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〔後房雄のブログ〕

現実関与型の政治学者が、日本政治、自治体改革、NPOやサードセクターの動向などについて話題を提供しています。一応研究者なので、面白かった本や論文の紹介もします。


百条委員会 [2010年03月31日(Wed)]
出張から帰って新聞をみたら、30日に名古屋市議会が設置した百条委員会の2回目の会議が開かれたという記事がありました。あまりの馬鹿さ加減にあきれました。

トワイライトスクールの受託事業者選定過程をめぐる問題を調査するといいながら、依然として、特定の民間人と民間団体を政治的に攻撃するような言動を議員が続けているようです。ここまで狂った行動を続けるなら、議会の存在意義などどこにもありません。単なる凶器です。

@執行権限のない経営アドバイザーが、市長や担当課にどのような意見を伝えようと(一貫して公平な審査を要求したことはアドバイザーの提出文書から明らかですが)、選定委員に対して影響を与えたという責任を問われるはずがありません。NPO支援をやっている経営アドバイザーが多くの民間団体と人間関係があるのは当然で、問題になるのは、本人が応募団体の意志決定に関与する立場にあった場合だけです。

 また、経営アドバイザーが市長に渡した5通の文書のうち、4通は本人の了解もなく(職員に渡すなという要請を無視して)、市長が勝手に担当課に渡したものです。アドバイス以降の責任は市長が負うべきものです。市長は一言もこのことを明言しないほど卑怯な人物のようですが。

A本来、問題にされるべきなのは、外郭団体幹部には、選定委員の組織の上司が含まれていたということであり、また、彼らの間で接触が禁止されていたにもかかわらず、仕事上の接触があったに違いないと考えられるということです。なぜ、この問題を、ほとんどの新聞が結果発表の直後は問題にしながら、その後、議員も市長もマスコミも追及しないのでしょう。

B仮に、公平な審査を求める動きに行き過ぎがあったとしたら、それは唯一、市長が選定期間中に選定委員を市長室に呼んだということでしょう。しかし、そのことに経営アドバイザーはまったく関与していませんし、そこで自分が市長に提出した文書が配られたということについても、まったく事前の了解を与えていないと言明しています。(なお、その場に、経営アドバイザーが同席していたというデマをブログに書いた斉藤亮という市議は、依然として訂正も謝罪もしていません)

Cこうした事実にもかかわらず、議会が依然として経営アドバイザーの個人攻撃を続けるということは、市長はまったく判断能力をもたず、経営アドバイザーの操り人形だったという認識が前提なのでしょうか。それなら、まず、市長の不信任案を可決すべきです。

 実際は、市長が経営アドバイザーのいうことなど、ほとんど関係なく、自分ですべての決定をしていることは、私自身の経験からも明確です。

 保身だけが目的の政治家同士の泥仕合は、自分たちだけでやってください。自分たちの努力と専門性だけで組織を維持し成長させている民間団体にこのような不当な打撃を与えていいものかどうか、少しは考えたらどうですか。想像力が及ばないでしょうが、自分たちが利権のことしか考えていないからといって、世の中の人間がみんなそうだというわけではないのです。

 
フルコスト・リカバリー [2010年03月27日(Sat)]
来週月曜日、29日に東京でフルコスト・リカバリー(総経費の回収)に関するセミナーをやります。イギリスのサードセクター経営者協会(ACEVO)のCEOスティーブン・バブ氏をゲストにして、彼らが開発してきたフルコスト・リカバリーの考え方やツール、日本での活用などを議論します。

日本サードセクター経営者協会(JACEVO)のセミナー第2弾になります。

JACEVOは、4月から、内閣府の地域社会雇用創造事業を受託し、公共サービス型ビジネス・モデルを軸に社会的企業のリーダー人材を養成していきます。

そのための重要なインフラの一つが、公共サービスの実施を民間団体に委ねるに当たって、行政側が間接費を含む事業のフルコストを積算できるかどうかです。また、民間団体側も事業のフルコストを積算して妥当な総経費を要求する力が求められます。

フルコスト・リカバリーなしでは、民間団体は仕事をすればするほど疲弊してしまいます。民間団体の専門性や体力が持続的に向上することが、より効率的で質の高い公共サービスの実現につながります。

