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〔後房雄のブログ〕

現実関与型の政治学者が、日本政治、自治体改革、NPOやサードセクターの動向などについて話題を提供しています。一応研究者なので、面白かった本や論文の紹介もします。


いよいよ、名古屋市議会の山場です [2009年11月29日(Sun)]
12月9日の本会議での採決を目前にして、名古屋市議会での本会議での「個人質問」が先週の金曜日に続いて、今週月曜日、火曜日と行われます。
ネット中継もあります。

2日水曜日の午後7時からは、河村サポーターズの世話人会を開きます。どういう議論になるでしょうか。

参考までに、11月20日に行われた河村市長による市長提出案件(48件)の提案説明の議事録を以下に採録しておきます。

 ***

 ただいま議題に供せられました案件につきまして、ご説明申し上げます。
 ご審議をお願いいたします案件は、条例案7件、補正予算2件、一般案件39件の合計48件でございます。

 まず、第195号議案「住民分権を確立するための市政改革ナゴヤ基本条例の制定について」でございます。
 このたびの定例会に、この条例案を上程することにいたしましたのは、政治と市民のあり方についての最も根本となる問い、即ち、政治はボランティアとして行われるべきか、それとも家業化した職業議員によって行われるべきかについて、議会という市民の市民による市民のための公開された発言の場という最も崇高な場所において、主権者たる225万市民に真正面から問いかけてみたいと思ったからでございます。これは、今まで日本で誰も問いかけたことが無い論点ではありますが、名古屋市民の皆さまのため、ひいては日本国民の皆さまのために今こそ絶対に必要な改革であると考えます。
 私は、本来議員とは、自発的で見返りを求めないボランティア精神に基づき、自らの信条により、いわゆるパブリックサーバントとして市民に奉仕する存在であらねばならないと思っております。
 しかしながら、現状を省みますと、本来の趣旨に反し、議員が税金によって身分保証され、政治が家業化、職業化されることによる集権化が進み、その結果として市民が政治や行政に参画する意欲や機会を阻んでいるという弊害が随所に見受けられます。
 市民の声を代弁する役割を担うはずの議員が、制度的には非常勤特別職の公務員でありながら、庶民に比して驚くべき高額の収入を得ております。本年は特例により10%程度減額されておりますが、条例上の金額は、議員報酬に政務調査費及び費用弁償を加えて年額2350万円となっており、また、定数についても75人という多さです。
 さらに、75人の議員一人ひとりの理念により、議会の意思が形成されるのが本来でありますが、党議拘束そして党派の交渉によって、わずか数名の議員によって議会の意思が決定されてしまうのが、今の議会の現状です。そのようにして、私の条例案等が否決されてしまうことは、私を選んでいただいた市民の皆さまの願いが叶えられないことに繋がります。
 こうした状況を打開するために、この条例は、政治をボランティア化することによって住民への分権を推進し、住民が主体となった市政を実現するための改革の基本となる事項を定めたものでございます。古い言葉になってしまいましたが、まさに『主権在民』を日本で本当に実現するためのものであります。
 具体的には、『地域委員会制度の創設』、『市民税の減税』、『議会の改革』を市政改革の3本柱に位置づけるとともに、改革の実施時期を平成22年3月までと明示し、また市長である私が率先して改革実施の責務を負うことを明らかにすることによって、市政改革を断行し、『歴史に残る街・ナゴヤ』にふさわしい市政を確立しようとするものでございます。まず、私は自らの給料を2750万円から800万円といたしました。さらに、4年ごとに支払われる退職金4220万円を廃止し、恒久条例とすべき手続きも開始することとしております。
 議会の皆さまにおかれましては、市民に開かれた議会として、公開の場で議論を尽されることを強く期待するものでございます。

 次に、第148号議案「特別職の秘書の職の指定等に関する条例の制定について」でございます。これは、私の目指す「庶民革命」を実現するため、政府や国会議員等とのパイプ役になるなど、政治的な活動面から私を補佐する市長の秘書の職を特別職として指定するとともに、その定数、給与並びに旅費等に関し必要な事項を定めるものでございます。
 名古屋市民の皆さまにとってよりよい行政サービスを提供するためには、政治的な交渉が必要であり、それらを担う特別職の秘書は絶対に不可欠なものでございます。
 次に、第149号議案「名古屋市情報あんしん条例の一部改正について」でございます。これは、本市の事務処理に従事する派遣労働者につきまして、情報の適正な保護及び管理を図るため、規定を整備するものでございます。
 次に、第150号議案「名古屋市市民税減税条例の制定について」でございます。これは、現下の経済状況に対応し、市民生活の支援及び地域経済の活性化を図るとともに、将来の地域経済の発展に資するよう、市民税の減税を実施するため、名古屋市市税条例の特例を定めるものでございます。
 次に、第151号議案「名古屋市個人情報保護条例の一部改正について」でございます。これは、個人情報の保護をより推進するため、個人情報の取扱いにおける義務及び罰則の適用対象者に派遣労働者等を加えることについて、規定を整備するものでございます。
 次に、第152号議案「名古屋市中小企業振興会館条例の一部改正について」でございます。これは、名古屋市中小企業振興会館の駐車場に係る利用料金を指定管理者に定めさせるため、規定を整備するものでございます。
 次に、第153号議案「名古屋市地区計画等の区域内における建築物の制限に関する条例の一部改正について」でございます。これは、扇町2丁目地区整備計画区域内における建築物の制限につきまして、必要な事項を定めるものでございます。
 
