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〔後房雄のブログ〕

現実関与型の政治学者が、日本政治、自治体改革、NPOやサードセクターの動向などについて話題を提供しています。一応研究者なので、面白かった本や論文の紹介もします。


『海賊とよばれた男』 [2013年01月10日(Thu)]
百田尚樹『海賊とよばれた男(上下)』講談社、2012年7月

出光興産の創業者、出光佐三をモデルにした小説ですが、とんでもなく面白かったです。官僚の統制や同業者の談合、いやがらせ、国際石油メジャーの圧力をはねのけながら成長していくストーリーはわくわくドキドキです。

あらためて痛感させられるのは、官僚にもセコイ保身だけの官僚もいれば、危険をおかしてでも国益を優先する官僚もいるということ。権力をかさにきて新参者をつぶそうとするアメリカ人もいれば、意気に感じて支援しようというアメリカ人もいるということ。要するに、どの世界にもセコイ奴とまともな奴がいるということです。

それにしても、官僚統制、規制がいかに悪質かということを石油産業めぐって再認識させられました。それにすり寄って既得権を守ろうとする同業者たちも。日本のどこにでもある構図です。それだけに、孤高のままでそれを突破していく主人公の姿は痛快です。
中北浩爾『現代日本の政党デモクラシー』 [2013年01月04日(Fri)]
中北浩爾『現代日本の政党デモクラシー』岩波新書、2012年12月。

1990年代初めの「政治改革」以後の日本政治を総括する好著である。最近はやりの「やっぱり比例代表制」という後だしじゃんけんのような政治学者たちの本とは異質で、政治改革とそれ以後の「競争デモクラシー」を目指した動向を内在的に辿っている点が貴重である。特に、私自身も関わった民間政治臨調―21世紀臨調の狙いについてはほぼ正確にフォローしていると思われる。

具体的には、小選挙区制を基礎にした「競争デモクラシー」をシュンペーター型とダウンズ型に区別したうえで、政治改革派のなかに両方の潮流があったことを明らかにしていることが注目される。

前者は、「エリート競争型」と呼ばれ、その想定する有権者は個々の政策に関する十分な判断能力をもたず、選挙で有能な人物を見極めて投票するのがせいぜいである。シュンペーターは、このエリート間の有権者の支持を求める競争に民主主義の最低限の要素を求めた。典型的には小沢一郎の立場とされる。

ダウンズは、民主主義を市場モデルで解釈し、市場における企業の代わりである政党が得票の最大化をめざし、消費者の代わりである有権者が効用の最大化をめざして、それぞれ合理的に行動すると想定する。これは「市場競争型」と呼ばれ、マニフェストが想定する政治イメージと近いとされる。

中北によれば、96年結党の民主党は、「市民主義」という参加デモクラシーの系譜を継承しつつ、98年に新民主党になり、その後二大政党の一角へと成長する過程で、エリート競争型よりも有権者の判断能力を重視する市場競争型の競争デモクラシーを目指すようになったという。そして、マニフェスト政治の担い手となり、2009年の政権交代を実現することになる。

ここまではかなり的確な分析だと思うが、民主党政権の挫折を市場競争型デモクラシーの挫折と判断し、「比例代表制の比重を高め、穏健な多党制を実現し、参加デモクラシーへと向かうべき」(206ページ)と結論する終章の議論は、一気に説得力が落ちるといわざるをえない。

中北の分析では、競争型デモクラシーの挫折は内在的限界と外在的限界によるものという。前者は、「二大政党間の競争の激化と無党派層の増大を背景として、選挙戦がイメージに頼る傾向を強めたこと」であり、それによってマニフェストが機能しなくなったという。後者は、有権者―衆議院―首相・内閣という競争デモクラシーのラインの外部にある強力な参議院の存在である。いわゆるネジレ問題である。

私自身は、二大政党の凝集性の弱さ、理念の不足、無党派層の増大、メディア特にテレビの強い影響力などを前提に、機能する二大政党制(ないし二大ブロック)を構築することは不可能とは考えない。また、参議院問題についても、自公民で公債特例法を参議院で潰し合うことを回避する合意が形成されたことの延長線上で、憲法改正(一院制)以前にも機能する程度の解決策はありうると考える。

