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〔後房雄のブログ〕

現実関与型の政治学者が、日本政治、自治体改革、NPOやサードセクターの動向などについて話題を提供しています。一応研究者なので、面白かった本や論文の紹介もします。


人口が流入する町 [2009年10月22日(Thu)]
 今日も自治体の仕事で、2万人あまりのある自治体の町長さんと、策定中の次期総合計画の重点について懇談させていただきました。

 ここも、政策マーケティングを行って住民からみた重要課題は洗い出したのですが、長期計画で何を戦略的に追求していくかについては首長の骨太の判断が不可欠です。こうした戦略的判断を明確に示される首長さんはそれほど多くなく、それが多くの自治体で職員の方たちの悩みの種になっているようですが、この町長さんは自信をもって方針を話されました。(合併が挫折したあと、自力でやっていく覚悟が定まったということのようです)

 自然に恵まれ、住環境もよく、待機児童ゼロなので、これまでも子育てをこの町でと流入してくる若い人たちがかなりいるということで、今後もこの魅力に磨きをかけて、10年後の人口増を目標に立案していくことになりました。

 町長さんは、地域で子どもを見守るような連帯感づくり、46の自治会を活かしながら新しい地域内分権の仕組みをどうつくるか、子育てにとっても不可欠な医療機関の町内誘致、30人学級による人づくり、温泉や豊かな自然、農業体験などによる新たな観光産業の創造、健全財政などの目標を明快に語られました。健全財政については、経常収支比率80%以下、実質公債費比率16%以下、将来負担比率150%以下、財政調整基金16億円維持、という数値目標を自ら用意されていました。

 こういう首長さんがいる自治体は本当に幸運だと思いますし、地方分権が進む中でどんどん未来を切り拓いていくだろうと思います。職員も仕事がしやすそうでした。

 会議室の大きな窓から、パラグライダーが空に舞うのを見ながらの楽しいひと時でした。

 
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