 続きまして、第154号議案「平成21年度名古屋市一般会計補正予算」及び第155号議案「平成21年度名古屋市基金特別会計補正予算」の補正予算2件につきまして、ご説明申し上げます。
 はじめに、一般会計についてでございます。
 まず、市民税減税を平成22年4月から実施するため税務総合情報システムの改修費等を計上するとともに、地域委員会(仮称)の各区1地域でのモデル実施を予定しております。
 次に、対象者の増加等に伴い生活保護費を増額することとしております。
 このほか、市長秘書の設置や三人乗り自転車の貸出し事業、地震等の瞬時警報システムの改修を予定しております。
 これらに対応する財源といたしまして、国・県支出金などの特定財源のほか、前年度からの繰越金及び財政調整基金の取崩しを計上しております。
 以上の歳入歳出予算のほか、1件の繰越明許費及び名古屋市ウェブサイトのシステム改修・保守をはじめ2件の債務負担行為を予定しております。
 続いて、特別会計でございますが、基金会計で財政調整基金からの財源繰出を予定しております。
 以上の結果、今回の補正予算は、
 一般会計    107億1千余万円
 特別会計     25億3千余万円
 総計    132億4千余万円
 と、相成った次第でございます。

 続きまして、一般案件につきまして、ご説明申し上げます。
 まず、第156号議案「契約の締結について」でございます。これは、神丘中学校改築工事の請負契約を締結するものでございます。
 次に、第157号議案及び第158号議案「財産の取得について」でございます。これは、名古屋市立小学校、中学校、高等学校及び特別支援学校における事務用機器として、教員用コンピュータを取得しようとするものでございます。
 次に、第159号議案から第192号議案までの34件は、「指定管理者の指定について」でございます。これらは、名古屋国際センターを始めとする公の施設の指定管理者を指定するものでございます。
 次に、第193号議案「個別外部監査契約の締結について」でございます。これは、地方公共団体の財政の健全化に関する法律の規定に基づく自動車運送事業に係る監査について、個別外部監査契約を締結するものでございます。
 最後に、第194号議案「当せん金付証票の発売について」でございます。これは、平成22年度において、公共事業等の財源に充てるために発売する当せん金付証票の発売総額を定めるものでございます。

 以上、提出いたしました案件につきまして、その概要をご説明申し上げました。
 よろしくご審議のうえ、適切なご議決を賜りますようお願い申し上げます。
山田昌弘さんの処方箋 [2009年11月28日(Sat)]
山田昌弘さんは、パラサイト・シングル、格差社会、婚活などの言葉を流行らせた抜群のセンスの家族社会学研究者です。

『ワーキングプア時代 底抜けセーフティネットを再構築せよ』(文藝春秋、2009年)
『なぜ若者は保守化するのか』(東洋経済新報社、2009年)

の二冊を読みましたが、格差社会、ニート、フリーター、非正規労働者、ワーキングプアなどの問題について、これまで読んだ中で最も説得力がある分析と提案でした。福祉研究者の制度からの視点と比べて、家族の実態からの視点なので、非常にリアリティがあります。

山田さんによれば、現在の社会保障・福祉制度の二つの大前提がゆらいでいることが、システムの機能不全とさまざまな社会問題の深刻化をもたらしているということです。

@大人がフルタイムで働けば(正社員・公務員、自営業)、家族が人並みの生活をするのに十分な収入が得られるという前提がゆらぎ、経済の構造的転換によって、フルタイムで働いても人並みの生活が可能な収入を得えられない人々」(ワーキングプア)が発生していること。

A将来の仕事や家族のあり方が「予測」できるという前提がゆらぎ、雇用や家族形態が多様化するだけでなく、リスク化し、その結果、自分の将来の仕事や家族の状況が「予測不可能」になっていること。

このため、「標準的なライフコース」をたどれる人が激減しているにもかかわらず、生活保護(これ自体のカバー率も他国に比べて低いが)のような「最低限の生活保障」しかなく、その間を埋めるものがないことが最大の問題だというのです。

たとえば、ワーキングプアは、低収入でも、生活保護を受けるためには、持っている貯金を使い果たし、援助可能な家族を「切る」必要があるということです。

「漸進的な改革のためには根源的な思想が必要だ」(武川正吾)という立場から、山田さんは、@セーフティネットとしての資力調査なしの給付金システム(例えば月10万円のミニマム・インカム制度)、A高齢、子育て、若年という人生においてリスキーな時期のサポートシステムとして年金マイレージ制、親保険、一人暮らし若者給付と再チャレンジ政策、などを提案しています。

