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〔後房雄のブログ〕

現実関与型の政治学者が、日本政治、自治体改革、NPOやサードセクターの動向などについて話題を提供しています。一応研究者なので、面白かった本や論文の紹介もします。


政治資金規正法 [2010年01月31日(Sun)]
小沢問題が山場のようです。先日の朝まで生テレビでも、両派が真っ二つでした。要するに、政治資金規正法違反だけで与党幹事長を検察が追い落とすことの是非ということでしょう。

贈収賄については、証拠がないのに、マスコミなどが状況証拠を報道して煽り続けていることの是非も論点になっています。

『週刊現代』2月6日号で、元東京地検特捜部長の宗像紀夫氏が、立花隆氏との対談で次のように冷めた見方を示しています(36ページ)。

私はもう少し厳しい見方をしていて、今回の事件で最後、大きなところまでいくかどうかはわからないと思っているんです。

今回の特捜部の捜査の大きな問題点は、東北のダムに絡む違法献金があったことを前提としても、小沢氏には工事に関する職務権限がないわけですね。ですから、収賄罪に問える可能性はきわめて低い。

あっせん利得処罰法の場合だと職務権限は必要ないんですが、小沢氏がたとえば秋田とか岩手などの知事や幹部に働きかけて、特定のゼネコンを工事に加わらせ、それによって対価を得たということの立証をする必要があり、これも難しい。

あっせん収賄罪での立件も、不正の請託(不正行為をするように要求すること)を立証しなければならず、相当厳しいでしょう。

ではこの事件のどこに発展性があるのかというと、ご指摘のように政治資金規正法の共犯に問えるかどうかに絞られてしまうんですね。

もうひとつ、不正なカネの流入のところを押さえて脱税などに問えるかどうかということがありますが、私はこれも必ずしもバラ色的には見ていません。


政治資金規正法違反や脱税について、ここまで徹底的に捜査されたら、自民党を中心にかなりの政治家が有罪になるのではないかと思います。そのなかで、検察の判断で特定の政治家をターゲットにすることが許されるかどうかが最大の問題だと思います。

せめて、古い政治家たちをいっせいに捜査するというなら面白いと思うのですが。

ちなみに、朝生で検事OBが、政治資金規正法違反は「形式犯」なのではなく、国民の監視と批判を損なうことは実質犯だという議論を展開していました。どちらにしても、これで与党幹事長を狙い撃ちすることは極度に政治的ですから、行政の一部である検察がやっていいことかどうかという疑問は残ります。昨年のように、野党党首を狙い打ちにしたのは明らかにやりすぎだったと思います。

<政治資金規正法>

第1章 総 則

(目的)第1条 この法律は、議会制民主政治の下における政党その他の政治団体の機能の重要性及び公職の候補者の責務の重要性にかんがみ、政治団体及び公職の候補者により行われる政治活動が国民の不断の監視と批判の下に行われるようにするため、政治団体の届出、政治団体に係る政治資金の収支の公開並びに政治団体及び公職の候補者に係る政治資金の接受の規正その他の措置を講ずることにより、政治活動の公明と公正を確保し、もつて民主政治の健全な発達に寄与することを目的とする。

(基本理念)第2条 この法律は、政治資金が民主政治の健全な発達を希求して拠出される国民の浄財であることにかんがみ、その収支の状況を明らかにすることを旨とし、これに対する判断は国民にゆだね、いやしくも政治資金の拠出に関する国民の自発的意思を抑制することのないように、適切に運用されなければならない。

2 政治団体は、その責任を自覚し、その政治資金の収受に当たつては、いやしくも国民の疑惑を招くことのないように、この法律に基づいて公明正大に行わなければならない。
新しい公共 [2010年01月30日(Sat)]
29日午後、鳩山首相の施政演方針演説が行われました。就任後の所信表明演説に続いて、「新しい公共」がキーワードの一つでした。