中北が提案する比例代表制に基づく穏健な多党制は、比例代表制を担えるだけの強い理念を備えた複数の政党の構築を不可欠とするが、それが日本の政党の現状を前提にしてとても現実性をもつとは考え難い。社共を中心とした戦後革新勢力の衰退ぶりを考えるだけでも明らかであろう。

しかも、穏健な多党制では、肝心の連立政権と政権政策は、選挙後に有権者抜きで決められることになるので、中北が競争デモクラシーを批判する論点と同じようなエリート主義が再現することになる。

中北は、穏健な多党制はネジレの解消にも貢献するというが、その場合、主要政党のほとんどが加わるほとんど大連立に近い連立政権が恒常化しかねない。

いずれにしても、政治改革以来の二大政党制型の民主主義をさらなる努力によって機能するようにしていくか、穏健な多党制に転換するかという二つの選択肢の間での選択はもっと徹底的に議論されなければならない。

一度の政権交代の失敗だけから、比例代表制への転換というほどの重大な結論を引き出すのはいくらなんでも乱暴である。

競争デモクラシーと穏健な多党制のそれぞれをより体系的、徹底的に比較する作業がまずは必要だろう。

そのためにも、民主党政権の徹底した分析、総括を含めて、私のような競争デモクラシーの支持者の側が、競争デモクラシーを日本でよりよく機能させるための条件や改革提案を提出することが不可欠である。同時に、穏健な多党制が機能するイメージやそのための条件についても、より明確な議論が求められる。

中北の終章の議論は、先に私が書評で批判した小林良彰の単純な比例代表制提案よりはかなりまともではあるが、やはり初歩的なアイデアの域を出ていない。とはいえ、両派の議論をかみ合わせながら展開させていくうえで、中北の内在的な議論は有益な出発点となると考える。その意味で、冒頭で好著と評した次第である。
新年、おめでとうございます。 [2013年01月01日(Tue)]
皆さん、新年おめでとうございます。

今年は、安部自民党政権が主役になりそうです。それを注視しながら、個人的には3年半の民主党政権の総括をやりたいと思います。

イタリアでは、2月に総選挙があり、民主党政権成立の可能性がかなり高いです。変動要因は、専門家内閣のモンティ首相が、続投を目指して中道派を結集して選挙に参入する決断をしたことです(本人は終身上院議員なので、出馬しませんが)。

民主党とダブルスコアで負けているので、ベルルスコーニの中道右派が逆転することはほぼ不可能ですが(北部同盟も連携を拒否しそうだし)、中道派と民主党の食い合いで、両院(特に上院)で民主党ないし中道左派が過半数を獲得できない事態もあり得ます。モンティとしては、そこでキャスティングボートを握って首相続投に持っていこうという狙いでしょう。しかし、民主党も、わざわざ予備選挙で選んだ首相候補ベルサーニをよほどのことがない限り引き下げることはできません。両者の駆け引きがし烈になりそうです。中道派は現在15%くらいなので、どこまでの交渉力を持つようになるかは未知数ですが。

それにしても、政党から超然とした専門家内閣の首相をやりながら、ここまで政党相手にタフな駆け引きをやると言うのは、モンティもただの経済学者じゃないですね。

いろいろ、楽しませてもらえそうです。



みんなの党の転換? [2012年12月21日(Fri)]
 時事通信の報道では、みんなの党の渡辺代表が来年の参院選での民主党との連携の可能性を示唆したそうです。

 みんなの党の渡辺喜美代表は21日の記者会見で、来年夏の参院選に関し「非自民のすみ分けが絶対的に必要になる」と重ねて強調、協力相手について「一番大きな固まりは民主党だ」と述べ、同党との候補者調整も検討する考えを明らかにした。
 渡辺氏は「民主党が全部(の選挙区に)出すと(衆院選の)二の舞いになる」と指摘。民主党が進めた消費増税など、みんなとの政策の違いについては「民主党の代表が次に誰になるのか着目する」と語り、同党の政策転換に期待を示した。 

