肢」、『日経グローカル』第201号、2012年8月6日、pp.42-43.
C「米国の地方政府形態と二元代表制の起源」、『日経グローカル』第202号、2012年8月20日、pp.54-55.
D「日本で機能する地方政府形態を考える」、『日経グローカル』第203号、2012年9月3日、pp.46-47.
E「自治体内分権と地方議員の統治意識向上」、『日経グローカル』第204号、2012年9月17日、pp.38-39 .
パーソナル・パーティ [2012年09月24日(Mon)]
『図書新聞』3080号(2012年9月29日号)に掲載された書評を再録します。

1990年代初めから、イタリアも日本も小選挙区制型の民主主義へ向けた歩みを始めたのですが、日本はご覧のとおり、イタリアもベルルスコーニに翻弄されて、20年しか続いていない「第二共和政」の終焉が語られているようです。

***

書評: マウロ・カリーゼ(村上信一郎訳)『政党支配の終焉』法政大学出版会、2012年

 本書の原題は『パーソナル・パーティ』である。かつてはイデオロギー政党、組織政党による「政党支配体制」(partitocrazia)で有名だったイタリアにおいて、1994年以降のイタリア政治を支配してきたベルルスコーニ前首相を代表として、指導者個人がメディアなどを通じたポピュリスト的方法で民衆の支持を集めるパーソナル・パーティ(以下PP)が大小様々に台頭してきた背景、理由、メカニズム、理論的意味などを分析している。政治の人格化という用語も使われる。
 PP現象は、レーガン、サッチャー、ミッテラン、ブレアなどの名前がすぐに浮かぶように、先進民主主義諸国に共通に見られるものであり、日本でも、中曽根康弘、小泉純一郎のほか、各地のポピュリズム首長ないし劇場型首長、とりわけ橋下徹大阪市長など、事例に事欠かない。
 本書が日本政治を考えるうえで特に参考になるのは、冷戦終結後、小選挙区制の導入によって、二大政党(ないし二大勢力)による政権選択型の政治(政権交代のある民主主義)を目指したという点でイタリアと日本は軌を一にしているからである。
 両国ともに、政権交代メカニズムが機能し始めたという点では大きな成果はあったが、イタリアでは中道左派はモンスターと化したベルルスコーニに対してなすすべがなく、日本では民主党政権が統治能力の不足で惨憺たる状況を呈している。こうした状況で、そもそも「政治改革」(イタリアでは「制度改革」)は間違いだったのではないかという疑念が強まっている。
 著者も「小選挙区制の失敗はもはや誰の目にも明らかである」と断じるが、だからと言って、最近の日本に見られるような、比例代表制の方がいいとか、中選挙区制に戻せとかいうような表層的な議論に与するわけではない。著者自身、中道左派連合「オリーブの木」の創立メンバーの一人であり、ナポリ市長、労働大臣、カンパーニア州知事を歴任した旧共産党出身の政治家バッソリーノのブレーンでもあっただけに、イタリア政治の混迷への批判はより根底的であり、苦渋に満ちたものである。著者の問題提起は次の一節に集約されている。