市民やNPOが教育や子育て、街づくり、介護や福祉など身近な課題を解決する「新しい公共」を支援し、肥大化した「官」をスリムにしたい。「新しい公共」の担い手を拡大する社会制度の在り方について、五月に提案をまとめる。

内閣府では、1月26日に「新しい公共」円卓会議も開催されたようです。

ちょうど鳩山演説が行なわれている頃、私や藤岡事務局長のほか、宇都木さん、曽根原さんなどJACEVOの理事も運営委員となっている、「新しい公共をつくる市民キャビネット」の設立協議会が開かれました。市民セクター、サードセクターと民主党政権との間に本格的な政策提言のためのチャンネルができたことになります。

藤岡さんが「子ども子育て部会」として、私が「公共サービス改革部会」としての政策提言を行ないました。


政府、与党からは、平野官房長官や10人近くの副大臣、政務官の方々が出席され、それぞれ積極的な期待を表明されました。

市民キャビネットの3人の代表の一人に選ばれた福島浩彦さんは、基調講演で、「新しい公共」とは、官と民の関係性を転換することだと話されました。NPOや市民活動を漠然と理想化するような議論に陥らず、省庁別の外郭団体・天下りに象徴される行政による民間団体の従属化構造を転換し、民間団体の自律性を保障するような行政−民間団体関係を実現することに焦点を当てるもので、きわめて的確な指摘です。

民主党政権が、「新しい公共」の担い手を拡大する社会制度の在り方として、突飛な提案でなく、事業委託契約、指定管理者制度、バウチャー制度などのより良い制度設計にきちんと取り組み、フルコスト・リカバリーの保証などのインフラ整備という本筋を進むことを期待したいと思います。

資金提供と基本方針を政府行政が行ない、実施を民間団体に委ねるという「第三者政府」への認識が不明確なことがやや不安ですが。
フルコスト・リカバリー [2010年01月28日(Thu)]
今日は、岐阜県池田町の第5次総合計画の審議会に出席しました。政策マーケティングと町長の方針を基礎に、成果目標を明確に設定した総合計画案が了承されました。町長さんも町議会議長さんもしっかりした人で、いい自治体だと思います。

そのあと、JACEVOの活動の一つとして、フルコスト・リカバリー研究会(準備会)を行いました。まずは6人の出席で、イギリスのACEVOの冊子「フルコスト・リカバリー(総経費の回収)」の翻訳紹介と、3月29日にACEVOのCEOバブ氏と戦略担当部長エルスワース氏を迎えて行う東京セミナーの内容について議論しました。

要するに、サードセクター組織、民間組織が公的事業の委託を受ける場合、間接費も含めた事業のフルコストが払われないという問題です。

そして、その前提には、そもそも、行政自身が事業を直接に実施する際にフルコストを把握していないという問題があります。行政の予算では人件費が別立てなので、予算に計上された直接事業費だけを事業費だと思い込んでいたりします。人件費は入れても、他の部局によるサポートの経費などの間接費を計算していなければ、受託した団体は必ず赤字になります。

ひどい自治体になると、NPOはボランティアが使えるから人件費は無くてよい、あるいは少なくてよいと思っていたりします。ボランティアはその団体に貢献するためにするわけで、自治体のためにやるわけではありません。その分の委託費を減らすことは自治体によるピンハネになります。事業分の経費を払うことは当然で、ボランティアを活用できた分がその団体の黒字になるのは当然のことです。ボランティアは人件費分の寄付なのですから。

他方で、NPO側もフルコストを要求するだけの専門性、交渉力、制度知識がない場合が多いようです。最低賃金並みの時給で請求書を出す団体もあるそうですから。

事業委託、指定管理者制度、バウチャー制度などの制度設計の改善とともに、フルコスト保障をどのように進めるかを、JACEVOとしての中心テーマの一つにしていきたいと思っています。