たとえば、年金マイレージ制だと、払い込んだ保険料額(マイル)に応じて65歳以降に受け取る年金額が決まります。個人が単位なので、職場を変わろうが、離婚しようが再婚しようが影響を受けません。そのほか、毎年マイル残高を通知すれば、年金受給予定額がわかりやすいとか、保険料を納めてマイレージが増えればそれだけ受給予定年額が増えるので保険料を払うのが楽しみになる、などのメリットが挙げられています。

若者支援としては、学校卒業後、親からの支援が受けられない若者に、ミニマム・インカムに上乗せして「一人暮らし給付」を支給し、同時に教育訓練の機会を提供するという提案があります。(他方で、新卒一括採用システムの見直し、正社員、非正規労働者を問わない同一労働同一賃金の導入などが必要になります。)

ここまで社会問題が多様化、深刻化してくると、従来のシステムを前提にした対症療法(派遣禁止、最低賃金引き上げなど)では効果がなく、大前提の変化に対応した新しいシステムをゼロから再設計すべきだということがよく分かりました。

政権交代によって、大胆な提案の実現可能性が高まったのは事実ですが、問題は民主党がこうした「根源的な思想」に基づいた提案を理解し受け入れるかどうかでしょう。民主党の理念的基礎については私はまったく幻想をもっていませんが、事態の深刻化に押されて民主党がこうした提案を受け入れるに至る可能性は意外とあるような気もします。
「幸福のデザイン」 [2009年11月26日(Thu)]
西研/菅野仁『社会学にできること』(ちくまプリマー新書、2009年)に出てくる言葉です。

2人とも、私よりは数歳年下ですが、学生時代にある程度マルクス主義の洗礼を受けつつ、その無効化のなかで、ポストモダンや実証的精緻化の動向に違和感を持ちながら社会科学のあり方を考えてきたという点で共通の志向性を感じました。

竹田青嗣さん、橋爪大三郎さん、内田義彦さん、見田宗介さんなど、意識している人たちも共通でした。

彼らの同時代の社会学(社会科学)への違和感は次のようなものです。

社会学が背後にまわる思想だという感じがハッキリと出てきたのは、八〇年代に入って、実存の解放と社会の変革がつながっているという信憑が壊れ、そもそもの社会変革の可能性も信じられなくなってきてからだと思うのです。

ふつうの人の日常性の意識があるとして、その裏側にまわって、こういう構造によってそれは可能になっているんだと指摘する。そういうやり方はマルクスの『資本論』にもありますが、しかしマルクスの場合には、社会の根本問題をつかみ、それを共有して変革の可能性をもたらそうという目標があるので、別に嫌らしくはないんですね。

しかし変革の夢もビジョンもなくなってきたとき、「裏にまわる」ということは、ただふつうの人たちから「優位」にたつこと、自分だけは正義だとおもいこめること、ということしか意味しなくなってくる。

そこには普遍性――多くの人びとをホンキで説得しうるだけの強度――がない。なるべくフェアに社会と人間を見ようとするのではなくて、「この社会はこうだからよくない」という独断的なイメージが大前提としてあって、それを傍証するような形であれこれの説明や理論が存在するというふうになりやすい。


2人の結論は次の二点です。
@社会学は、一人ひとりの「幸福のデザイン」に役立つ。
A社会学は、「社会への配慮の知的技術」として役立つ。


こういう社会学(社会科学)を作りたい、ということでしょう。深く共感します。
福沢諭吉の二大政党論 [2009年11月25日(Wed)]
今回の政権交代についての論評を見ていると、中堅の研究者の評価はそれほど高くなく、注文の方が多い感じですが、長老の政治学者は政権交代の歴史的な意味をより重く捉えているようです。私は年齢的には長老ではないつもりですが・・・。

そのなかでも、篠原一「政治システムの転換と歴史的展望」、坂野潤治「『大正デモクラシー』と『平成デモクラシー』―小さな福祉国家を求めて」(ともに『世界』臨時増刊、所収)が味わい深い論文でした。

坂野さんが、吉野作造の民本主義が@一般民衆の為(格差の是正)、A憲政の常道(普通選挙制と二大政党制)の二本柱であったことを紹介し、それを民主党の「生活第一」と「政権交代」に対応させているのは、日本政治史の研究者の面目躍如という感じです。(前掲論文)

坂野さんの全体的主張は、『日本憲政史』(東京大学出版会、2008年)に集大成されています。明治初期にすでに福沢諭吉がイギリス型の二大政党制を主張しており、それを大正時代に吉野作造が継承したというものです。

その流れの中で、1916年に衆議院の過半数を取った憲政会の総裁・加藤高明が「憲政の常道」(多数党に政権を渡せ)を主張し、1924年総選挙で勝って護憲三派内閣ができたことで、「憲政の常道」が初めてスタートした。8月30日に起こったことはそのことの(戦争、敗戦、自民党一党支配などを挟んだ)再現だというのが坂野さんの歴史的位置付けです。

