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〔後房雄のブログ〕

現実関与型の政治学者が、日本政治、自治体改革、NPOやサードセクターの動向などについて話題を提供しています。一応研究者なので、面白かった本や論文の紹介もします。


ホリエモンの小説 [2010年07月05日(Mon)]
堀江貴文『拝金』(徳間書店、2010年)を読みました。ライブドア事件を題材にしたホリエモン初の小説です。

前に紹介した『もし高校野球の女子マネージャーが・・・』とは一見、まったく別の世界ですが、お金を稼ぐことにのめり込む人たちの「真実」(ある種の真摯さ)がよく描かれているように思いました。小説としても面白かったです。

以下、「あとがき」からの抜粋です。

「やりたいことがないんだよ・・・」
六本木ヒルズの会員制バーで、村上ファンドの村上世彰氏が、そうつぶやいたことがあった。いわゆる「村上ファンド事件」や「ライブドア事件」の前で、当時、世間から「ヒルズ族」と呼ばれていたころの話だ。

それまでガムシャラに働いていた人が、ある日燃え尽きて、何をしていいのか分からなくなる。

人の欲望は尽きないと言うけど、意外に人の欲望は簡単に尽きる。ある程度のお金を手に入れると、たいていの人が満足してしまうのだ。(中略)

当時、ライブドアの資産は5000億円あった。その意味で、僕も満足して燃え尽きても不思議はなかった。

でも、そうはならなかった。逆にやりたいことがあり過ぎて困っていた。当時の僕は宇宙ビジネスを軌道に乗せたくて、毎日、毎日、そればかりを考えていた。

たぶん、僕はものすごく欲望が強いのだ。
ライブドアが成功したからといってまったく満足していなかった。それはそれとして、それで得た金で次は何をしようと思考が働くのだ。

お金がないときはやれることに限界があるけど、お金があればやれることがどんどん広がる。つまり、お金を持てば持つほど、お金から解き放たれて自由に発想できるようになr。もっといえば、あらゆる欲望、金、女、酒、美食、何でもいいけど、徹底的に浸り切り、欲にまみれればまみれるほど、ある瞬間、その欲の世界を突き抜ける、そんな感覚になっていく。

突き抜ける。そうとしか表現しようがない。

それがムチャクチャ気持ちいいというか、物凄い快感を与えてくれるのだ。突き抜けた結果、聖人君主のようになるという意味でもなく、なんというか、欲から解放されて、欲そのものと一体になれるというか、うーん、やっぱり言葉にするのは難しい。

でも僕は自分の感じた気持ちをできるだけ多くの人と共感したかった。

だから小説を書いてみることにした。


堺屋太一『巨富への道 創業の極意を探る』PHP、2010年、では、創業に成功して巨富をなすことができるために必要な5つの要素の一つとして、「お金儲けが好きなこと」があげられています。

これは、お金を儲ければ贅沢な暮らしができるから嬉しいというのとは違うそうです。それはお金儲けが好きなのではなく、贅沢な暮らしが好きだということなのです。

あくまでもお金儲けそのものが好きでなければ、本当の巨富は得られない。(32ページ)

ホリエモンは、堺屋太一の挙げる5つの要素を見事に備えていると思うので、きっともう一度巨富を築くだろうと思います。

それにしても、ソフトバンクの孫氏と楽天の三木谷氏が球団を持つための作戦にホリエモンが見事に利用されたという真相が書かれていたのには驚きました。世の中、上には上がいるもんですね。
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コメント
ありがとうございます。!!!
Posted by:buy website visitors  at 2011年12月09日(Fri) 17:16