3月のセミナーまでに、フルコストの冊子の仮訳を提供したいので、私の方も翻訳作業を急がなければなりません。ルグランの準市場の本の翻訳も大詰めなので大変ですが。
政治学講義 [2010年01月26日(Tue)]
09年度後期の1年生(理系)向けの講義「政治学」の最終回でした。理系の、しかも1年生向けにどのような政治学を話せばよいのか、なかなか悩むところです。

単位が必要だということなのか、出席を取らないのに90人ほどが出席していました。

学部での講義もそうですが、理論よりは実態を中心にした講義というのが私の考え方です。ほとんどの学生は研究者にはならないわけですから。

今年度は、8月30日の歴史的総選挙があった直後に開始だったので、その話から始めて以下のようなトピックを取り上げてみました。

1 8月30日総選挙と政権交代(10・6)
2 大統領制と議院内閣制(10・13)
3 民意の諸類型と民主主義の諸類型(10・20)
4 比例代表制型民主主義と小選挙区制型民主主義(10・27)
5 ビデオ「9兆円の攻防」(11・10)
6 官僚内閣制から国会内閣制へ(11・17)
7 政党はなぜ必要か(11・24)
8 「大きな政府」とその転換(12・1)
9 追い付き型近代化(12・15)
10 社会問題を解決する3つの仕組み(12・22)
11 新自由主義の考え方(1・12)
12 ビデオ「ブレア政権の教育改革」(1・19)
13 日本政治の課題と展望―小沢一郎論(1・26)
市民キャビネット [2010年01月25日(Mon)]
東京のJACEVO事務所で、下記に紹介した「市民キャビネット」の設立に向けて、公共サービス改革部会の第一回会議を行ないました。

個々のNPOによる「陳情」ではなく、民主党政権に対するNPO、サードセクターとしての本格的な政策提言を行なうための組織です。

私自身も「公共サービス改革部会」の座長という立場で市民キャビネットに関わりますが、公共サービス改革はJACEVOの当初からの中心テーマですので、JACEVOメンバーの多くの人にも関与していただきたいと思っています。

イギリス労働党をモデルに、コンパクト、チェンジアップ、フルコスト・リカバリー、サードセクター庁というような展開に相当するものを民主党政権にも実現してもらいたいと思います。

29日には関心のある人はぜひご参加ください。

*****

「新しい公共をつくる市民キャビネット」設立のお知らせ
【設立趣旨】
 本組織は従来の陳情組織とは異なり、NPO・市民団体が公益活動を自らの責任で担い、政権が目指す「新しい公共」を実現するための政策推進のための組織です。「新しい公共は、市民の政治参加によってこそ実現することであり、市民キャビネットは、新しい公共を実現する政策提言の市民参加プラットフォームです。(設立趣旨書)」

【組織の概要】
 <役員>
共同代表:福嶋浩彦(中央学院大学社会システム研究所教授、前千葉県我孫子市長)
共同代表:兼間道子(NPO法人市民福祉団体全国協議会代表理事、日本ケアシステム協会会長)
運営委員:介護・福祉、子育て、農山漁村・都市、環境、NGO、災害支援等のNPO等の活動グループのリーダーと政策等の専門家によって構成。運営委員がかかわっているNPO等の現場での活動団体の総数は約4000団体になります。<組織>会員は会費無料で登録することができます。

【事業の概要】
 1.分野別および総合的に政策提言を策定し、政府・政権等と交渉・協議し市民政策を実現する。
 2.新しい公共政策の受け皿として、新しい公共サービスを担い実施する。そのために公的資金のアカウンタビリティを確保しながら、NPOなどの民間団体の自律性を保障するような仕組みやルールを構築する。
 3.市民的立場から広く施策・行政・関連法人等を点検・評価する。

