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〔後房雄のブログ〕

現実関与型の政治学者が、日本政治、自治体改革、NPOやサードセクターの動向などについて話題を提供しています。一応研究者なので、面白かった本や論文の紹介もします。


ポーターさん [2011年02月16日(Wed)]
アトランタでの15日のスケジュールですが、サンディ・スプリングス市のトータル・アウトソーシングの元祖であるオリバー・ポーターさんにホテルまで来てもらい、午後2時から約2時間半、みっちりと話を聞きました。

今回の調査のテーマは、市の業務をすべて1民間企業に包括委託している自治体の事例調査です。その最初の事例であるサンディ・スプリングス市の設立準備委員長、暫定シティ・マネジャーとして、トータル・アウトソーシング(PPP)を実現した中心人物がポーターさんです。

このブログでも、その著書『自治体を民間が運営する都市』時事通信社、をすでに紹介しましたね。

ポーターさんはAT&Tの営業担当副社長を退職したあと、地元のサンディ・スプリングスに住みながら、全国的なチャリティ団体の理事などをやっているうちに、新市の設立運動にかかわるようになったそうです。新市は、設立についての住民投票が2005年6月に94%賛成となり、2005年12月に発足しました。

一流企業の幹部の経験は、画期的なPPPを実現するうえでも大きな基礎になったことがよくわかりました。地方政府の業務は企業の業務と基本的に同じなので、優秀な企業ならどこでも自治体の業務の包括委託はできると述べていました。

ちなみに、新市設立までのむちゃくちゃハードな準備作業を担ったポーターさんはじめ多くの関係者はまったくのボランティアでやったそうです。

州政府が設立権限をもってバックアップしたとはいえ、実務をほとんどボランティアの市民が担って新市を設立してしまうのはいかにもアメリカですね。

そしてまた、公務員を雇って行政組織を作らず、最初から業務のすべてを1民間企業に包括委託したというのもアメリカでしか生まれない事例でしょう。そもそも、市になっていない地域が新たに市になるということ自体、アメリカくらいでしかないことですが。

ポーターさんの話には興味深いことがたくさんありましたので、だんだんと紹介していきますが、とりあえず、著書の日本語訳に署名をもらいました。


その夕方、ちょうどサンディ・スプリングの二週間に一回の市議会が6時から開かれる予定だということで、初めてSS市に行ってきました。市長と議員5人(ほか欠員1人)の6人の議会です。以前訪問した議会と同じで、外国人でも自由に傍聴でき、写真もOKでした。

終わったあと、後日アポをもらっていた女性の議員さんが目ざとく私を発見し、そこら中の関係者に紹介してくれました。議会に出席している説明要員は、一部の幹部職員以外はすべてCH2Mという民間企業の職員だそうで、名刺の肩書もなんとか課長ということで、役所と同じような感じです。

帰りは、電車の駅までタクシーをどうしようかと思っていたら、その議員さんが駅まで送ってくれることになりました。アメリカの人って、こういう時は本当に親切ですよね。

市長、議員、シティ・マネジャー、企業側の人などにこれからインタビューしていきます。
下の写真は、民間の事務所を借りている市役所の入り口と議場です。

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