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〔後房雄のブログ〕

現実関与型の政治学者が、日本政治、自治体改革、NPOやサードセクターの動向などについて話題を提供しています。一応研究者なので、面白かった本や論文の紹介もします。


2012年の日本政治 [2012年01月14日(Sat)]
野田内閣は岡田氏を副総理に入れて、いよいよ消費税増税で突っ走る方針のようです。自由VS民主という構図からすれば、民主党が相対的に大きな政府を掲げるのは自然ではありますが、「自由主義的改革の時代」を前提にすれば、市場主義に基づく行政改革や社会保障改革とセットでないと支持は得られないでしょう。

ギデンスのいう「市場主義改革と福祉改革の同時推進」です。

事業仕訳、公務員の人数や給与の削減、独法の削減などのような機械的な芸のない行革ではなく、市場主義にもとづく本来の行政改革、行政経営改革ができないものでしょうか。

たとえば保育所や老人ホームへの社会福祉法人以外の参入禁止くらいは撤廃したらどうでしょうか。

いずれにしても、マネジメント能力のあまりの欠如のため、今回の民主党政権は増税+その場しのぎの社会保障改革=大きな政府路線と心中することになるのでしょう。

法案は参議院で通らないでしょうから、そういう中途半端な状態で解散総選挙に踏み切るというのは文字通り自殺行為ですが、なぜか民主党指導部はそれに使命感を持っているようです。

週刊誌では総選挙での獲得議席の予想が出始めています。

1・13週刊ポストでは、民主党160に対し、自民党195、みんなの党38、公明党31、維新の会18などとなっています。

1.15サンデー毎日では、民主党158、自民党229、みんなの党33、公明党31、減税日本3、などとなっています。

要するに、自民党と公明党で過半数を占めるということですね。当然でしょう。

ところが、参議院では、自民党83と公明党19で合わせて102しかなく、122の過半数を大きく割ります。みんなの党も11しかなく、それを合わせてもまだ足りません。なにしろ、民主党が102も持っているので(そのうち61は来年7月に改選ですが)。

攻守所を変えてまたネジレの再現です。参議院での問責決議とそれを盾にした審議拒否が頻発することでしょう。

政治家たちは、相変わらず数合わせで当面与党になることしか考えていないようです。その政権が機能する可能性がほとんどないということなどどうでもいいようです。

どう考えても、参議院問題について主要政党で対処策を合意するしかないと思いますが、この問題に正面から取り組む動きが出てくるのはかなり先になりそうです。

運よく、政界再編で衆議院でも参議院でも過半数を持つ勢力が一時的にできる可能性はあるでしょうが、それも次の国政選挙で崩れる可能性の高いガラスの城にすぎません。そしてまた政界再編をやるのでしょう。

こういう一時しのぎの政権を作っては壊し、という見通しについて、本格的に解決策を考える能力が日本政治あるのかどうか、もはや期待せずに見守るしかないでしょう。
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