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〔後房雄のブログ〕

現実関与型の政治学者が、日本政治、自治体改革、NPOやサードセクターの動向などについて話題を提供しています。一応研究者なので、面白かった本や論文の紹介もします。


46万5千 [2010年10月05日(Tue)]
昨日10月4日、名古屋市の議会解散署名は約46万5千名分が選管に提出されたという発表がありました。無効署名が2割までであれば36万5千の規定数に達するという数です。

選管の審査、縦覧を経ないと最終結果は分かりませんが、名古屋市の政治状況は新たな局面に入ることになりそうです。

特に、二元代表制を守れ、という路線を基本にして議会擁護論をやっている限り、河村市長の報酬半減論に対抗することは不可能でしょう。従来のような議会、議員の実態では、半減(800万円)でも不当とはいえないでしょうから。

2日の地方議院内閣制を考える横浜シンポには、名古屋市議も数人参加していましたが、さて、議会が予算提案権や執行権を担うというところまで踏み切れるかどうか、もっと追い詰められないと踏み切れないでしょう。

ところで、河村戦略では、議会解散・再選挙と市長辞任・再選挙を2月の愛知県知事選挙に重ねるというものです。

愛知県知事選挙については、3日、みんなの党が、7月の参議院選挙愛知選挙区(定数3)で51万票で次点となった薬師寺道代氏を擁立すると発表しました。記者会見では、企業誘致に向けた法人税減税や、県議の定数削減、報酬カットなどに取り組むことを強調したそうです。

河村市長への露骨なラブコールですね。

しかし、ここまで言い寄られた河村市長は、「まだ連携を考える段階にない」と「冷静な反応」だったそうです(『中日』10月4日)。

これは河村市長にとっても決定的な選択になります。つまり、民主党の御園候補に対抗してみんなの党の候補者を応援すれば、民主党と公式に決裂することになるからです。しかも、民主党代表選で河村市長が頼る小沢一郎氏が負け、4日には検察審査会議決によって強制起訴となっただけに、河村市長の民主党とのパイプはかなり危うくなっています。

こういう状況で、当面の選挙目当てにみんなの党との連携を選んでしまうと、名古屋市騒動で全国的に名前を売っても中央政界に復帰する道が断たれてしまいます。(おそらく、みんなの党も河村氏も、政界再編に最後の望みをかけているのでしょうが、これも繰り返し指摘しているように幻想です。民主党政権はあと3年続くでしょうし、それが日本政治全体の利益です。)

そうすると、名古屋市政に骨を埋めるしかなくなるわけですが、河村市長には名古屋市政への真面目な関心はないというのは繰り返し指摘してきた通りです。

しかも、次の名古屋市議会選挙において、河村派の議員がどれだけ増えたとしても、75人の過半数はほぼ不可能でしょう。そうすると、議会多数派を敵に回しての市政運営という状況は変わらないわけで、そんなしんどい仕事に河村市長が取り組むとは思えませんし、その能力もありません。

中央政界への復帰も難しいし、しんどい名古屋市政運営もいやだとすれば、さて、どうされるのでしょうか。当面、先の展望のなさをリコールごっこでごまかしていくのでしょうが。
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Tracked on 2010年10月05日(Tue) 13:01
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