日本でも、「官から民へ」の公共サービス改革が進む中で、滋賀県が、公共サービスの「値札」(間接費を含めた総経費)を明らかにするという注目すべき試みを始めています。

JACEVOは、公共サービス改革とサードセクターの確立を同時並行で推進していきたいと考えています。

関心のある方は是非ご参加ください。

◆JACEVO information ━━━━━━━━━━━━━━_ 2010/3/26発行
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_/ _/_/    【週明け月曜、いよいよ開催】
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_/_/ フルコスト・リカバリーセミナー
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_/_/ 〜事業委託の積算基準の構築に向けて〜
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━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ http://www.jacevo.jp/


公共サービス改革の流れのなか、フルコスト・リカバリー(総経費の回収)の重要性を唱え、政府への提言・交渉の仕掛人として問題提起を続け、委託の経費総額算出モデルを開発してきたイギリス団体(ACEVO)の事務局長を迎えます(通訳あり)。

単に「輸入」するのではなく、英国の教訓や事例を踏まえたうえで、民間開放が進み、公共サービス改革が全国各地の現場に波及しつつある、いま、日本における委託契約の積算の現状を理解し、
 ・NPOへの委託費の適切な価格とは?
 ・政府・行政との交渉の仕方とは?
といったことを捉えながら、議論を深めたいと思います。

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■耳より情報1

 イギリスACEVO出版の資料
 「フルコスト・リカバリー:費用の配賦についてのガイドとツールキット」

 本邦初の和訳資料を参加者のみなさまにはお配りします!


 ・総経費の回収と経費配分(回収の考え方、経費種別、配分)
 ・総経費を算出するための雛型(使い方、雛型)
 ・雛型によって算出された経費の使い方(資金確保、事例・証言) 等

【目次】

序論
第I部 フルコスト・リカバリー(総費用の回収)と費用の配賦
第1章 フルコスト・リカバリー
1.フルコスト・リカバリーとは何か
2.プロジェクトやサービスの総費用
3.すべての費用を回収していない組織があるのはなぜか
4.サービスの総費用を理解することの利益
5.総費用をどのように算出するか

第2章 費用のタイプ
1.直接費と間接費
2.間接費の分類
3.すべての費用は重要である

第3章 費用の配賦
1.費用の配賦とは何か
2.費用のドライバー(配賦基準)
3.費用の配賦の原則
4.資金の二重提供

第II部 総費用を算出するためのテンプレート(計算シート)の使い方
第4章 テンプレートの説明
1.テンプレートの目的は?
2.テンプレートの手順
3.テンプレートに用いる費用データについて
4.ARAF(分析、見直し、配賦、資金調達)


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■耳より情報2

公共サービス型ビジネスモデルを持つ社会的企業の育成支援がスタート。

フルコスト概念は、公共サービス型ビジネスモデルの重要な基礎です。

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●事業概要
横浜市等の地方自治体との連携の下(名古屋市ほかとも連携を検討中)、介護、保育、若者自立支援等の分野において、企業・行政の隙間(ニッチ)ではなく、公共サービスの民間開放(市場化)を目的に。社会企業に関する起業支援や人材育成の先進事例を創出し、これらを他の地域へと展開していく。

・東京地区、横浜地区、その他(京都、大阪、名古屋、ほか)
・ロジックモデルに着目した実効性のある人材育成メゾットにより成果志向の人材を育成・輩出
・起業家の成長・事業の発展段階に応じて必要な支援をハンズオン型で提供
・研修生活動支援金(15万円×12O名)
   受講生は240名想定、活動支援金給付は年収200万以下のもの
・社会起業家予備軍への起業支援金第1次(50〜100万円×45事業〜)
・社会起業家への起業支援金第2次(100〜500万円×9事業〜)

注目ポイントは、企業や行政のすきまではなく、公共サービスの民間開放・準市場化を手掛かりにイノベーションを起こす、つまり「公共サービス型ビジネスモデル」を持った社会的企業が一定規模で日本に定着することを目指し、起業支援や人材育成の先進事例を創出していく点です。

公共サービス型ビジネスモデルを構築するうえで、フルコストリカバリーの考え方、使いこなし方を知ることは、重要な基礎情報となります。

本事業に関心ある方には、本場イギリスの最新情報のみならず、日本でフルコストリカバリー研究の最前線にいる講師陣がそろい、一挙に「フルコストリカバリーってなに?」が分かる、見逃せない機会です。ぜひお越し下さい。