 維新もみんなの党も自民党に飲み込まれていく危険を察知したのでしょうか。僕は、政策的には、そのように合流して自民党自体を乗っ取って新自由主義政党(党名は自由党がいい!)に純化させてもらうのがいいと思っていますが。

 いずれにしても、3年間、選挙後の政界再編を叫び続けてきたみんなの党が、ようやく、小選挙区制(参院選も一人区が29もある)のもとでは、選挙後には勝負がついていて、政界再編など起こりようがないということに気付いたのだとすればめでたいことです。

 しかし、みんなの党と民主党(さらには維新)とで自公政権に対して、どのような対抗軸を立てるのかが難しそうです。

 昨日、選挙結果と今後について共同通信と中日新聞から取材を受けましたが、僕が話したのは、安部政権がどのような路線になるかで二つシナリオが考えられるということです。

 一つは、安部政権が新自由主義を徹底する方向に行く場合で、その場合には、維新やみんなの党は路線が重なるので、むしろ一つの勢力になるだろうし、その方が望ましいと思われる。その場合には、数年がかりではあるが、民主党がそれに対する対抗軸として復活していく可能性が高まる。

 もう一つは、安部政権が、党内の既得権擁護派や公明党の抵抗で改革色を薄めていく場合で、その際には、維新やみんなの党が新自由主義的改革派として、民主党に代わって第二極になるだろう。民主党は部分的にそちらに合流するかもしれない。

 渡辺代表はどういうシナリオを描いて民主党との連携の可能性を言い出したかわかりませんが、かなり無理があるといわざるをえません。ともかく自民党にのみこまれるのを避けるということなら、今回の選挙前に維新などと連携を形成するべきでした。今更、という感じは否めませんが、とりあえず、みんなの党が小選挙区制の論理を理解始めたのだとすればいいことではあります。

 ただ、石原の存在もあって維新が自民党との連携に傾斜していること、渡辺代表が橋下との主導権争いで維新との連携が嫌だという報道があることを考えると、維新が自民党に近づくのをみて、みんなの党と民主党とで対抗軸を作ろうと考えたのかもしれません。それで勝てる可能性があるようには思えませんが。

 自公が3分の2を越えたことで(この責任は分裂した第三極にあります)、参議院選挙では政権はびくともしません。4年後の総選挙を見据えての第二極づくりの戦略を各党が考えるべきだと思います。参議院選挙の注目点は、そうした動きの兆しがみられるかどうかです。何の動きもなく、自公が惰性で勝利するという可能性の方が高いとは思いますが。
イタリア情勢 [2012年12月08日(Sat)]
7日のモンティ内閣の信任がかかった法案に中道右派が棄権したことで、与党からの離脱が表明され、来年4月に予定されている総選挙が繰り上げられる可能性が高まっています。大統領が解散権を持つので、その判断のために両院議長や各党党首との会談が始まっています。

中道右派の動きの背後には、ベルルスコーニが復帰する決断をしたことがあり、中道右派では待望論が盛り上がっているようです。新フォルツァ・イタリアを結成して、再びベルルスコーニが首相候補となって勝負をかけてくるようです。ベルルスコーニの後任を選ぶはずだった12月の予備選挙は中止です。

こうした状況のなか、最新の世論調査結果が発表されました(12月7日、デモス調査)。

先週日曜日に決戦投票が行われた中道左派の首相候補予備選が驚くほどの効果を及ぼしていることが判明しました。

3か月前に比べて、民主党の支持率が10%強上昇して過去最高の37.8%を記録しました。指導者の支持率でも、モンティ首相がトップから3位(47.3%)に落ち、予備選候補者だったレンツィが1位で61.9%、ベルサーニが2位で50.1%に上昇しました。

