ミルトン市
[2011年02月23日(Wed)]
アトランタの22日。
今日は、サンディ・スプリングスに続いて、2006年の新市設立とともにトータル・アウトソーシングを採用したミルトン市(人口約2万人)のシティマネジャーのラガーブルーム氏(写真)に会ってきました。
フルトン郡の北端にあり、マルタという電車の終点ノーススプリング駅(写真)からさらにタクシーでかなりありました。(帰りはシティマネジャー本人が車で送ってくれて助かりましたが。)
ラガーブルーム氏は、2年前から4人目のシティマネジャーになったそうで、その前は短期間で代わって落ち着かなかったようです。彼自身は、行政学の修士をとっているそうですが、シティマネジャーになる気はなく、治安部門の職員をしていたのを口説かれたようです。
この地域の出身なので、あえて引き受けたが、他の市のシティマネジャーに転出する気はないそうです。
ミルトン市も市長と6人の市議で市議会を構成していますが、SS市のチャーターと同じく、市長はChief Executive Officerで、シティマネジャーはChief Administrative Officerと規定されていました。
年俸は、市長で2万3000ドル、議員で1万3000ドルということで、やはりパートタイムの職ですね。面白かったのは、市長は補佐官を雇うことができるのですが、その給料は市長の報酬の2倍以上と規定されていることです。常勤だからということでしょうね。
チャーターには、不動産税の税率の上限も規定してあり、それを引き上げるためには議会の議決を経たうえで住民投票で可決される必要があります。ラガーブルーム(LB)氏によれば、事実上不可能ということでした。
市の収入は基本的には市税で、州や連邦の補助金は全体の12%ほどということでした。そのため、市の課題は、道路や治水などのインフラを限られた財源でいかに整備していくかだということでした。
シティマネジャーは市長とは毎日話すそうで、議員とは週2、3回だが、メールも多いということでした。
予算案作成は、市長や議員の意見を聞きながらもかなり行政側でまとめているようで、そのあと、公聴会も含めて4、5回ぐらいの議会審議で可決するようです。それほど大幅な修正はなかったということでした。この市では10月から9月が会計年度です。
トータル・アウトソーシングについては、やはり高い評価で、かなり税金は安くて済んでいるそうです。マネジメントについても、企業側(CH2M)のプログラム・マネジャーが向かいの部屋に常駐しているので、そのタミーさんとやり取りすればいいのでやりやすいということでした。
そのやり取りも、すべて契約書に規定されているかどうか、規定をどう解釈するか(やってほしい仕事が含まれているかどうか)をめぐってなされるようです。契約書にない仕事をやってもうためには、議会で予算を修正して新しい契約をする必要があります。
1企業と契約するのがいいか、数社とやるのがいいかという件に関しては、彼は1社の方がマネジメントの面でやりやすいという意見でした。特に小規模な市ではこれが理想的だということでした。
ミルトン市では、各部の部長は市の雇用なので、直接雇用の幹部職員は9人だそうです。あとは企業の職員ということですが、シティマネジャーとはあまり直接の関係はなく、企業のプログラム・マネジャーを通じて指揮するということのようです。
ちなみに、チャーターでは、議員は部長や職員とは直接に接触したり指示してはならず、シティマネジャーを通じて指示することとされています。
これは日本でも導入すべきで、議員の行政介入や汚職を一掃することになると思います。
明日は、ミルトン市のロックウッド市長と話した後、夕方は市議会を傍聴する予定です。また、24日はジョンズクリーク市の市長とアポがとれました。
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たしかに、2ケタ大きすぎましたね。直しておきました。
アメリカの事例は、どの分野でもそうですが、極端な実験がなされやすいので、そのまま日本でやれなくても、大きな刺激になることが多いです。
昔、フランスのトックビルさんが『アメリカの民主主義』を書いた時の気分がよくわかります。
政治や行政が国家のためのものという側面より、市民の道具という側面の方が強いことを実感させられます。
来週から行くイタリアは、それともちょっと違いますが、小さな市町村にまで各政党の支部があって、政党政治が深く浸透していることはやはり日本と対照的です。