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■日時 2010年3月29日(月)10時〜16時30分

■会場 ビジョンセンター秋葉原
http://www.visioncenter.jp/location/index.html

■対象 サードセクター組織の経営者、スタッフ、研究者など
※サードセクターとは
NPO法人・特殊法人・独立行政法人、(一般・公益)財団法人、(一般・公益)社団法人、社会福祉法人、医療法人、学校法人、更生保護法人、各種協同組合、特定非営利活動法人、社会的企業等

■定員 40名

■費用 一般5,000円 JACEVO会員3,000円
  ※本邦初の委託経費総回収に係る本の和訳資料代込み
※入会と同時に会員価格でご参加可能です。入会案内はこちら↓
http://www.jacevo.jp/japan/member/index.php?content_id=2

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■セミナー概要

10:00−10:10  オープニング

10:10−10:50  「公共サービス改革と積算の問題」
後 房雄  名古屋大学大学院法学研究科教授
一般社団法人日本サードセクター経営者協会代表理事
・日本における公共サービス改革とサードセクター
・行政‐サードセクター関係とフルコスト・リカバリー

10:50−11:40  「イギリスにおける公共サービス改革とフルコスト・リカバリー」
スティーブン・バブ  ACEVO(全英サードセクター経営者協会)事務局長
・イギリスにおける公共サービス改革とサードセクター
・フルコスト・リカバリーの考え方
・ACEVOによるフルコスト・リカバリーキャンペーン
・国民向けのキャンペーン
・イギリスのサードセクターの現状

11:40−12:30  昼食 「会員交流会」

12:30−12:50  「フルコスト・リカバリーツール」
馬場 英朗  愛知学泉大学経営学部准教授、公認会計士
・ACEVO開発のフルコスト・リカバリーツールの解説

12:50−14:10  「公共サービスの担い手としてのサードセクターとフルコスト・リカバリー」
スティーブン・バブ  ACEVO(全英サードセクター経営者協会)事務局長
・フルコスト・リカバリーツール
・政府・行政側担当者の力量形成
・サードセクター経営者の力量形成
・サードセクターの資金源の多様化

14:10−14:50  「日本における積算」
「省庁における積算の事例報告」
馬場 英朗  愛知学泉大学経営学部准教授
・事例報告(外務省、経済産業省、厚生労働省)

「自治体における積算の事例報告」
松井 真理子 四日市大学総合政策学部学部長
特定非営利活動法人市民社会研究所代表理事
金 憲裕   特定非営利活動法人市民社会研究所事務局長・副代表

14:50−15:20  「NPO-行政間の委託の実態」
藤岡喜美子  一般社団法人日本サードセクター経営者協会執行理事・事務局長
・事業委託における積算の問題と統一的な仕組みの必要性

15:20−15:30  休憩

15:30−16:20  「政府への提言に向けて」
パネルディスカッション
後房雄、馬場英朗、藤岡喜美子、松井真理子
・日本でのフルコスト・リカバリー導入に向けての課題と展望

16:20−16:30  クロージング


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【フルコスト・リカバリー】ある事業に係る直接費(実務担当者の人件費、備品費など)のみでなく、間接費(資金調達、人事、経営、ITなどに係る経費)も含めた、事業の実施に必要となる全ての経費の回収


JACEVOフルコストリカバリィー研究会は次のことを目指します:

@公共サービスを担う非営利組織が、政府との委託契約において適正な事業費の積算方法を知り、政府との交渉の際のツールとして使えること
A政府が、非営利組織との委託契約の際、事業に係る全ての事業費の積算方法を知り、適正な事業費の供給を保障すること
Bそれにより、非営利組織が公共サービスの担い手となり、社会問題を解決する上で、その役割と能力を発揮して持続可能な経営ができること

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【申込みについて】

1)振込控えを、当日会場受付にご持参ください。
銀行振り込み
【金融機関名】 三菱UFJ銀行 上飯田支店(店番:217)
【口座種別】 普通預金口座
【口座番号】 0012725
【口座名義】 JACEVO 事務局長 藤岡喜美子
※お振込手数料につきましては、ご負担戴きます様、お願い申し上げます。
※ご欠席なされても、返金することは出来ませんのでご注意ください。