【運営】
 「新しい公共をつくる市民キャビネット」は、
  1)有志の寄付によって運営します。
  2)政府や自治体からの受託事業、助成金は一切受けません。

【「新しい公共をつくる市民キャビネット」設立協議会の内容】
日時 1月29日(金)12時30分から16時00分
場所 星陵会館(〒100-0014 東京都千代田区永田町2-16-2)
永田町駅下車6番出口徒歩3分
参加費 1,000円(学生無料)会場費用負担分

※開会前(12:30)イベント
庄野真代(NPO法人国境なき楽団代表:呼びかけ人)アーティストグループ彩
-Saiによるオープニング曲演奏(In My Life、You Can 〜愛の国)

1.設立協議会 開会の挨拶(13:00〜13:30) 
  開会挨拶:NPO 事業サポートセンター代表理事 古賀伸明(連合会長) 
  来賓挨拶:前田 武志様 (民主党常任幹事会議長市民政策調査会会長)
  「市民キャビネット」事業計画、規約、人事などの発表

2.基調講演
福嶋 浩彦(中央学院大学社会システム研究所教授、前千葉県我孫子市長、「市民キャビネット」代表)

3.各部会からの提言と政権との意見交換(14:15〜16:00)
1 雇用対策 A国際協力・交流 B介護福祉 C子ども・子育てD農山漁村と都市地域 E男女平等 F公共サービス G災害支援など

当日(29日)は、施政方針演説が行われる当日のため、時間の変更があることを
お断りしておきます。

環境NPO [2010年01月22日(Fri)]
環境NPOの職員向けの「NPO経営スクール」の講師をしてきました。市民フォーラム21・NPOセンター主催で、地球環境再生保全機構の助成を受けた事業です。

名古屋会場は「新人スタッフ」向けで、2月21日、22日の京都会場は「中堅向け」です。今日は、愛知県だけでなく、岐阜県、三重県、静岡県、福井県、長野県、奈良県、大阪府、兵庫県、岡山県、佐賀県、熊本県と、驚くほど遠くからも参加者がありました。

各団体において、次世代の人材養成が大きな関心事になっているという状況があるようです。環境省や自治体が設置した環境系のセンターの運営受託者の職員も多かったです。上司の指示で、という人も何人かいました。すばらしい上司ですね。

市民フォーラムが開発してきた「ロジック・モデル」というツールへの関心がかなり広がってきているのかもしれません。

私は冒頭の総論部分で、実はNPOは成果志向になりにくい構造的特徴をもっている(活動至上主義、自己満足になりやすい)というドラッカーさんの指摘を紹介したうえで、ミッションに対する事業の有効性を突き詰めて考えるツールとしてのロジック・モデルの意義を述べました。

ところで、最近、楡周平『ゼフィラム』(朝日新聞社)という環境問題に取り組む自動車会社の小説を読んだのですが、地球環境問題に正面から取り組むことによって、破産寸前のアメリカのビッグスリーに代わってアメリカ市場の制覇を目指す企業戦略の構築過程は非常に刺激的でした(ブラジルの熱帯雨林、サトウキビによるエタノール、がキーワードです)。

先進企業の姿勢が転換しつつあり、オバマ政権や鳩山政権のように政府の方針も転換し、環境問題が主流化しつつあるなかで、環境NPOの役割は何なのか。かつてのような告発や批判を超えて、また、単なる学習会を越えて、あらためて根本的に考え直すべき時期のように思われます。
孫正義 [2010年01月21日(Thu)]
総務省の「今後のICT分野における国民の権利保障等の在り方を考えるフォーラム」というのに出てきました。放送通信にかかわる国民の権利を守る「砦」を作りたい、という原口大臣の問題提起を受けて、今後、制度設計を考えていくことになりそうです。

そこに、孫正義さんがオブザーバーで出席されていました。生で見るのは初めてでした。1回目も、今回も、盛んに発言されていました。随行していた社長室長の島聡さん(以前、愛知県選出の民主党国会議員だった人です)にも久し振りに挨拶しました。