「もう疲れた、少し休もう。」と題した論文の結びの一節を紹介しておきます。

本稿の結論は「経済大国」も「民主主義」も、そろそろ「化」の字を落としてもいいのではないか、という一語につきる。もう無理な「成長」もいらないし、「民主化」もいらない。我々日本国民は、「化」ではなくて、その成果を享受してもいい時に来ているのではないか。

「国家」や「社会」に「目標」などは要らない時代になってきているのではないか。「富国強兵」で「成長」を鼓舞して「公議輿論」で「民主化」につとめてきた150年の歴史に一つの終止符を打つべき時ではなかろうか。


今回の政権交代の歴史的意味を最も長いスパンで指摘した味わい深い一節だと思います。

最後に、坂野さんが紹介した福沢諭吉の二大政党論『民情一新』(1879年)の要点を抜粋しておきます。私自身、「政権交代のある民主主義」を主張し始めた93、4年の頃にはまったく知らなかったものです。私も民間政治臨調も福沢諭吉の手のひらで踊っていたということでしょうか。

●英国に政治の党派二流あり。一を守旧と云い一を改新と称し、常に相対峙して相容れざるが如くなれども、守旧必ずしも頑陋ならず、改新必ずしも粗暴ならず、唯古来の遺風に由て人民中自から所見の異なる者ありて双方に分るるのみ。此人民の中より人物を選挙して国事を議す、之を国会と云ふ。

●故に国会は両派政党の名代人を会するの場所にして、一事一議大抵皆所見を異にして、之を決するには多数を以てす。内閣の諸大臣も固より此両派のいずれにか属するは無論、殊に執権の太政大臣たる者は必ず一派の首領なるが故に、此の党派の議論に権を得れば、其首領は乃ち政府の全権を握て党派の人物も皆随て貴要の地位を占め、国会多数の人と共に国事を議決して之を施行するに妨げあることなし。且政府に地位を占ると雖も国会議員の籍を脱するに非ざるが故に、政府に在ては官員たり、国会に在ては議員たり、恰も行政と議政とを兼るの姿なれば、自から勢力も盛にして事を為すに易し。

●されども歳月を経るに従ひ人気の方向を改め、政府党の論に左たんする者減少して一方の党派に権力を増し、其議事常に多数なれば則ち之を全国人心の赴く所と認め、政府改革の投票(ウヲート・ヲフ・ケレジート)を以て執権以下皆政府の職を去て他の党派に譲り、退て尋常の議員たること旧のごとし。但し政府の位を去ればとて其言路を塞ぐに非ず、前の執権は即ち今の国会中一党派の首領にして、国事に心を用ひて之を談論するは在職の時に異ならず。唯全権を以て施行するを得ざるのみ。

●且又両党相分れて守旧と改新と其名を異にし、名義のみに就いて見れば水火相敵するが如くして、其相互に政権を握るに随て全国の機関忽ち一変す可きやに思はるれども、事実に於ては決して然らず。前に云へる如く、守旧必ずしも頑陋ならず、改新必ずしも粗暴ならず、等しく是れ英国文明中の人民にして全体の方向を異にするに非ず、其相互に背馳して争ふ所の点は些細のみ。

●右の如く政府の改革諸大臣の新陳代謝は全く国会の論勢に任して、一進一退其持続する時限五年以上なる者は甚だ稀にして、平均三、四年に過ぎず。不平も三、四年なり、得意も三、四年なり。
(坂野潤治『近代日本の国家構想』岩波書店、1996年、106−107ページ)
『天下りの研究』 [2009年11月24日(Tue)]
大学院ゼミのテキストで、中野雅至『天下りの研究 その実態とメカニズムの研究』(明石書店、2009年)を読みました。

@日本の天下り問題の核心は、中央省庁のキャリア官僚についての早期勧奨退職システムにあります。幹部候補生(国T)として採用された官僚は、課長(最近は課長補佐)までは全員が昇進するものの、それ以上のポストに昇進できなかった者は同期の昇進の際に順次退職していく制度です。

これによって、キャリア官僚の間では、部下は必ず年次が下という状態が維持されます。早期勧奨退職は、キャリア官僚間で競争を促進しつつ、年次の下の者が上司になることを避けるためのシステムだったようです。

韓国の政府職員の留学生によれば、韓国では年齢的な序列意識が強いため、実力主義でなく年功序列による昇進になっているようです。まれに年齢が逆転する場合には、他の組織に転出させて解消するとのことです。

日本では、年次の逆転を避けつつ、しかも競争を促進するために、早期勧奨退職という仕組みを編み出したと思われます。

外資系のコンサルティング・ファームなどでも、アップ・オア・アウトというシステムのようですが、この場合は、年次の逆転を防ぐためではなく、実力のつかない者を早期に排除することが目的でしょう。