2)下記いずれかの方法でお申し込みをご連絡ください。
@下記フォームにご記入の上、ushiro.chikako@jacevo.jpまで、ご返信ください。
Aお電話(03-6478-0748)・FAX(052-919-0220)でのお申し込みも受け付けております。

---------------------ushiro.chikako@jacevo.jp宛に送信-----------------

◇お名前(ふりがな):

◇ご所属:

◇緊急連絡先(携帯電話など):

◇JACEVO会員・非会員の別(いずれか選択): 会員 / 非会員

◇費用お支払い:
振込額    ⇒¥______________
振込年月日  ⇒2010年    月    日
※入金確認終了後、受付完了となりますこと、予めご了承ください。
※振込手数料は、自己負担でお願いします。

◇領収証(いずれか選択): 不要 / 要 ⇒お宛名:

◇誰(どこ)からの案内でお知りになりましたか⇒

とばっちり [2010年03月25日(Thu)]
名古屋市では、24日、議会が、議員定数・報酬半減条例を含む市長の提案をことごとく否決し、それに対して市長は、やけくその議会解散直接請求を叫ぶという激突となったようです。

文字通り疑惑だらけのトワイライトスクール選定過程の検証という本筋を議会も市長も避け、権限もない経営アドバイザーとそのNPOに矛先を向けると言う狂った逸脱行動をとったことが最大のボタンの掛け違いです。それに無批判に乗って無責任な記事を書いた新聞社と記者は私は決して忘れません。

市長の解散戦略は、もともとぎりぎりの可能性に賭けるという性格のものでしたが、「疑惑」から逃げた印象のなかで、とても体制が整っているとは思えない状況では、私には暴発としか思えません。ご本人の選択でしょうから、やるだけやらないとどうしようもないでしょう。

私たちとしては、被害甚大なとばっちりを受けたことへの対処が急務です。でも、こちらは建設的な活動なので精神衛生上はいいですが。


オバマは復活するか [2010年03月22日(Mon)]
21日夜、日本時間では22日午前、アメリカ下院本会議で、オバマ大統領が内政の最重要課題に掲げてきた医療保険改革法案が219対212の僅差で可決されたそうです。

昨年末に上院が可決した案を土台にした案なので、上院でも近く通過する見通しで、法案の成立は確実と報道されています。

これによって、アメリカの保険加入率が現在83%のところ、10年間で95%にまで引き上げられる見通しということです。10年間で85兆円の公的資金を投入します。

クリントン政権ですらできなかった医療保険改革の実現ですから、支持率50%を割っているオバマの復活の起点になるかもしれません。

日経新聞電子版によると、

下院の採決は最後まで行方が不透明だったが、大統領が反対派議員の選挙区に自ら足を運び、有権者を説得。法案への態度をぎりぎりまで留保していた民主党議員を取り込んで、7票差の可決に持ち込んだ。

反対派議員の説得の方法が日本と違ってまともですね。市民の間でも、賛成反対で激しい議論が展開されたようです。日本では、有権者はようやく選挙によって政権交代を起す体験をしましたが、政治家が市民に訴えることで政策を実現しようとするほど、政策論争への反応は強くありません。

いずれにしても、日本の民主党政権も、こうしたまともな努力を積み重ねて実績を挙げることに集中して欲しいと思います。

残念ながら、鳩山さんが今何を実現しようと努力しているのかすら分からない状況です。
民主党政権の活路 [2010年03月20日(Sat)]
昨日夕方、週刊現代の記者さんから、民主党政権の現状について取材を受けました。学生時代に私の本を読んでくれていたということで、話しやすかったです。

名古屋市の事にかかりっきりになっているうちに、民主党政権はかなりひどい状況になってしまっています。取材を機会に振り返ってみました。

民主党政権誕生の意義としては、第一に、はじめて有権者が投票によって直接に政権を選んだことが挙げられます。「政権交代のある民主主義」への移行ということで、8月30日自体によって実現したといえます。これは明治維新以来の歴史の中で画期的な意義を持つというのが私の評価です。

もう一つの意義は、政治主導の政権運営、新しい政官関係を実現することです。これについては、政権の基本方針として政治主導に取り組み始めたこと自体は大きな功績ですが、問題は、かなり機械的に官僚を排除しているために、政務三役が調整も含めて過超負担で機能不全になっていることです。ある大臣などは、役人や他の副大臣、政務官も信頼できず、仕事を抱え込んで過労死を心配されているという話も聞きました。