それと、ジャーナリストの上杉隆さんも委員なので挨拶しました。フォーラムでも「記者クラブ」問題を強く問題提起し続けているので、エールを送っておきました。総務省、外務省など少数の省以外は、官邸も含めて記者クラブ以外への開放が依然として進んでいないそうです。

私の発言では、ICTは政党間競争の重要なインフラなので、政権交代を経た現在、与野党の対等な競争を促進するインフラ整備も意識すべきだということを指摘しました。たとえば、前から言っている「二大政党の首相候補のテレビ直接討論」がなぜ実現しなかったのか、ということです。

いずれにしても、権力対メディアというだけでなく、メディア対国民、各種メディア間など、権利保障といっても構図が複雑になっている現状で、事業者や業界による自主的取り組みと公的規制の関係も含めた「砦」の制度設計はかなり難しい課題だと思います。
革新自治体 [2010年01月20日(Wed)]
東京市政調査会編『地方自治史を掘る 当事者たちの証言』(東京市政調査会、2009年)という本を読んでいます。「24人が語る戦後地方自治の転換点」ということで、いろいろ発見があって面白いです。

その一つは、社会党、共産党など「戦後革新勢力」が中心となって生みだした「革新自治体」(1963年〜1970年代末)は、実は「革新」自治体であった以上に、市民的感覚をもった直接選挙の首長による「市民自治」の先駆的試みであったという点です。

1963年に当選した革新首長第一号といってよい飛鳥田一雄横浜市長は、まさにその典型だったようです。

社会党議員という「政治的立場を超えてたくさんの友人をもって」いた人で、「中央官僚の天下りではない生粋の横浜育ちの政治家市長ということで、市役所の閉塞感を打ち破った」と鳴海正泰さんは述べています(97ページ)。

飛鳥田市政にも、失敗や欠陥もあって全部支持されたわけではないと思いますが、飛鳥田さんを含めて私たちは、市役所の中で、「市民の常識で」仕事をしていたわけです。市民感覚からいうと、役所の法令に収まらないこともたくさんある。その収まらないものを、職員を説得し、あるいは督励し、職員の積極的な参加を求めてやっていったわけですそうした飛鳥田の目線は、市民の目線と同じ高さなのです。それが飛鳥田という政治家のパーソナリティで、庶民性といいますか、しかも非常に具体性をもった考え方、問題解決の出し方なのです。単なるポピュリズムとは違う。(105ページ)

河村名古屋市長とあまりに似ていてびっくりですね。

これ一本で選挙で市民の支持を集めたとされる「一万人市民集会」の予算が、議会で4回否決され、4年後にようやく、「市長と市民の会」主催で実現したそうです。

それに対して議会が、「議会制民主主義の否定だ」、「議会軽視だ」と、真っ向から対立したというのもどこかでみたばかりのような光景です。

革新自治体の理論的支柱であった松下圭一さんの証言もあります。

松下さんは、1960年の段階で、「保守・革新の両方とも、農村型社会の《国家》を原型とする「ムラ+官僚」という発想のため、市民活動ついで現代都市がわかっていなかった」という認識から、「自治体改革」、「地域民主主義」という言葉を造語した人です。(前に紹介したように、官僚内閣制という言葉を造語した人でもあります。)

先駆的だったのが飛鳥田横浜市政の「一万人市民集会」、それから美濃部都政の「対話集会」でした。しかし、当時は、市民の政治的未成熟のため、飛鳥田さんの一万人集会は儀式にとどまり、対話集会は「美濃部さんオネガイシマス」という陳情集会になった。当時は日本の市民たちにとって、まだ市民型の自治の訓練ないし経験がはじまったばかりで、やむをえなかったと私は思っています。それでも、革新自治体は自治体改革への第一歩を踏み出したのは事実です。その後、市民参加、情報公開の制度を多様に開発し、オンブズ制度なども市民がつくっていく。(131ページ)