「政治の人格化へと移行するのはもう避けられないのに、中道左派政党の政治階級はそれに適応しそこなったのではないか、大物か小物かを問わず政治の人格化を表す指導者たちが政党に固有の集団行動の論理に新たな挑戦状を突きつけてきたにもかかわらず、それと真正面から取り組み、きちんとした解釈をして、最終的には受容するだけの能力が、中道左派政党の政治階級にはなかったのではないか・・・。彼らは、指導者の人格的な身体が政治の舞台を独占するのは、イタリアではたびたび起るアブノーマルな現象だと割り切り、夜が明け、こうした逸脱現象が終わるのを、ただひたすら待ちつづけているのだ。そうすることで結局は闇夜を必要以上に長引かせてきたのである。」
これはこのまま、小泉現象や橋下現象をポピュリズムとして切り捨てる日本のリベラルないし左派の政治家や知識人たちにも向けられるべき問いにほかならない。
では、PP現象ないし政治の人格化を正面から受け止めて対処する政治ないし政党のあり方とはどういうものなのか。
 著者は、政治学者ディ・グレゴーリオの「投票行動の4類型」を借りて、小選挙区制の導入を推進した中道左派の基礎となっていた見通しを批判する。つまり、冷戦後、イデオロギー政党は衰退し、92年の「汚職都市」の大摘発以降、縁故主義のネットワークも崩壊したので、イタリアの有権者も「帰属による投票」(政党志向型)や「交換による投票」(利益志向型)から「意見による投票」(争点志向型)に移行すると考えたが、その見通しは大きく間違っていたという。
 一つには、「帰属による投票」や「交換による投票」は予想以上に持続し、復活した場合すらあるという(北部同盟の台頭、定着や汚職事件の多発、候補者個人への「選好票」の増加など)。
 さらに、新たに「カリスマによる投票」(指導者志向型)という新しい現象が生じ、政党組織の枠組みを破壊してしまう大地震の元凶となった。
 著者が強調するのは、以上のような投票行動の4類型(帰属、交換、意見、指導者)、合意の多様な経路がすべて存在していることを前提として政治戦略を立てる必要性である。市民社会は、「理性と利益と情念が織り合わさってできたもの」だからである。
 とりわけ左翼には、支持者との一体感を形成するような情念型の指導者を疎んじる傾向があることを批判する。なぜならば、「たとえ権威主義的になろうとも、指導者との関係をある時には熱狂的なものに、またある時には落ち着いた安定したものにできるような訴求力が、指導者には必要」だからである。
 一例として、2008年総選挙において民主党は党首ヴェルトローニの人格を強調する選挙戦略を採用したが、ある種の「軽い」合理的選択をする有権者を念頭においていたために、支持率は多少は上がったが、「有権者の五臓六腑に染み渡るようなインパクト」をもたらすほどの力はなかったという意味で失敗だったというのが著者の評価である。
 日本での2009年総選挙で大勝した民主党の支持の急速な崩壊や、松下政経塾出身の政治家たちのある種の「軽さ」にも妥当するような評価だろう。
 著者は、直接選挙制のもとで当選した中道左派の市長たち(バッソリーノもその一人)や、ブレアによるイギリス労働党の復活を新しい中道左派政治の手掛かりとみているようであるが、その輪郭はまだ明らかではない。それについては、著者の問題提起を受け止めて私たち自身が日本においても探究していくべきであろう。
クロネコヤマト [2012年09月24日(Mon)]
クロネコヤマトの社長の講演です。