官僚を使いこなしながらの成熟した政治主導を習得するためには時間がかかるのは当然なので、長い目で見守ることが必要ですが、それにしても、そろそろ官僚との関係も修復していくべきだと思います。

以上のような功績を前提に、民主党政権が現在のような窮地に立ちいたっている原因を考えると、小沢一郎幹事長が内閣に入らなかったことが重大な問題だったと思います。『日本改造計画』でも書いてあるように、幹事長が無任所大臣として内閣に入れば、党の主要リーダーはすべて内閣にいるので、内閣イコール党の幹部会になり、文字通りの政府与党一元化が実現します。そうなれば、党の政務調査会を廃止する必要もなく、党の政策案と内閣の政策案の両方を基礎にして内閣=党幹部会の決定がなされることになります。

こういう体制を初めから組んでいれば、党の政務調査会を廃止する必要もなかったはずです。政策と陳情を切り離すという無理もやる必要はなかったでしょう。

とはいえ、小沢さんとしては、西松建設問題の渦中で、内閣に入ることを嫌ったのだと思います。公式日程に縛られることを極端に嫌う小沢さんの性格も障害になったのでしょう。

このボタンの掛け違いが、政治主導、政府与党一元化の体制をかなり歪めてしまい、民主党政権が分散化してしまったと思います。

もう一つの問題は、そうした体制の問題と重なって、小沢、鳩山、菅、仙石という民主党の中心的リーダーたちが戦略的、政策的に一体となって政権を運営するという人間関係が成立せず、鳩山が倒れたら誰が次の総理だというような疑心暗鬼が広まってしまったということです。

まず必要なことは、こうした中心的リーダーたちの間で、感情的な要素はわきに置いて、政治的に一体となって鳩山政権を支えるという合意を形成することだと思います。誰がその音頭をとれるのかは私にはわかりませんが、誰かがやるしかないでしょう。

そういう中軸さえ構築されるなら、308の衆議院議席は4年間は決して崩れませんし、参議院の議席も引き抜きでもはや半数に達したようですし、公明党が民主党に近づいているので、7月の参議院選挙で大敗しても多数派確保は可能なはずです。

ということは、2013年8月までは民主党政権は続くということです。政権の中軸さえ形成されるなら、そして、思いつきでなくきちんとした専門家を集めて政策を練るなら、十分支持を集めるだけの成果は挙げられると思います。

昨年までは次の総選挙で大敗必至と言われていたイギリス労働党のブラウン政権が、今年5月の総選挙を控えて保守党とほぼイーブンの状況まで追い上げてきたことがいい例だと思います。

自民党はもっと深刻ですが、いずれにしても、危機を正面から認識し、正面からそれに対応する戦略を立てて、歯を食いしばってそれを実行していくという人材が民主党にも不足しているのでしょう。

それが、依然として小沢一郎という政治家が必要とされる理由だと思います。

名古屋市政の現在の混乱も、そうした人材の欠如によるものだと思います。
立証責任 [2010年03月18日(Thu)]
相手に犯罪の嫌疑をかける場合は、かけようとする側に証拠を示して立証する責任があります。嫌疑をかけられた側が無実を立証する責任などありません。

名古屋市の市会議員の皆さんにはそのような常識もないようで、根拠もないまま経営アドバイザーの藤岡さんについての「疑惑」を振りまき続けています。マスコミも、そんな発言をそのまま報道してよいのでしょうか。

執行権限がない経営アドバイザーのあっせんなど原理的にありえないのに、よくもそういうことができるものです。審査委員、市会議員、市長など、執行権限、決定権限などがあった人が山ほどいるでしょうに。

利害関係が問題となるのも、市の側の決定権を持ち、民間団体側の幹部でもあるという場合だけですが、市についての決定権がないアドバイザーが自分の団体と別の団体の幹部と仕事上の関係があるというだけで、どこに利害関係が問題となる余地があるのでしょう。