松下さんは、革新首長を、「泥田の中の丹頂鶴」と名付けました。「都市の議員もまだムラ型の選挙を母体としていた。地域には農村型社会のムラを原型とする町内会・地区会が根を張っている。まさに泥田です。」(119ページ)

現在の名古屋市の「地域委員会」は、横浜市の一万人市民集会の発想をはるかに高い水準で継承するものです。しかし、泥田も相当残っているようです。

市民の政治的成熟が焦点でしょう。
「小沢一郎研究」 [2010年01月17日(Sun)]
・・・という特集を組んだ『週刊金曜日』2010年1月15日号が届きました。

「『問題』としての小沢一郎をどう見るか」というタイトルの私のインタビュー記事が掲載されています。小さい字で1ページに詰め込まれてしまいましたが。

この特集は、私の1994年の論文「左翼は小沢一郎に対抗しうるか」を意識してもらったようで、他の執筆者にも編集部からそういう問いが投げられたようです。

私自身は、この問いはすでに終わった問いであり、左翼は小沢一郎に対抗しえずにほとんど消滅しつつある、と考えています。実際、週刊金曜日のこの特集を見る限り、相変わらず、左翼の負け犬の遠吠えが聞こえるだけです。現実的政治勢力としての「左翼」の消滅を再確認させられます。

多少の救いは、編集長後記(北村肇)の次の一節でしょうか。

不思議な政治家だ。小沢一郎氏には権力者特有の生臭さを感じない。

これほどの力を持ちながら、どこか淡色感がある。

小沢氏は、本心はともかく、「賊軍の立ち位置を失っていない」と公言する数少ない政治家といえよう。

批判すべき点はいくらでもあるが全否定する気になれないのは、その立ち位置にある。

今回も検察情報の垂れ流しは目にあまる。国策捜査ならぬ国策報道が「賊軍」を追い込む、いつもの図式。


しかし、なぜ執筆者にはこうしたセンスで突っ込んだ小沢論をやる人が一人もいないのでしょうか。
センター入試 [2010年01月16日(Sat)]
土曜、日曜とセンター入試の試験監督です。なかなか気を使います。ヒアリング機器の問題もなく、とりあえず初日は平穏に終わりました。

例年、東京学芸大学の田中敬文さんが、NPO関係の入試問題があった場合に、NPO学会のMLで知らせてくれます。今年も「公民」で、以下のような問題が出たそうです。

*****

政治経済 第4問 経済主体(国民経済の循環)について

 企業は、財・サービスの生産を主とする経済主体である。しかし、その形態は社会との関係において多様化しており、活動も変化している。

 ・・・ 日本では、法人企業の多くは、会社企業、つまり会社法などに規定された各種の会社となっている。しかし、農協や生協なども、組合企業という法人企業の一つである。また最近では、特定非営利活動法人(NPO法人)として活動している法人企業もある。

 営利企業に限っても、その活動に変化が見られる。・・・ 企業も社会の一員として責任を担うべきである、企業の社会的責任(CSR)という考え方が登場してきた。・・・

問4 下線部(特定非営利活動法人(NPO法人))についての記述として最も適当なものを、次の@〜Cのうちから一つ選べ。

@特定の政党を支持することを目的として設立できる。

A国や地方公共団体と協働して事業を行うことができる。

B公企業の民営化によって設立されなければならない。

C法人格は民法に基づいて付与されなければならない。

*****

「協働」という言葉にも困ったものですが(実は言語明瞭、内容不明、拙著参照)、NPO法人が社会的に認知されたということでしょうね。他方で、すばらしい成果を挙げたというNPOの実例もどんどん出てほしいものです。

私も広めた側の一人ではありますが、「NPO法人」という特定非営利活動法人の略称も、今や問題ありです。社団、財団などなどもNPOであるわけだし、それらも含めたセクター形成が必要になっているわけですから。
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