レンツィ効果で民主党への中道の支持が増え、中道連合は7.8%から5.2%へと支持を減らしています。

自由の人々は19.8%から18.2%へ落ち、北部同盟も5.5%から4.2%に落ち、第三極の「5つ星運動」は14.5%から15.0%で急伸がひと段落です。

300万人以上が投票したガチンコ勝負の予備選の成功は、イタリア政治に鮮明なインパクトを及ぼし、民主党の急伸をもたらしただけなく、第三極の伸びも止めました。

見事なもんです。

無策で面白くない日本政治からの気分転換になるので、イタリア政治がいつにも増して面白いです。

イタリア中道左派の首相候補予備選(プリマーリエ) [2012年12月03日(Mon)]
遅くとも来年4月に行われる総選挙に向けて、中道左派連合の首相候補予備選挙(決選投票)が2日に行われ、民主党書記長のベルサー二が61.1%で、フィレンツェ市長のレンツィ(38.8%)を大差で破りました。文句なしの統一首相候補ということになります。

第一回投票では、44.9%と35.5%だったので、結果はきわどいのではないかと思っていたのですが、3位のヴェンドラ・プーリア州知事の票(15.6%)のほとんどをベルサー二がとった形です。

これで、支持率でも中道右派を大きくリードしている中道左派が政権を奪回する可能性が高くなりました。中道左派内での世代交代などをめぐる対立は、300万人以上が投票した予備選挙という方法によって見事に収拾されました。

第三極の「五つ星運動」が相対第二党へと支持率を伸ばしていますが、中道左派は予備選の成功で何とか批判票をも取り込むかもしれません。

日本以上に党派対立が激しいイタリアですが、その分、なんとかまとめていく技術も高いです。

何よりも、左右ともに選挙前に連立の枠組みと政権政策、首相候補を決めて、政権選択権は有権者にゆだねるという慣習が完全に定着していることは注目すべてき点です。

翻って日本では、橋下氏が、選挙前に連立の枠組みを決めたら、小選挙区で争えないじゃないかと言ってましたが、まさに、小選挙区で無駄な共倒れをして自公を利することのないように事前に政権選択肢を構築するわけで、どうにも伝わりようがないようですね。

各紙で、衆院選向けの世論調査結果が発表されています。

自民党が下降気味、民主党がやや回復、維新が伸び悩みという傾向が共通して出ています。また、維新、みんな、未来の第三極を全部足すと自民党を上回るというのも共通です。

おそらく、このまま民主と第三極、および第三極同士の共倒れで、自公は圧勝というのが来週月曜日の最後の世論調査結果となるでしょう。それでも誰も何もしないのが日本政治です。

未来の党 [2012年11月28日(Wed)]
嘉田滋賀県知事を党首に、卒原発の未来の党が結成され、小沢グループなど第三極Bチームが即座に合流を決めたようです。

これで環境派が初のまとまった議席を得る結果になればそれ自体はいいことだと思いますが、小沢氏が無原則に合流したことで、小沢氏の政局判断でいつでも分裂する運命を抱え込むことになりました。民主党と同じ轍ですね。それを承知で環境派が議席を取りにいったのならいいですが。いずれにしても、はやめに小沢氏から自立する戦略をもたないと途方に暮れることになるでしょう。

総選挙全体への影響を考えると、Bチームが以前よりは議席を多く取れる可能性が出てきた反面、Aチームとのバッティングで自公を利する危険も増えたといえます。

Aチーム内でも、維新とみんなは、合流が決裂しただけでなく、かんじんの候補者統一もできないまま、ここでも潰しあいになる小選挙区がかなり出そうな状況です。

このままいくと自公で過半数を優に超える結果になることは確実で、そうなれば、維新と合わせて衆議院3分の2を超えた場合(再議決可能)には維新の発言力がある程度確保されるか、あるいは参議院でかなり議席を持つ民主党が7月までは多少の発言権をもつパターンか、どちらかです。安倍と橋下の関係からして、前者でしょう。

こうしたできた政権(安倍・石原政権!)はタカ派のイメージが強くなりすぎて不評を買う可能性も高いし、何よりも自民と組んだ橋下のイメージは大きくダウンするでしょう。維新は下り坂です。