日本の早期勧奨退職では、競争が厳しいにもかかわらず優秀な人材を集めるためには、競争に敗れた者にも現職の者と同等の待遇を天下り先で保証することが必要だったわけです。また、民間の人材水準が低かった時代には、天下り人材を受け入れることは民間にとってもそれほど重荷ではなかったかもしれません。引き替えの優遇措置もあったわけですし。

しかし、民間の人材水準と自立性が高まるにつれて、受け入れに抵抗が強くなってきたようです。こうして、近年では、民間企業への天下りは減って、非営利法人への天下りが増えています。

しかし、年次の逆転した上司部下関係に抵抗が少なくなりつつあることと、外郭団体など非営利組織の実態への批判が強くなっている現在、中央省庁の早期勧奨退職は廃止すべき時期に来ていると思われます。キャリア官僚も、自発的に転職する者以外は、定年まで能力に相応しいポストで務め続けるということにすべきでしょう。当然、年功序列ではなく能力主義を徹底することが不可欠ですが。

A以上とは異なって、地方自治体も含めたキャリア官僚以外の天下り問題は、要するに定年の60歳から年金支給年齢の65歳までのつなぎ問題です。これはこれで理解できますが、行政の権力を使って再就職口を確保する正当性は認められません。民間の退職者と同じ土俵で、その人の市場価値に基づいた求職活動をするべきでしょう。(公務員の市場価値を維持するためには、官民の人材交流を増やすによって、公務員が民間でも市場価値をもつようにすることが不可欠です。)

民間大企業にも天下りはありますが、それについては、無能な人を子会社に押し付けることで業績が落ちればグループ全体の競争力が落ちるので、自己責任ということになるでしょう。

行政の場合は、外郭団体などにOBを押し付けて、代わりに補助金や随意契約の仕事を与えるわけですから、税金を浪費して再就職を保証することになるので、これは正当化できないでしょう。

この本では、官僚経験もある著者が、戦前から現在までの天下りの実態とメカニズムをデータを最大限集めて明らかにしているので、天下り問題の核心を考えるいい機会になりました。

なお、本書の、結びの一節は、日本の行政改革にとって非営利法人の問題がポイントであることを指摘しており、JACEVOの活動の重要性を再確認させてくれます。

経済への介入などの側面から考えると「大きな政府」であるにもかかわらず、「小さな政府」をフィクションとして維持するために、多数の非営利法人を作りだしたことが天下りを促進するとともに、天下りが促進されることで巨大な非営利法人セクターがさらに巨大化するという相乗効果を持つことになり、結果としてOECDの中で最も公務員数が少ないにもかかわらず、国民は表面的なイメージやマスコミの宣伝があるとはいえ、小さな政府を実感できないようになっていると思われる。(517ページ)
主権在民 [2009年11月23日(Mon)]


河村サポーターズの設立総会が終わりました。私が世話人会代表ということになりました。事務局長は藤岡喜美子さんです。

約400人の参加があり、120人がその場でサポーターに登録してくださいました。設立準備会の事務局でファイルされていた分が42人だったので、合計162人ということになります。事務局で集計されていないものも含めると、200人は越えているのではないかと思います。

今日の会費、寄附は合計で約8万8千円でした。

河村さんは、今日も絶好調で、1時間ほどたっぷりと話してもらいました。議員の職業化の問題点について非常に共感を呼ぶ話だったと思います。最近のお気に入りのフレーズは「主権在民」のようです。減税を行って寄附を増やす、政府、議会を市民に近づける、議員はボランティアの名誉職にする、などの提案を集約する言葉を探り続けているのでしょう。

総会の会場からの発言は、本来の議案そっちのけで署名運動のことに集中していました。河村さんは61歳ですが、その同級生の人たちはエネルギーが有り余っているという感じで、市長選挙に続いて今度も大きな力になっていただけそうです。

会場の異様な盛り上がりを見つつ、日本における「市民」の成熟はこういう形で実現しているということをあらためて実感しました。昔の学生運動のように、若者が大人より先に行くのは後進国の特徴ですから、先進国の日本では、大人が若者に市民のあり方を示すのが当然の形です。それを若者がどう受け止めてくれるか、ですね。

ところで、河村さんの調査によると、戦後、占領軍が国会議員の報酬を(本省の課長級から次官以上へ)引き上げたのは、軍部を抑えられなかった議会を強化するためだったそうです。それが結果として議員の職業化、特権化を生み出してしまったわけです。戦前の官選知事を民主化しようとして、首長の直接選挙を憲法にまで書き込み、それが結果として、現在機能不全を露呈している二元代表制(そのもとでの相乗り体制)を生み出したのと似てますね。

要するに、敗戦から60年以上たって、国会の二院制も含め、戦後直後にあわてて作った公的諸制度の根本的な再設計が必要になっているということです。考えてみれば当然のことです。