information━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━2012..9 22 発行
愛知県 「NPO経営力UP!本気のサポートプログラム」フォロ―アップ研修

「クロネコヤマトの満足創造経営〜震災復興とCSR〜」

木川眞氏(ヤマトホールディングス株式会社 代表取締役)

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━本気の力◆◇◆
ヤマトグループが、企業として、一人ひとりの社員として、震災復興活動に積極的に取り組んでいる背景には、「クロネコヤマトのDNA」があります。クロネコヤマトのDNAとは、何か。緊急時に対応するという行動は、経営陣の優れたリーダーシップによるものであり、また、組織の一員として社員一人ひとりの自らの意志による行動は評価されるものです。

東北地方の太平洋沿岸部では甚大な被害をうけ、物流が寸断されました。そのとき、注目を集めた企業が「クロネコヤマトの宅急便」で知られるヤマトグループです。
自らも被災した現地社員たちがすぐに立ち上がり、燃料を調達し、がれきの中を走り、家庭へ、避難所へ、自治体へ、荷物を、救援物資を、運びました。10日後、東北地方の宅急便ネットワークは復活しました。

いまや、営利も非営利も経済的リターンだけでなく、社会的リターンの両面が必要であり、社会全体で社会の課題を解決していく新しい社会へと向かっています。

本プログラムではNPOが「よいことをしている」という段階から脱却し「成果をだす」というという段階へのステップアップを目指すためのNPO経営力UPプログラムの一貫であり、公開セミナーとして開催します。

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日時:2012年10月13日(土)10:00〜12:30
会場:名古屋YWCA 2階ビッグスペース (名古屋市中区新栄町2-3)
定員:80名
後半「NPOの経営力UPを目指す」
藤岡喜美子(特定非営利活動法人市民フォーラム21・NPOセンター事務局長)

■講師紹介

木川眞
(ヤマトホールディングス株式会社 代表取締役)
1949年広島県生まれ。一橋大学商学部を卒業後、1973年株式会社富士銀行に入行。
1998年には同社の人事部長をつとめる。2004年には、株式会社みずほコーポレート銀行常務取締役リスク管理グループ統括役員兼人事グループ統括役員に就任。
2005年にヤマト運輸株式会社のグループ経営戦略本部長、2005年にヤマトホールディングス株式会社代表取締役常務、2007年代表取締役執行役員兼ヤマト運輸株式会社代表取締役社長社長執行役員をつとめる。2011年代表取締役社長に就任。

藤岡喜美子(特定非営利活動法人市民フォーラム21・NPOセンター 事務局長、新しい公共の推進会議委員)
1954年愛知県生まれ。2003年から現職に就き、市民・行政・企業の3つのセクターに身をおいた経験から新しい社会システム構築に向けての提言や活動を行い、成果を生み出すNPOの経営コンサルティングには定評がある。内閣府 新しい公共推進会議委員、公益社団法人日本サードセクター経営者協会執行理事兼事務局長。

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【お申込み方法】

下記の申込書に必要事項をご記入のうえ、office1@sf21npo.gr.jpまでお送り
ください。または、お電話にて(052-919-0200)にてお申し込みください。

以下のURLより、ちらしを印刷して頂き、FAXにて(052-919-0220)お申し込み頂
くことも可能です。
http://www.sf21npo.gr.jp/

-----[申込書]---------------------------------------------------------------------

お名前:
所 属:
住 所:
電 話:
F A X:
E-mail
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●主催 愛知県

●実施運営組織 特定非営利活動法人市民フォーラム21・NPOセンター

●実施内容や参加・応募に関するお問い合わせ
[ 名古屋事務局 ]
特定非営利活動法人 市民フォーラム21・NPOセンター
〒462-0819 愛知県名古屋市北区平安1-9-22
TEL/052-919-0200 FAX/052-919-0220
e-mail: office1@sf21npo.gr.jp
担当:鈴木、若山
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バウチャー制度がわかる! [2012年09月13日(Thu)]
バウチャー制度(準市場)がわかるイベントをやります。

医療、高齢者福祉、障がい者福祉などでは国の制度になり、子育てなどでは自治体でもいろいろ制度化の事例が生まれています。そして、維新の会の8策では、大学までの教育全体のバウチャー化、社会保障全体のバウチャー化が掲げられています。

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━★★
市民フォーラム21・NPOセンター 総会記念シンポジウム
「バウチャー制度(準市場) と NPO」

日時:2012年9月22日(土)
場所:ミッドランドホール
★★━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
政策集「維新八策」において多くの分野でのバウチャー制度の導入と「行政のNPO化」を掲げている大阪維新の会、民間でバウチャー制度を運用しているChance for Children、子ども子育て支援制度の検討過程における子育てバウチャーの考え方や事例としてのとやまっ子子育て応援券については自治体独自の子育てバウチャーを実施している大府市からゲストをお呼びして、バウチャー制度の特徴、メリット、課題などを事例に基づきながら議論します。