いずれにしても、自公の天下再来で、そうした予想される結果に気づいて、投票日までの一か月で有権者はもう一度か二度、揺れることでしょう。

そこで伸びるのがAチームなのかBチームなのかは演出次第でしょう。

そして、仮に自公政権再現への疑問が高まった時に、AチームとBチームはそれでも共倒れに向かって突っ走るのかどうか。

自民党分裂という最後の課題が残っている以上、それをターゲットとして見据えている唯一の政治家としての小沢氏の存在意義は残ります。

未来の党を仕掛けてここまでは来たわけですが、さらにどこまでかき回せるのかを見てみたい気もします。

ところで、民主党もマニフェストを発表しましたが、まだ与党の可能性があるかのような踏ん切りの悪いマニフェストで、いさぎよく負ける覚悟ができていないようです。かえって議席をさらに減らすことになるでしょう。

自民も、本当は第三極が怖いのに、あたかも民主党が主敵であるかのようにふるまって逃げ切ろうとしています。民主党も都合がいいのでそれにのったふりをしています(党首討論ごっこ。こんなもの誰が見たいでしょう)。こんな茶番があと一か月ももつわけがありません。

自公民をひとまとめにして否定する動きが投票日までに一度は高まると予想します。

その瞬間に、第三極がそれを生かした行動がとれるかどうかですね。

小選挙区の候補者を調整するだけのことですが・・・。

候補者統一 [2012年11月21日(Wed)]
第三極ですが、依然として合流するかどうかが論点となっていて、小選挙区での候補者統一がすべてだということが理解できないようです。

合流のためには基本政策の一致が必要だというのはその通りですが、それが簡単にできるようなら別の政党になっていないのであって、別の政党だということを前提に、4年間の政権合意ができるかどうか、そしてそれを実現するために小選挙区での候補者統一ができるかどうかが問題です。

このままでは、合流はできないまま、候補者統一も中途半端なまま総選挙に突入し、結局は自公政権の復活になってしまうでしょう。

第三極は小選挙区での候補者統一に全力を注ぐべきであり、そのためにも、4年間の政権政策の骨格についての合意を形成する必要があります。そのためのテーブルもできていないことは驚くべきことです。テレビに呼ばれてそこで議論することしかできないなんて、困ったものです。

ついでに別の論点ですが、自民党が結局この3年でまったく自己改革ができなかったことが日本政治を次の段階に向かわせるうえで大きなネックになっていることも、あらためて痛感されます。

自民党内には、選挙後に維新と組むつもりの潮流(安倍総裁など)と民主と組むつもりの潮流(石破幹事長)が混在しています。選挙結果をみて考えるのでしょうし、あわよくば自分たちだけでやれるようになることを願っているのでしょう。

いずれにしても、適当に総選挙をごまかして、選挙後にやりたいようにやるという、一党政権時代の習慣が何も変わっていません。

小選挙区制のメリットである有権者の政権選択権を尊重しようとする気持ちなどみじんもありません。

大きな政府派・疑似リベラルと、小さな政府派・保守派の二つに自民党が分離することが日本政治の次の段階への飛躍にとって不可欠です(全体がどちらかに純化してもいいですが、それは無理でしょう)。

そうすれば、今回の総選挙でも、消費税・社会保障重視グループと、経済活性化・新自由主義グループとで二つの政権選択肢が提示できたはずです。

このように、自民党問題が未解決のままなので、当面の課題は、自民党を敗北させて分離ないし純化させることだと考えます。自由と民主を両方掲げる政党など、冷戦時代の遺物にすぎません。