河村サポーターズの本部事務所を決め、署名運動の細目を詰めつつ、サポーターの登録数を増やすことが当面の課題になります。まずは、各区での署名運動の勉強会でしょうか。
河村サポーターズ設立趣意書
名古屋市議会の悩み [2009年11月22日(Sun)]
11月20日に河村市長から「政治ボランティア条例」案が提出され、否決の場合の議会解散直接請求の体制もできつつある中で、市議会は対応に悩んでいることと思われます。河村さんは、ともかく選挙が大好きで、しかも桁外れに強いときているだけに、始末に終えませんね。ご苦労をお察しします。

@条例案可決の場合と、A条例案否決の場合は、それぞれシナリオがはっきりしています。問題はその中間のシナリオがありうるかどうかでしょう。

現在浮上しているのは、市民税10%減税と地域委員会の二大公約は認めたうえで、議員の定数・報酬については半減ではなく、マニフェストに記載された「一割削減」の線で妥協できないかという案のようです。

仮に、そうした形で修正された条例案が議員提案されて可決されたとしたら、どのようなシナリオが考えられるでしょうか。

政治のボランティア化は河村さんの一貫した持論ですが、マニフェストではその第一歩として一割削減となっているのは事実です。それだけに、それが議員提案で実現してしまっても議会解散の大義名分があるかどうかは問題です。

しかし他方で、市民から見れば、名古屋市議が年間2350万円もの法外な所得をもらっているということ自体びっくり仰天に違いありません。議会開会日は90日ほどですから、それ以外は事実上の選挙運動という私的活動をしながら報酬をもらっているということになります。驚くのは、議会に一日出席すると、給与とは別に1万円の費用弁償というものが支給されるということです。

こうした実態を知った上で、市民が1割削減で納得するとはとても考えられません。市民が納得しないなかでは、市長も河村サポーターズも妥協することは難しくなります。特に選挙が大好きな河村さんは、もともと妥協して選挙を回避する動機があまりありませんし。

とはいえ、二大公約と一割削減という妥協案が議会内部の折衝でまとまる可能性は限りなく小さいというのが記者さんたちの観測です。たしかに、今それでまとまるくらいなら、ここまでの状況にはなっていないでしょうから。

とすると、一部の議員さんが修正条例案を議員提案して、議員ごとに賛成と反対に分かれるというシナリオも浮かんできます。可決されれば、そこで河村与党多数派が形成されることになります。否決されても、少数派ですが河村与党が形成されることになります。

その河村与党も加わって議会解散直接請求運動が始まれば、なかなか面白い展開になりそうですね。

いずれにしても、議会解散、再選挙になれば、河村チルドレンが圧倒的に強いでしょうから、議会の構成が一変することは確実でしょう。

2350万円の自己保身は、その場合には破滅につながります。かといって、条例案に賛成して当選できたとしても、報酬は半減となります。もちろん、ちゃんとした議員活動をする上では何の支障もないわけですが。

まさに河村さんが言うように、職業議員(食うための議員)からパブリックサーバントになるかどうかの決断を一人ひとりの議員が迫られているということです。自己保身が破滅につながることを分かりながら決断できない人が多いかもしれません。

ちなみに、私が記者会見で、現状の二元代表制は限界に来ていると述べたことをある自民党市議が、経営アドバイザー経験者が現状の公的制度を批判するなどけしからんとブログに書いているようですが、自民党は結党以来、与党でありながら「自主憲法の制定」を綱領に掲げ続けてきたのではなかったでしょうか。公職にありながら、現状の法律や制度の改善策を考えたり提案したりすることに何の問題もありません。

しかも、この議員さんは、私が議会一元制を解決策として主張したことも知らないに違いありません。それとも、知っているけれども、議会多数派で自治体運営に責任をもつなどという面倒なことはご免で、現在のような拒否権をちらつかせて文句だけつけていればよい状況を守りたいということなのでしょうか。

どこの自治体議会からも前向きの提案が出されないので、おそらくは民主党政権、原口総務大臣が進めている地方自治法の全面改正のなかで議会一元制が可能になってはじめて議員さんも本気で今後のことを考えることになるのでしょう。

地方議会のあり方が根本的に問われようとしてるなかで、自己改革が最も遅れている名古屋市議会の自浄能力がどうであろうと、大勢に影響はないのかもしれません。しかし、市民の手で、新しい「自治体のかたち」を名古屋市で実現することができるなら、今後の日本の自治体の再生にとって大きな刺激とモデルを提供することになります。どちらが、名古屋市民にとってよいシナリオなのでしょうか。

皆さん、明日23日の午前11時に千種区役所2階講堂に集まってください。いっしょに名古屋市の新しいかたちを考えましょう。





やろまい、庶民革命 [2009年11月21日(Sat)]
いよいよ、あさってです。
楽しいことが好きな人は集まってください。

名古屋市議会は、議会改革についての特別委員会を設置して、半年から1年かけて議論するということで対案になると考えているらしいです。どういう神経なんでしょうね。

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★☆★ やろまい、庶民革命★☆★

〜名古屋市の住民分権を考える〜

主催 河村たかしと名古屋を考える会
 河村サポーターズ設立準備会

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国では、政治主導と地方分権・地域主権によって、大変革に取り組んでいます。