2004年の指定管理者の選定では、審査委員長と全部受託した外郭団体の副会長が同一人物でした。それがそのまま議会で可決されました。

今回は、名古屋市教育スポーツ振興事業団の幹部と、今回のトワイライト事業の選定委員会の委員との間にこそ、厳然たる利害関係があるのに、議員の誰一人としてそれを追及していません。そのなかには、教育委員会の上司部下関係にある人たちも含まれていますが、その人たちは選定期間中、接触なしに仕事をしていたのでしょうか。


ところで、『朝日新聞』3月18日付けの記事によれば、河村市長が藤岡アドバイザーに対して、「ある人のブログに審査結果を知っているような表現があった」というだけの根拠で、「守秘義務違反をしているのではないか」と聞いたのだということです。

藤岡アドバイザーから聞いたという記述でもあるならともかく、その人が審査結果を知っているような表現をしているというだけで、審査結果を知っていた人たちのなかでなぜ藤岡アドバイザーだけが嫌疑の対象になるのか、理解に苦しみます。確かな根拠があったとはとても思えません。

政治家たちが権力闘争にのめり込むのは仕事なのでしょうが、犯罪を云々する時くらいは、根拠に基づいてやったらどうでしょうか。

自分たちの保身だけのための権力闘争に民間人を巻き込み、所属する民間団体にまで根拠のない攻撃を加えるなど、許されることではありません。こうやって民間人を政治から遠ざけることが政治業界人にとっては利益なのでしょうが。
流れの転換点 [2010年03月16日(Tue)]
昨日の記者会見について、中日新聞と朝日新聞がほぼ趣旨通りの正確な報道を、かなりまとまった記事でしています。市民フォーラムのHPにもアップされていますのでお読みください。

執行権限のない経営アドバイザーを団体もろとも攻撃することで詰め腹を切らせて収拾しようという陰謀は完全に破たんしました。これで政治的な流れは、まともな方向に向けて決定的に転換し始めました。

同日の定例記者会見で、市長も選定過程の徹底検証を打ち出しました。

徹底検証のなかで、外郭団体がすべての事業を受託することになった審査過程が公正であったかどうかが明らかにされると思います。
「事実誤認」と「根拠のない疑惑表現」 [2010年03月16日(Tue)]
昨日、午後4時から、名古屋市経営アドバイザーの藤岡さん(市民フォーラム21・NPOセンター事務局長)が、記者会見を行いました。代表理事の私と職員数人が同席しました。これは彼女たちの自発的なボランティア活動だということでした笑顔

経営アドバイザーとしてあたかも不正な行動をとったかのように煽りたてる市会議員たちの「事実誤認」4件と「根拠のない疑惑表現」5件について、具体的な事実によって明確に誤認を正し、疑惑を一掃する内容でした。関係資料は市民フォーラム21・NPOセンターのHPをご覧ください。

記者さんたちからも、藤岡さんの説明を否定するような発言はありませんでした。事実についての評価の違いはしょうがありませんが、今後は、事実誤認や根拠のない疑惑を無批判に報道することは減るだろうと思います。

藤岡さんは、最後に、市議会や市長が、トワイライトスクール事業をすべて外郭団体が受託したそれこそ疑惑だらけの選定過程の真相究明を強く要望しています。

私には、全くやましいことはありません。今回のトワイライト事業委託選定において真相が解明されることを強く望みます。(記者会見資料の結び)

これで、執行権限もない経営アドバイザーをよってたかってその団体もろとも攻撃するなどという逸脱にストップがかかり、選定過程の徹底検証という本筋にもどる流れが始まるのではないかと思います。

市長としての唯一の活路は、この状況のままでの強引な議会解散や市長再選挙などという自滅路線に走ることによってではなく、選定過程の徹底検証という本筋を通じてしか開けてこないことは誰にでも分かることです。

担当経営アドバイザーが「全くやましいことはありません」と堂々と記者会見したわけですから、徹底検証の条件は整ったはずです。

このブログでも紹介した『検察の正義』の著者である郷原さんは名城大学で教えているそうですから、そういう人を委員長にして迫力のある検証委員会でも設置したらどうでしょうか。
削除 [2010年03月15日(Mon)]
11日、12日に、このブログでは初めて、アクセスが1000件を超えました。

勝間和代『目立つ力 インターネットで人生を変える方法』(小学館新書、2009年)によれば、ブログの訪問者が100人を超えると、「一部の人の興味をひきつつあり、ミニコミ誌並み」だそうです。すでにこのブログは、100人のレベルはコンスタントに超えるようになっていました。

