子どもの遊び場の必要性 [2015年01月26日(Mon)]
1月18日(日)石巻市蛇田公民館にて、シンポジウム「子どもの日常に遊ぶ場を!!」が開催されました。(主催:子どものための石巻市民会議さん)子どもの遊び場づくりをなさっている団体さん、健全育成・公園づくりに関わる行政の方が出席され、それぞれの活動をお話して下さいました。
震災後、子ども達の心のケアとして作られてきた遊び場。今後も、子ども達の健やかな成長には遊び場が必要であること、どのような場所であったらいいかなどの意見が出されました。 皆さんが共通しているのは「子ども達が遊び場を通じていろんなことを学び、その子ども達の成長を地域みんなで見守っていこう」という思いでした。また、子どもにとっての「遊び」がただ楽しいだけのものではないことに、改めて気付かされた時間でもありました。 遊び場づくりに携わる方々のお話を参考に、未来を担う子ども達のこれからに関心を寄せて頂ければと思います。 ********************************************************************************** 子どものための石巻市民会議代表・戸田勇也さん 子どもの遊び場や、職業体験(子どものまち・いしのまき)等を開催し、子ども達の豊かな成長の為に活動している「子どものための石巻市民会議」さん。代表の戸田さんが、行政・市民が一緒に子どもの成長を考えようという思いから、今回のシンポジウムを開催したと話されました。 また、日本学術会議(昭和24年1月、内閣総理大臣の所轄の下、政府から独立して職務を行う「特別の機関」として設立)の提言を元に「子どもは集団の中で社会力を育む。日本は子ども達が群れて遊ぶ公園や広場が少ない。物質的な豊かさに恵まれていても、多様な体験の機会を失っている。子どもの身体的、心理的能力が低下し、子どもたちは元気を失っている。」等の課題を提示し、遊び場の重要性を話されました。 ********************************************************************************** NPO法人日本冒険遊び場づくり協会東北オフィス本部長・須永力さん 「自分の責任で自由にあそぶ!」をモットーに、子ども達がのびのびと思いきり遊べる遊び場の支援を行っている「NPO法人日本冒険遊び場づくり協会」さん。東日本大震災後、岩手・宮城・福島の被災三県を回り、遊び道具や工具をたくさん積んだ「プレーカー」で子ども達に遊びをお届けする活動もなさっています。 東北オフィス本部長・須永力さんは「子どもの自由な遊び場をまちづくりに取り入れてほしい。これからも提案していく。やろうと思えば何でもできると思う。」「今の子ども達は、遊園地などしか知らず、屋外で自由に遊ぶ想像ができない。遊び方を今の子ども達に合わせるのではなく、想像以上のいろんなことができるということを大人が提示していかなければ、子ども達も遊び場も成長できない。」と話されました。 ********************************************************************************** NPO法人にじいろクレヨン代表・柴田滋紀さん 仮設住宅や地域の集会所で定期的に子ども達の遊び場づくりをなさっている「NPO法人にじいろクレヨン」さん。震災直後、避難所で避難生活を余儀なくされた代表の柴田さん。子ども達のお絵描き教室や剣道をやっていた経験もあり、子どもに対して何かできるのではとの思いから、避難所で子どもの遊び場を作ったこと(子ども避難所クラブ)がスタートとなり、今の活動に繋がっています。 「遊び場には、住民の方々の参加も少しずつ増えてきた。子ども達の見守りが少しずつ定着してきたように感じる。遊び場に来る子ども達は、放課後児童クラブ(小学校で開催)に通えない高学年の子達が多い傾向にある。どの子にも、同じように遊びの時間を提供したい。学年など関係なく通える児童館が必要なのでは。」と話されました。 ********************************************************************************** こども∞感ぱにー代表・田中雅子さん 渡波・鹿妻地区で遊び場づくり、プレーカーによる遊びの出前、キャンプ活動などをなさっている「こども∞(むげん)感ぱにー」さん。震災後、牡鹿半島で支援活動をしていた代表の田中さん(通称けろさん。カエルに似ているので、子ども達にそう呼ばれているそうです。)。子どもの姿を見かけないことに違和感を感じつつ、ある日訪ねてきた団体と映画館作りをしたところ、子ども達がたくさん集まってきたそうです。すべてを失い絶望の中にいた漁師さんからの「子ども達が笑っていると元気をもらう。けろちゃん、あそび場つくろうよ!」の言葉で、子ども達の遊び場づくりが始まりました。 「日本の子どもは自己肯定感が低い子どもが多い。遊び場で遊具を自分で作ったりして、失敗、成功、達成感などを感じ、自分に自信を持って、自分を好きになってもらいたい。今後は、外もいいけど、やっぱり寒い冬(石巻の冬は長い・・・)は中でも遊びたいという子ども達の思いから、“みんなの家(仮称)”を建てる予定です。願うことは、地域で子どもの成長を見守り、挨拶を交わせるような地域になること。」と話されました。 ********************************************************************************** 石巻市生涯学習課社会教育主事・若生孝之さん 協働教育と子どもの健全育成、石巻市放課後子ども教室事業、ジュニア・リーダーの育成に取り組む、石巻市生涯学習課の若生さん。現在、和渕小学校区に放課後子ども教室「和小っ子クラブ」を開設し、地域住民の方と共に、子ども達の遊びや農業体験などの時間を作っています。子ども達の普段の学習への意欲がアップしたり、充実した時間になっているとのことです。ぜひ他の小学校区でも実現できたらいいなと思うお話でした。 農業体験では、足踏み脱穀機を使って脱穀作業 「子どもを地域で育てる仕組みときっかけづくり、地域の人材の発掘、ボランティアの育成などに力を入れていきたい。」と話されました。 ********************************************************************************** 石巻市役所基盤整備課・御木彩乃さん 石巻市南浜地区に整備が予定されている、震災復興祈念公園(県営公園+市営公園)について、石巻市役所基盤整備課の御木さんがお話下さいました。基本理念を「東日本大震災により犠牲になったすべての生命(いのち)への追悼と鎮魂の思いとともに、まちと震災の記憶をつたえ 生命のいとなみの杜をつくり 人の絆をつむぐ」とし、亡くなられた多くの県民や市民の慰霊の場として、また震災の教訓を後世に伝承する場として建設されます。平成26年8月に学識経験者等で構成する「宮城県における復興祈念公園基本計画検討調査有識者委員会」を設置し、議論を重ね、市民の方々と共に考えるワークショップなどを行ってきました。今後も市民フォーラムなどを開催し、整備計画を詰めていくとのことです。公園の完成予定は2020年とされています。 ◇詳しくはこちらのHPをご覧ください。http://www.thr.mlit.go.jp/(国土交通省東北地方整備局) ********************************************************************************** 石巻市都市計画課公園緑地グループ主任主事・木村健太郎さん 今後の公園づくりについて、石巻市都市計画課の木村さんがお話下さいました。特に公園での危険性に触れ、子ども達の意欲的な遊びにケガはつきものだが、良い危険(リスク)と悪い危険(ハザード)の二種類があり、前者は子どもがその行為をしたら危ないのではと判断できることで、事故回避能力を育てることができる。後者は、遊具への衝突による事故(人的)、遊具の不良による事故(物的)など(※リスクとハザードの境界線は難しい)があると話し、市として、より安全に利用してもらう為、遊具などの維持管理に対応していくと述べられました。 ********************************************************************************** シンポジウム終了後、楽しそうにモップ掛けをする子ども達 ********************************************************************************** たくさん遊んで、学んで、素敵な大人になってね (文責:武山) |