それに先立ち名古屋市長に就任した河村たかし市長が今年4月以降やろうとしていることは、脱官僚、脱職業議員の改革を行うことで自治体を市民の主権者である手に取り戻す改革をしています。それは名古屋市民のみなさんを信じての庶民革命です。

11月議会にて「住民分権一括条例」の審議が始まります。

・市民税10%減税
・学区毎の公選のボランティア議会(地域委員会)
・市会議員の定数削減、報酬引き下げ、市民の議会での3分間スピーチ制度

この3つは自治体を主権者である市民の手に取り戻すという方向では完全に同じで、全体がセットで新しい自治体を目指していきます。

河村市長からその思いを直接お話しいていただきます。

河村サポーターズはその河村市長の思いを広く市民に伝え、実現を応援する会です。

第1部は、河村たかしと名古屋を考える会、河村サポーターズ設立準備会の共催です。どなたでも参加できますので、みなさまお誘い合わせのうえご連絡ください。事前の申し込みは不要です。なお、第U部は賛同者による河村サポーターズの設立総会となっています。設立総会参加のみなさまは、可能でしたら、事前に各区連絡先、もしくは本部連絡先にFAXもしくはメールにてお申し込みください。当日のお申し込みも受け付けいたします。

まずは、住民分権一括条例の意味をお聞きください。
私たち主権者である市民が社会を変えることができるはずです。

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  日 時:2009年11月23日(月、祝)午前11時から午後14時
  場 所:千種区役所2階講堂
  参加費:無料

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  第1部「名古屋市の住民分権を考える」
   11時〜12時「生駒市の直接請求運動」塩見牧子さん
   12時〜13時「名古屋市長の住民分権一括条例への思い」河村たかしさん

  第2部
   13時〜14時 河村サポーターズ設立総会

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講演の内容
塩見牧子氏
「酒井議員をリコールする会」の動き
 今年4月にあっせん収賄と背任罪で実刑判決を受け、議会において2度にわたって議員辞職勧告を決議されながら辞職しようとしない酒井議員を、地方自治法第80条の規定により解職請求することを目指す会です。塩見さんはその中心人物であり、請求に必要な31723筆を大きく上回る、47924筆の署名を11月5日選挙管理委員会に提出しました。現在選挙管理委員会で審査中です。その運動についてお話しして頂きます。

河村たかし氏
地方分権時代の団体自治と住民自治の確立の必要性

本当の民主主義を名古屋から始める!!

地域の中で住民自らができることは住民自らの責任と自らの権限でおこなっていくということが基本にあります。そして、住民にできないもの、あるいは地域で、民間でできないものを、税金を払って行政におこなってもらうということです。行政側からみると住民ができないものを補完して行政がおこなうということです。住民ができないこと、民間ができないことを行政がおこないます。まちづくりが住民自治を基本理念として実現していくのであらば、「住民の自立的な活動」と「主権者である住民(市民)が積極的に参加・協働している行政」がきちんと連
携することによって実現していくものと思われます。

@市民税10%減税は何を目指して
膨れ上がった税金の一部を官僚や職業議員の手から主権者である市民へ戻そうとするものです。また、それによって、積み重なってきた無駄な事業を削減していきます。大幅な減税が行われ、将来は、市民一人ひとりがNPO、ボランティア団体、地域団体などへの「寄付」によって住民自らが自分のお金で地域を良くするような活動を支援する社会になることを願っているのです。

A学区毎の公選のボランティア議会(地域委員会)の設置は何を目指して
地域委員会に市の予算編成の一部を分権し決定してもらいます。地域の身近な問題を解決するために住民自らが(公選のボランティア議員)が、住民の意見も聞きながら審議して、地域のどのような課題に予算を投入して取り組むべきかを決めるので、地域の重要なニーズは住民自身で満たすことができるようになります。どういう事業を選択するかの決断を重ねることで、日本における本当の民主主義が名古屋から始まります。

B議員定数削減、議員報酬削減はなぜ
地域委員会が機能すれば市議会に大きなインパクトを与えることになります。市議会議員は、学区からの陳情への対応ではなく、いわゆる「どぶ板議員の役割」ではなく、市全体の観点から大所高所の視点にて審議を行うという本来の仕事に専念できることになります。そうなれば、定数も少数精鋭で、現状75人の半分以下が適切です。現在のような2000万円を越える報酬・経費は市民の目から見ても妥当な額に引き下げたうえで、市会議員本来の活動を行うための支援(職員の配置など)は充実させるべきです。

問合先 河村サポーターズ設立準備会
FAX:052−911‐7538   メール:kawamura@777.so-net.jp

各区連絡先
東 区 052‐935‐9993 瑞穂区 052‐832‐3238 熱田区 052‐681‐7660
昭和区 052‐833‐2405 千種区 052‐752‐1395 緑 区 052‐623‐5398
名東区 052‐701‐9630 天白区 052‐861‐0401 中 区 052‐324‐5114
中村区 052‐482‐7155 中川区 052‐351‐9575
河村サポーターズ設立総会 [2009年11月19日(Thu)]
今日の午後2時から、名古屋市役所の市政記者クラブで、11月23日に行う河村サポーターズ設立総会について記者発表をしてきました。設立準備会(11月1日発足)の世話人の一人としてです。東海地方の人は明日の朝刊を見てください。

