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〔後房雄のブログ〕

現実関与型の政治学者が、日本政治、自治体改革、NPOやサードセクターの動向などについて話題を提供しています。一応研究者なので、面白かった本や論文の紹介もします。


組織内企業家 [2011年07月30日(Sat)]
iSB公共未来塾、社会的企業育成事業の第7期の講座初日でした。

福岡県大野城市の見城さん(新コミュニティ部長)と、東京都稲城市の石田さん(福祉部長)がゲストでした。どちらも、いかにも楽しそうに仕事をし、新しい試みをやることが生きがいみたいな稀な公務員の例です。

見城さんが話したのは、市の業務のほとんどは、分解して「公権力の行使」の部分だけを除けばすべて民間に実施を委託することが可能だということです。たとえば、他市からの転入の手続きでも、受け入れの判定を除けば、受付から書面の公布まで、すべて民間に任せた方が費用も安くサービスの質も高いということです。公務員は1人約1000万の人件費がかかっているので。

しかし、この判定というのも、本当に公務員がやらなければならないかどうか。その基準が議会で決められていれば、それに従って判定を行うのは民間でもできる、というのがアメリカでの考え方です。だから、市の業務の100%を民間企業に委託するということが可能になるわけです。

石田さんは、介護保険の実施主体が市町村だということを踏まえて、65歳以上の元気な人たちに「介護支援ボランティア」をやってもらい、その時間数によって、最大年間5000円分の介護保険料の割戻しを行うという制度を厚労省に認めさせて実現した人です。

高齢者の生きがいの機会づくりになるとともに、介護予防の成果によって介護保険の経費も節約できるという一石二鳥です。

その後、多くの自治体が追随しており、来年は100を超えるのではないかということでした。

もともと公的介護保険制度は分権が特徴だったわけですが、市町村が独自の工夫をする余地が小さいのが現状です。制度の根本だけを国で決めて、あとは大幅に自治体で設計できるようにもっていくべきですが、それへの大きな前例を作ったと言えます。

このような組織内企業家ともいうべき人の生き生きとした姿に、社会的企業を目指す受講者も大きな刺激を受けたようです。

どこの組織にも、ごく少数、こういう人がいるわけですが(足立区の包括予算制度を導入した定野さんや東海市のまちづくり指標を導入した追野さんもその一人)、たまたま見付けると大喜びですが、本当に稀な例だということも痛感させられます。
ホリエモン、収監 [2011年07月29日(Fri)]
4月26日に最高裁がホリエモンの上告を棄却し、懲役2年6ヶ月の実刑判決が確定しました。そして、6月20日に収監されました。

収監前に作ったホリエモンの本が何冊か出ており、読んでみました。収監前ということで、彼が考えていることが、考えていたビジネスのことも含めてほとんど詳細に語られており、非常に面白かったです。

東北の復興ビジョンも過激ですがクリアで興味深いものだと思います。

堀江貴文・茂木健一郎『嫌われ者の流儀』小学館、2011年6月。
堀江貴文『0311再起動 君たちに東日本大震災後の世界を託す』徳間書房、2011年6月。
堀江貴文・田原総一朗『ホリエモンの最後の(とりあえず)言葉』アスコム、2011年8月。

郷原さんが指摘するように、ロッキード事件以後の東京地検特捜部の暴走で、リクルートの江副氏、村上ファンドの村上氏、そしてホリエモンと、金を稼いで目立った人たちが血祭りに挙げられてきました。マスコミもリンチに加担しました。

ベンチャー企業家たちはめだたないように必死だそうです。

堀江さんが、この国の年寄りたちから蛇蝎のごとく嫌われ、恐れられた理由は、年寄りたちにゴマをすらなかったこと、年寄り支配を打破して若者中心の時代をつくろうとしたこと、そして、スーツを着用せずネクタイも締めなかったことである。・・・

つまり、検察というのは、世の中の爺たちの味方であり、爺たちだけの正義をもたらす存在なのだ。裁判所も同じだ。要するに、堀江貴文のような若い世代に取って代わられることを恐れた爺世代が、彼を徹底的に叩き潰したのである。

彼が潰されて、日本のベンチャー企業は勢いを完全に失ってしまった。
(『ホリエモンの最後の言葉』、3ページ、田原総一朗)

最近の若い世代が、社会企業家とかソーシャル・アントレプレナーとか名乗ろうとするのは、こうした状況からの自己防衛かもしれないですね。

出る杭は打たれる、出すぎた杭は打たれない、といいますが、出すぎた杭も寄ってたかって潰す社会はうんざりです。
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