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〔後房雄のブログ〕

現実関与型の政治学者が、日本政治、自治体改革、NPOやサードセクターの動向などについて話題を提供しています。一応研究者なので、面白かった本や論文の紹介もします。


百条委員会 [2010年03月31日(Wed)]
出張から帰って新聞をみたら、30日に名古屋市議会が設置した百条委員会の2回目の会議が開かれたという記事がありました。あまりの馬鹿さ加減にあきれました。

トワイライトスクールの受託事業者選定過程をめぐる問題を調査するといいながら、依然として、特定の民間人と民間団体を政治的に攻撃するような言動を議員が続けているようです。ここまで狂った行動を続けるなら、議会の存在意義などどこにもありません。単なる凶器です。

@執行権限のない経営アドバイザーが、市長や担当課にどのような意見を伝えようと(一貫して公平な審査を要求したことはアドバイザーの提出文書から明らかですが)、選定委員に対して影響を与えたという責任を問われるはずがありません。NPO支援をやっている経営アドバイザーが多くの民間団体と人間関係があるのは当然で、問題になるのは、本人が応募団体の意志決定に関与する立場にあった場合だけです。

 また、経営アドバイザーが市長に渡した5通の文書のうち、4通は本人の了解もなく(職員に渡すなという要請を無視して)、市長が勝手に担当課に渡したものです。アドバイス以降の責任は市長が負うべきものです。市長は一言もこのことを明言しないほど卑怯な人物のようですが。

A本来、問題にされるべきなのは、外郭団体幹部には、選定委員の組織の上司が含まれていたということであり、また、彼らの間で接触が禁止されていたにもかかわらず、仕事上の接触があったに違いないと考えられるということです。なぜ、この問題を、ほとんどの新聞が結果発表の直後は問題にしながら、その後、議員も市長もマスコミも追及しないのでしょう。

B仮に、公平な審査を求める動きに行き過ぎがあったとしたら、それは唯一、市長が選定期間中に選定委員を市長室に呼んだということでしょう。しかし、そのことに経営アドバイザーはまったく関与していませんし、そこで自分が市長に提出した文書が配られたということについても、まったく事前の了解を与えていないと言明しています。(なお、その場に、経営アドバイザーが同席していたというデマをブログに書いた斉藤亮という市議は、依然として訂正も謝罪もしていません)

Cこうした事実にもかかわらず、議会が依然として経営アドバイザーの個人攻撃を続けるということは、市長はまったく判断能力をもたず、経営アドバイザーの操り人形だったという認識が前提なのでしょうか。それなら、まず、市長の不信任案を可決すべきです。

 実際は、市長が経営アドバイザーのいうことなど、ほとんど関係なく、自分ですべての決定をしていることは、私自身の経験からも明確です。

 保身だけが目的の政治家同士の泥仕合は、自分たちだけでやってください。自分たちの努力と専門性だけで組織を維持し成長させている民間団体にこのような不当な打撃を与えていいものかどうか、少しは考えたらどうですか。想像力が及ばないでしょうが、自分たちが利権のことしか考えていないからといって、世の中の人間がみんなそうだというわけではないのです。

 
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