そのためには、第三極が多数をとって自民党に選択を迫るしかないでしょう。

小沢や石原は自民党分裂を目指していると思いますが、橋下は自民党を上手く使えればいいと考えている節があります(それは、維新の方がうまく使われて自民党の延命につながる危険とうらはらです)。橋下にも、そろそろ、自民党を分裂させて大きな政界再編を仕掛ける覚悟をもってほしいものです。
政権選択肢=共通マニフェスト+統一首相候補+小選挙区の統一候補 [2012年11月20日(Tue)]
12月16日総選挙に向けて、各社の世論調査が出ていますが、自民党が第一党であるもののそれほど強くなさそうだということ、民主党は野田総理のパフォーマンスで多少持ち直しているものの惨敗必至だということ、石原が合流した維新の会が自民党にかなり迫っていること、などがポイントです。

第三極が形がどうなるかが、政権も含めて選挙結果を大幅に左右しうる状況だといえます。

そこで、依然として混乱している問題があります。第三極は一つの組織に合流すべきかどうかという問題です。合流できそうもないので残念だという論調と、合流は野合だという論調が混在しています。

あらためて指摘しておきたいのは、違う政党が合流するというのは、よほどのことであって、総選挙に向けてそういうことは必要がないということです。ただ、石原が維新の会に合流したのは、これは両者にとって十分意味のあることだったと思います。維新としての首相候補が確保できたわけですから。

しかし、それ以外の政党との合流などは考える必要はありません。必要なのは、広範な勢力で4年間の共通マニフェスト(政権政策)と統一首相候補について合意を作り、それを実現するために大部分の小選挙区で候補者を統一するということです(比例区ではそれぞれ名簿を出すべきです)。これによって、自公、民主に対抗するもう一つの政権選択肢が提示されることになります(それにしても、公明党は自民党と連携しながら、大阪、神戸では維新と候補者調整をやるそうですが、いったいどの政権選択肢にコミットするということなのでしょうか。いずれにしても与党になるというわけで、ひどい政党です)。

これができれば、まさに有権者が選挙によって政権を選ぶことが可能になります。

その後の統治、政権運営が不安だというのは民主党政権の経験から当然出てくることですが、それはこうした試みを積み重ねるなかでしか改善できない問題です。自民党なら政権運営は無難だ、などという幻想にすがるのでは、日本政治は永久に変わりません。そもそも、また腹痛で投げ出す可能性が高い首相候補のどこが無難なんでしょうか。

野合かどうかなどという不毛な議論はやめて、どの政権選択肢がよりいいか、という議論の土俵に移りたいものです。
第三極は野合か [2012年11月18日(Sun)]
出張つづきで、なかなか書けていませんが、12月16日総選挙に向けて動きが激しくなっていますね。

さすがに、選挙が近くなってくると、小選挙区制という制度のことをみんな思いだすようです。要するに、定数1を争う以上、1か0なのであり、過半数を取って政権を取るか負けて野党になるかが最大の問題だということです。

第三極論もそうした圧力のもとでようやく本筋に近づきつつあります。つまり、全国の小選挙区に統一候補を立てて過半数議席を狙える体制を構築できるかどうか(構築する意思があるかどうか)が決定的なポイントであって、従来の「みんなの党」のように選挙後の政界再編などというのはピンボケだということです。

なおかつ、民自公で、2015年度まで赤字公債の発行を参議院で止めないという合意を作ったので、参議院多数がなくても最低限の政権運営ができる条件が作られました。要するに、首班指名、予算案、条例で優越的権限をもつ衆議院の多数さえ確保すれば政権が取れるということです。

こういう視点で考えると、本筋を明確に理解しているのは小沢一郎と石原慎太郎だけだということが明らかです。橋下徹は、維新の会の勢いが少し陰ってきたこともあって、ようやく一気に過半数をめざすべきであって、そのためには広範な政党連合を組むことが不可欠であることを急速に理解しつつある感じですね。

こうして、第三極は、石原・橋下グループと小沢グループの二つに集約されつつあります。

最後の論点は、この両グループが政権をめざして小選挙区の候補者統一を含む事前の連携を構築できるかどうか、すべきかどうかという一点です。

政治とカネの問題を引きづる小沢一郎と組むことの利害得失の判断で、橋下は6−4か7−3くらいで組まない方が得策と見ているような感じです。小沢も、社民党との連携に動いているという報道もあります。「脱原発」で勝負するという戦略からはありうることです。