バウチャー制度とは、支払い能力の格差を解消し、平等に公共サービスを提供すると同時に、利用者側に選択権を保障し、事業者には透明な競争の企画を提供する制度です。

医療保険や介護保険など、すでに私たちの身近で「バウチャー制度」は採用されています。今後は、教育や子育ての分野への拡大が焦点となっています。こうした制度は、サービス提供者としてのNPOが参入しやすい機会があり、今後も、国・自治体・民間を問わず、多様な分野で採用されることが望まれています。すでに自治体独自ではじまっています。
ぜひみなさまご参加ください。

----■□開催概要□■---------------------------------------------------------

 ○日 時:2012年9月22日(金)13:00〜15:30
 
 ○場 所:ミッドランドホール 会議室A
      (名古屋市中村区名駅4-7-1 ミッドランドスクエアオフィスタワー5F)
 ○参加費:無料

【プログラム】

 13:00〜13:15  趣旨説明
           後房雄(名古屋大学大学院法学部 教授)
 13:15〜15:30  事例報告
           浅田均氏(大阪維新の会政調会長、府議会議長)
           雑賀雄太氏(Chance for Children 代表理事)
           大府市児童課

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下記の申込みフォーマットに必要事項をご記入のうえ、
soukai@sf21npo.gr.jpまで、お送りください。
お電話でのお申込みも可能です。

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 市民フォーラム21・NPOセンター 第15期総会記念シンポ申し込み
 <送信先 soukai@sf21npo.gr.jp>

 名  前 / 
 所  属 / 
 電  話 / 
 アドレス / 
 
 この案内を何で(どこ・誰から)お知りになりましたか→

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【お問い合わせ先】
特定非営利活動法人市民フォーラム21・NPOセンター
〒462-0819 愛知県名古屋市北区平安1-9-22
TEL:052-919-0200 FAX:052-919-0220
担当:丹羽、若山
細野豪志、福山哲郎 [2012年09月12日(Wed)]
細野豪志×鳥越俊太郎『証言 細野豪志 「原発危機500日」の真実に鳥越俊太郎が迫る』講談社、2012年

福山哲郎『原発危機 官邸からの証言』ちくま新書、2012年

原発事故直後の官邸の動きがかなり見えてきました。各種の事故報告書が出ているので、当時の政治家たちの証言がまとまって語られるのはいいことです。かなり正確な判断ができるようになりつつあると思います。

原発事故直後についていえば、東電幹部や原子力関係機関、専門家たちがほとんど使い物にならない状況だったことが明らかになっており、そのなかで、本当に制御不能になる危機をなんとか抑えたことに関しては、菅総理を始めとした政府の功績は認めるべきだと思います。(特に、もっとも責任が重い東電側の証言がほとんど出されないことは重大な問題だと思います。語る責任があるはずです)

細野さんの証言によれば、東電からの全面撤退の申し出について最終的決定を行った15日午前3時過ぎの会議で、菅総理がほとんど一人で「撤退はありえない」と断言して雰囲気を一変させたそうです。

「それは私にとっては、本当に目が覚める瞬間でした。自分のなかで逡巡していたものが、完全になくなった。」(92ページ)

福山さんの本でも、枝野官房長官が、あの瞬間だけはあの人(菅直人)が総理で本当によかったと思った、と語ったことが紹介されていました。

日本のマスコミは、ちゃんと仕事をした人のことを肯定的に紹介する習慣が極端に欠如しています。その害毒は重いと思います。

民主党政権の評判は惨憺たるものですが、ほかの面についても当事者たちがきちんと証言を残し、内在的に検証できるようにするべきだと思います。

鳩山総理の普天間基地での迷走と、菅総理が思いつきの消費税発言で参議院の過半数を失ったことはもっとも深刻な誤りだったと思いますが、そのことも含めて、内側の証言によって民主党政権の実態を検証することが不可欠だと思います。
代表選、総裁選 [2012年09月07日(Fri)]
民主党代表選が21日、自民党総裁選が26日ということで、ニュースはそればっかりになっています。といっても、主役は橋下徹ですが。

