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〔後房雄のブログ〕

現実関与型の政治学者が、日本政治、自治体改革、NPOやサードセクターの動向などについて話題を提供しています。一応研究者なので、面白かった本や論文の紹介もします。


再議 [2009年12月10日(Thu)]
名古屋市議会の11月議会が終わりました。住民分権一括条例は継続審議で、政務秘書設置条例は否決の一方で、10%減税と地域委員会の二大公約については実質的には承認されたと考えれば、「ようここまできたという感じ」という河村さんのコメントも理解できます。

それにしても、地方自治法176条に規定された、議会の議決に異議がある時に首長が「再議」に付すことができる権限など、知っていた人は少ないでしょう。減税条例は、修正して可決され、市長が再議に付して臨時議会を招集し、そこで3分の2での再議決は成立せず、市長原案の採決にもどるというシナリオが想定されているようです。

76条の議会解散直接請求の制度もそうですが、河村市政の大きな功績として、自治の仕組みをみんなで活用しながら習熟していく機会を提供したことが大きいと思います。議会審議も、一問一答方式の導入も含め、ずいぶん活発になったようですし。

今後の焦点は、年末の臨時議会での減税条例の行方、議会改革についての議会の姿勢になります。中日新聞に掲載された4会派の団長さんたちの座談会では、2月議会に議会改革についての議会側の案が提出されるようですが、議会や議員の在り方にこれだけ注目が集まっているなかでは、基本線くらいは早急に出すべきだと思います。これまでほとんど自己改革をしてこなかった市議会の自浄能力に対する信頼がないことを自覚した対応が必要でしょう。

河村サポーターズとしては、今日の夜7時半から世話人会をやって議論しますが、この議会と連携して河村マニフェストを実現していけるという判断がついたとはいえないでしょう。ある団長さんは「とにかく疲れた」ともらされたようですが、議会に対して緊急に問われている問題はまだかなり残っています。

いずれにしても、直接請求を経た議会解散の場合だけでなく、1年半後の任期満了による議会選挙も予定されているわけですから、議会選挙への取り組み方がサポーターズの今後の重要課題になることは明らかです。また、確定した地域委員会のモデル実施のサポートもまたサポーターズの役割になります。

本当は何を考えているかわからない河村市長と、何があっても引かない覚悟の柳川・サポーターズ代表と、役者がそろっているので、名古屋市が新しい自治体のモデルを作り出せるまで、河村劇場はまだまだ何幕も続きます。
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