そうはいっても、公示直前くらいのタイミングで、第三極の2グループが連携成立を発表すれば衝撃的なニュースになるとは思います。小沢ー橋下ラインが水面下でまだ続いているのかどうかは気になります。

ここで問題になるのは、最近のマスコミでよく出る「野合」批判です。

政権を取るために政策の違いを無視していいのか、ということですが、ではどこまでの違いなら政権を取るために許されるのかという基準でも持っているのでしょうか。

これは問題の立て方が根本的に間違っていると思います。それぞれの政党や勢力が政策や理念で異なっているのは当然の前提であり、問題は、小選挙区制で意味のある政権選択肢を形成できるかどうか(形成しようとするかどうか)です。

そのためには、全国の小選挙区に統一候補を立てて、自公や民主に勝てるだけの勢力を結集できるかどうかと、その連合が信頼性をもつだけの統一政権政策(マニフェスト)を提示できるかどうかの二点が不可欠です。

マニフェストは、4年間限定の政権政策として、参加する政党がなんとか合意できることのみを書くしかないのであって(だから理念や長期的政策を書く必要はないし、書けるはずもない)、問題は、そうして出来たマニフェストが国民が支持し、信頼できる水準のものになるかどうかです。「野合」という印象を与えるとすれば、それは国民に選ばれないだけの話です。かなり限定的なマニフェストであっても、自公政権や民主党政権に比べればましだという評価が得られる水準でさえあれば勝つこともできます。

ここで、当然ながら、民主党は寄せ集めで、マニフェスト実現を4年間追求することすらできなかったではないかという批判が予想されます。ここには、衆参二院制の矛盾が重大な要因であったことの認識が弱いという問題はありますが、民主党のマニフェストを実現しようとする共通意思の弱さという問題はそのとおりです。

しかし、だから4年間限定のマニフェストを軸にした政権連合の形成(民主党は形は政党ですが、実質は政党連合だったと見た方が正確です)という「オリーブの木」方式が間違いかといえばそうではありません。

政党連合方式が一度失敗したからといって、またばらばらに候補者を立てて共倒れして、結局は自公政権を許すというのでは元の黙阿弥です。

それぞれが単体で政権選択肢となりうる二大政党が確立するまでの間は、政党連合も含めてせめて複数の政権選択肢が用意されることが小選挙区制での政権選択選挙を実現するうえで不可欠です。今後努力すべきことは、そうして勝利した政党連合が、せめて4年間は契約通りにマニフェストを軸にした政権運営に責任をもつという習慣の定着です。

私自身は、一度や二度の失敗があっても、あくまでも政権選択選挙を繰り返すことが、国民の判断能力が向上し、政党、政治家側の統治能力も向上する王道だと考えています。ここで、安心できるから、などという幻想で自公政権にもどるなどというのでは、何のための政治改革だったのかということになります。

誰が好きとか嫌いだとか、負けても政策にこだわるとかいう悪習を捨てて、総選挙の度にぎりぎりの選択で二つの政権選択肢に結集して競い合って国民の審判を受けるという気風をもつ政党や政治家を増やすしかないと思っています。

「野合」批判をする政治評論家や政治学者が多いですが、野合を否定して政治のダイナミズムを犠牲にするか、「野合」を繰り返しながらその質をあげていくことに賭けるかの選択では、私はやはり後者を選びます。

ただし、例外というものはあって、河村たかしについては、そうした選択肢の構成要素の前提条件すら満たしていない(基盤が異なる)という橋下の評価は妥当だと思います。あれほどいいかげんな人を含めることは、名古屋市内での多少の票とはかりにかけてもとても許容できるものではないということでしょう。

河村は最後の受け皿として小沢グループに潜り込んで終わりでしょう。

いずれにしても、小選挙区制という現行制度をきちんと踏まえた戦略的行動を政党や政治家が取り始めているという点では、ようやくイタリアの水準に近づきつつあるといえます。「野合」嫌いの倫理主義のマスコミなどが水をかけて潰さないことを願います。

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