私が一番不満なのは、本来の路線対立を前提にした再編成が隠され、当面の総選挙対策だけを意識した論戦になっていることです。

石原伸晃が総裁なら、民主、公明と組んで増税・社会保障の一体改革をやるわけですから、そういう路線を前面に立てて、それと組もうとする野田総理もそれを明言して代表選をやるべきです。

安倍晋三が総裁なら、橋下と組んでやるわけですから、総選挙前に連合した選択肢を示して総選挙に臨むべきです。

ベストなのは、大きな政府派と小さな政府派がそれぞれ総選挙前に旗幟を鮮明にして二つの選択肢を提示することです。自民党も民主党も、総選挙をやったうえで強いものにつくのではなく、政策路線で総選挙前に分裂すべきです。

ほとんどの政党や政治家が、とりあえず総選挙を有利に戦うことしか考えず、国民に選択肢を示すことをまったく考えていません。マスコミも、政治家側の思惑の内部だけで議論していて、国民側に立って、きちんとした選択肢を示せというメッセージを出しません。

選挙をやった直後に多数派形成の談合が始まるという、中選挙区制や比例代表制に典型の行動を、小選挙区制なのにもかかわらず堂々とやろうとしています。まずは、小選挙区制で選挙をやるということを思い出してほしいものです。

それと、せっかく橋下が統治制度の根本的改革を提起したのですから、特に参議院の廃止については各党、各議員ともに正面から対応してほしいものです。
フリードリヒ・ハイエク [2012年09月05日(Wed)]
エーベンシュタイン『フリードリヒ・ハイエク』春秋社、2012年

ハイエクの「知的道程」をたどった伝記で、ハイエクの思想の展開が見事に描かれていました。前作『最強の経済学者ミルトン・フリードマン』日経BP社、も面白かったです。

冷戦終結後、ポパー、フリードマン、ハイエクなどを初めて本格的に読みましたが、20世紀の一大潮流であった「社会主義」への批判に、異端として生涯をかけた思想家たちのインパクトは強烈でした。

未だに「反省」しない人も多いようですが、私自身は好奇心が多少強かったので、80年代にフリードマンの『選択の自由』を読んで面白く思ったりしていたのがよかったのかもしれません。

さわりだけ。社会主義の起源についての一節です。

私たちの本能は互いに顔を合わせることのできる小規模の社会で作られた。そのような小規模社会では人が必要とすることは目に見え、人々は互いにそうした必要を満たすべく行動する。

一方、現在の(開かれた)社会では、人はあるシグナルに従って行動し、それが見知らぬ人の必要を満たし、見知らぬ資源をそのために利用している。

しかし私たちの本能は未だに、自分が必要を満たしている相手を直に見たいし、共通の目的のためには身近の人間と手を組みたいと思わせる。このような気持ちは、(開かれた)社会とは矛盾するものだ。

文明はどれも、その生来の本能を抑制することで発達してきたと私は考える。人は生来の願望に反して文明人にさせられてきたと言ってもいいかもしれない。そんなことは嫌だっただろう。個人的には文明の発達から恩恵を受けたが、生来の本能を捨て、訳のわからない公のルールに従わなければならないなど、非常につらい経験だったに違いない。未だに嫌がっているくらいだ。(418ページ)


ハイエクは、「議会」というものを、共通ルールを決定する本来の立法院と、現在の議会のようなばらまきをやる行政院とに区別するわけですが、以下は、そのばらまき政治への批判です。

開かれた社会を支えるのは、同じルールがすべての人々に等しく適用されるという理念である。

ゆっくり、じわじわと、すべての人々を対象とした一般的ルールが広まり、個別の集団の利益のためならば他者に害を与えてもいいとする個別のルールが駆逐されていく。このプロセスを通じてしかオープンな社会は誕生しない。(428ページ)


現実政治をみると、先は相当長そうですね。
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