1000人を超えると、「特定のファン層には食い込んでいるメディアで、専門誌並みの力があります」というレベルだそうです。

1万人を超えると、「一般雑誌並みの力があります」ということなので、それを目指したいと思います。

しかし、さすがにこれだけアクセスが増えると、私が書いた内容を理解する意思や能力の無い人が悪意や面白半分で(当然ながら匿名で)コメントを書き込むという例が出てきました。

ブログで書かれた内容を踏まえての批判は大歓迎ですが、ただ罵詈雑言を書く人というのも実際にいるんですね。ネットは人間の邪悪な側面を露呈させやすいメディアなのでしょう。いい勉強になりました。

書いたご本人はたぶん自覚があると思いますが、匿名で、書かれた内容を理解する意思や能力が無いと私が判断したコメントは削除させていただきます。その目的が、悪い印象を振りまくことにしかないということは明白ですから。

私の判断が許せないと判断する人は訪問しなくなるでしょう。良いい意味での市場メカニズムが働けばいいと考えています。

このブログを読んでいただいている方がたには明らかだと思いますが、私は事実と論理を踏まえた論争は大好きなので、批判だからというだけで削除することはありません。そんな絶好のネタを捨てるはずがありませんから。

政治がらみが多いので、コメントを書きにくいかもしれませんが、批判も含めて、この場で緊張感のあるかみ合った議論ができるようになることを期待しています。

「NPO有給職員のボランティア活動」についての議論など、どういうメディアでも見たことがありません。臨場感のある文脈で議論に参加してみませんか。
NPO有給職員のボランティア活動 [2010年03月14日(Sun)]
3月11日付けの『中日新聞』朝刊に、「NPO法人 残業代未払い」という大きな記事が出ました。

私が代表理事である市民フォーラム21・NPOセンターへの濡れ衣なので、12日に記者会見を開き、それについての記事が13日付けの各紙に掲載されました。市民フォーラム21・NPOセンターのHPに関係資料がアップされています。

問題の主な内容は、当該元職員が、在職中には一切要求しなかった件について、退職後かなりたってから突然、労基署を通じて要求してきたという経過で(これまで当人はこちらとの直接の面談を拒否し続けてきました)、当人の届出忘れとこちらの管理不備によって「未払い」が生じたということです。しかも、それが新聞によって報道されたのは不思議なことです。労基署が漏らすはずのないことですから。

13日付けの各紙の報道で、今回払うこととした「残業代」が「約2万円」という記述があり、膨大な残業代を払えという「是正勧告書」が出されたかのような歪曲は一応払拭されたので、記者会見の報道としてはありがたかったと思います。

しかし、私たちの記者会見資料を読んでいただければ了解していただけるように、大きく二点、十分に記事では紹介されなかった論点があります。この場で補足説明しておきたいと思います。

@まず、今回出されたうちでの「是正勧告書」と「指導票」の違い、および行政指導にとどまる両者と「書類送検」の違いが正確に認識されていません。

労働基準監督署の「指導票」は法令違反の恐れがある場合に出され、重大な問題にならないうちに解決させるものです。「是正勧告書」は、法違反などの問題があると判断された場合に出され、指定期日までに是正させるためのものです。この二つは、悪質とみなされた場合の「書類送検」とは異なり、法違反などの問題が深刻で重大な被害を与えないうちに解決させるために出されるもので、行政指導という性格のものです。

今回の当法人に対する「是正勧告書」では3点、「指導票」では2点の指摘がありました。私たちとしては、こうした指摘を真摯に受け止め、是正勧告につきましては期日までに解決し、指導票の項目につきましても、労働基準監督署の指導に基づき、今後A氏と協議をし、早急に解決するべく努力をしていきます。
(記者会見資料)

当人が要求している「残業代」(私たちの主張ではボランティア活動部分)については、労基署としては残業代とは認定せず、当事者双方の協議に委ねるということで、是正勧告ではなく指導票において指摘されています。これは、労基署が事務所調査や職員へのヒアリングを通じて、NPOの特徴をかなり理解されたことの表現です。

是正勧告書で指摘され、私たちも支払うこととしたのは、「残業代」ではなく、本人の届出忘れとこちらの管理不備によって生じた休日出勤1日分の給与と休日割増金の約1万2千円だけです。