ほとんどの新聞、テレビ局の記者さんたちが集まってくれ、たくさんの質問をしてくれました。記者さんたちも面白いことは好きですよね。


河村たかし名古屋市長と市議会との対立は、ほとんど修復不可能な段階に来つつあると思います。市民税10%減税、地域委員会(小学校区のボランティア議会)、議会改革(議員の定数や報酬の半減など)という河村マニフェストの中心部分が、現在の職業化した市会議員たちからすれば受け入れ不可能である以上、当然予想された展開です。

先日紹介した河村市長の「政治のボランティア化」をめざす住民分権一括条例案を、11月20日から始まる市議会が可決するかどうかが最後の分岐点です。

われわれとしては、36万5千人という議会解散直接請求運動を担える体制をつくっていくだけです。

23日(月・祝)11時から14時、場所は千種区役所2階講堂で、河村サポーターズの設立総会を行います。その前段で、11時からは、生駒市で市議会議長のリコール直接請求運動を成功させたばかりの塩見牧子さんの話と、河村市長の住民分権一括条例案の説明を聞きます。

名古屋の「庶民革命」の第二幕です。
まずは23日に会場まで足を運んでください。


『自治体を民間が運営する都市』 [2009年11月18日(Wed)]
オリバー・ポーター『自治体を民間が運営する都市―米国サンディ・スプリングスの衝撃』(時事通信社、2009年)という本を紹介します。

2005年12月にジョージア州の州都アトランタの北側に隣接して新たに設立されたサンディ・スプリングスという9万人の市が、最初から市の業務のすべてを民間企業に包括委託してスタートしたという事例です。

アメリカでは、住民投票を経て市を設立しなければ、市税も市のサービスもない地域のままであるわけですが、そういう地域で、「サンディ・スプリングスを市にする会」というボランティア組織が、州議会の承認を取り、住民投票を行なって正式に市を発足させるまでのストーリーとして興味深いのが第一点。

しかし、それ以上の注目点は、シティマネジャー以下4人の管理職を雇っただけで、市の業務のほとんどすべてをCH2M HILL社という民間企業に包括的に業務委託をしたということです。

募集要項(RFP=Request For Proposal)は、次の二つに分けて出され、入札の結果二つともについてHILL社が第一位になって受託しました。管理RFPは、「管理、財政、コミュニケーション、E911(救急)、自動車、人材の配置、調達および契約締結サービスの提供について」、技術RFPは、「公共事業、交通、道路、通行権(敷設権)、施設(管理)、公園緑地管理、設備投資・改良、都市計画、査察、条例執行、許可、購買、調達および契約締結サービス」という内容です。

日本でも、前安孫子市長の福島浩彦さんに伺ったところ、市の業務の95%は民間委託が可能ではないかということでしたが、アメリカは実際にそれをやってしまうところが面白いですね。おかげで市の予算は約79億円に抑えられたそうです(日本の約6万人のある市の一般予算は200億円です)。

契約は金額固定方式で、成果指標によって成果目標の達成を義務付ける形です。そして、成果指標を応募者に提案させるという手法をとったようです。ポーターさんは、「提案者が対象となるサービスを熟知しているかどうかを確認する最も有効な方法であるとともに、実際に、有効な指標を比較的容易に発見することができる手段である」と述べています(149ページ)。

企業がこの取引によってかなりの利益を得ているのではないかということに疑問を抱くニューヨークタイムズ紙の記者とのやり取りが面白いです。

これに対して、私は企業が利益を得ることを全く気にしないどころか、むしろ彼らにとって利益が出ることを望んでいる、そうでなければ長期的にみてわれわれの要求するサービスを提供することは困難になるだろうと話したところ、彼女は非常に驚いているようだった。

彼女は、「企業は公共から利益を得るべきではない」と主張した。互いの立場から数度のやり取りを繰り返したのち、最後に私は念のため、「もし仮に、7000万ドルを要するサービスが、企業との契約の下では5000万ドルとなるとして、企業が1000万ドルを得ることは間違っているだろうか」と質問したところ、「ええ、それは公共のお金ですから、企業が得るべきものではないでしょう」と返した。

続けて私は、「では、われわれは企業が利益を得ることを防ぐために、必要な額よりも2000万ドルも多く、7000万ドルの公共の予算を使うべきだろうか」と聞くと、彼女は「それは違うわね」と答えた。私は彼女が納得のいかないまま電話を切ったのではないかと思っている。(141−142ページ


日本でも同じような疑問が障害になっています。「企業」というものを邪悪なものと考える思考を根本的に転換する必要があると思います。これは逆に、NPOをすべて善良な団体と考える思考とセットでしょう。



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