もう一件、指導票で指摘された、本人の自己申告漏れの1日分の給与約8千円も今回支払うこととしました。

これを合計して、約2万円の残業代(?)を支払うこととした、という報道になっているわけで、不正確ですが、やむをえないのかもしれません。

以上についてコメントすれば、是正勧告書の指摘も含めて、現在の段階では民対民での紛争事項なのであり、裁判に訴えた上で決着する可能性もあるわけですから、これについて確定的な不正であるかのような記事が書かれるというのは、一流大企業並みの扱いと言えるでしょう。

ある意味では光栄なことなので、12日の理事会でも発言がありましたが、市民フォーラムのマネジメント水準をさらに一段飛躍させるチャンスととらえて改善していきたいと思います。

ANPOにとってより重大な論点は、NPOの有給職員のボランティア活動部分を、「残業」と見なすべきかどうか、という問題です。労基署の判断も不確定ですし、労働法の研究者の間でも「課題」と指摘されるにとどまり、ほとんど研究はないそうです。

この件は、NPOの有給職員の時間外の活動が時間外労働であるか、ボランティア活動であるかという点の認識の相違が背景にあります。この問題は有給職員を雇用する段階になったNPOが共通に直面する問題です。

ボランティアの協力を受けるNPOの有給職員は、有給労働に加えてボランティアとしても活動することが多いのが実態です。当法人の場合は、10時から19時までの8時間を時間内の労働時間としています。それ以外は、管理者の指示があった場合を除き、ボランティア活動の時間という合意が組織と有給職員との間で存在しています。

今回は、元職員が入職直後でNPOの実態についてよく知らなかったことと、当法人からの説明が不足していたことが理由で、元職員が時間外労働と捉えたと思われます。労働基準監督署もNPOにおける有給職員の活動実態を現場調査や現職員へのヒアリングを通じて理解され、当事者間において協議するように指導がありました。
(記者会見資料)

有給職員のボランティア活動部分について、あたかも「搾取」であるかのような誤解をする人もいるようですが、それによって人件費分が節約できて黒字が出たとしても、それは関係者の間で利益配分される可能性はなく、すべて組織の活動に使われるのがNPOの核心です。だからこそ、一般のボランティアも有給職員のボランティアも自発的な意思で行われうるわけです。

実態からすれば、そうしたボランティア部分があったとしてもなお、赤字になることが多いでしょう。それでも組織のミッションを実現しようとする人が自発的にNPOを支えるのです。外形的に企業に多いサービス残業と区別しにくいという問題があるとしても、利益の非配分と本人の同意というNPOの本質にかかわる論点ですから、NPOとしては避けずに議論し続けるべきだと思います。

市民フォーラム自身もまさにそういう歩みを経てきたわけですが、初期には8時間労働部分ですら正規の賃金が払えず、初代職員の志によってようやく常勤職員体制を実現できるという状況でした。(よくある質問ですが、お金ができたら雇いたいという展開は実は非現実的で、雇って初めて収入が増大して給与の支払いが可能になるというプロセスを初期のNPOは宿命的に辿らざるをえないのです。)

10年以上の歩みのなかでようやく、職員、役員、会員の努力によって、時間内労働については総合職初任給19万円という水準に到達しています。市民フォーラムがこの地域のNPO職員の賃金水準を引き上げる牽引役を果たしてきたことは自負できると考えています。

役員、会員、有給職員のボランティア活動も含めて、組織をさらに成長させることによって、本来の時間外労働を妥当な程度に制度化することが今後の課題になります。これまでも、期末手当の支払いによって実質的にカバーしていた部分もありますが、どこまでが時間外労働で、どこからがボランティア活動かというルールと職員の合意をより質の高いものに向上させていくことが必要です。

NPOの有給職員のボランティア活動というNPOにとって本質的な問題(これはボランティア一般の問題でもあります)を、今回の記事のように歪曲して政治的に利用する一部マスコミの感覚には絶望的になりますが、これもまた、この問題を社会に認識してもらうチャンスだと捉えるべきなのでしょう。

多くのNPO関係者の発言を期待します。

市民フォーラムは、こうした闘いの最前線に立つことをインフラ組織としての栄誉だと捉えます。
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